【試乗】”400万円級”が半額で買える衝撃。新型N-boxカスタムは「中身」がスゴい。【N-BOX CUSTOM インプレッション】

試乗インプレッション

新型N-BOXに乗ってきたが、「新車価格300~400万円級の内装と乗り味が200万程度で買えてしまう」という歴代最高峰の価格破壊モンスター車であった。

その走行性能はすべての人の予想を超越するもので、テスラのモデル3と同じくらいの衝撃を運転した者に与える。

足回りの完成度と直進安定性はヘタなスポーツカー以上で、内装の質感も高級セダンのような世界観を持つ。

それでいてワンボックス軽自動車お決まりの使い勝手の良さ

試乗を終えた後に「あのフィーリングなら最廉価グレードが330万円スタートだろうなぁ..」と思って公式サイトを開いたらその圧倒的なプライスに絶句

物価高が続く世の中で、こんなにも総合点が高いクルマをあんな値段で作れる理由が分からない。

「自動運転」と呼べるほど頼りになる使用感の運転アシストや電動パーキングブレーキなどの上級装備も持つのに…

という風に総評してしまった新型N-BOXカスタム。

特に悪いところは見当たらなかったが、その運転フィールをしっかりと書き残していこうと思う。

軽が"高性能車"の領域へ到達。歴代最高が200万円で買える【新型N-box CUSTOM】
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カーシェアで試乗できるぞ

ホンダ社が公式に展開するカーシェアサービスの「EveryGo」に最近新型のNboxが追加された。

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新型N-BOXにカーシェアで乗れるのはEveryGoだけ!N-BOXなら15分200円から。試乗体験などにもご利用いただくことが可能です。

いまのところ東京・大阪・名古屋の3都市のみであるが、連日の取り合いの合間を縫ってカスタムグレードを借りてきたぞ。

外観について

前回のカスタムグレードはちょいワル系のイカツさを感じる顔つきだったが、モデルチェンジで随分と柔らかいデザインになったものだ。

ボディーカラーがグレー系だからこそ”カスタム”感があるが、四角いボディーの角をしっかりと丸めてデザインを作っている。

後ろから見たシルエットは大きくは変わっていないが、LEDテールランプにより新型感がバッチリでている。

しかしウインカーは小さな2連LEDがまぶしく光り輝く形となっているため、なんだか目に突き刺さる印象がある。

部品点数を減らせるのだろうが、他者に迷惑になるので正直このトレンドやめて欲しい..

内装について(不便なポイントあり)

内装は非常に上質でここ数年のホンダ車の良さに溢れている。

見かけも質感も素晴らしい。300~400万円級だ。

光沢を抑えたディジタル液晶は非常に見やすく使い勝手もいい。

非常に多機能だ。

インパネは見やすくタッチしやすいディジタル液晶に物理ボタンのエアコン操作パネル、間接照明で照らし出される小物置きトレイが並ぶ。

小さい話だが「ハザードが運転手側に寄せられて配置されている」のも素晴らしい。

非常に押しやすいぞ。この左ハンドルを捨てたアプローチ、かなり思い切っている。

「アイドリングストップストップボタン」としても機能するECONボタンや電動パーキングブレーキ&ブレーキホールドのスイッチも見える。

電動パーキングブレーキは引いて作動。押し込んで解除だ。

なお電動パーキングブレーキはシフトポジション連動ではない

Dレンジでアクセルを踏めば解除されるが、Pレンジに入れてもエンジンを切っても自分で作動させなければサイドブレーキが掛からないことを実際に確認済みだ。

特にカーシェア車だと、サイドブレーキを掛け忘れたままクルマから離れる人が爆増すると思う。

これくらいコンピュータプログラムで連動にさせて欲しかったんだけどなあ…

そういう社外キット出ないのかなあ..

まぁそれはそれとして、Pレンジだとシフトノブが邪魔してエアコンが操作しづらいという小さい問題がある。手をくねらせなければならない。

いちいちDレンジに入れるという対処法もあるが、うっかり戻し忘れてブレーキペダルを離したらクルマが動き出すと考えると、そんな習慣ぜったい付けないほうが良いやりたくなってもやるな。

走行中は普通に触れられるのだが、ボタン配置があまりよろしくないと感じた。

特にオンオフと風向切り替えが全く同じ形で隣接しており、サイズも小さくて見づらいため頻繁に押し間違える

せめて使用頻度の低いA/Cボタンを間に挟むようにしたり、片方のボタンの上に指でなぞってわかる突起を付けたりして欲しかったところ。

ちなみに言い忘れていたし写真も撮っていなかったが、シートヒーターありのレザーシート装備だ。

座り心地も非常によく感動を飛び越して絶句するレベルの世界を味わえるぞ。

欲しい方はグレードやオプションを確認しよう。

ちなみに留意点として「2列目を立てるとトランクルームの前後が狭い」という要素がある。

しかしシートを倒すとかなり低いところでフラットになるため、車内空間の使い勝手は最高だろう。

試乗車のスペックと諸元について

どのグレードか悩んだが、新車価格約206万円の「N-BOX CUSTOMコーディネートスタイル(モノトーン)のFFモデル」だと予想する。

ボディーカラーや内外装の装飾から予想させて頂いた。

N-box カスタムの新車価格は184万円から220万円ほど。

ターボ化するとプラス20万円。4WD化するとプラス10~15万円であるように見える。

私が試乗したのはノンターボモデルだったが、加速力に大きな不満は無かった。

詳しくは後述するが、上り坂での高速道路での合流で命脅かされる恐怖を味わいたくない人はターボを買おう

ここで公式サイトを元に、私が関心のある諸元についてサクっとまとめておく。

  • 車体サイズは横幅1475ミリ、前後に3395ミリ、全高は1790ミリ
  • 車両重量は920kg
  • エンジンは58馬力(7300回転)と65Nm(4800回転)
  • 最小旋回半径は4.5メートル
  • 0.658Lの直3CVTのFF

1475ミリに収まる横幅、ノンターボなのに58馬力もあること、重さが920kgしか無いことなどが注目点だろうか。

実走行レビュー

剛性感・走行安定性・足回り・高負荷域について

一言でいうと「非常に上質で総合性能が高い自動車」である。

ドアノブを引っ張って開けた瞬間からフレームの剛性の高さを感じさせられる。

段差をガタンと超えても足回りが暴れることはなく、この手の軽量縦長マシンあるあるのロール方向にガタガタ揺さぶられることもない

名古屋の都心環状の90度コーナリングで思い切り追い込んでいってもしっかり踏ん張ってくれて、その中で段差をガタンと超えても足回りが砕けるような動きがほぼ無い

車体の余力はあまりにも高く、ターボモデルでフル加速しても恐怖感を感じる速度域に飛び込めないレベルの直進安定性の高さがある。

それでいて乗り心地にもゴツゴツ感が出ない。

大半のSUVの完全上位互換な足回りである。

ステアフィールについて

スポーツ車ではないので期待はしないで欲しい。しかし絶望もしないはずだ。

「軽すぎてスカスカ」ということは一切なく、重くはないがクルマの動きを感じられるような重さがある。

しかしスラロームをさせてみると微妙に応答性が悪い

これはおそらく車体ではなく、ステアリングレシオが微妙に追いついていないから起きる問題だ。

ハンドルを急に揺さぶってみても不安定な動きはあまり起きず、ロールをしっかり抑えて安全な姿勢で追従していく動き素晴らしい

しかし微妙にシャープさが足りないというか、与えたい入力を限られた時間で与えるためにはハンドルの要求回転量が多すぎるようなフィーリングがあるため、緊急回避の際にちょっと応答が遅れてリスクになる可能性がある…かもしれない。

それ以外は特に大きなクセや弱点もなく乗りやすい。

乗り心地について

これもまた非常に上質で完全に高級車の乗り心地なのだ。

少し硬いところはあるのだが、アシが少しストロークしてくれるので大きな揺れが来ない。

全体的に「フレームがそんなに揺さぶられない」乗り味なのだ。

あちこち動かされたりふわふわとした揺れが持続したりしないため、車酔いもしづらいような乗り味に感じる。

エンジンについて

始動時から非常に静かで、深夜に乗り出してもこれっぽっちも迷惑にならない。

「現代の軽自動車なんだから当たり前だろ」と思うかもしれないが、気温1ケタ台からのコールドスタートはアイドルアップでうるさくなる場合が多いのだ。

近所迷惑にならないレベルの静けさは隠れた高評価点。電動車普及に張り合う静音化をほめたたえよう。

ただ発熱の小さいガソリンエンジンということがあって、暖房熱の立ち上がりはちょっと遅いかも

エアコン使用中はアイドリングストップも作動しないし、走り出してしばらくは信号待ちだらけの名古屋の中心部を走った。燃費には期待できない状況が続いた。

ゆっくりと走り出していくとエンジンは静かに回っていく。

これっぽっちも急がないゆったりペースで走っている限り非常に快適だ。うなることもないし加速力不足を感じる要素はない。

ハイゼット系のノンターボCVTは走り出しから回転数を跳ね上げてうなっていたため、なおさらNBoxのエンジンの静かさが光る

しかし、一旦アクセルを踏み込んでいくとノンターボ660ccの限界が顔を出す。

普通車の感覚ではアクセル開度に見合わないレベルでエンジン回転数が上がっていくが、その割に加速Gが付いてこない。

しかし加速時間が限られている中での高速道路への合流は遅すぎて危険なレベルだ。

登り勾配ではなかったが、アクセルを100%踏んでも全然加速してくれない

100km/hオーバーで流すのが当たり前な深夜の名古屋の都心環状に、40~60km/h制限相当の設計の加速車線から合流していく数秒間は命の危険すら感じた

なぜここでこの話題を出したかは言わないが、リアから追突された際の衝突安全性も強化されているはずだ。

走行距離600km程度の慣らし運転中だからコンピュータが抑えていたのか、レッドゾーンまでエンジンが吹けなかった。

低速域からの加速力の出し方が巧妙だが、所詮はノンターボ660ccの加速力であったわけだ。

こればかりはどうにもならないが、それと同時に過去最高クラスの性能を持ったエンジンであったことはハッキリと申し上げておく。

運転アシスト・クルーズコントロールについて

前車追従式のクルーズコントロールはもちろん車線逸脱防止システムの動作が非常に頼もしい。

何回もわざとはみ出してみたがすべて的確に押し戻してくれた

右カーブの途中でアウトに膨らもうとしたら、それは流石に頼り切れなかったけど。

その他のあれこれ

ハイビームがむちゃくちゃ明るい

自動車どころか航空機のライトとして使えそうなレベルの照射性能を持つ。

これが…

ここまで明るくなるのだ。明るすぎて標識が白飛びしている。

遠くの人が双眼鏡でまともに見ちゃったら失明するんじゃない?

個人的な懸念点・ホンダ社の経営について

本題とは逸れるのでサクっと書こう。

以前、「N-boxが爆売れするのは良いが、ホンダユーザーも上位車から降りてきているためメーカー全体の売り上げに影響を与えている」といった内容の記事を読んだことがある。

ホンダがN-BOXの好調を単純に喜べない事情
ホンダの乗用車(4輪車)部門でドル箱中のドル箱、「N-BOX」がこの9月から新型となる2代目へと生まれ変わった。N-BOXは全高1790~1815mmという背の高さが特徴のスーパーハイトワゴンと呼ばれるタイプの軽乗用車だ…

このN-Boxの登場は、間違いなくその流れを加速させる。

私が以前に書き残した通り、その他のホンダ車の完成度も「ほぼ完璧」と言えるレベルに高い。

しかし、N-boxは「コスパでさらにその上を行く」のである。

しかも私が上位車に対して「良い」と言ったポイント、大抵の人には認識できないし…

中身の良さが伝わらないのはN-box自体もそうなのだが、あの内装の質感と車体サイズの使い勝手の良さ。その割になにも悪くない走行性能。

気づいた人の大半がホンダの他車種を買わなくなるのでは?

と思ってしまった…

値段の割に完成度が高すぎる。これは素晴らしいし、心の奥底から感動した。

最近のホンダ車は本当に本当に素晴らしいクルマを作ってくれる。

しかしこれは値上げする余地があるのに従来のデフレ価格相場から抜け出していないという意味でもある。

これだけ素晴らしい商品を作れるのに、350万円でも買ってもらえそうな商品に200万円程度のプライスタグしか付けない。このことは問題があるのではないか…

(まぁ買う側のお財布事情は寒くなる一方なので、問題があるのはメーカーだけではないけど…)

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