安っぽいのに前輪の接地感が消えるほどの加速!3代目インプレッサのセダンの方のWRX STI【試乗インプレッション】

試乗インプレッション

ワイルドスピードで活躍した3代目インプレッサ。

今回はそのセダンバージョンのWRX STIに乗る機会を得た。もう文化遺産になりつつある一台、しっかり味わっていく。

【前輪の接地感を消すほどの加速】シャシーに見合わぬエンジン出力。恐怖と不安がなぜか事故には直結しない世界
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冒頭のまとめ

目に見えるところや街乗り領域の質感は安っぽく、値段としても実際安い。

ディーラー試乗でちょっと流した程度では、「安っぽいだけの見掛け倒しなクルマ」という評価になってしまうだろう。

ボディーも別に高剛性であるわけでもない。

しかし軽くてコンパクトなボディーに対して明らかに場違いなパワーをエンジンが炸裂させて吹き飛んでいく。

バランスは無茶苦茶なのだが抑えながら乗って行く楽しみがあり、この加速力を適切に全開にできるような乗り手ならこの貧弱シャシーでも危険なことにはならない感がある。

非常に面白い体験ができた。

試乗車のスペック

2010年式の「WRX STI A-Line」である。新車価格は315万円だ。

  • 車体サイズは4580×1795×1470mm
  • 車両重量は1490kg
  • エンジンは2457ccの水平対向4気筒ターボ
  •  最大出力は300馬力(6200回転)
  •  最大トルクは350Nm(2800~6000回転)
  • トランスミッションは5AT(6MTも選べる。)

インプレッサはグレードやボディタイプのラインナップが非常に多いが、スバル社の車体番号検索サービスから特定してグーネットカタログで諸元を確かめた。

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内外装

外観について

時間や撮影倍書に恵まれなかったので申し訳ないが適当に撮った画像になる。

ハッチバックが一般的。セダンタイプは珍しいだろう。

内装について

新車価格は僅かに300を超える程度で、開発陣の懐事情を思えば「安いクルマ」となる。

外観がスタイリッシュに仕上がっているだけにあちこちにプラスチックが目立つ残念なものとなっている。私は悪いとは思わなかったけどね。

ステアリング右側にはクルーズコントロールが装備される。

ボタンを押した感触はぐにゃぐにゃとした非常に安っぽいもので見た通りだ。

なおパドルシフトが装備されているが、このパドルを引いた際の感触も安っぽい。グニャグニャとしたような印象を受けてしまう。幸いなことにスポーツ走行をしている際に気になることはない。

しかしこのパドル、ハンドルを切っても付いてこないタイプだ。個人的には付いてくるタイプだったほうが嬉しかったが、ジムカーナのような急旋回を想定する車種なのでこれもアリか。

でも競技に行くような本格派のユーザーならマニュアル買うよね。

メーターはシンプルで非常に見やすい。

操作しやすい丸3連のエアコン操作パネル。

ギアはストレートのように見えるが、Pから左に迂回しながら右下へと降りていくゲート式タイプ。

ガバガバ感がかなり強いので慣れていても正しいところに入ったか戸惑ってしまう。

センターコンソール。

走行モードを切り替えるスイッチ。

押し込むとエコ・ノーマルのインテリジェントモード。左に倒すとスポーツ。右に倒すとスポーツシャープモード。

左手前のかなり奥まったところにシートヒーターのスイッチがある。車内の撮影を行うタイミングまで気づかなかった。

暖かくなるまでが早く、フルパワーなら焼けそうなくらいの熱を持つ。

嬉しいことに電動シートを搭載しているのだが、調整ダイヤルがへんてこりんな形状をしているせいで操作はやりづらかった。

またシートの移動速度も非常に遅く、仮眠を取る度にこの時間がストレスになりそうだ。

幸いにもかなり倒れてくれるので快適に休める。

実走行インプレッション

エンジン

控えめながら踏めばしっかりと加速していく。

露骨に吠えまくっていたランエボと比べると非常に大人しい。

過給しているというより排気量そのものが増えているようなトルク特性で、踏めば踏むほど上が解禁されていくようなパワーの出方をする。

びっくりさせられることがないため加速力と貧弱なシャシーの割には安全。ただ刺激を味わうには強めに意識して踏む必要がある。

街乗りしている程度では「遅さはあんまり感じないな」程度であったが、ベタ踏みすると世界が驚くほど変わる

あまりにも鋭い加速でフロントが持ち上がり、ショックアブソーバーが伸びてウィリー気味となりフロントの接地感が薄れた。

瞬間的なベタ踏みに対する出足も非常に鋭く、EVのパワーモードに匹敵するようなレスポンスを誇る。

ハンドリング

見かけとしてはレザーっぽいステアリングだが、暗闇ではプラスチックだと思ってしまうほど硬い。

街乗り領域においてはステアリングセンターは付近は重くて曲がりづらい感じがある。

段差を超えた際に一気にハンドルを取られる感触がある。手元に衝撃を喰らってしまう。

切り始めは軽いが、曲がっていくと重くなるような感触で違和感がある。

水平対向エンジンはやはり旋回に効いているようだ。

フロントの重量物は左右のタイヤの下側にあるようだ。クルマをロールさせていっても重量物が足元に潜り込んでいくように曲がっていく。

ちなみにロール自体はそこそこする。フォレスターやクロストレックのほうがまだ傾かない。

ボディ剛性も控えめで、脚を固めて強引に抑え込んで安定性を出しているような印象を受ける。

段差を超えた際の足回り・ボディーの感触は初代ハチロクにでも乗っている感じになる。

ブレーキ

あれだけのスポーツマシンのイメージがあるのに、ブレーキペダルを踏んだ始めの領域に遊びがありペダルフィールがガバガバな印象を受ける。残念。

しかし、アクセルと合わせてある程度踏んでいった先で効き始めるようなフィーリングがあるともいえる。

これは全体的なバランスが取れていて、なんやかんや無難に止まれるので「普通」に良い。

私は初期からズドンと効きすぎるブレーキについて文句を言うことが非常に非常に多いが、このインプレッサは流石に初期がダルすぎるところがあるように思う。

好みに応じてブレーキパッドを交換すればだいぶ改善しそうだが、このダルさがパッドの初期制動によるものなのか、そもそもパッドがローターに触れない領域があるせいなのか。。。

乗り心地

硬めではあるが、段差を超えた際の衝撃をある程度は押し潰しながら伝えてくれるため不快なものではない。

でも「快適」と言うほどでもない。加速力の割には悪くないと思う。

私的には充分に良いと思う。買おうか検討している人にとって障壁になるような要素ではない。

その他のあれこれ

約1~2分ほどアイドリングをして停車していたところ、車内が排ガス臭くなったのを感じた。

そんなに古い年式ではないと思うのだが、気のせいだったのだろうか…

試乗前リサーチ

ラインナップがありすぎて詳細なグレードについて確かめられなかったので、3代目インプレッサについて軽く調べておく。

BL/BP系のレガシイのプラットホームを基にしたSI-シャシーを新たに採用したり、リアサスペンションの形式がダブルウィッシュボーンに変更されたりしたようだ。

インプレッサWRX STIの系譜<その11>インプレッサWRX STI [GVB型](2010年) - Webモーターマガジン
ランサーエボリューションとともに、WRC競走用ベースマシンにして公道最速を目指した究極のロードカー、スバル・インプレッサWRX STIの系譜を紹介していこう。今回は第3世代、GVB型のセダンだ。(ホリデーオート2019年5月号より)

登場時は5ドアハッチバックのみだったが、4ドアセダンも後で追加された。

セダンバージョンにおいては、フロントサスペンションにアルミ鍛造製ロアアームを。リアノサスペンションにはピロボールを採用したらしい。

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