Anycaというカーシェアサービスで、韓国EVのヒュンダイ・IONIQ5が借りられるようになっている。
なお、特にネットで言われがちな「韓国であること」や、世界で数件だけ起きる発火事案については基本的に触れず、乗り物単体で正当評価を行っていく。差別主義者は帰ってほしい。
私は中立的な視点を持たぬ人にコンテンツを提供するつもりはない。
もう一度言うが差別主義者は帰れ。
外観について
さて、半年前に乗ったクルマであったため、写真がこれしか残っていなかった…
しかし、顔つきはいい具合にイカつく、とてもカッコいい。
どこかパッ◯マンを連想させる、ディジタルなデザインは何物にも似つかないようだ。
ただ、ヒュンダイエンブレムが悪目立ちし過ぎだ。特に日本で乗る&売るには。
日本市場でこのクルマを売るに当たって、ヒュンダイエンブレムなんか何のプラスにもならないはずだ。剥がせば良かったのに…
いや、ヒュンダイジャパンは今すぐ、「日本市場向けのIONIQ5にはヒュンダイエンブレムを取り付けない」という処置をするべきだ。
リアエンドについては写真が残っていなかったため引用となるが、かなり独特な造形をしている。
フロントから見れば丸っこく感じるボディーラインであったが、直線が無数に交差し、無類の奇抜さを誇る。
また、物理的なサイズの影響で、写真で見るより実物は大きいぞ。
どの角度から見ても迫力があり、「只者では無い感」のあるデザインだ。
私はこのデザイン、最高にカッコ良いと評させて頂く。
嫌味の無い迫力、近未来感ある造形。良いじゃないか。
ただパクっていたような時代から、ヒュンダイ車も大きく進歩したものだ。
デザインも、これから触れる内装や走行性能についても、自動車メーカーとしての意欲的な姿勢が感じ取れる。
就活のエントリーシートをネットからパクって書いたり、chatGPTに論文を書かせている大学生には、オリジナリティを出そうとする姿勢を見倣って欲しいものだ。
内装について
かなり良い。癒やしの車内空間だ。
動画版ではこんな画質でしか映っていないので、インターネットからの引用とさせて頂く。
高級感ある素材を纏う、ボタン1つまで拘ってデザインされたインテリア。
ステアリングのレザーも、すべすべとしていて、たいへん肌触りが良い。
室内に座ってすぐ良いと感じる。ものすごく快適な車内空間だ。
また、EVならではの大電圧空調システムの恩恵だろう。電源を入れてすぐに暖かい風が出て来る。シートヒーター・ステアリングヒーターと合わせて、冬期の寒さを一瞬で和らげてくれた。
UIやボタン類も特に不自由なく使えるよう配置され、親切心も感じ取れるようだ。
ドイツ車やその他のどれにも似つかない、「なんか凄い異国の地から来たクルマだ」と思わされる。
フランス車やレクサスのLC500のような独自の世界が作られているし、ミラーの操作ボタン1つ取ってもしっかりデザインされた内装。それらの積み重ねが、車内空間の良さとなっているのだ。
試乗車のスペック・価格について
昔のことであるのでグレードは覚えていないが、記憶が正しければ新車価格559万円のLoungeだったはずだ。
コミコミ800万円でも普通に納得できる完成度なのに、驚異的な安さだと言える。
韓国車への偏見が無い海外の人が、日産のアリアやテスラのモデルYと比較していても、内外装や運転フィールの良さで、普通に選ばれるレベルのコスパだ。
紛れもない世界戦略車である。
さて、該当グレードの諸元をいつも通り列挙してみる。
- サイズは4,635X1,890X1,645mm
- 車両重量は1990kg
- 最小旋回半径は5.99m
- モーターの最大出力は217馬力
- モーターの最大トルクは350Nm
- (AWDモデルではフロントに255Nmのモーターが追加され、合計605Nm)
- バッテリー容量は72.6kWh
- タイヤサイズは前後とも「235/55R19X」
- 最大急速充電出力は220kW
- EPA航続距離は487.5km
車両重量が1990kg(AWDは2100kg)もあることと、横幅が1890ミリもあることはネックかもしれない。
しかし、350Nmの加速でも壮絶なものであったのに、AWDモデルの605Nm(305馬力)なんてどんな世界なのだろうか…
実走行開始
ドイツ勢もケチって行っていない、「日本市場への最適化」について
まず乗り込んで見る。内装についてはさきほど絶賛した通りだが、個人的に面白いと思ったのが、シフトレバーとウインカースティックだ。
まず、シフトチェンジについてだが、ハンドルの右下から生えてきているスティックの先端をつまんで回して操作する。
先端のボタンを押し込むとP。つまんで上側に回すとD。下に回すとRだ。ハンドル操作をいい具合に邪魔しない位置にあり、どこぞのベンツみたいに、ウインカーと間違えて操作する心配がない。
どっちに回せばDになるのか、初見では理解できずに混乱するが、慣れれば問題ないだろう。
もう1つ、おそらく大きな注目点となるのが、右側に配置されたウインカーだ。
工業の観点から考えてみて欲しい。右ハンドルの会社のウインカーが左側なのは、部品を左ハンドル車と共通化するためのコストダウンだ。
もう一度言う。コストダウンだ。
だがヒュンダイは、日本市場なのか、世界の右ハンドル市場のためなのか、右側にウインカースティックを持ってきた。
まぁここまで言っておいてアレだが、色々なクルマに乗り慣れた私からすると「どっちにあろうがすぐ慣れる」ので、どこまで取り上げる意味があるのか分からないが…
ちなみに小話だが、どうやらテスラは、右ハンドル車の生産すらやめるという話だ。あの会社、宗教的に熱狂する信者に甘えたコストダウンの正当化と、それによるユーザーへの不便の押しつけは一人前である。
もう1つのポイントとして、親切&分かりやすいカーナビの案内だ。
なにせ乗ったのが半年前であるため明確には覚えていないが、「〇〇の車線に入ってください」といった、気の利いた細かい案内もしてくれていた。
色調的にも見やすく、たいへん好印象なカーナビであった。
手の触れるところに気遣いと優しさを感じる。IONIQ5はそういうクルマであり、唯一無二の世界がある。
運転のしやすさについて
走り出してみて思うのが、車体が大きいということだ。
そもそも物理的にデカいので、正直ラクラク乗れるわけではないだろう。
ただ、アラウンドビューカメラによるアシストや高い視点、回しやすいハンドルにより、乗りやすいように作られてはいることは実感ができる。
まぁ私はクルマの物理的なサイズが運転のしやすさに直結すると考えているので、「大柄である時点で苦労は免れない」という意見だが。
自宅や職場の駐車場のスペースに余裕がなかったり、生活圏にすれ違いに難儀するほど狭い道路があったりする場合、このサイズのクルマではどのみち苦労するだろう。
立体駐車場の狭い出口では、ほとんど余裕が無い。物理的なサイズを踏まえた繊細の運転操作が必要だ。
これはクルマそのものではなく、物理的なサイズによるものであることに留意。
物理的にデカいため、阪神梅田の狭すぎる立体駐車場内で、車線に収めたまま走るのは無理だ。
また、エアコン操作盤の上にならぶ物理ボタン。「MAP」を押すと現在地にすぐ戻れる。
操作パネルが液晶なのは個人的には歓迎できないが、斬新な使い心地である。
なお、目的地セットをしてみたところ、下道なのか、高速優先なのか。ここらへんは分かりづらかった。
運転アシスト系の装備も世界標準で備わっている。これは良いのだが、機能が多すぎて初見では使いこなせない。
これはメリットにもデメリットにもなるだろう。
ステアリング内のボタンなど、どう使えば良いのか分からないレベルだ。
「ブレーキが効かない」という欠陥について
黄色信号で強めにブレーキを踏むと、効かないのだ。
踏んでも全然止まらないのだ!!
設計ミスだろ、欠陥車だろ。
乗ってから半年経った今でも、あの制動力の無さからくる恐怖感は明確に覚えている。
明らかに油圧ブレーキのストッピングパワーが足りていない。
回生ブレーキ主体のEVだからと甘く見ているのか、開発陣は黄色信号でも歩行者が目の前に居ても止まらないのか知らないが、どう考えてもおかしい。
自動車メーカーの開発体制が怪しくなってくるレベルの効かなさだ。なぜこの状態で市販化を許した?なにを考えている。
諸元表に「ベンチレーテッドディスク式/ディスク式」とか書いているが、前後ともあと2インチくらいはアップさせて、ブレーキパッドの見直しを早急に行うべきだ。
総合的に見ても、ブレーキの頼り無さだけで総合点が40%以上引かれるレベル。(もちろん100点万点中)
今のところ、偏見抜きで好意的に評価してきたが、制動力についてはダメだ。
こうもダメなところを、容赦したり見逃す気はない。
これはマイナーチェンジで修復されるのか、ブレーキパッドだけ変更すれば足りるのか…
なお、タイヤと路面の間でロックすることも無かったので、タイヤグリップは制動力の弱さと無関係である。
走行性能について
「EVはバッテリー配置を活かし、低重心&高剛性である」というのが世間の評価であるが、乗ってみてのフィーリングとしては、正直その手の良さはあまり感じなかった…
加速性能自体はテスラに並ぶレベルで鋭いのだが、ブレーキの効かなさやロールの大きさ。
そしてなにより、元の車重と、SUVとして車高が上げられていることによる腰高感のある動き。
Bz4xやカローラクロス、C-HRのような変態高起動SUVも存在する中で、ドライビングマシンとしての魅力は見出しづらい。ただの直線番長といったところ。
だが、加速は無茶苦茶速い。基本的に撮影中は無言に徹しているのだが、思わず「速くね?」と口走ってしまったレベルの加速の速さ。意味不明な加速力を持っている。
特に意味不明なのが、超低速域からの出だしの加速だ。
物理的には2トンあるはずなのに、そのまま時空の裂け目に飛び込んでワープしそうなレベルで猛烈に加速する。瞬間的に記録する加速Gは、体感的にはR35以上だ。
カーシェアで乗れるEVたちの中でも、最速レベルである。
だが、馬力や車重の壁は存在する。高速道路で踏むと、さすがに加速が行き詰まる。
乗り心地について
硬めだ。そこまで不快だった記憶は無いが、SUVあるあるの、高重心な中で安定性を出すため、サスペンションストローク自体は長く取れるはずなのに乗り心地がハードになってしまったパターンだ。
タイヤの空気圧やホイールサイズにもよるものだが、クラウンクロスオーバーやアルファードのような快適さは無い。これもまた、ステアフィールと相まって残念なところであった。
ちなみに走行中に、バックカメラの映像をナビ画面に出すことが可能だ。
深夜の大阪の民度の低さを、全世界に発信する結果となってしまって申し訳ない。
事実陳列罪をここでお詫びする。
静粛性について
静粛性はかなり高いと言える。私が半年前に作成した動画の中では、「窓を開けると外の世界の騒がしさに驚くレベル」だと評していた。
高級EVとして、これもまた世界に通じる静粛性を有していると言えそうだ。
まぁ私は音に疎いのだが…
まとめ
AWDバージョンに乗って、約600Nmの加速を味わってみたいと思うような完成度であった。
癒やしの車内空間と完成度の高い内外装に対して、と~ってもオトクな本体価格。
ドライビングマシンとしては微妙な評価であったが、目に見えるところ・手が触れるところは最高のクオリティで作られている。ここが日本で、ヒュンダイであるという事実さえこの世に存在しなければ、最高の相棒になり得る一台であろう。