冒頭のまとめ
ニュートラルに近い一体感あるハンドリングやしなやかな乗り味、モーターアシストと軽さのおかげで意外にもパワフルなパワートレインなど、ドライビングマシンとしての総合点が非常に高い。
内装に高級感はないが、落ち着きのある上品な佇まいには全く不満がない。
最小単位の乗用車として破格の総合点である。
試乗車のスペックや価格について
車検証を確認し忘れたので詳細な年式やグレードは不明だが、おそらく新車価格は240~255万円ほどだろう。
外観
お馴染みのカローラだが、セダンタイプはあまり見かけない印象だ。
シンプルさの中に上品さを感じられる。
エンジンルームについて
ズッシリと重いボンネット。アルミは採用していないようだ。
カバーなどの装飾の1つもないエンジンルーム。謎の配管がエンジン類の上をバイパスしている。
内装
高級感こそないが、落ち着いた雰囲気のある悪くない車内空間。
装飾のラインを一本だけ通したデザインが外観のリアビューと同じ意匠となっている。
ステアリングはウレタン系の素材だが、握り心地は全く悪くない。
ダッシュボードはただの樹脂かと思いきや、握り込むと柔らかくなるような肌触り。
エアコンの操作系はシンプルだが、ボタンが小さくびっしりと並びすぎて見づらい。
このクルマの購入者にはご年配の方も多いと思うのだが、遠くて小さくて操作しづらいんじゃないか??
左側のダイヤルで風量を調整するが、少し遠くて腕を伸ばすような恰好になる。
プッシュスタートボタンは左側だが、ハンドルの後ろに隠れるような配置。
シフトノブの裏側に走行モードやEVモードの切り替えボタン。Dレンジに入れている状況下での操作性は良好だ。
ギアはストレート式だが、1段1段がかなり明確に離れているため入れ間違いは皆無。操作していても安心感が違う。
その下に電動ブレーキ関連のスイッチとカップホルダー。シンプルで無駄が無い。
クルーズコントロールの操作系は少しややこしい。
シンプルイズベストなアナログメーター。
クルーズコントロールの設定速度が166km/hとなっている。上限はなさそうだ。
二列目の居住性について
個人的には二列目の角度が少し立っているように感じた。
座り心地やスペースは悪くないが、あまりにも長時間乗るのはしんどいかもしれない。
また乗り降りの際の前後方向のスペースが結構狭い点も、車体サイズとのトレードオフとなっている。
遮音性やサウンドについて
遮音材はほとんど使っていないのか、スピードを出していった先でのロードノイズがやけに大きい。
純正スピーカーも音量こそ足りているが全体的に音の解像度が低い。
高速安定性も高速域での加速性能も高いが、快適に移動したいならデッドニングとスピーカー交換は行うべきだろう。
実走行インプレッション
コンパクトな車体やクセのないセダンタイプのボディーのおかげで運転性はすこぶる良い。
誰が乗ってもスッと馴染む。
ハンドリング
ニュートラルステアだと言えるくらい意のままの操縦感。
操作に対して全く遅れることなく、一体感を伴ってスイスイと曲がっていく。
ガチゴチではないが良好なボディ剛性と安定性の高い足回り、軽さや小柄さと組み合わせて最高の運転フィールを実現。
しかしアンダーステア傾向が弱いのは万人向けの大衆車として逆に怖い場面もある。
フロントがガタンと滑る様な状況では少し怖い。雪道,凍結路走行でのコーナリングにおける安定性を考えると、はもう少しアンダー寄りにして遠心力でアウトに逃がすような乗り味にセッティングしても良かったのではないかと思うレベル。
総合的にスバルの水平対向エンジンに迫るようなコーナリングフィールだ。
乗り心地
これも非常に良好で最高の総合点を誇る。
程良いストロークと共に抑え込んでくれるので乗り心地がかなり良い。
それでいて走行安定性もしっかりと持たされており、スピードを出してもロードノイズ以外に特に嫌な要素が無い。
以前160km/h以上出してもこの型のカローラが振り切れなかったが、実車に乗って納得した。
市街地でもスピードを出した先でもアシのバランスが良く、この価格帯のベーシックセダンとしては非の打ち所がないレベルにある。
パワートレイン
モーターのアシスト力が意外と強い上に、車重の軽さもある。
このためモッサリ感の無い気持ちのいい加速フィールだ。
低回転域からストレスなく速度が乗り、高回転域も唸らず喚かず自然に加速していく。
燃費にも加速にも効くハイブリッドだ。
ブレーキホールド付き電動パーキングブレーキや、速度制限がおそらくないクルーズコントロールもありがたい。