「クロストレック」へと名称が改められ、型落ちになることと引き換えに非常に買いやすい価格へと落ち着いているスバルのXV。
乗りやすいサイズ・買いやすい価格に乗っかった確かなる悪路走破性には唯一無二の価値があるように見える。
先日乗ったクロストレックがあまりにも好印象だったので、乗り比べて見たくてカーシェアを「カリテコ」で借りてきたぞ。
試乗車について(2リッターモデル)
ボディーカラーは白。オンロード・オフロードのバランスの良さが外観からも感じられる。
廉価寄りのグレードなのかヘッドライトはハロゲン。
視認性は充分で、単体で見ると思いのほか安っぽさが無い。
タイヤは17インチ。18インチと比べるとバネ下が重くなりすぎない。このことがハンドリングに好影響を与えていたかもしれない。
2リッターの水平対向4気筒エンジンを持つ。
バッテリーが左右に2個搭載されていたのが印象的。
メーターはシンプルで見やすい。
アイドリングストップでの信号待ち中に、どれだけの燃料をセーブしたか表示されている。
メーター上部のインフォディスプレイ。個人的には油温・水温計が欲しかった。
運転フィールについて
荒削りなパワートレイン
このXV、「e-Boxer」と呼ばれるハイブリッドシステムを搭載している。
これだけ言えば聞こえは良いのだが、正直言ってかなりの荒削りだ。
「開発陣的には未完成だが、発売時期が決まっていた都合上そのまま出した」感がある。
具体的にはエンジンをオンオフした際の振動が大きすぎるのだ。
エンジンが掛かる度に大きく揺れてしまうので、滑らかにアクセルを操作していても振動を避けられない。
同乗者から「こいつ運転がヘタだな」と思われかねないレベルだ。
なおクロストレックではこの不快さが消滅した。
XVとクロストレックを比較する上での大きな注目点となるため、後でもう一度取り上げよう。
しかし燃費性能については良いとは言えない。(これはクロストレックも共通。)
プリウスPHVのように、アクセルを抜いた瞬間にエンジンを切り、モーターだけで大半の走行を賄うような走りはできないのだ。
私もベストを尽くしてみたが、プリウスならリッター36kmが出せるような乗り方でもリッター16km程度しか出せなかった。
他車への迷惑や円滑な交通をドブに捨てて、自分のことだけ考えて乗って勾配の力を借りてもリッター20が良いところだろう。
多少ブン回した程度では、実燃費でリッター10を下回ることは無いのが救いか…
非常に良い乗り心地(サスペンションの動き)
さきほどe-Boxerの動作について苦言を呈したばかりであるが、乗り心地そのものはめっぽう良いぞ。
段差を超えた際にショックアブソーバーがしなやかに動いてくれる。
ショックで受け止めきれなかったぶんも、強い衝撃をフレーム・乗員に入れないように処置してくれている。
上がった車高を乗り心地に還元出来ている非常に希少な車種である。
本当に素晴らしい。
ハンドリング・驚異の走行安定性について
最初に言おう。クロストレックより良いどころか大半の市販車を凌駕するレベルの走行安定性能の高さを誇る。
深夜帯の猿投グリーンロードで思い切り高速・高負荷走行をしてみたが、車高が上がっているクセに全く揺るがない。
このクルマで出すことはあり得ないような速度域まで飛び込んでいって始めて、ちょっと不安定かな~という動きが出始める。
信じられない安定性能の高さだ。もちろんブレーキもしっかりと効く。
特に驚いたのが急ハンドルを瞬間的に切った場面だ。
「雨の日にこんなことやったら絶対にスピンする」というレベルの急ハンドルを瞬間的に切ってみたところ、その場で直角に左折するレベルの急旋回を魅せた。
タイヤそのものの旋回方向へのグリップ限界も高く、ボディ剛性やスタビライザーの味付け・車重では説明が付かないレベルの旋回能力だ。
私は「水平対向エンジンは低重心」という世間の意見をあまり信じていないが、この時ばかりは思い当たる節がエンジンくらいしか見当たらなかった。
あっぱれである。
強いて言うならば、交差点の直角左折を行うような場面でハンドルが重すぎるように思う。
私はスバル車に対して「ハンドルが軽すぎて乗り物の動きを感じ取れない」という不安を言うことが多いが、このXVにおいてはちょっと書きたくなるレベルで重かった。まあ大した問題ではないけどね。
オフロード走行について
「オフロード」とは言っても、過剰なローダウンをしていない普通車なら問題なく行けるレベルの道しか走っていない。
しかし、最低地上高が見た目以上にあるので擦る心配がない。
段差を一輪だけ超えるような場面でも安心安全だ。
雪道・凍結路で乗ったことは無いが、評判が高いので期待できる。
クロストレックとXVの比較。どっちがオススメ?
私はクロストレックとXVの両車を乗り比べ、XVのほうが良いと思った。
XVがクロストレックに勝っている要素
その大きな理由は走行安定性の高さと手ごろな中古価格の2つだ。
クロストレックがXVに勝っている要素
逆にクロストレックのほうがXVよりも優れている要素がある。
e-Boxerの滑らかな動作と先進的なナビまわりだ。