「完璧なガソリン車」と称したくなった新型シビック・EXグレード試乗【インプレッション】

試乗インプレッション

「完璧なクルマ」と聞いて、あなたはなにを思い浮かべるだろうか…

60台以上のクルマを運転し、インプレ動画を作ってきた私にとって、この新型シビックというクルマは、トヨタのスープラRZに並ぶほど良い一台であった。

そんなシビックの魅力、余すところなく伝えていきたい。

また、今回の試乗車は、「dカーシェア」内で借りた。

ホンダのEveryGoというサービスでは、eHEVのグレードにも試乗が可能だ。実は当記事の執筆に至ったのも、私がeHEVの予約を取ったからなのだ。

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試乗車のスペックについて

例によって、以下の諸元ページから紹介する。

シビック(HONDA)EX(2021年9月)|カタログから中古車を探すなら【グーネット】
シビック EX FF CVT(無段変速車) の中古車を物件詳細で見る。カタログ(2021年9月)・(10139678)から最新のホンダ情報もチェック!中古車・中古車情報のことなら【グーネット中古車(Goo-net)】!中古車登録台数が豊富だ...

ちなみにホンダ公式サイトからも、情報を引用する場合がある。

また、今回乗ったのは、最廉価のLXグレードだ。6MTも用意されているのが嬉しいポイントだろう。

  • 新車価格は319万円(むちゃくちゃコスパが良い)
  • サイズは4550×1800×1415mm
  • 車両重量は1360kg
  • 1.5リッター直4ターボ
  • 最大出力は6000回転で182馬力
  • 最大トルクは1700回転~4500回転で240Nm
  • 最小旋回半径は5.7メートル
  • タイヤサイズは前後とも「235/40R18」
  • FFでCVT

なお、上位グレードのEXは350万円で、エンジン出力的な差は無い。

https://www.sapporohonda.com/blog/buy-usedcar/civic-grade-difference.html

スピーカーシステムやワイヤレス充電パッド、専用のホイールやパワーシート、LEDライトなどが追加されるようだ。

外観について

タイプRじゃなくても、充分すぎるほどカッコいい。

ガンダムのようなゴテゴテ感があった先代も、個人的には悪くなかったように思う。

だが、精悍さを増して、シンプルさの中にカッコ良さを持たされたこの顔つきは、本当に良いものだと思わされる。

ちなみに、4つのホイールすべてが、ことごとくガリガリになっていた。

前後に4550ミリ、左右に1800ミリの最小旋回半径5.7メートルは、自動車の中でも普通のサイズ感だ。

このサイズも安全に乗れない人たちにも、これだけの運動性能を持つクルマが与えられるというのは、カーシェアの恐ろしいところだ。借り物くらいまともに運転して欲しい。

内装について

車内空間も、また素晴らしく良いのだ。

これは上位グレードのEXだ。メーター画面やワイヤレス充電器、シートが異なるのが見て取れる。

現代車らしいスタイリッシュな見かけに、美術館のような装飾が水平に敷かれる。

かっこよさ、美しさ、使いやすさ、高級感。それら全てが高次元でバランスする。

エアコン操作盤は物理ボタンだ!

しかも丸3つなので、間違えようがない。運転中にも的確に操作できるので、これには大歓喜!!!

シフトノブのすぐ下には、ドライ日モードセレクターと、アイドリングストップのオフボタンに、電動パーキングブレーキの操作が備わる。ありがたいことに、その下はブレーキホールドだ。

手で引くタイプのサイドブレーキが消滅していってるのは寂しく思うが、それと引き換えにブレーキホールドと、使い勝手の良いクルコンが手に入るなら、まあアリなのかもしれない…

実走行インプレッション 

ハンドルの裏にあるボタンを押して、ついにエンジン始動だ。

まず、うるさくないのがとっても好印象だ。

上質で、心地の良い低音が気持ちよく響いてくる。

車内のUI関連について 

また、デジタル液晶となっているようだが、いい具合に光沢が抑えられているため、ただ映り込まないだけでなく、夜間でも眩しくない。

このマット加減がちょうどいいのだ。

コンピュータシミュレーションや理論だけでは実限できない、感性・感覚の領域でのクルマづくり。

私にとって、いちばん大事にしたい指標が、このシビックは、メーター内部からも感じられる。

オイル交換表示は、走行距離によって出てくるものだろう。

放置運用メインのカーシェア車なので、どうすることもできないし、放っておくことにした。

さて、ナビ画面についてだが、これもたいへん見やすくいのだ。

色合い、解像度、手の届きやすさ、すべてがちょうどいい。

「現在地に戻る」は物理ではなく、右下の、青緑系の色のボタンをタップ。

これが物理ボタンでないのは残念だが、すぐ押せるところにあるので、大した不満にはならないだろう。

ボリューム調整と、ホームと、戻る、曲の選択が、右側に物理ボタンとして並ぶ。

YouTubeに投稿した動画からスクリーンショットを切り出しているだけなので、ブレブレだったり低画質だったりする点はお許し頂きたい…

ホームボタンには使いやすいUIが並ぶ。ただのナビではなく、自動車に関する情報を統合的に管理できるし、ネットワーク接続系の機能も、初見では全容を把握できないほど充実しているようだ。

とりあえず「車両設定」とやらを開いてみた。

シビックにちなんだ画像が挿入され、文字も見やすく、本当に優れたUIだ。

ライティング設定を開いてみたら、オートハイビームやデイライトに関する設定があった。

マツダ車ほど豊富ではないが、ありすぎても混乱するばかりなので、これくらいが丁度いいのかもしれない。

動画内ではかなり複雑なことを言っているが、「ガソリンを満タンにしたらトリップメーターをリセット」という設定もできるらしい。

オーナーなら分かるだろうが、特にハイブリッドカーというのは、走行スタイルによる燃費の変動が、本当に激しいのだ。リッター30出る場面から、7を下回る場面まで存在する。

そのため、メーター内に表示される航続距離設定が、アテにならないのだ。

だからこそ、これまでの走行距離と、燃費と、燃料タンク容量に加え、これから走る道と走行ペースから、だいたいの航続距離を導き出せるというのは、地味にありがたい機能となる。

カーナビもとびきり使いやすいのだ。まず第一に、配色が優れているからなのか、夜間の東京も見やすい。いまどの地点を見ているのか、イッパツで把握することが可能だ。

(実は、メルセデスやカーシェア純正カーナビは、この辺が絶望的に使いづらいことが多いのだ…)

私のように、地図を動かしていって目的地を直接指定するスタイルの場合、これほどありがたいものはない。

指で動かしていく際、わずかに遅延があったように感じたが、許容範囲だろう。

あとは、右下の「目的地にする」をタップすればよい。経由地設定もワンタップなので、高速に乗ったり降りたり、ワインディングを選びたかったり、複数地点を経由する旅ルートを策定したり。ライフスタイルにあったルート指定ができるので助かる。

選んだ地点が高速道路と近かった場合、目的地を高速道路の上にするか、一般道の上にするか聞かれる場合が多いのだが、この際に出て来るUIも、いちいち見やすいのだ。

文字が大きく、色彩も明快で、操作に迷うところがない。

「人間工学」という言葉や開発思想を、ここまで強く感じて、恩恵を受けられるメーカーは無いだろう。

ダーク系の色合いの中に、蛍光色の黄緑で通るべきルートが敷かれる。

ここまで熱弁してしまうほど使いやすいカーナビであったということだ。

走り出しのフィーリングについて 

長々と話し込んでしまったが、やっと実走行だ。

シフトノブはDのみで、「右に倒すとマニュアルシフト」といった機能が無いのは残念だ。

パドルシフトとスポーツモードは存在するため、「CVTを、多段式トランスミッションとして動作させ、パドルシフトで操る」という走りは可能であるから、そこは安心して欲しい。

ちなみに、運転モードを切り替えると、左側のメーター内にイラストが表示される。

細かい意匠も凝っていて、なかなかに良いものだ。

ちなみに、アイドリングストップこそ搭載しているが、燃費や市街地走行においては、間違いなくeHEVのほうが良い。この違いについては、後ほど私が運転して検証しよう。

さて、駐車場内で減速帯を乗り越えたが、その瞬間のショックの動きに感動させられた。

乗り心地がとても良いのだ。

ショックアブソーバーがしっかりとストロークすることで、揺れを充分に吸収してくれた。

ものすごく乗り心地が良い。快適性が考慮された、良いダンパーが入っている。

地下駐車場の不便さ

すこし小話を挟むが、このカーシェアのステーションは、「新宿サブナード」という地下駐車場だ。

フェラーリにランボルギーニ、ロールスロイスなど、名だたる高級外車が並ぶ。

だが、いまの私は、シビックのほうが好きだ。

そんなことより深刻なのが、「駐車場出口が異常なほど混雑する問題」だろう。

信号待ちにハマって、実測でも10分くらいは出られない。信号待ちも長いし、歩行者専用を挟むため、大幅に時間をロスしてしまう。この日は連続で5台ほど乗ったが、1時間に1台しか試乗を勧められなかったのは、信号待ちのせいだ。首都高に行くまでの時間が長いのだ。

街乗りについて

不便過ぎる駐車場への愚痴はほどほどに、まずパーキングソナーの動作についてだ。

当たるはずのない、衝突コースに無い位置の障害物や壁にも反応して、いちいち警告を送ってくる。

正直ジャマなだけであるため、切っておくのが良いだろう。

変速ショックも無く、エンジンの低速トルクも充分にあるため、スムーズかつ快適な街乗りが可能だ。

カーナビの案内も、とっても見やすい。

メーター内部の「あと〇〇メートルで右折だよ」表示も、ナビ画面のポップアップも、とても親切だ。

さて、交差点の右折で、いきなり事故りかけた。

東京の人の運転というのは、なぜこうも人の心が無いのだろう。

よく名古屋走りが取りざたされるが、名古屋在住の私から言えば、関東のほうが酷い。

関東と比べての名古屋の運転なんて、「空いてるスペースに入ってるだけ」だ。

いいニュースがあるとするなら、ブラインドスポットモニターが役に立つことだ。

私のような乱暴な運転の被害者にも、合流がヘタな人にも安心である。

さて、いちばん大事な領域について、まだなにも語れていない。

周りに合わせて安全第一で流す街乗り領域でも、あからさまにフィーリングが良いのだ。

直進性がとても高く、ステアリングの本革の触り心地は良く、ショックアブソーバーの動作も快適で、値段に見合わぬ上質さを味わうことができる。

首都高に入るためにUターンしたが、視界が良い。

本当に乗りやすいクルマだ。

深夜の首都高でハイペーステスト

誰もいないタイミングで料金所のゲートを潜り、スポーツモードの、パドルシフト1速固定でベタ踏みする。

凄まじく速い。184馬力?なにかの間違いだろう。

体感的には250~300馬力級の加速力があるように感じられる。

1.5リッターターボでこんな加速力を出すなんて驚きだ。

また、VTECらしいエンジン音や高回転域の陶酔感が明確に存在しており、ブン回す楽しみがある。

CVTの変速を停止させることで、擬似的に多段式トランスミッションを実限していることにより、レッドゾーンに入った後、途切れること無く変速されるのだが、その際にぐにゃーっとしたフィーリングが出る。

スパスパシフトアップしていってくれれば気持ちいいのだが、ここは素直に、高回転で唸り続けるCVTとしてではなく、多段式として操れることに感謝しよう。

バイクのような吹け上がりの良さと、速いんだが、制御出来ないところには飛んでいかない安心感があって、最高に楽しいフィーリングだ。

また、何よりも感動的であったのが、レーシングカーのようにダイレクトなステアリングフィールだ。

しっかりとした重さがあって、タイヤの接地感やロールとのバランスが完璧なのだ。

乗り物のロール方向の動き。その全てを感じ取りつつ、制御下において操っていける楽しさ。

安定性志向であるFFの特性をフルに活かし、一定の重さをダイレクト感と安定性に変えて、楽しく走っていく。私が所有するプリウスPHV GRに、唯一「勝っている」と言えてしまうレベルの楽しさだ。

時間やスケジュールの都合で、首都高に乗って数百メートルで降りる予定としていたが、後悔した。

「新型車だし適当に乗っておくか~」程度の気持ちで予約を取ったが、真価を見損なっていた。

これは真のドライビングプレジャーを持つ、生粋のスポーツカーだ。

この世に存在する全ての市販車のなかで、ここまでのステアフィール、加速感、低価格、快適性、その全てを併せ持っているような車種を、私は見つけ出せない。

もし存在するとしても、BMWの3シリーズの、ステーションワゴンのPHVくらいじゃなかろうか。それも、Mパフォーマンスでも持ってこないと、勝てないのではないかと思う。

まとめ

「もしeHEVがこの官能性を持ち合わせていたなら、環境性能と合わさって、世界一の市販車となるだろう。」

そう言いたくなる完成度だった。

ワインディングやサーキット、深夜の高速道路で思い切り走るなら、ガソリンで良い。マニュアルを選べばいいじゃないか。ただ、渋滞もあれば信号待ちもあるのが公道だ。

クルマというのは総合性能で評価するものだろう?

実はこの記事を執筆した日の夜、これから、eHEVに試乗する予約を取っている。

楽しみでならない。

開発者の方への称賛と共に、この記事を終わらせて頂く。

最後に、もう一度書くが、私はこのシビックを、dカーシェアで借りた。

読者さんも試してみて欲しい。

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