EV自体まともに議論できる人が少ないが、中国EVに至っては目も当てられないほど酷い。
実車に乗って確かめるしかないと思い、好調なYouTubeチャンネルの収益をつぎ込むことに決めた。
※今回の試乗ではクローズドコースの手配を行ったこともあり、ブログ・動画を作成するのに10万円を超える経費が掛かっている。
乗ったクルマの諸元・価格・グレード
RWDグレードを借りてきた。新車価格は528万円。
補助金や1000台限定の割引が最大で80万円ぶんほど入るらしい。
- 車体サイズは4800 x 1875 x 1460
- 車両重量は2100kg
- モーター出力は312PS,360Nm
- バッテリー容量は82.56kWh
- 最小旋回半径は5.9m
運転フィール
取り回しや使い勝手
狭いところでは少しだけ大柄に感じるが、取り回しの良いサイズ感を維持している。
アラウンドビューカメラなどのアシストシステムが充実しているため非常に乗りやすいぞ。
走行中でもありとあらゆる視点からカメラを通じて視界を得られる。
リアルタイムで3Dモデルを展開できるモードもある。
個人的にはアラウンドビューカメラ以外、この手の機能はオススメしないし使わない。
しかし、一歩間違えれば脱輪するような穴・崖が近くにあるような場面ではあればあるだけ良いだろう。
乗り心地について
EVスポーツセダンらしく、ドイツ車並みに高いスピードレンジを想定して作ってある足回りだ。
それゆえに日本の道路を法定速度程度でダラダラと走っていたら「硬い」という評価になるだろう。
試乗車にはフロントに250kpa、リアに290kpa近い空気圧が入っており、これもまた乗り味の高さに拍車をかけている。
(一般的にEVは、空気圧が高いほど電費が上がって航続距離が延びると言われている。フロントの方を相対的に下げるのは旋回性を重視したセッティングの1つである場合が多い。)
日本で乗っている限り、スピードを上げれば上げるほど快適性が最適化されていくような乗り味。
持ち前のトルクと相まってあっという間に免停のスピードまで伸びていくが、全く不安感がない。
ダンパーはあまりストロークしないが、そこまで大きな衝撃をフレームに入れてこない。
短い間隔で背の高いうねりが連続するような路面をハイスピードで超えると、一瞬だけフワフワとするような動きが出る。
その一方で荒れた路面やザラザラとした路面を走るとビリビリとした振動を断続的に伝えてきてしまう。
段差に落ちた際の衝撃もしっかりと入って来るが、僅かにストロークするダンパーの衝撃吸収力によってギリギリ不快にならないレベルの入力に収まっている。
クローズドコースで160km/h程度まで試せたが、その速度域でも余裕のある走行性能を持つ。
200km/h以上で攻めても、そこまで危険が無さそうに思える。
ズドンと踏んだ際のモーターの加速感も低速より中速のほうが強く感じる。
200km/h級の速度域を見据えて作ってあるクルマだ。
ハンドリング
過去イチどうコメントするか迷ったレベルでクセの無さすぎるハンドリング。
動き出しにはゆったりとした間があるが、EVセダンらしいニュートラル&フラットな動きが最初から最後まで、どの領域においても維持される。
理想的な前後重量配分を活かしつつ、重量で安定させた姿勢の中でタイヤグリップをしっかり使い切って曲がっていける。
自分でも驚かされるほど速いスピードで走ってしまう。
曲がり始めは大人しいのに、切り増しても切り増してもタイヤグリップに余力がある限りグイグイとインに向かい続ける。
道路幅の狭い急カーブが連続する地帯でも持ち前の運動能力は衰えない。2トンあるとは思えないような旋回性で爆速で走り抜けていく。
回生ブレーキが使えるため制動力もかなり高いが、重量によるリスクを背負っている。
オーバースピードで飛び込んだ際や路面のミューが下がっている場面などで、対応をミスると肝を冷やすことになる。
RWDグレードでも2100kg、AWDグレードなら2210kgにも達する車両重量。
荷物を載せればあっという間に2.2トンにも達する巨体。
タイヤのグリップ限界の高さで突っ切れてしまうが、直線でスピードが出やすいために重量や日本の過酷な道路状況がより一層のリスクとなる。
速度違反の警告表示がしつこかったり、車線逸脱関連の機能があまりにも鬱陶しいのは、万が一にも乗り手に暴走事故を起こされたらBYDの今後のイメージに大きく響くからなのだろう。
ウエット路面でフルブレーキをしてみたところ、リアが横に流れながら減速していくような動きとなった。
限界性能は高いが、重量がありタイヤ負荷が高いため安全マージンを十分に確保する必要がある。
私はこのBYDシール、本気で欲しいと思っている。
しかしこの重量がボトルネックであり唯一の恐怖だ。
バッテリー容量・重量・価格などを削ったより廉価なバージョンが登場するという噂もある。
こちらなら1950kgまで減量されるため、少し様子を見たいと思う。加速性能についてはRWDでもちょっと速過ぎるレベルであり、電池も全然減らないため私は61.44kWhで充分。
日本人が中国車を買いたがるとは思えないため、本国で廉価版の用意があるなら1年ほど経ったあたりでテコ入れのために日本に投入してくる可能性は高いだろう。
そうなったら社用車として本当の本当に買うかも。
パワートレインについて
私が乗ったのは加速が遅い方のRWDグレードだが、それでもちょっと速すぎて怖いレベルの加速力を持っている。
この動画の通り、160km/hくらい朝飯前だ。
山道での追い越しも楽勝。道路状況さえ良ければ一瞬で抜き去ることができる。
ズドンと踏んだ際の加速力としては、低速域よりも中速からの出足のほうが鋭い。
エコモードやノーマルモードでは怖さが無くなるので一般人でも普通のクルマとして乗れてしまう。アシはちょっと硬いけどね。
AWDは凍結路走行以外で要らないレベル。
踏んで離した直後の空走感が人によっては少し気になるだろう。
このモータートルクを回生ブレーキにも使えるため、飛ばさない人でも山道の下りでもエネルギー回収や凍結路での減速においても恩恵が受けられるぞ。
先進安全装備系の動作について
ステアアシストが切れない
ハンドリング以前に、ステアリングアシスト系の動作に弱点がある。
本体設定から通常の車線逸脱アシストと緊急時用のステアアシストの両方を切ることが出来るが、一回でもシステムをOFFにしたら入れ直しとなる。
ボイスコマンドで設定画面を呼び出すことはできるので、実質的に2回のタップで全オフは可能。
これをオンにしたまま走っていると、唐突にダバっとハンドルを取られてしまう。
車線をはみ出しそうになる場面で自動で戻してくれるのは頼もしいが、普通のコーナリングでもハンドルを勝手に撮られるので全く安心して乗れない。
クルーズコントロール
クルーズコントロールは前車に合わせて自動発進してくれるが、停止時の車間が近い。
アダプティブクルーズコントロールの車間設定では停止車間を調整できないようで、「このまま追突するんじゃないか」という不安が常に脳裏をよぎる。
普段乗っている50プリウスでも傾斜地や複雑な形状のトラック相手には動作がバグることがあるが、BYDシールは停止車間のせいでフッツーの渋滞中でも気が抜けない。
オートパイロットは不安すぎて逆に疲れる
ステアアシストについては私の感覚と近い位置を走ってくれた。私はこの手のシステムを使うたびに「常に自分が走りたい走行位置から30センチほど右側に寄ろうとする」ような動作にストレスを憶えていたが、BYDは比較的マシだった。
しかしテスラと同じく、唐突にどこに行こうとするのか分からないような動きをするので心も体も休まらない。むしろ変な負担を増やしているだけである。
元々の直進性が非常に高いため、逸脱警報程度に抑えて自分で操舵するのが結局一番良いと感じた。
私は今のところスバル車以外で、動作に納得できるステアアシストには出逢っていない。
ブレーキホールドについて
滑らかに動作してくれるブレーキホールドだが、アクセルを入れてからの動き出しがワンテンポ遅れる。
コンフォートを優先したものとなっているようだが、あれ?アクセル入力を検知した??と不安になるような間が一瞬ある。
外装
非常にカッコ良い。日本で見るクルマの中ではトップクラスのスタイリングの良さを持っている。
スタイリッシュで洗練されており、デザインの良さが光り輝いている。
cd値も0.219しか無いそうだ。
スーパーの駐車場に停めてから帰って来ても「なんだあのカッコ良いクルマは」と思わされる。
私のようなギラギラした高級車が嫌いだが高性能車が好きな身にはピッタリ。
いつ見てもカッコ良く、これだけで欲しくなる。
中国のEVたちのデザインは、いつの間にこれだけ進化したんだ…
テールランプ内部も赤い要素が散りばめられているような光り方が美しい。
リアフォグは右下に1個だけ装備される。
ドアにボタンが付いており、ここを押すとスマートロックとなる。施錠する際も同じ。
BYDと誇らしげに書いてある、どこかLC500っぽいドアハンドルを引っ張って開ける。
フードを開けると全てがカバーされている。フロンク、ウォッシャー液、おそらく冷却水しか触れるところが無い。カバーも工具がないと外せない。
涼しい夏の夜を2時間ほど走った後に50kw級の急速充電器に繋いでいる最中の撮影だが、暑くなっているのが分かる。
フロンクの容量は53リットルほどあるらしい。充電ケーブルや非常用のセットだけでも入れておければ充分だろう。
充電ポートは右後ろに揃っている。カバーが弱そうなゴム製となっており、乱暴に扱うと千切れてしまいそうだ。
BYDシールを中古で買うときは、ここのカバーが残っているかどうかで前オーナーが車を慎重に扱っていたか・どの程度急速充電を多用していたかを推定できるかもしれない。
ドアハンドルはDに入れた直後は出ただが、走り出すと自動で閉じる。
内装
外観同様に内装も美しく上質に仕立て上げられている。誰もが良い意味で驚くぞ。
思っていた以上にレザーの使用箇所が多い。レザーの質も高く、肌触りの非常に良い素材が全面に使われている。
BMWの内装に使っているものと同じものなのでは?
むしろBMWは中国メーカーからレザーを仕入れているのか?と思うレベル。
プラスチックパネルも表面の質感が工夫させられており、内装で安っぽさを感じる要素は特にない。
シフトの操作方法について
ボルボで見たことあるようなクリスタルのシフト。
Pはボタン。Dレンジは下に倒し、バックは上に倒す。
入れたいギアと入力方向が完全に分かれているため、慣れればシフトミスは起きないのが良い。
シフトとPの間にスタート・ストップボタンを挟んだ配置にはツッコみたくなるが、私は秒で慣れた。
Pボタンを押す前にストップボタンを押しても自動でPに入って電源が切れるため、駐車時はワンステップ省略できるぞ。
アンビエントライティングの中にスタートストップボタンが埋め込まれていたほうが、夜間の始動時に美しさが出るのだろうか。
左上からブレーキホールドのオンオフ、ブラインドスポットモニターのオンオフ、スノーモード、モード切り替えダイヤル、Pレンジ、カーオーディオの音量とミュート、フロントガラスの曇り取り、エアコンのオンオフ、オートエアコンのオンオフボタンの順に並んでいる。
ステアリングのボタンについて
まず左側から見て行こう。
右上の自動車のアイコンを丸で囲ったボタンを押すと、アラウンドビューカメラを出すことが出来る。
その下のボタンでは画面を回転させる。
左下はクルコン使用時の車間距離を4段階で変更する。左が近づける方、右が離す方だ。
クルーズコントロール関連については、一番左のハンドルマークが付いているボタンを押すとオートパイロットが起動する。
ツマミで5km/h単位の速度調整。中断中に上に倒すと中断前の速度に復帰する。
「RES・SET」と書いてあるボタンを押すと現在の車速でクルコンがセットされる。
次は右側を見て行こう。
左下はオーディオのモード切り替え。右下は「Hi,BYD」の起動ボタン。その間は電話関連の設定画面呼び出し。
右上がカーオーディオの音量調整。押し込むとミュート。右左のボタンで選曲する。
左上のボタンを押すとメーター内の操作が出来るが、オーディオの音量調整ボタンと同じところで触るため慣れるまで誤操作が頻発する。
またこの音量・選局のボタンをコーナリング中にうっかり押してしまうことがある。
その他の内装紹介
ざっと見て行こう。
ドアノブは奥側にメタリックな奥行きある装飾が施され、その奥側にはスピーカーが入る。
私が見てきた中で最も美しいドアノブだった。そこそこ力を入れて閉めないと半ドアになりやすい。
内装パネルはレザーやアルカンターラ、アンビエントライティングで満足感が高い。
シルバーのラインが入った部分はハードプラだが、安っぽさが出ないものとなっている。
ミラーやパワーウィンドウ、施錠をするパネル。チャイルドロックのオンオフも運転席から可能なのは珍しい。
下側はハードプラ。電動トランクのスイッチが配置されている。
足元にはフロンクを開けるためのラッチ。2回引かないと開けられない。
足元にもしっかりと遮音材が敷き詰められている。
ETCのユニットを入れてくれと言わんばかりの小物入れ。内側まで起毛仕上げ。
デザインにこだわったエアコン吹き出し口。
風向調整がナビ内からしか行えないのが不満だ。
タテにラインが入った部分はプラスチックのような素材感だが、奥まっていて手に触れることが無いのと、見かけ上の上質感が高いので良い感じだ。
テスラはコストカットの正当化のためにミニマリストを追求しすぎているが、BYDのほうは普通の乗用車のように装飾やボタンを入れてくれてるので親しみやすい。
ウインカースティックのマットな質感も良い感じ。
ワンタッチウインカー付きで、内側を捻るとリアフォグが使える。
上からオフ、オート、スモール、前照灯となっており、オートの位置ならオートハイビームも使える。
先端のボタンはトリップメーター用。
左側はワイパー関連の操作。日本のものとは上下反対に動く。
下に一回倒すとシングルワイプ。引くとウォッシャー液が出る。
上に倒すと間欠作動→通常作動→高速作動と切り替わっていく。
間欠作動時にオートワイパーが起動するようで、スティック内のツマミから4段階の調整が出来る。雨の中を走行する場面はあったが、違いがよく分からなかった…
シフトの上側のスマホ置き場はワイヤレス充電に対応。
センターコンソールのアームレストにはICカードを認証するエリアがある。
センターコンソールボックスはそこそこの容量。内側は起毛仕上げされている。
センターコンソールは二階建てになっており、下側にはシガーソケットやUSBポート二種、マイクロSDカードを挿入する穴がある。
なぜか左側のUSB-CポートはAppleCarPlay非対応だった。
bz4xとは異なり、グローブボックスもちゃんと装備されている。
カップホルダーにセブンイレブンのコーヒーを入れてみた。
取り出すのは少し手間になるが、問題なく使うことが出来た。
静粛性・オーディオについて
静粛性もオーディオの品質も、両方とも非常にレベルが高い。
静粛性についてはオーディオもエアコンも切ると「クルマってこんなに静かに走るんだ…」と感心させられてしまうレベルにある。
自分のプリウスにデッドニングをやり尽くして良いタイヤを履かせても、この静かさが出るか分からない…
オーディオについても鮮明で、音量を上げても高音から低音まで綺麗になってくれる。
個人的には音量を上げた際の鮮明度がもう少し高いと嬉しいが、市販車たちの中では上位に入れるものを持っている。
車中泊適正について
必要充分な車内空間があり、二列目を倒して寝そべっても頭が空中にあるなんてことはない。
足を延ばして快適に睡眠できるだけのスペースがあるぞ。
しかし背中の段差は気になるので対策が必要。
なお一面のガラスルーフが素晴らしい解放感を提供してくれる。
しかし炎天下に放置すると無茶苦茶暑くなるという弱点を持っている。
私は所要で朝の4時から昼の11時ごろまで陽の当たるところに放置していたが、焼けそうなほど車内は暑くなっていた。
また冷房の効きもあまりよろしくない。
「EVは大電圧で空調を動かせるので冬にすぐ暖かくなる」と聞いたことがあるが、このBYDの空調はヒートポンプ式である点を除いて弱いところだと思う。
トランクルーム
床下を開けると三角表示板やパンク修理キット、コンプレッサーが入っている。
反射ベストまで装備されている。これが入っている車種なんて見たことが無い。
中国語のステッカー。何かの試験に合格したらしいが、9,13は9月13日という意味ではない。
電動トランクのボタンは、ちゃんと閉じた後にロックする機能も備わる。
わざと指を挟んでみたが、特に強い力が掛かることもなく自動で戻って行った。
ナビシステムの使い勝手
この項目ではテスラのような大型のナビ画面を中心に紹介していこう。
ホーム画面の一番左にはナビ、Spotify、ラジオのアプリが並んでいる。
システムを起動するたびにナビアプリも再起動になるのが面倒だ。
最下段のショートカットボタンについて
画面下側に並ぶボタンたち。一番右は「戻る」である。右から二番目はホームボタン。どこからでもホームメニューに戻ることが出来る。
ナビ画面の回転
液晶下部のボタンとステアリング内のボタンの2か所にて、ナビ画面を90度回転させることができる。
しかし日中に縦長にしたら反射が気になってしまった。
私は横長でしか使わないと思う。コスト面でも故障リスクにおいても、私にとってはメリットがあまりないかなぁ…
本体設定アプリは縦長画面にも最適化されており、遊び心があって面白いけど。
空調
いつでも右下から温度自体は変更できる。オートエアコンに任せれていればストレスはほとんどない。
右下の温度をタップすると空調のオーバーレイが出てくるため、ここで温度や風向・内気循環と外気取り込みを切り替える。
風量調整が左側に寄っており、一段階ごとの調整が難しいのが難点。風向調整はこの画面の中からしか触れない。テスラと同じ。
換気/暖房タブで、シートヒーターとベンチレーション、ステアリングヒーターオンオフできる。
空気清浄モードには非常に助けられた。窓を開けて走っていたら有毒な排気ガスをまき散らすトラックの後ろについてしまい、咳き込んだり目が痛くなったりするような異常が身体に現れた。
そこで窓を閉めきって急速清浄モードを使ってみたところ、1kmと走行しないうちに一気に車内環境が改善した。
排ガスが臭い旧式トラックや2ストロークのバイクなどの被害から速やかに逃れられる神機能だ。
一定時間で自動で切れるため切り忘れる心配もない。
Hi,BYDを起動したタイミングでエアコンの風量を抑えてくれる機能や、クルマから離れている際も車内の空調を動かすシステムのメニュー。
壁紙やテーマも変更できる。
本体設定メニューからオーディオのプリセットやカスタム設定も可能。
単位の変更もある。パワーをHPにするとメーター左側の瞬間エネルギー計が分かりやすくなるが、急速充電中に何Kw出ているか分かりづらくなる。Kw推奨。
先進安全装備系のメニューもあるが、モノによってはシステムを切る度にリセットされるため非常にうっとうしい。
「勝手にハンドルを取られる」というステアアシストの解消方法
BYDや最近のトヨタ車に乗っていると頻発するのが、ステアリングアシストが介入してきて勝手にハンドルを取られるという欠陥である。
これを解除するにはまず本体設定のアプリを開き、
右上のADASを開き、
ドライビングアシストのタブの中の「レーンサポートシステム」を開き、
一番上のレーンアシストと、
さらに下の緊急時レーンキープアシストも切る必要がある。
これをシステムを始動するたびに行う必要がある。
どちらも切っておかないと、突然ハンドルを勝手に取られてストレスや変な疲労が溜まる。
勝手にハンドルを取られるのはここ数年のトヨタもそうだが、あっちはナビ内から一度切れば設定が保存される。
ここがBYDシールに対する最大の不満点かもしれない。
仮眠中に画面をオフにするには?
システム設定のディスプレイから、「マルチメディアスクリーンセーバー」をOFFに設定しよう。
運転席側のメーターは車両モニターの明るさ制御から暗くできる。
左端の電源ボタンを押すと画面が切れる。
再タップでまた明るくなる。
運転席側のメーター画面の使い方について
テスラとは異なり、運転席側にもディスプレイが装備される。
ヘッズアップディスプレイと相まって、変な視線移動が無いため運転もしやすい。
なおナビ画面を操作したり速度違反警告を消す際は、先に赤丸で囲ったボタンを押してからカーオーディオと同じボタンで操作を行う。
操作の途中に勝手に戻っていることがあり、右に行こうとしたら次の曲に勝手に変更されるという事案が多発。
長い動画やオーディオブックを再生している最中に起きたら発狂モノである。
この操作系についてはバッドだ。
さてナビ内を見て行こう。赤丸で囲ったボタンを押すとメーター中央部の表示が変化する。
連続運転時間や平均時速の表示。
これは充放電の状況が見られるモニター。
2種類の電費表示。直近50kmと直近100kmの切り替えなのだろうか?
個人的にはWh/kmとkm/kWhの切り替えの方がありがたいのだが…
空気圧モニター付き。ガソリンスタンドにいちいち寄る必要がないため、メーター内から確認できるのは便利である。
右に行くと何かの速度設定。クルーズコントロールの設定車速だろうか?
よくわからなかった。
メーターのデザインを2種類で変更できる。モーターの出力・回生状況がバーで表示されるためクラシックの方がオススメ。
エアコンの温度をここで調整できる。こっちは液晶内からすぐに触れるのであまり使わないが、画面で映画でも流している場面では重宝するのかもしれない・・・
エアコンの風量もここで調整できる。オートエアコンが解除されるため使い勝手が良いのかは不明。
エラーがあれば表示されそうな画面。
加速度タイマー。
トラックモードではない。カッコ良いアニメーションで0-100加速タイムを自動測定してくれる。
充電中はこの画面で固定されてしまう。50kw級の充電器に繋いでいるが、86%オーバーでも42.7kwを許容している。
逆に安全性や耐久性が不安になるレベルの充電能力だ。
さてこちらがキーである。気泡が見えるのは保護フィルムを剥がしていないため。一番下の機能は分からなかった。
累積電費は6.41km/kWh
直近で走行した611kmの累積平均電費は15.6kWh/100kmである。これは6.41km/kWhとなった。
空いてる高速道路を免許が無くなるような速度でかっ飛ばしたり、深夜の山道を思い切り飛ばしたり、昼に空調を使ったり、混雑した道路を周りに合わせて安全運転したり。
bz4xで同じ走りをすれば4km/kWhも出るか怪しい。電費は良好。平均のちょっと上の性能を有していると言えそうだ。
もちろん色々な走り方を試した上での電費なので、エコな運転に徹すればもっともっと良い数値が出るだろう。
EVネイティブ氏の検証結果と比較
以下の図はEVネイティブ氏のシールの検証動画にて掲載されていたものである。
前回のリサーチ記事でも説明した通り、平均時速100km/hで走った際の電費は7.12km/kWhである。
私の6.41という数値は高速道路を100kmで巡行するより悪い実電比であるわけだ。
充電と15分回復距離について(電費は6.765km/kWhで計算)
充電セッション①:50kw級・36分で73%→96%
23時31分から24時7分まで、36分間50kw級に繋いだ。
充電前の残量は73%。メーター上ではあと462km走れると書いてある。
85%を過ぎても42.7kwの出力を維持。
内外装の動画を撮ったりこのブログ用の文章記録を取っていたら、あっという間に30分経っていた。
充電を終える頃には96%まで回復していた。96%時点でも42.5kWもの出力。
約42.5kWで36分充電したので、約25.5kW入ったことになる。
36分で25.5kwということで、10分で7kw、15分で10.63kwである。
充電セッション②:50kw級・18分で89%→100%
1時33分から1時51分まで、100%で停止するまで50kw級で充電した。
82.56kWhの11%は9.1kWhにあたる。
急速充電でここまで入れる機会というのはほぼ無いだろうから、15分回復距離の計算からは省こうと思う。
この道の駅には100kw級がある。
私はYouTuberなので「中国EVを超急速充電したら燃える?」みたいな動画を作ってやろうという魂胆だ。
それを目当てに来たのだが、バッテリー残量が約9割。充電中に他のEVが来たら申し訳ないので、隣の50kw級を繋いでしまった。
ちょっと休んで再び電費関連の記録を取っていると、休む間もなく100%で車両側が自動で充電を停止させてしまった。
まだ休みたかったのに…
なお自動停止する直前で出力が下がり出し、数秒前のタイミングで10kwまで出力が下がった。
実車で求めた50kw級における15分の回復距離を求めてみる
いま挙げた2つの充電セッションや参考電費から、50kw級に15分繋いでおくと何kmぶんの航続距離が回復するか求めよう。
とはいっても2回目は100%でストップするまで繋いでしまったため、1回目の充電セッションの数値を用いるつもり。
念のためにこの電費での満タン時の航続距離を挙げておくと約558kmである。
82.56kWhのバッテリー容量を元に計算する。50kw級に繋げば30分で25.5kw・10分で8.5kw、90kw級は84kwがずっと持続する前提で30分で42kw、150kw級の充電性能についてはEVネイティブ氏の検証結果より、30分で38.55kw、10分で12.8kwとした。
まずは30分回復距離。よく見ると90kw級の方が150kw級よりも速いという逆転現象が起きているのは計測の仕方によるもの。実際の回復距離はもっと長いものとなるだろう。
走行スタイル | 電費 (km/kWh) | 航続距離 (満タン時) | 50kw級の30分回復距離(25.5kw想定) | 90kw級の30分回復距離(42kw想定) | 150kw級の30分回復距離(38.55kw想定) |
平均80km/hで巡行 | 8.18 | 675.34km | 208.6km | 343.6km | 315.3km |
平均100km/hで巡行 | 7.12 | 587.82km | 181.2km | 299.0km | 274.5km |
WLTCモード電費 | 6.75 | 557.28km | 172.2km | 283.5km | 260.1km |
様々なスタイルで走行 (私が乗った際の数値) | 6.41 | 529.21km | 163.5km | 269.2km | 247.1km |
平均119km/hで巡行 | 5.32 | 439.2km | 135.7km | 223.4km | 205.1km |
次に10分回復距離。基本的に3で割っただけ。
走行スタイル | 電費 (km/kWh) | 航続距離 (満タン時) | 50kw級の10分回復距離(8.5kw想定) | 90kw級の10分回復距離(14kw想定) | 150kw級の10分回復距離(12.8kw想定) |
平均80km/hで巡行 | 8.18 | 675.34km | 69.53km | 114.5km | 104.7km |
平均100km/hで巡行 | 7.12 | 587.82km | 60.52km | 99.7km | 91.1km |
WLTCモード電費 | 6.75 | 557.28km | 57.38km | 94.5km | 86.4km |
様々なスタイルで走行 (私が乗った際の数値) | 6.41 | 529.21km | 54.49km | 89.7km | 82.0km |
平均119km/hで巡行 | 5.32 | 439.2km | 45.2km | 74.5km | 68.1km |
2つの表を合わせたもの。
走行スタイル | 電費 (km/kWh) | 航続距離 (満タン時) | 50kw級の30分回復距離(25.5kw想定) | 50kw級の10分回復距離(8.5kw想定) | 90kw級の30分回復距離(42kw想定) | 90kw級の10分回復距離(14kw想定) | 150kw級の10分回復距離(12.8kw想定) | 150kw級の30分回復距離(38.55kw想定) |
平均80km/hで巡行 | 8.18 | 675.34km | 208.6km | 69.53km | 343.6km | 114.5km | 104.7km | 315.3km |
平均100km/hで巡行 | 7.12 | 587.82km | 181.2km | 60.52km | 299.0km | 99.7km | 91.1km | 274.5km |
WLTCモード電費 | 6.75 | 557.28km | 172.2km | 57.38km | 283.5km | 94.5km | 86.4km | 260.1km |
様々なスタイルで走行 (私が乗った際の数値) | 6.41 | 529.21km | 163.5km | 54.49km | 269.2km | 89.7km | 82.0km | 247.1km |
平均119km/hで巡行 | 5.32 | 439.2km | 135.7km | 45.2km | 223.4km | 74.5km | 68.1km | 205.1km |
なお電気自動車において50kw級の急速充電器は遅い部類に入る。
ほぼすべてのEVユーザーが90kw級以上の急速充電器にしか立ち寄らない。
50kw級の充電器なんて、90kw級以上の充電器が無い空白地帯を走破するための最低限の継ぎ足しにしか使わないのである。
満タンなら558km、80%なら約446km、60%でも約335kmは走れるのだ。
これは満タンで東京都内の自宅を出発したら充電無しで大阪に到達可能な数値である。(以下のマップでは姫路城が目的地だけど、新東名の120km/h制限の走行ペースや空調次第では怪しいので大阪だと言っている。)
ちょうど名古屋近郊の湾岸長島サービスエリアに、上下線とも150kw級があるらしい。ここまでは休憩無しで突っ走っても構わないわけだ。
(湾岸長島の150kw級は2台分しかなく、2台目が充電を始めると90kwに制限されるという特性があるためガチャ要素が強い。)
(中国車ゆえの不安)
昔から安かろう悪かろうなイメージが付きまとう中国製品。
みんなも自分でネットで何か買って失敗したり、中国関連の製品の嫌なニュースを日常的に聞いていることだろう。
これはBYDにおいても同じであり、事故った際にエアバッグが作動しなかったり、そもそもブレーキが効かなくなったりするトラブルの事例が報告されている。
それは安物の話だろうって?
いやいや、ブレーキが効かなく不具合についてはドルフィンで発生したものだ。
暴走事故はクルマのせい?乗り手のせい?
EVに乗ったこともないクセに批判している人は知らないが、基本的にEVというのは無茶苦茶速い乗り物だ。
ガソリン車でいうところの3リッター級の6気筒ターボに相当するような加速力を普通に出してくる。
タイヤのグリップ限界も高いためラフにベタ踏みしてもあまり危険はないが、それでもホイールスピンを起こす場面は出てくるだろう。
その先で制御をミスれば、アメ車のShow off Failsのように事故ることになる。
加速性能や安定性が高すぎるために、高速道路でも知らぬ間に160km/h以上出る。
そんなスピードでボーっと走っていて事故っても完全に乗り手のミスである。
でも中国車ゆえの不安が消えて無くなるわけではない。
私が運転して確かめた限りは非常に高品質なクルマだったが、個体差を考えるとやはり不安は残る。
あと数か月もすれば何かしらの事故・火災の事例は起きるだろう。