インターネットを見ていると、やけに称賛されるCX-5。
その真価を確かめるべく、乗ってみることにした。
なお、この記事は数ヶ月前に投稿した試乗動画のリライトとなるため、画像については、マツダ社の公式サイトから引用させて頂く。
また、今回の試乗車は、「Dカーシェア」内の、「careco」というサービスで借りている。
試乗車のスペックについて
グレードは不明なのだが、カーシェアでは基本的に、最廉価グレードが取り扱われるため、「20S」というグレードの諸元を紹介する。
- 新車価格は246万円(最上位でも320万円ほど)
- 2リッター直4のNAエンジン
- 6000回転で155馬力の最大出力
- 4000回転で196Nmの最大トルク
- 車両重量は1510kg
- 車体サイズは4545×1840×1690mm
- 最小旋回半径は5.5メートル
- FFの6AT
- タイヤサイズは前後とも「225/65R17」
なお、上位グレードの2.5リッターガソリンターボなら230馬力&420Nmに。
2.2リッターのディーゼルターボなら190馬力&450Nmに、エンジンがアップグレードされる。
これからの記事で愚痴る「加速力の無さは、上位グレードを選ぶだけで解決される」ということを、どうか頭に入れておいて頂きたい。
400Nmを超える加速力というのは、相当なものだろう。
外観について
まず、かなりデカい。
駐車枠が狭かったら、隣の人の乗り降りに迷惑をかけるし、センターラインも無いような狭い道に入ったら、対向車にすれ違いで迷惑をかけるレベルにデカい。
だが、新車価格250~300万円で、この車体サイズの、上質な外観にまとめられたクルマに乗れるという。
これだけで、光り輝くマツダ車のコスパの良さと、上質さを感じ取ることが可能だ。
ただサイズがサイズだけに、駐車はラクじゃないだろう。
内装について
このデザインの内装がたったの250万円で買えると考えると、本当にコスパがずば抜けているように思う。
SUVならではの視点の高さと重厚感をフルに活かした、美しい車内空間だ。
厳しい視点で見ると、原材料ベースでのコストに微妙さを感じる瞬間もあるが、新車価格250万円のクルマであることを忘れてはならない。
また、ペダルレイアウトやエアコンの物理ボタン、各部のダイヤル類は、マツダ社らしく、操作性にもこだわって設計される。走行中でも扱いやすく、とても頼もしい。
実走行インプレッション
やっぱり図体がデカい。乗った直後に狭いカーシェアの車室からの出庫を強制されるのは、慣れていても一筋縄ではいかないものだ。
横幅も大きく、背も高いが、前後長がほどほどのサイズに収まっているので、なんとかなっているといった印象。
乗り心地について
車高が高いSUVだから、優雅に走れるんじゃないかと思っていたのだが、硬めな乗り味だった。
「重厚感がある」だとか「高速域でもしっかり安定している」と言えば聞こえは良いし、実際そのとおりである。
ただ、車高が上げられて動きに腰高感が出ている割に、リフトアップぶんを乗り心地に還元出来ていないとなると、SUVの存在意義に疑問が出てくるところだ。
雪道走行のための最低地上高が欲しいわけでも無いなら、わざわざSUVを選ぶ理由が、私には見つけられない。
パワートレインについて
最廉価グレードの、いちばんショボいエンジンであるが、ゆったり街乗りしている限りでは、必要充分なトルクを提供してくれる。
発進や中くらいの加速を行う場面では、そこそこな回転数まで吹け上がっていくのが特徴的だ。
ベタ踏みすると、軽ターボに負けそうなレベルで加速は遅い。
追い越し車線で前が開けても、後続を詰まらせるレベルだ。
たかだか50万円無い本体価格差でケチってしまったばかりに、400Nm級の加速力を失うだけでなく、踏み込んだ先での絶望的な遅さまで背負うことになるので、250万円で買える20Sグレードは、実はコスパが悪いのかもしれない…
ベタ踏みをする機会がない人にとっても、交差点で右折する際の発進や上り坂に差し掛かった際の押し出され感で、エンジントルクが大きな差を産む。
私だったらターボ付きのモデルを選びたい。ディーゼルをお勧めする。
ステアフィールについて
「ゆったりドライブ」レベルの低負荷域と、しっかり攻め込んでいった先の高負荷域で、まるっきり評価が変わってしまう。
まず、あまり負荷を掛けない低負荷域は、ヘタなスポーツカー以上に一体感のあるステアフィールだ。
ハンドルにしっかりとした重さがあり、まるでタイヤをウォームアップするレーシングカーのように、切ったら切ったぶんだけ、フロントタイヤ路面を撫でるように粘着する。乗り物との一体感がしっかりとあって、走る楽しさが持たされている。この領域だけでCX5を運転するなら、「最高の相棒」という評価をするのも納得だろう。
…問題は高負荷域だ。あんまり攻め込まないという人は、この段落は読み飛ばして欲しい。
タイヤにしっかり負荷をかけ、アウト側のサスペンションを沈みきらせるような場面で、一気に1.6トンに迫る車重と、腰高なボディーが裏目に出る。
曲がらせようにも、ただ崩れていくばかりで、乗り物が曲がるのを拒否するようだ。
絶望的な駄馬だ。最低限フロントタイヤグリップか、前後のスタビのバランスを見直さないと、これはどうにもならない。弱点だ。
その他
この価格で、電動パーキングブレーキと、ブレーキホールドを付けてくれているのは本当にありがたい。
水温計が表示可能であるため、暖機運転の目安に使うことができる。クルマ好きには嬉しい機能だ。
メーカー内で制御を共通化したおかげだろう。インフォテイメントシステムで設定できる項目が、異常に多い。
エンジンを切った後に、ルームランプやヘッドライトをオンにしておく時間や、エンジンオイル交換に関する整備記録、ウインカーの音量やオートウォッシャー液とやら。コンピューターシステム的に設定が可能なものは、すべて設定ができるようにしている印象。オーナーでも全てを説明し、使い切ることは出来ないレベルの豊富さだ。
まとめ
「優雅に乗れるコスパの良い通勤車」といったところだろう。
走行性能なんてどうでも良いから、見た目が高級なクルマにコスパよく乗りたいというユーザーさんにオススメだ。
この見た目やマツダの芸術が好きなら、良いパートナーとなってくれることだろう。
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