bz4xで名古屋~東京間の日帰りチャレンジをやってみた【電池も時間も余る】

試乗インプレッション

タイムズカーシェアにbz4xが追加されたことと、あと少しでタイムズ会員ランクが上がって月額料金を無料に出来ることから、一晩だけbz4xを借りて名古屋~東京間の日帰りドライブを決行することにした。

走行するのは往復で約700kmである。

【bz4x】名古屋〜東京間テスト
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旅の概要

割安なナイトパックを用いて、18時から翌朝9時までクルマを借りている。

深夜料金で東京の都市高速に入り、アバルト124スパイダーをレンタルしてからとんぼ帰り。

比較のために前回のリーフの際と同じ東名高速ルートで名古屋まで帰宅していく。

FFのbz4xは既に試乗記事を書いているので、今回はクルマそのものの紹介は省く。

充電に関する注意点

公式サイトにはこのクルマの航続距離が約550kmと表記されているが、こんなものアテにしてはいけない。

カタログ電費では高速道路でも7km/kwhの電費が出ている計算になっているが、空調を快適に効かせながら高速道路を思い切り走ると4.0~5.5km/kwh程度にまで低下する。

bz4xはバッテリー容量71.4kWhのEVであり、電費を4.0~5.0km/kwhで考えた際の航続距離は285~357kmほどである。

行きで350km走って80%残したいなら、90kw級に合計1時間は繋いでおきたいところ。

50kw級を使うことや、残量50%以上から充電を始めることを考えると、1時間半近い充電時間を用意したい。

(350km走るのに約66kwh消費する)

名古屋駅から駿河湾沼津SAまで221kmであることを考えると、最小限の休憩のみで駿河湾沼津の150Kw級に向かってしまうのも一手かもしれない。65kwh程度の電気で221km走るためには、全区間電費を約4km/kwh以上に保つ必要があることを覚えておく。

(充電制限問題のことを考えると、最初の充電地点まではASAPで辿り着くのが最も合理的であるとされる。)

行きの方が帰りよりは時間に余裕を持たせられることや、80%以上の急速充電は異常なほど遅くなることを考えると、バッテリー容量を80%近くまで充電しきってから東京入りするのが理想である。

当日の旅の光景(行き)

18:00 上前津駅(100%)

bz4xのレンタルは18時開始だ。10分前から利用可能となるが、カーナビやスマホの設定に手間取ったため出発したのは結局18時過ぎであった。

なお40kwhリーフを借りた際の出発時刻は17:45だった。

19:32~19:41 遠州森町pa(69%→76%)

この充電は必要なかったのだが、トイレ休憩ついでに「EVでトイレ休憩の間だけ急速充電に繋ぐ意味はあるのか?」という検証のためだけに充電。

単純なトイレ休憩と、充電風景の撮影とナビ設定のためだけに一瞬だけ入った。

トイレに行って帰って来た約3分間で2.2kwhの電気が入った。

60kwのスピードが出れば1分で1kwhとなるため充電がやりやすい。

一般的なEVの電費が7kwh/kwh程度であることを考えると1分で7kmぶんの回復である。

トイレ休憩に行く3~6分では、21~42kmの回復となりそうだ。

20:38~21:25 駿河湾沼津SA(43%→94%) エラーに遭遇

疲れたので約30分ほどみっちり充電しながら休憩する。

150kw級の赤い充電器にタッチしたところ、充電を開始する権限は与えられていませんというエラーが表示されて失敗した。

こういう場合にEVユーザー達の間で用いられるのがクロス充電である。

…とはいっても、右側の充電マスに停めているEVに左側の充電プラグを刺すだけなんだけど…

どういうわけかこの作戦が功を奏して充電が無事に開始された。

駿河湾沼津の150kw急速充電器、2番ポートだけエラーが起きているらしい。

時間効率的には70~75%程度で切り上げるのがベストではあるのだが、時間も余りまくっているため休憩延長がてら充電を続けた。

80%以降の充電スピードが遅くなると言われているbz4xだが、なんやかんや93%地点でも18kw出ていた。

私の感覚としては、時間を持て余した状態ならダラダラ繋ぎ続けていても別に良いかな…というレベル。

22:14~22:45 海老名SA(76%→?%)

バッテリー残量を見れば分かり通り、この充電は必要なかった

返却時間の都合があるので念のために充電しておいただけである。

bz4xにおける80%以降の充電はスピードがダダ下がりになるのだが、時間が90分以上余りそうであることと、帰りのために少しでも多くのバッテリー残量を確保したかったために無意味に充電することにした。

約30分間みっちり繋ぎ続けたのに、入った電気の総量はたったの13.2kwh.

平均6.6kwhのスピードしか出なかったことになる。遅いなんてモノではない。

完全に充電料金のムダである。

23:00 ~23:54港北pa(91%) 充電無し

時間が余ったので充電しないで1時間ほどPAで休憩していた。

空調の電力浪費を抑えたのでバッテリー容量に大きな変化は無し。

深夜料金となる時間まで滞在し、11時54分に出発。

0:36到着(84%)

84%の残量を残してコインパーキングに到着。試乗のための放置中の充電は行わない

当日の旅の光景(帰り)

9時までに名古屋駅に着かなければならない。

15時までの6時間は充電のためかシステム上予約ができない状況となっており、3kwで普通充電されると考えると18kwh。約25%ぶんの残量は回復できる。

残量50%以上は残して返却したいところ。

2:44出発 (83%)

コインパーキングをこの時刻に出発。

このまま環八経由で東京インターまで向かって東名高速に乗る。

3:22~3:44港北pa(75%→86%)

リーフと時間を揃えるために港北PAで充電しながら待機。同じ時刻である3時44分に出発した。

当然ながらこの充電も不要である。20分程度は繋いでいたはずなのに、充電器の残り時間が23分も残っている点は謎。

4:27~4:43 足柄sa(61%→75%)

疲れが貯まる前に休んでおきたかったので、本当は必要ないのだが少しだけここで充電。

62%時点で既に42kwしか出ないのは残念である。

時間を持て余すどころか、だだっ広い敷地内をトイレ休憩のためにジョギングして時短するような状態だった。

ほどよく休んだので16分で切り上げ。9.5kwh入った。

6:07~6:33 遠州豊田pa(23%→69%)

この区間の平均時速は約100km/h。フルペースで東名高速を走り続けて静岡県の約85%を横断。浜名湖は目前だ。

この爆走区間の電費は4.9km/kwhであり、走行速度を踏まえると良好な数値が出た。アップダウンも空調も控えめだったのが効いたのだろう。

体力も電力も消耗したので、ここの90kw級で回復のためにガッツリ充電していく。

バッテリーも24%まで減らすことが出来たため、充電効率の最大化が可能だ。

空腹を紛らわせつつ糖分を補給するためにこの冬初のおしるこを購入。

この30分で69%まで充電が進んだ。

28.8kwhの電気が入ったことを踏まえると、

24%から充電をスタートした際の30分回復距離は144~201kmとなりそうだ。

7:13→7:30 美合pa(51%→84%)

実はこの充電は必要なかったのだが、眠気に襲われたので人間のための休憩がてら充電することにした。

通勤時間帯の名古屋市に入っていくため、疲労による事故を防ぐ目的もある。

充電開始時の動画を撮り忘れたが、この27分で51%から84%まで残量を回復させた。

8:23 到着

幸いにも渋滞にハマることはなく、制限時間の30分前に到着。

電気は73%ぶんも余っていた。

帰り道においても休憩や時間調整のための不要な充電が多くあった。

適切な計画の元で運用すれば、東京~名古屋間の走破くらいなら1回の充電のみで問題なさそうだ。

長距離で感じたBz4xへの不満

充電中に何kwhのスピードで充電しているか見られない&マイルームモード

充電中に出てくるのは意味の分からない電力収支のみ。

普通充電ならまだしも、急速充電における電力収支なんてプラスになるに決まっている

こんな無意味な情報やうざったいマイルームモードの表示を出すくらいなら、いま何kwの充電スピードが出ているのか表示しておいて欲しい。

マイルームモードのことは便所モードとでも呼んでしまおうか。

全体的に充電スピードが遅い

この記事の中でも示したが、60%以降の充電スピードは約40kwh程度。80%以降に至っては約15kwh程度のスピードしか出ない。

BYDやヒョンデなどの諸外国EVと比較しても遅い。

安全性と耐久性に振り過ぎており、本車の充電性能の低さを示すものとなってしまっている。

充電ポートが前にあるため出し入れが窮屈

急速充電器のマスは窮屈なところが多いのだが、充電ポートがフロントにあるせいでリスクある突っ込みを余儀なくされる。

いくらアラウンドビューカメラやソナーによるアシストがあっても、こんな大柄なSUVで毎回毎回フロントから出し入れしていては接触事故の原因になりそうだ

カーナビの目的地が勝手に解除される

このbz4x、車両のシステムとタイムズカーシェアとの連携が行われている。

その影響なのかAppleCarPlayの影響なのか分からないが、設定した目的地が電源を落とすと勝手に解除されるという不具合が連発した。

メーターの下側が見えづらい

宇宙船のようなメーターではあるのだが、ドラポジの設定次第ではメーターの下半分がほとんど見えなくなる。

これでは現在のバッテリー残量やクルーズコントロールの設定速度などのデータが見られなくなってしまう。

もちろんシートを上げてしっかりと調整すれば問題なく視界に入れられるのだが、特に長旅においてはクルマから一方的にドラポジを指定されるというのは不満だ。

音量が一気に変えられない

音量調節の手段はボタン連打のみ。

高速走行時の設定のまま下げ忘れていると、充電中に爆音で音楽が鳴り出す。

マツダのように回転式のダイヤルがあれば便利なのだが…

全体的な感想

返却時間がある都合で逆に時間が余ってしまった印象のある旅だった。

長距離性能はゴミだなどと言われるbz4xだが、休憩・読書時間多めでドライブしていれば往復700~1000km程度は余裕であると言えるだろう。

特に行きは時間が余ってしまい、低速で充電するどころかただクルマを停めて過ごすだけの時間があった。

そこらじゅで充電していた40kwhモデルのリーフとは比べ物にならない違いである。

タイムズカーシェアのbz4xについて

今回借りたのは、名古屋の上前津駅にあるタイムズカーシェアのbz4xである。

あと少し借りれば会員ランクが上がって月額料金が無料になるという状況だったため、いつかやろうと思っていた企画を前倒しした次第である。

名古屋駅付近にも一か所あるが、どちらのステーションもかなり高い稼働率となっており予約を取るのが結構難しかった。

貸し出されるのはFFの上位グレードであり、全体的にクルマへの満足度は非常に高い。

大柄なSUVだが、アラウンドビューカメラが非常に頼もしいため運転への心配は無いだろう。

急速充電ポートは左フロントとなっているため、狭いところに頭から突っ込む場面では接触事故に要注意だ。

また上前津のステーションは前の道路が一方通行となっているため逆走しないようにしよう。

キーボックスはセンターコンソールにある。

充電カードについて(充電無料)

サンバイザーに備え付けられている充電カードを使って無料で充電可能である。

eMobilityPowerの日産の充電カードなので、適合問題もほぼ心配ないだろう。

実は普通充電器の場合、稀にtoyotaWalletや現金決済オンリーとなっている場合がある。しかしほぼすべての急速充電器はeMobilityPower対応となっているため心配は無用だ。

特に高速道路のSA・PA上の急速充電器はeMobilityPower対応率100%である。

しかし機械の故障や先客の都合で思い通り充電できないことはあるだろう。

借りる際のバッテリー残量について

確かtoyota shareのbz4xにおいては事前にバッテリー残量を確認することができたが、タイムズのbz4xにその機能は無かったはずである。

しかしステーションには200Vの普通充電設備があり、誰かが借りた後は6時間ほど充電のための貸し出し不可タイムが設定されている。

約3kwで6時間充電した場合、約18kwの電気が入る。

bz4xは71.4kwhのバッテリー容量を持っている。約25~30%の回復量だ。

前のユーザーが0%で返却したとしたら、この6時間の充電の後でも約100kmしか走行できない状態での貸し出しとなるのが不安な点だ。(5~7km/kwhの電費が出ると仮定)

名古屋の都心部、実は意外と急速充電器が無いというのも懸念点である。

もしバッテリー容量が極端に少ない状態での貸し出しとなってしまった場合、充電用に30~45分間分の無料延長を貰えないか運営に交渉するのも一手かもしれない。

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