【インプレッション】結局マツダは「デミオ」が一番なのでは?【MAZDA 2】

試乗インプレッション

タイトルで「デミオ」と書いたが、今回乗っていくのはマツダの「2」だ。

私は個人的に「マツダ車で一番良いの、デミオ説」をずーっと持っていたため、ゴールデンウィークの早朝を利用して、自分で検証する。

なお、今回の試乗車は、タイムズカーシェアで借りた。

試乗車のスペックについて

例によってカーシェアでは、最廉価グレードが選ばれがちだ。今回のグレードは「15S」だと予想する。以下の諸元ページから、いくつかピックアップして紹介する。

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  • 新車価格は154万円
  • サイズは4065×1695×1500mm
  • 車重は1060kg
  • エンジンは1.5リッター直4自然吸気
  • 最大出力は6000回転で110馬力
  • 最大トルクは4000回転で141Nm
  • FFの6速AT
  • タイヤサイズは前後とも「185/65R15」
  • 最小旋回半径は4.7メートル

ちなみに、グレードごとの詳細な違いが知りたい方は、以下の記事を参照して欲しい。

マツダ2のグレード別の特徴や違いを比較解説!おすすめは?(2019年~現行モデル) | おすすめグレードならカルモマガジン
「小さな高級車」といえるラグジュアリーなグレードの設定もあるマツダのコンパクトカー「マツダ2」。マツダ2は多彩なグレードの選択肢があるため、よく比較検討する必要があります。ここでは、マツダ2のグレードごとの装備や燃費、車両本体価格などを比較...

どうやら、上位の1.5リッターのディーゼルターボを選ぶと、最大トルクが250Nmまで向上するらしい。

元の軽さが効いているため、街乗り程度の速度域では最廉価グレードでも不満はないが、知っておいても損はないだろう。

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外観について

「2」という呼びづらい名称に変わってから、主に顔つきが代わり、メッキの加飾が入るようになった。

「安く乗れる経済的なコンパクトカー」であったデミオを、高級感あふれるマツダブランドに溶け込ませるため、「とりあえずメッキ貼り付けて高級感出しとけ感」があるように感じて、個人的にはこのデザイン、あまり馴染めない…

リアから見れば、誰もが慣れ親しんだデミオだ。

偉大なる日本のコンパクトカー試乗を、昔から担っているデミオの後ろ姿だ。

ちなみに、細かい話にはなるが、空力を意識しているのだろうか、給油中に、リアガラス脇に謎のカバーを見つけた。

こういう自動車メーカーの細部のこだわり、わたしは好きだ。

内装について

新車価格が150万円であること、最廉価グレードであることを考えると、褒め称えたいレベルで良い

「高級感」という言葉は少し似合わない気がするが、安いクルマらしく潔いほどのコストカットを行いつつも、その形や造形には、マツダ車のブランドを残す。

相変わらず開発陣の、コスパに対する努力を感じられる。

運転席に座ってみよう。大きな感動は無いが、良い車内空間だ。

「これで良いじゃないか」と思ってしまう。

各部の簡素さや装備の不充分さこそあれど、安くアシが欲しいなら、コレを買っておけば不満はあまり出ないだろう。

左後ろの視認性も大変良い。

ここから先は、内容に関する細かい話をしてみよう。

まず、パワーウィンドウと、ミラーの調整部分には、カーボン柄の装飾が入る。

アシスト装備系は、運転中に押そうとすると、ハンドルがジャマで危ない。

自動ブレーキやブラインドスポットの警告、車線逸脱警報など、一通りの装備はついているようだ。

最廉価グレードらしく、エアコンはマニュアル。

CDを入れる口もあるのが驚きだ。地方在住の、年配の方にも買ってもらおうとしているのだろうか。

センタコンソールは簡素だ。

ブレーキホールドが無いのが残念なところだが、Dレンジからシフトノブを右に倒せば、マニュアルシフトが可能になる。坂下りで重宝する機能だ。

シフトノブの下は、スポーツモードとノーマルモードの切り替え。

メーターは簡素で、タコメーターすら無い。左側の「MAZDA 2」は、走行中も「MAZDA 2」だ。

潔いほどのブランク。エコアクセルメーターもないが、廉価グレードのメーターなんて、こんなものだろう。

エアコン吹き出し口は、車格に見合わぬ高級感を持つ。

全方位に動かせることに加え、中央のノブを回転して、奥を閉じることも可能だ。

カーナビの画面は、2017年発売の車種として見ても、さすがに小さい。必要充分ではあるが。

忘れる前に書き加えておくと、カーオーディオの音質はいい感じであった。

これがカギである。後ろ側から物理キーを引っ張り出すことも可能だ。

なんかGT-Rとそっくりだな笑

またまた忘れる前に書いておくと、リアのワイパー用のウォッシャー液は、ハイマウントストップランプ右側の、小さい口から元気よく噴射される。

形状的にリアガラスは風が当たらず、汚れが溜まりやすそうなので、頼もしい機能だ。

試乗インプレッション

さあエンジンを掛け、出発していこう。

乗り心地について

意外にも硬く、結構コツコツとしている。

段差を越えたときも、ダンパーはわずかにストロークしてくれるが、車重の軽さと合わさって大きく身体が揺さぶられてしまう。

あまり快適とは言えないが、許容範囲内だと言える硬さだ。

アシが硬められ、動きが抑えられることによって、走行安定性は高まり、しっかりとした走りが手に入っているため、良いトレードオフなのではないだろうか。

ステアフィールについて

意外にもゆったりとしている。

ハンドルを揺さぶっても、ワンテンポ遅れてから追従する。

それゆえ、急激にはロールしないので、負荷を掛けていっても、安心感がある。

年配の方向けというか、急ハンドルを行っても、急旋回はしないようなステアフィールだ。

ハンドル自体は軽く、センター付近もクイックだ。

軽さゆえ、フロントタイヤとの接続感や、クルマ全体の挙動の一体感はあまり無い。

だが、スポーツブランドではなくて、普通のコンパクトカーなんだから、これで充分だろう。

パワートレインについて

元がエコを優先した小排気量エンジンであるため、走り出しからそこそこ元気よく回る。

「トヨタとレクサスの中間」といったレベルで緻密に組まれ、静かに回るエンジンが多いマツダ車のなかでも、ひときわ元気に、荒々しく唸るエンジンだ。

製造過程での緻密さを削って、安さを実限しているのだろうが、中回転域に、マツダ車特有の声のようなものを感じる。

この元気の良さ、むしろガソリン車に乗っている感が出るので、個人的には好印象だ。

ただ、CVTではなく、多段式ATであるため、頻繁に生じるシフトショックがどうしても気になってしまう。前後に揺さぶられる不快さと、多段式ATであることよる優位性は、釣り合っていないように思う。

タコメーターがついていないので、どこまで回すことが出来たか分からなかったが、加速は結構速い

エンジンの音の乱暴さと合わさって、迂闊に踏み込めない。

この手のコンパクト車あるあるの「絶対的な加速力が無さ過ぎて、円滑な走行や安全な合流に師匠をきたす」といったことは全く無い。燃費性能も良好で、出力や官能性も併せ持つ。

たいへん良いエンジンだ。

坂道発進の際もアシストしてもらえる。

その他

ステアリングの素材は、レザーなのだろうか?

プラスチックだと判定するには、握り込むと凹んでいくような感触があるため違う。でも本革らしくはない。謎の素材だ笑

アイドリングストップは、一定速度以下でどんな状況だろうと作動するのではなく、停止後に、ブレーキを奥まで踏み込むことで、始めて作動する。道路状況に応じた判断ができるため、すべての車種がこういう制御をしてくれればいいのに…

運転するにあたって、なんの困難も、苦労も無かった。本当に普通に乗れてしまう。視認性や操作系統の配置、車体サイズなど、良く作られているのだろう。

まとめ

経済性・走行性能・官能性、すべてが最高だ。

いまグランツーリスモをプレイして、「フィット・ヴィッツ・デミオ」の中から1台だけ選ぶなら、私はデミオを最初の相棒にするだろう。

マツダ車が好きで、地方住みで、とりあえず安くクルマを買いたいなら、選択肢はひとつだ。

新車価格だって100万円前半なので、買おうと思えば、これだけ良く作られたクルマが誰にでも買える。

「マツダブランドは顔つきだけ」なんていうことは決して無い。この価格の中で、やれることをやって完成させてある。

面白い体験だった。

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