新型が発表されたばかりのソルテラ。bz4xとの違いを確かめるべく借りてきた。
箱根の山間部を思い切り走り回ってトヨタとの味付けの違いを確かめていくぞ。
冒頭のまとめ
私の感想としてはbz4xの上位互換であった。
ヘキサゴングリルとコの字型ヘッドライトはbz4xよりもカッコよい。
乗り心地には程よいストロークが持たされ、ハンドリングは限界域までニュートラル。
旋回時間の長いカーブでは、タイヤの限界を穏やかに引き出してタイヤを鳴らしながら気持ちよく曲がれる。
600~700万円という価格の割に内外装が安っぽいのが弱点。
外観
コの字型のヘッドライトとヘキサゴングリルがカッコいい。

bz4xと基本的に同じ造形だが、左右を繋げて近未来感を出そうとするトヨタとコの字型のラインを用いるスバルの違いがある。


フェンダー部の樹脂の面積が広く、600万円台という新車価格に対する外観の質感は低いと言わざるを得ない。

充電ポートもペラッペラで安っぽい。
しかもフロント側に配置されているため、窮屈な充電マスでは地獄を見ることになるかもしれない。

内装
上位グレードになるとオレンジの内装が選べるが、ベースモデルではbz4xとの違いがほぼ見当たらない。


違いと言えばパワーモードが選べることとパドルシフトが付いていること、ドライバーを監視するモニターが付いていることとステアリング中央のスバルエンブレムぐらいだろうか。
二列目の居住性と質感
bz4xとソルテラの二列目は意外と広い。大人でも快適に乗れる。

しかし質感があまりにも低い。


静粛性と音響
Bz4xと比べて静粛性は向上しているようだ。
フロア周りもガラスも、全体的に騒音が抑えられている。
走っているとたまに「静かだな」と感じることができるレベルになった。
音の広がり方に低音が広がっていくような、臨場感がある。
ドラムの低音はスピーカーのコーン紙をドンと叩いて起きた空気の波がそのまま身体に入ってくるようだった。
音が常に響いて反響しているような新鮮な感覚。
イコライザーで高音を少し下げるとバランスが最適化され、大満足の音響空間となる。
上位グレードにはハーマンカートンが付いてくるわけだが、こちらの方のグレードでも全く不満はない。
スペック・グレードや価格・諸元など
ソルテラ vs bZ4X:内装・装備・駆動性能の違い
🎵 内装装備の比較
| 装備項目 | ソルテラ(ET-HS) | bZ4X(Zグレード) | 解説 |
|---|---|---|---|
| シート素材 | 合成皮革(タン/ブラック) | 合成皮革(ブラック) | ソルテラは明るいタンカラーを選べる |
| オーディオシステム | ハーマンカードン(12スピーカー) | JBL(9スピーカー) | ソルテラの方が臨場感・音質で優位 |
| パノラマムーンルーフ | 標準装備 | メーカーオプション | ソルテラは上位モデルで標準 |
| 内装カラー | 選択可(タン/ブラック) | ブラックのみ | インテリアの個性を出せるのはソルテラ |
🛞 駆動性能とX-MODEの比較
| 項目 | ソルテラ | bZ4X | 補足 |
|---|---|---|---|
| X-MODE搭載 | AWD車に標準装備 | AWD車に標準装備 | どちらも雪道や泥道に強い |
| X-MODEモード | SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUD | SNOW/DIRT、DEEP SNOW/MUD | 制御内容は基本共通 |
| グリップコントロール | あり | あり | どちらも悪路の定速走行サポートあり |
🛒 販売形態の違い(※2024年時点)
| 項目 | ソルテラ | bZ4X | 解説 |
|---|---|---|---|
| 購入方法 | 通常販売(ディーラー購入可) | 通常販売+KINTOリース | 以前はリース専用だったが現在は一般販売も開始 |
| 支払い方法 | 現金・ローン・残クレ | 現金・ローン・KINTO | bZ4Xも柔軟になってきている |
📝 まとめ
- 内装やオーディオの質感で選ぶなら → ソルテラ(ET-HS)
- 販売チャネルや価格優先 → bZ4X(Zグレード)
- どちらもX-MODEやAWD制御に優れており、実用性能は非常に高い
タンレザーの鮮やかな内装とharman Kartonのサウンドシステムが選べるのはソルテラのみだ。

実走行インプレッション
取り回し
微妙にデカいため、狭いところではカメラシステムとソナーがあっても余裕がない。
大柄なクルマに乗っているという自覚を忘れたらドカンと行きそうだ。

小回りはそこそこ。
サイズのせいで乗りやすくはないが、視点の高さとボンネットの見切りの良さによって狭い道でのすれ違いにはあまり苦労しない。ラクとも言い難いけど。

周囲を警戒するアシスト装備が付いているのは良いが、ちょっとでも周りを人やクルマがウロチョロしてると等々にクルマを止めてくるため鬱陶しい上に逆に危ない。

車が勝手に止まり、あれ?と思ってアクセルを踏み込んだ瞬間に急発進して事故。といったトラブルも起きそうである。
乗り心地
ダンパーがしっかりとストロークしてくれるため、全体的に硬派だったbz4xと比べてこちらのほうが乗り心地は良いと感じた。
駐車場から出るために縁石を乗り越えた際もゴシュっと足回りが縮んで衝撃を緩和してくれる。
路面の継ぎ目でもしっかりとアシがストロークするのを感じるが、ちょっとでも強い衝撃が入るとバンプラバー部分で飛び跳ねるような動きになってしまう。
重量に対して足回りのバランスが取れていないのか、周期的に段差を超える路面では底付きして地面に叩きつけられた後に飛び上がるような、上に下に過剰に揺さぶられるような乗り味となることも。
高速道路などでスピードを上げて行っても、この上下方向への動きの抑え込みの悪さが安定感の邪魔をしてくる。
スバル車だと考えると乗り心地のツメが少々甘い印象。
電子制御ダンパーで減衰力の引き締め具合を調整できたなら少しは改善も見込めただろう。
パワートレイン
最大でも200馬力程度なので箱根の登りでは足りない。
高速道路の追い越し車線を走る際も加速力不足になりがち。
114km/hあたりから途端に伸びが悪くなり、アクセル開度の割には速度が伸びない状態となる。
恐ろしいほど暴力的な加速を持つEVたちの中では走る楽しみに欠ける。
とはいっても40km/h程度の中速域からズドンと踏むとかなり強く押し出され、途切れの無い加速が持続するため走り心地はよい。
パドルシフトによる回生力選択は市街地走行で便利であり、ワンペダルドライブは狭くて勾配の険しい道を下る際に大いに役立ってくれる。
ハンドリング
切った分だけスムーズに入っていく完璧なニュートラルステアだ。
タイヤグリップの限界値付近までクセのない素直な旋回特性のまま曲がっていくことができる。

重量こそ嵩んでいるが、タイヤがしっかり踏ん張ってくれるためダウンヒルの急カーブでも怖くない。
ブレーキも必要充分に効いてくれる。
持ち前のコントロール性のおかげで40km/h制限の幅の狭い道路においても気持ちよく走り抜けていくことが可能だ。

多少の路面のうねりなら姿勢を乱されることなく走り抜けられるが、強めの段差を超えると重さや重量のせいで姿勢を乱されがち。
まとめ
EVらしくスムーズ&ニュートラルな旋回特性を味わえるが、加速も内装の質感も乗り心地も、競合に比べて詰めが甘いと言わざるを得ない。
最大の問題点は500万円台中盤のBYDシールにボロ負けしているところだ。
音響・静粛性・加速・EV性能などなど、ほぼすべての要素において負けている。
勝っているのは210mmある最低地上高くらい・・・?
わざわざコスパで劣る本車を選ぶ理由がどこにあるのだろうか…