【CR-Z(6MT)】刺激的なハンドリングとエンジンで身軽に走れる

試乗インプレッション

世間的には「遅い」と思われているようだが、実際に運転すると高回転域まで元気よく回るエンジンが刺激的な名車であるCR-Z。

以前はオートマのCVTモデルを試したが、今回はマニュアルに乗る。

前回のCVT版との内容の被りはあるだろうが、MTのCR-Zとして新規にレポートしていく。

【CR-Z(MT)】【インプレッション】
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冒頭のまとめ

マニュアル初心者にも、色々なクルマを乗り継いできたカーマニアにも、誰が乗っても乗りやすさと素の運動性能の高さを楽しめる最高のスポーツカーだ。

世間で言われているほどの遅さは全くなく、エンジンの鼓動を楽しみながら気持ちよく走ることが出来る。

3000回転中盤で切り替わった先の高回転域はまさにVTECのブン周りだ。

ハンドリングはまさにコンパクトスポーツ。少し切っただけで乗り物が旋回モードに入るため周りに合わせたペースでも飽きない。

乗り心地も良好で、基本的に減衰を締めつつ動きを抑えて安定性と快適性のバランスが良い。

外観について

この個体は赤色だが、塗装のクリアが剥がれまくって悲惨なことになっている。

明らかにバンパー周りだけ色が違う。スポーツカーのレンタカーだから事故でパーツ交換を行っている可能性は否めない。

その際にいちいち色合わせを行っていないかもしれない。

しかしカーセンサーで安い順に並べ替えると分かるが、経年劣化の影響をモロに受けている個体は珍しくないぞ。

いまCR-Zを安く拾うなら赤色はオススメしない。

内装について

私はこのクルマの内装、運転手にフォーカスされたスイッチ配置や近未来感あるメーターなどが非常に気に入っておりカッコ良いと思う。

ただ高級感は特になく、経年劣化の影響を受けやすいように思う。

車中泊適正

本気で購入を検討しているため、納車後の長旅を想定して二列目を倒して車内に布団を敷いた。

荷室は良い具合にフラットになっており、程よい狭さはむしろ秘密基地感がある。

足が二列目の背面に思い切り乗っかるため、シートを前までもっていって前方に倒す必要がある。

もしくは左右のシートの間に足を延ばすか。

そこそこな長距離ドライブ中のちょっとした仮眠程度なら問題ないだろう。

カーナビについて

この純正カーナビ、発売時は約28~30万円のオプションだったらしい。

しかし2024年現在では古すぎる。

使い物にならないとは言わない。

しかし微妙に使い勝手が悪いのだ。

バックビューモニターの画質は絶望的に悪い。(安全上の懸念があるレベルだとは感じなかったけど)

地図の移動も不自由でラグも酷く、スマホのGoogleMap感覚で動かすのは不可能。

オーディオにも一癖ある。Bluetoothは付いていないようだし、ケーブルで繋いでも私のiPhoneを認識しなかった。

AUX→video input経由で繋げてやる必要がある。

でもコレを無ぶん車両代が安い個体を買って、その差額で自分で社外カーナビを選びたい。

でも一応は使えてしまうので、わざわざ付いている純正カーナビを外し、社外カーナビを買って来て、あちこち配線してというコストを掛けるほどかというと…

スマホホルダーについて

1週間程度で返すレンタカーに専用のスマホホルダーを買うのは勿体ないということで、汎用のスマホホルダーを試してみた。

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傾いた形の特徴的な送風口だが問題なく装着できた。

タテでもヨコでも使えるが、ケーブルの取り回しには注意が必要。

マイカーとして長期で使用するなら何かしらの方法でケーブルは固定しておきたい。

実走行インプレッション

乗り心地

2010年ごろの新車価格230万円程度の低価格スポーツカーの純正アシであると考えると非常によくできている。

段差を越えるとダンパーは少しだけストロークしてくれるが、スポーツカーというわけで全体的に硬め。

段差を越えた後も車体全体が路面に合わせて揺れ動くような乗り味で、長旅も問題なくこなせそうだ。

減衰もキツめであまり動かないようにしているが、突き上げは特に硬いこともない。

しかし結構なスピードを出した状態で跳ねるような路面へ突っ込むとド派手に飛び跳ねてしまう。

発展途上国の90年代以前のトラックにでも乗っているのか?

というレベルでバインバインと跳ね飛ばされる。

乗り心地だって悪いし物理的に飛んでいるので安定もしない。

ハンドリング

前後の軸重がだいたい7:4となっているが、旋回能力は非常に高い。

切り始めのかなり早い段階でスパっと安定し、シャープな姿勢で切れば切るほどインへと飛び込んでいく。

元々の軽さと小ささが効いて峠道でもかなり奥まで追い込んでいくことが出来る。

持ち前のモーターアシストがもたらす加速力と合わさり、窮屈な山道でもかなり速いペースで走っていくことが可能だ。

ある程度は回頭性にパラメータを振ったような乗り味だが、高速域での安定性もかなり高い。

スピードを上げていくとフロントがフラつくような動きが出てくるのでメーター読み154~164km/hが私の思う上限速度であるが、それ以下ではビシっと安定した走りがある。

深夜帯の高速道路を気持ちよく流し続けていても、何十kmも続くようなワインディングをハイペースで走り続けていても、市街地を30~40km/h程度で民度よく優しく流していても、どの速度域でも快適かつそこそこ速く、運転も楽しい。

パワートレイン

発進から加速まで、軽さが効いているのかスムーズに進んでいく。

2000回転以上に保っていれば上り坂で失速するようなこともなく、非常に乗りやすいクセのないトランスミッションだ。

初のマニュアル車としてもオススメできる。

モーターのアシストがどの程度効いているのか分からないが、1.5Lしかないことを踏まえると無茶苦茶速いといえよう。

特に1速でベタ踏みをするとエンジンは獰猛にブン周り、恐ろしいほどの加速力で吹っ飛んでいく。

しかし110km/hあたりから上でベタ踏みをすると数値相応。

あんまり加速していかねぇなぁという印象を受ける。

それでも馬力を踏まえれば充分すぎるほど速い。

このクルマに対して遅いと言えるほど、日本の道路走っているクルマたちのペースは速くない。

長い下り坂でのバッテリー余り

長い下り坂を走り続けていると、途中でバッテリーが満タンになるのか回生ブレーキがほとんど効かなくなってしまう。

もともと大きい回生力があるわけではないが、積極的にシフトダウンしてエンジンブレーキを多用することでブレーキの発熱を抑えていきたい。

アクセルを抜いた瞬間のガタつき

ちなみにちょっとした弱点として、アクセルをオフにした瞬間に前後にガタつきやすいというものがある。

これは回生ブレーキの効かせ方の制御によるものだ。

アクセルを抜いた瞬間に一気に回生ブレーキが掛かったと思えば緩められてしまうのだ。

スポーツモードであればターンイン時の前荷重重視だと考えられるが、これはノーマルモードでの街乗りをしていても頻繁に起こる。

この手のソフトウェア制御の荒さによる乗り味の問題は年次改良で改善される可能性が高い。

そもそも大して気になるものではないし。

マニュアル車ならではの要素

リバースギアへの入れ方

CR-Zのリバースは右下だ。押し込んだりリングを引っ張り上げるような必要はない。

駐車においても5速から6速への変速時においても入れ間違うような怖さは全くない。

コールドスタートのクセについて

このCR-Zもガソリン車の例に漏れず、エンジンが冷え切った状態から始動するとアイドルアップが入る。

これ自体は数十秒で終了するのだが、回転数が常に2000回転あたりにキープされるのだ。

暖機のアイドリング中は、アクセルペダルを一切踏まなくても余裕で発進できるレベルのアクセル開度になる。

駐車場の周りが狭く、徐行で抜けていく必要のある場面では勝手にアクセルを踏まれるという挙動が怖いかもしれない。慣れるまでは容赦なくクラッチを切ってブレーキを踏もう。

なお深夜帯に始動すると純正マフラーでもそこそこ大きい音が出る。

とっとと1速でクラッチを繋げてしまえば大人しくなるが、曲がり角などでクラッチを離すとまたエンジン回転は2000回転へと勝手に上がる。

静かに走り出したければ少し工夫が要るだろう。

アイドリングストップのクセについて

アイドリングストップのタイミングが独特だ。

ニュートラルでクラッチを繋いだ際や、クラッチをで切り離しながら空走している際にエンジンが切れる。

しかしクラッチを切っている間はモーターの回生ブレーキも一切効かないため、可能な限り長いこと繋ぎ続けるのが良いだろう。

私は途中からラクをするために、クラッチをいちいち切らずにギアをニュートラルに戻していた。

信号待ち中にエンジンを切っておいてから発進する際は、クラッチを踏んでから1速に入れるのが少しでも遅れるとすぐにエンジンが切れてしまう。

またアイドリングストップに入るのが速すぎる。

27km/h以下あたりからニュートラルでエンジンが切れるため、減速シフトの際に2速→1速に入れるのが少しでも遅れるとエンジンが切れてしまい逆に勿体ない。

坂道発進時の注意点

ネットでCR-Zには坂道発進アシストが付いていると聞いたが、私の借りた2010年式には無いらしい。

最終的には電動パーキング化される。年式にもよるのだろう。

さてこのCR-Z、ハンドブレーキで坂道発進をする際にブレーキから足を離したら、アクセルを踏んだ瞬間に下がる

ちゃんとブレーキから足を離し、サイドブレーキだけで止められたと思っていたらアクセルを踏んだ瞬間に下がる。

渾身の力でサイドブレーキを引かないと下がるのだ。

調整具合によるものかもしれないが…

ブレーキを踏み続けたままで半クラッチを作ってから発進するタイプの坂道発進で事足りるが、サイドブレーキ発進に一癖ある点に留意。

坂道に停車中にサイドの引きが甘いと動く

これは他のマニュアル車でも確認しているのだが、サイドブレーキの引きが甘いと坂道での停車中に動くという注意点がある。

速度計が0km/hから変動しないレベルの速度で、じわじわと動き続ける。

気づかなかったら衝突事故を起こすだろう。

駐車する際も油断ができない。ギアロックは必須だし、状況次第では輪留めも検討したい。

約11万キロの個体のクセ

塗装の劣化

この個体は極端に塗装の劣化が酷かった。

赤色は選ばないほうが良いかもしれない。

内装の劣化

内装のミシミシ音

運転中に左後ろのあたりからミシミシという音がする。

デッドニングや張り替えついでに一旦内張りを剥がし、スポンジテープでも貼り付けてから丁寧に戻せば解決できるはずなので私は大した問題だとは考えていない。

Aピラーがちょっと浮いている

右側のAピラーだけ少し浮いてきていた。

これも大した問題じゃないのでヨシ!

ドアミラーの格納スイッチ

ドアミラーの格納スイッチが接触不良を起こしているようだ。

元の車体サイズが小さいためいちいち畳まなくても迷惑になることは少ないが、ここが壊れても外から手で強引に動かせるので大した問題ではない。

お金がない人ならわざわざ修理しなくても良いんじゃないかな…

ギアの入りづらさ

時速30km/h程度からクラッチを切って1速に入れようと入りづらい。

これは経年劣化ではなく、トランスミッションの内部構造的なものが関係している可能性がある。

また5速から6速に入れる際も、一旦ニュートラルに入れつつ慎重に選ばないと間違って4速に入ってしまいそうだ。

すんなり右下の6速に行く場合と入りづらい場合が混在するため私は慎重かつ丁寧に変速することを選んだ。

買いか? ←買い。名車。数年前に買っておくべきだった

私は高校生のころからCR-Zが好きだったわけだが、とっとと買っておくべきだった…

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