ずっと気になっていた日産のオーラe-Powerに乗ってみる。
冒頭のまとめ
260万円程度の新車価格だとは到底思えないほどに非常に質感の高い内外装が魅力。
300Nmのモーターがもたらす強烈な加速力は、雨の日の料金所ダッシュでホイールスピンを起こすほど。
しかし全体的に硬くて動きの収まりの悪いアシや、急ハンドルを切った際の前後の動きが微妙にバラつく感じ、センターコンソールのスペース効率の悪さは気になった。
良くも悪くも国産車らしさが薄れているような一台である。
試乗車のグレード・価格・スペックについて
オーラという存在そのものがノートに対しての高級版だからか、グレードは基本的に1つ。
レザーエディションの有無とFF,4WDの区別があるのみ。
私が乗ったのは布シートだったので、新車価格は261万円。
なおニスモには4WDのラインナップが無かったが、現行型になって追加された。
4WDモデルになるとモーター合計出力が204馬力/400Nmまで上がる。
- 車体サイズは4045 x 1735 x 1525mm
- 車両重量は1260kg
- エンジンは1198ccの直3
- エンジンの最高出力は82馬力/6000rpm
- エンジンの最大トルクは103Nm/4800rpm
- モーターの最高出力は136馬力
- モーターの最大トルクは300Nm
- タイヤサイズは205/50R17
- 最小旋回半径は5.2m
ノートとの違い
オーラが出て間もない2021年ごろは、ノートの最廉価グレードも200万円を少し超えていた。
しかしe-Powerのみの販売である現行型では最廉価グレードでも約230万円。
見ての通り内装やパワートレインに大きな差は無い。
乗り心地には違いがあるかもしれないため、いつかノートにも乗ってみようと思っている。
なお先代ノートについては、最廉価グレードが150万円ほどから購入可能であった。ノートもガツンと値上げしたものだ。
外観について
シンプルかつ上品で俊敏なデザインだと思っている。
ホイールナットの部分にはご丁寧にもカバーが貼り付けられ、外観のスッキリ感が増している。
左右にラインを通すテールランプは美しいが、製造コストの都合なのか中央で区切られてしまっているのは少し残念。
しかし全体的に上品かつ質感高くまとまっており、マツダ社に並ぶようなコスパ感が実現されている。
内装について
260万円台スタートのクルマとしては非常に高い完成度。しっかりと高級感がある。
高解像度なフル液晶メーター。メーターの中央はモードに関わらず常に赤色。個人的にはあんまり落ち着かない…
カーナビは操作に微妙にラグがあり、拡大縮小の操作も思い通りに行えないのが残念だ。
また途中でスマホとの接続が上手くいかないという不具合にも見舞われた。
リーフの際も同じことが起きたが、iPhoneと日産のオーディオシステムは相性が悪いのだろうか。とあるアプリを開いている際、致命的な音飛びも発生した。
エアコン操作系はシンプルかつ物理で使いやすい。
調整ダイヤルも重さのある操作感で高級感が感じられる。
センターコンソールの奥側には置くだけ充電のスペース。
センターコンソールにはシフトやスタートボタン、モード選択スイッチなどが並ぶ。
操作系が集約されたエリアがライトで囲まれている様子はBMWのようだ。
スペース効率が悪いところまで真似しなくても良かったではないか…
このセンターコンソールにはカップホルダーも小物入れもない。
一応二階建てとなっており下には小物を入れられる。センターコンソールボックスも存在するが、もう少しスマートに配置して欲しかったと思う。
カップホルダーは左右のエアコン吹き出し口に1つずつ付いているのみ。左端には届かないので、カップホルダーは1つのみである。
全体的な配置はデザインやスッキリさが最優先で、明らかにスペースを無駄にしている。
ウッドも実物はシートを貼った感が否めないが、200万円台中盤でこれだけ高級感が出てれば問題ナシ。
シートのヘッドレストにはBOSEのスピーカーが埋め込まれている。新車価格の割にオーディオの質は非常に高い。ドンドンと響いて来る低音が強すぎて設定で弱めるレベル。
シート自体はかなりの角度まで倒すことが出来る。しかしシートを倒して仮眠しようと思うと、ヘッドレストが異様に硬いのだ。5分で頭の後ろが痛くなってきて満足に休めない。指で押し込むと柔らかいのに…
足元に見慣れない機器がせっちされているが、これはドラレコのリモコンらしい。
ドアにもアンビエントライティングが通っている。
シートを倒すと二列目と荷室との間に結構な高さの段差が生じる。
車体サイズと合わせて車中泊は少し苦しそうだ。
実走行インプレッション
元の車体がコンパクトなので非常に乗りやすい。
アラウンドビューモニターも標準装備となっており誰にでも乗りこなせそうだ。
しかしバックカメラの画質は異様に悪い。
乗り心地について
最近の日産らしい硬めな足回り。
少しストロークしてからゴツンとくる。
突き上げ自体は硬めなのだが、ストローク重視で少し減衰がダルめなのか、路面の継ぎ目が連続するような地帯では常に車体が上下に揺れ続けて息つく暇がないような乗り味。
不快ではないが、揺れるのが気になってしまう。
スピードレンジが高めな足回りだが、結構なスピードまで上げてもあまり乗り味は改善されない。
ハンドリング
元の軽さと小ささを活かした良好な旋回性能を見せる。
自分で荷重コントロールを行って曲げていくというよりは、ゆったりとハンドルを切ってカーブに沿わせていくような味付けになっているように感じられた。
料金所のカーブや首都高のコーナリングでも気楽に曲がって行ける。余力たっぷり。
限界領域では前後のバランスがあまり取れていない印象を受けた。
急ハンドルを切るとリアが少し暴れてしまったり、雨の中で段差を越えると前輪が滑ったり。
基本的に安定性・操縦性・コーナリング性能に弱点はないが、路面状況が優れない状態で限界領域まで追い込むことはお勧めできない。
パワートレインについて
踏み初めから300Nmが炸裂してくれるため、かなり鋭い加速力を誇る。
120~140km/h程度まで気持ちの良い加速が続くため全く不足が無い。
試乗時は雨が降っていたが、料金所ダッシュでベタ踏みするとホイールスピンが起こった。
FFなのとトラクションコントロールが加速を止めるので踏み続けても危険性はないが、加速が中断されて全く速度が乗らない。
ブリジストンのTURANZAを履いているが、どうも雨には弱いようだ。