中古の買いやすさについて
まず最初に、以下の画像を見て欲しい。
こちらのインプレッサスポーツ、なにを隠そうか。
「5万キロで、MTで、80万円程度で買えてしまう」のだ。
しかも2015年式。アシとしての信頼性も充分すぎるのだ。(もちろん今回の試乗車とはグレードが微妙に異なるが。)
ちょうどCR-Zやスイフトスポーツ、S660にロードスターのような、100~150万円くらいで買えるマニュアルのスポーツカーを探していた。
しかも、名古屋市内でdカーシェア内の「カリテコ」というサービスにて、カーシェアで借りることが可能。
これは確かめてくるしかない!!! というわけで、今回の市場に至った。
自分が買うかどうか確かめたいので、いつも以上に気合が入っている。
試乗車のスペックについて
このインプレッサスポーツには、大きく分けて1.6リッター版と、2.0リッター版の2つのエンジンが存在する。車検証にて1.6リッター版であることを確認済みだ。
また、型式は「DBA-GT3」であり、原動機の型式は「FB16」だ。また、初度登録は平成30年。つまり2018年だ。特定は困難を極めたが、型式や登録年月を活かして慎重に調査した結果、1つに絞り込むことが出来た。外へは公開しないが、車検証の画像を撮影しておいたのは正解だった。
例によってグーネットの諸元表ページにて、幾つかの要素を抜粋して紹介する。
試乗車のグレードは、「1.6 i-L アイサイト」で間違いないだろう。新車価格216万円だ。
- 車体サイズは4460×1775×1480mm
- 車両重量は1360kg
- エンジンは1.6リッター水平対向4気筒の自然吸気
- 最大出力は6200回転で115馬力
- 最大トルクは3600回転で148Nm
- 最小旋回半径は5.3m
- タイヤサイズは前後とも「205/55R16」
- CVTでフルタイム4WD
- カタログ燃費はリッター17km(レギュラーガソリン)
なお、上位グレードの2.0リッター版になると、最大出力が154馬力まで向上するが、ターボは付かないようだ。
また、試乗車は4WDモデルであったが、FF版であった場合、新車価格は更に下がって約194万円となる。
なお、エンジン排気量の他には、「L」と「S」がグレードの違いとなるらしい。上位のSグレードになると、プッシュスタートやLEDヘッドライトが追加されるようだ。
ちなみに、私が検討している6MTを見ていると内装は簡素で、ステアリングにはボタンの一つも見られない。
最後に装着タイヤを載せておく。前後とも同サイズ&同銘柄だ。見たい人は見て欲しい。
外観について
スバル車らしいデザインだが、正直そこまで特別感は無い。
当たり前だ。
後ろ姿はまさにスバルだ。スッと馴染めるだろう。
ZR-Vの試乗の際も訪れた名古屋城脇のトイレのある公園だが、路駐をしている姿を眺めていると、スバル車の良さがじわりじわりと溢れ出してくるように感じた。
ホイールは16インチで、グレードゆえバンパー類の装飾も無いが、「これはこれで良いじゃないか」と思える。
いつも以上にパシャパシャ撮ってしまった。
内装について
新車価格は200万円台前半なのに、かなりの上質感を感じた。
素材としてはプラスチックが多用されている。
今どきプッシュスタートですら無い点や、簡素なシフトノブとセンターコンソールに安さはある。
だが、特に不満だと感じなかった。
面白いのが、ドアノブ部分がカーボン柄で装飾されていることだ。スポーティーだとは感じないが、悪くはない遊び心だろう。
昔なつかしマニュアルエアコン。ダイヤルの操作感には上品な重さがあった。「maxA/C」という、可能な限り早く、車内を冷やすボタンもある。
シフトノブ・センターコンソールまわりはプラスチックが多用されていて、正直安さが目立つところだ。電動パーキングブレーキだが、ブレーキホールドは付いていない。また、マニュアルレンジへの移動は可能だが、シフト操作はステアリング部のパドルでのみ可能だ。
左側のステアリングの「INFO」ボタンで、後述するセンターインフォディスプレイの表示を変更可能だ。
右側にはクルーズコントロールの操作が集約される。
ロック・アンロックのボタンくらいは付いたキー。
面白かったのが、車線逸脱警報と、自動ブレーキ機能のオンオフボタンが、天井のルームランプ脇に設置されていたことだ。
センターディスプレイについて
ナビのさらに上側に、このようなセンターインフォディスプレイのようなものが表示される。
いちばん上の画面は、エアコンとアシスト装備系のメニューとなっているようだ。
面白いのが、エアコン、ヘッドライト、ウインカーの動作状況に応じて、画面内のインプレッサの状態も変わることだ。
2つめの画面は、おそらく4WDシステムのモニターと、ピッチングの角度計だ。
3つめは水温モニターと、油温計と、平均スピード。正確な油温を知ることができる車種というのはかなり限られるので、ありがたいものだ。
4つめは瞬間燃費計だ。アイドリングストップが装着されている、ノンターボの1.6リッターエンジンとしてみれば、燃費はまぁ許容できるものだろう、
時計の機能もある。
実走行インプレッション開始
いよいよエンジンを始動していく。うるさくない程度の乾いた低音が響く。
シンプルだがカッコいいメーターだ。
走り出していくのだが、車体サイズが大きく感じる。
前後に4460ミリ、左右に1775ミリというサイズは「コンパクト」と呼べそうなものであるが、実際に運転してみると大柄に感じるのだ。
車内空間が外側のサイズ以上に広く感じることも関係しているのだろう。慎重に操作していれば特に問題にならないが、狭いところでは気を遣うことになる。
街乗り領域の運転フィールについて
1.6リッターのノンターボだから、出足なんてたかが知れているだろうと思っていた。
だが実際に踏み込んでみると、身体が持っていかれるくらいの勢いのある動き出しだ。
かなりのパワー感だ。アクセルを繊細に踏まないと、身体が揺さぶられるレベル。
ブレーキについても、強すぎないがカッチリと効いて頼もしい。
また、ひとつの素晴らしい点として、乗り心地がとても良いのだ。
段差を超えた直後の突き上げはわずかに感じるが、その直後に優雅にアシがストロークしてくれる。
そして、絶妙な減衰力バランスでその揺れを収束させるため、走行安定性との両立も実現している。
スポーティーだが快適性を一切犠牲にしていない。私の愛車であるプリウスPHVGRに僅差で買っているレベルの良さだ。市販車の中でもトップクラスだと言えるだろう。
また、アイドリングストップは一定速度以下で暴発するのではなく、完全停止後にブレーキを置くまで踏み込んで、それで始めて作動する。ブレーキホールドこそ無いが、状況を見ながら燃費を出しに行けるので便利だ。
高負荷領域の動きついて(スラロームテスト)
まずはスラロームテスト。低速域でハンドルを揺さぶる。
安定性・ダイレクト感、ともに最高だ。
動き出しから程よい重さがあり、タイヤグリップをしっかり感じながらクイックなステアフィールを楽しむことが出来る。
「スポーツ車」として見ればロール収束は遅めだが、それでもビシっと安定して曲がっていく。
「安全に楽しく走れるクルマ」としてしっかり仕上がっている。素晴らしい。
高速道路での走りについて
深夜の名古屋の都心環状は交通量が少なく、道路状況的にも安全で、本当に都合がいい。
さっそく坂道を登っていくのだが、ここで1.6リッターノンターボの弱点が出る。
元の排気量ゆえの、トルク不足感に悩まされるのだ。
低回転域から全域でアシストしてくれるようなターボが一般化した中では、どうしても厳しいものがある。走りに拘るならターボ持ちの別車種か、最低でも2リッターモデルを選びたいものだ。
さて、合流のためにしっかりと踏んでいくのだが、トップエンドの1500回転がむちゃくちゃ気持ちいい。
そのまま失神してしまいそうなほどの陶酔感で、音も加速力も、突き抜けるほどの快感だ。
中回転域では不足感があったが、トップエンドで115馬力を踏み込んでいくと、「ウソだろ、もっと馬力出てるだろ」とツッコみたくなる加速感。
超高回転ゾーンに限った話なので、扱いやすい訳ではないが、このクルマに段違いの特別感を与えている要素だ。
あまりにも気持ち良かったので、その部分だけ切り取った動画を投稿した。再生して聞いてみて欲しい。
そして忘れてはならないのが、旋回中の安定性だ。
段差をガタンと越えても、なんの恐怖感も無い。
身を預けて、安心して踏んでいける。これこそまさに、「安全なクルマ」だろう?
また、重量配分的にはフロントヘビーであるはずなのに、どういうわけか、イン側が吸い込まれるようなフィーリングで曲がっていく。
ロール収束とステアリングのダイレクト感がもう少し欲しい気がしないでもないが、中古がコミコミ90万円程度で買えるというのはバーゲンだ。
当たり前ながらスピードを出していった先でも安定している。これぞ現代車だ。
まとめ
いま、買ってしまおうか真剣に悩んでいる。
値段、性能、乗りやすさ、実用性。どれも選べるなかで、最高クラスに良い。
個人的な運転経験を元に言うなら、新型シビックのパフォーマンスとCR-Zの楽しさ、プリウスの乗り心地の良さが100万円で、6MTで買える。そういう一台だ。
完全なるマイナー車であるが、実車の運転フィールは想像の斜め上を行く完成度だった。
この記事を見て気になった読者さんが居たら、ぜひ試して欲しい。
「dカーシェア」に登録しておくだけで、合計5つのカーシェアサービスのクルマに乗り放題だ。
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