あなたはヒュンダイのKONAというEVをご存じだろうか?
EV・自動車系YouTuberの動画でちょくちょく紹介されていたり、エニカofficialのカーシェアに一時期出ていたりしたヒュンダイのEVだ。
アイオニック5より安くてコンパクトなSUVである。
ガソリンエンジンモデルも存在するが、日本ではEVのみの販売。
冒頭のまとめ
デザインこそ独創的だが内装と走りの質感は恐ろしいほどに高い。
衝撃をほとんど入れてこないショックや切った瞬間にスパッと揺れを抑えて吸い込まれるように曲がっていくハンドリング。
またディズニーランドのスペースマウンテンのような走りの世界観が実装されており、幻想的に響く独特なモーター音はガソリン車のエンジン音を置き換えているようだ。
外装について
デザイナーの方には非常に申し訳ないのだが、最初に見たときは気持ち悪いと思ってしまった。
動画映えを意識してわざと派手な色を選んだだけに、相当目立つ蛍光色である。
N-Lineを除くと最高額なグレードであるTwo-Tone。価格に見合うスタイリングだ。
ここまで来るとヒュンダイゆえの嫌悪感より、「なんだこれ!?!?!?」という物珍しさが勝る。

各部の膨らみエイリアンのようであり、フロントの充電ポートの切り欠きが左右非対称で違和感も感じる。
しかし見慣れてくるとクセになるような、フィアットのムルティプラのようなデザインである。なぜこんな大半の人間に拒絶されそうなデザインで売り出そうとしたのかは謎であるが…

アクセントとしてデイライトの細いラインを通し、前照灯やフォグは下側に小さく埋め込む現代風のデザイン。
後ろ姿も全く同じコンセプトで、横線を通すものとなっている。

フェンダーの膨らみのラインをフロントとリアフェイスまで伸ばし、その中に法令上必要な灯火類をまとめて埋め込むという方法。

最初は異質なデザインだと思っていたが、全体のラインの引き方やデザイナーの仕事を思い浮かべながら観察していると逆に好きになってしまった。
わたしこの手の変なクルマが元々好きだし…

内装について

IONIQ5も先進的で美しく高級感に溢れた良い内装を持っていた。
コナも同じである。
肌触りの良いレザーにメタリック基調の近未来感ある内装。
カッコ良さも先進性もある一方で、丸っこいステアリングのデザインからは親しみも感じられる。


ウインカーが右に付いているのもヒュンダイ社の面白いところだ。
大抵の高級車メーカーがコストダウンのために左ハンドル用のパーツを使い回しているが、ヒュンダイは右ハンドル専用のパーツを付けている。

ウインカーをオンにするとサイドカメラの映像を出してくれる機能付き。(ミラーを畳んでいるので視野の大半が自分の車体だが)

右側はオーディオ関連の操作。ボリュームダイヤルは押し込むとミュート
☆マークには任意の機能を割り当てられる。選局ボタンは左右ではなく上下なので分かりづらく、これ実は下に倒すと次の曲なのだ。

左側はクルーズコントロールとメーター内の表示切替。

左上でシステムオン。右下でレーンキープ機能のオンオフ。
左側で車速を切り替えたり押し込んでオンオフ操作を行ったりする。
右上のボタンではメーター内の表示項目が切り替わる。

IONIQ5と同じくシフトは右下についている。
摘まんで奥に倒すとD。手前に倒すとR。先端のボタンを押し込むとPだ。ちょっとだけ上に倒すとニュートラル。

運転操作の全く邪魔にならない位置なのは良いが、ちょっと奥まっている位置なので駐車中にこまめにギアを切り替える際には少々鬱陶しい。慣れの問題かな。
コレをウインカーの位置に付いているメーカーもあるが、それと比べたら遥かにマシ。
高品質なアラウンドビューモニター付き。ミラーを畳んでいるので側面の映像が上手く表示されていないが。

右側にはテールゲートや電動パーキング、トラクションコントロールなどのスイッチ。
デザインや素材の使い分けは私が見てきた中でもトップクラスに洗練された配置となっている。

ミラーの角度調整の中央のボタンを押すとミラーが畳まれる。この配置はしっくり来るが他で採用されているのを見かけない。

中央部のコントロール。すべて物理ボタンなので操作しやすく、メタリックなボタンと青緑系の色合いが高級感と近未来感を感じさせる。
10~15年前くらいのレクサスとジャガーっぽいが、使い心地はすこぶる良い。

オートエアコンの強さが3段階で切り替えられるという機能付き。
その下にはUSBポートとシガーソケット、スマホ置き場。
USBポートはデータ通信を行うか切り替えることが出来るため、正体不明の外部機器を繋いで車両がバグる心配もない。

シガーソケットは押すと開いて来る面白い仕掛け。自然に埋め込まれている。

その下にはドライブモードやシートヒーター、カメラアシストなどの切り替え。

デザインは良いが、ドライブモードのノブはちょっとハンドルから離れすぎており走行中の操作がやりづらい。
カップホルダーはボタンを押すとシュッと壁が出てくるタイプ。

センターコンソール後部にはコンセントとUSBポートが2口。

価格・グレード・諸元について
新車価格485万円のLounge Two-toneという、NLineを除くと最上位グレードだ。

最廉価グレードより約100万円高いが、バッテリー容量が異なるため単純比較は出来ないぞ。
さて諸元を書いていく。
- 車体サイズは4355 x 1825 x 1590mm
- 車両重量は1770kg
- モーター出力は204馬力/255Nm
- バッテリー容量は64.8Kwh
- EPA航続距離は約437km
- 最小旋回半径は5.4m
バッテリー容量が64.8Kwhに抑えられているためか、車両重量も1.7トン台に収まっているのが嬉しい。
ちなみにAWDモデルの設定はないようだ。N-Lineでも加速力は変わらない。
実走行インプレッション
どことなく良いイメージが無いヒュンダイだが、IONIQ5と同じくKONAも驚かされるような質感の高さを持っている。
取り回しについて
4355mm x 1825mmに収まる車体サイズは非常に取り回しがよく、アラウンドビューカメラシステムに頼らずともスイスイと走ることが出来る。
SUVなので縁石や輪留めで擦ることを気にせずにガンガンと立体駐車場に入って行けるのも良い。
変なクセはほぼ無く、市販車トップクラスの扱いやすさだ。
レイバックと同じくらい初心者・万人に勧めたい乗りやすさ。
パワートレインについて
1770kgという車重に対して204馬力/255Nmのトルク。
色々なEVやハイパワー車に乗り慣れた私からすると並みであり、そこらじゅうでベタ踏み出来るレベルに収まっている。
しかし一般的なクルマとしては非常に俊敏な部類に入る。
EVらしく踏み初めからトルクが出て途切れることなく伸び続ける気持ちよさ。
速いのに慣れていると刺激は無いが、非常に気持ちの良い加速が楽しめる。
また独特なモーターサウンドが響くのが特徴だ。
ディズニーランドのスペースマウンテンで聞いたことがあるような幻想的な音が響き、夢の国へとワープしていきそうなフィーリングだ。
ここまでの音ならEVを選んでも全く不満が無いレベル。
世界一!?滑らかすぎるワンペダルドライブの停止
またワンペダルドライブ時の停止が上手すぎる。
「え?止まった????」と戸惑ってしまうレベルに滑らか。
ブレーキで抑えて停止させるというより、減速Gがほぼゼロの状態で車速がゼロになったような動き。
常に動き続けていそうな違和感がある。丁寧な運転操作を心がけている自分でも、このレベルの停止は相当に神経を尖らせて集中しないと再現できない。
乗り心地について
驚くほど良い。ほとんど車体が揺れない。
段差を越えるとある程度のストロークの後にふわっと小さく持ち上げる。
その持ち上げ加減がちょうど良く、硬さが出るわけでも不安定さが出てくるわけでもないところに抑え込んでいる。
ボディの剛性を活かしたガッチリ感と優れた快適性の両方が感じられる良い乗り味だ。
空飛ぶ絨毯っぽさもあるようなレベルであった。
ハンドリング
色々なハイパフォーマンス・高機動SUVに乗ってきたが、このハンドリングはスポーツカーにも勝るレベルだ。
切った瞬間からスパッとロールが収束し、吸い込まれるようにインへと曲がっていく。
ここまで曲がって行こうとするSUVは私も乗ったことが無い。
車線逸脱予防のステアアシストが邪魔をするので派手なことはできないが、フルフラットで意のままの俊敏なコーナリングを味わうことが出来て驚いた。
ただ旋回中のロールを抑えるために極限までスタビライザーを強化しているのか、曲がり始めの重さが出てしまっている。
別に気になったり悪かったりするところではないが。
最高峰のレーンキープについて
色々なクルマに乗ってきたが、その中でもトップクラスに良いレーンキープシステムだった。
私はどのメーカーのクルマのハンドル支援をオンにしても、自分が走りたい位置から常に右か左にズレたところを走り続けようとするという動作が気になってしまうのだ。
しかしこのコナのレーンキープはその味わいが絶妙で、完全に手放ししても安心して任せることが出来た。
カーブに合わせて自動で減速したり、円滑に出口に行けるようにしっかりとハンドルを操作してくれる。
ヒョンデ公式のカーシェアサービス「MOCEAN」について
IONIQ5のNに乗れる機会が無いかとヒョンデ公式サイトを探していたところ、MOCEANというサービスを見つけた。

公式アプリをダウンロードし、案内に従って免許証やクレジットカード情報を登録。
ヒュンダイにクレジットカード情報を教えるなんて恐怖でしかないが、なにか問題が起きたら追記しようと思う。
さて私が借りたステーションはMOCEAN北新横浜だ。深夜に行くと頭から突っ込んで停められているコナが一台。

アプリで貸し出しをする前、車両の画像を撮影しておく必要があるのが面倒くさい。
いろいろなカーシェアサービスに乗ってきたが、こんなの要求されたのはAnycaの個人間のリモート受け渡しのみだ。面倒くさいので、試乗目的以外で使おうとはあまり思わない。

内装についても評価をする項目がある。面倒くさいので適当にパスしてしまったが問題は起きていない。
極端な傷・汚れやにおいがあったら報告しておかないと自分のせいにされるかもしれないぞ。

ETCユニットはグローブボックス。

TOYOTA SHAREと同じく、利用中の開錠・施錠はアプリの中から行う。

車内に居ることをアプリ・車両が検知すれば、始動ボタンで動き出すことが可能だ。
利用後は充電して返そう。
私のステーションでは繋いだ後にサンバイザー部のカードを認証すると充電が開始された。
充電ポートはおそらく電源をオフにしないと開かない。