所要で大垣市に行くことがあったので、ついでに歴史に関する施設である大垣城と、奥の細道に関する記念館を訪れてみることにした。
奥の細道むすびの地記念館
松尾芭蕉の『奥の細道』についてはみんなご存じだろう。
日本中を旅しながら書かれた本書だが、実はその旅は大垣で終わっていたのだ。
そういう意味の「奥の細道むすびの地」なのである。
この施設では松尾芭蕉の旅路と共に、彼の生涯や書いた作品を振り返ることが出来る。
壁面には奥の細道の文章が解説付きで掲示されている。じっくり読んでいたら1時間くらい掛かりそうだ。
他の文学作品のオマージュ、引用についても判明している物は解説されており意外と奥が深い。
RTA動画で淫夢語録を使うようなものなのだろうか。。。
他にも何個かジオラマが設置されている。
これは日本海沿いの親子がすれ違えないレベルで狭い難所の模型。この模型と共に解説文に書かれている句を読むのが面白いのだ。
これは旅の出発地である芭蕉庵だ。
「草の戸も住み替はる代ぞ雛の家」のあれだ。
「へぇ・・・ こんなところに住んでたんだ… と思うことが出来る。この頃から鯉を飼ってたのね。」
道具に関する解説もあった。
周辺について
都市化された大垣の市街地だが、水門側沿いは風情溢れる景色が広がる。
「住吉燈台」という河川版の灯台・信号機のようなものがあったり、
ちょっとした神社があったり。
芭蕉の「蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ」になぞらえて、ハマグリ型の縁結びのお守りを結びつける場所も用意されていた。
記念館側は閉じられていたが、この神社脇からなら河原に降りることが出来る。
この川沿いに、『奥の細道』で詠まれた句をズラーっと並べた展示があるようだ。
オススメ度:奥の細道や歴史に興味ありなら星5。無いなら星1.5。周辺環境込で星2.5
歴史には関心を持っているつもりだったが、私はまだまだ知識・教養不足だ。
そんな中で文化的素養を養うための場所として、私はこの場所をたいへん気に入った。
しかし肝心の施設はジオラマがちょっと面白い程度でパッと見て感じられるような見どころは皆無。
大抵の人間にとって、この後に大垣城を合わせても不完全燃焼感が強まる一方だろう。
入り口に重点的においてあるアニメの立て看板も集客効果がどこまであるのか不明。
自分で発見や理解を積み重ねられるタイプの人間には面白いだろう。
「なるほど、松尾芭蕉は松島の景色に感動したんだな」だとか、「自分が行ったことがある場所で松尾芭蕉も句を詠んでいたのか」だとか、「”乞食(こうじき)いただきたく候”とかいってて草」だとか。
大垣城
お城と聞けば立派なものを想像するかもしれないが、実物は3階建てのアパートレベルに小さい。
あんまり期待しないで欲しい。入館料は郷土資料館とセットで200円と安価だが、その程度の付加価値しかないという意味でもある。
なお基本的に無料駐車場は無い。大垣城北側のコインパーキングが30分100円程度で利用できる。失礼ながらそんなに長居するような場所でも無いので500円もあれば駐車場代込で城を見て行けるぞ。
入園料は200円。3階建てのコンパクトな建物だ。
1階部分には火縄銃や弓、甲冑などが展示される。
非常に面白かったのが、実物を元に再現された火縄銃と弓矢に触れることだ。
ズッシリと重く、照準器が簡素で当たる気がしない火縄銃と、思っていた以上に硬くて渾身の力で引っ張らないといけない矢。
触るどころか撮影すらNGな展示が多い中で、自分で触れて感触を味わえるのは嬉しかった。これだけで評価を上げたいくらい。(その程度の魅力しかないと言えなくはない…)
城下町の模型のようなものがあるが、肝心のお城が無い。というか大垣市街のものなのかも分からない。
下の画像は郷土資料館にある模型。こっちが本命だろう。
これは当時のお城の内部を描いたものだ。
実は城の内部というのは非常に質素なものであり、ほとんど装飾はされなかったらしい。
どちらかといえば見栄最重視で、殿様が登ることもほとんど無かったとか。
最上階はちょっとした展望台のようになっているが、大して高くないので周囲のビルに阻まれまくって眺望はよろしくない。
これは東側を撮ったもの。
岐阜城がこの方角にあるらしいが見当たらない。
オススメ度:お城巡りが好きなら星3.5。観光地としては星1.5
入館料こそ郷土館とセットで200円と安いが、お城の外観には大した迫力がなく、最上階からの眺望も微妙で展示内容も豪華と呼べるほどではない。
わざわざ来るほどのものではないだろう。
周辺地域に住んでいる地元民が飽きたころにサクッと来る程度の場所でしかない。
地味な問題として階段が急で幅も狭く、バリアフリー要素に欠けるというものもある。
郷土資料館や文化の学習と合わせて行くなら価値は見いだせる。
大垣市郷土館
入館チケットを提示すれば無料で入れるのが大垣市郷土館である。
大垣公園の西の道路を渡ったところにある。大垣城からは徒歩3分ほど。
施設名の掲示が無く、一見すると個人宅のようにも見える建物となっているため入り口が非常に分かりづらい。
右側の自動ドアから入る。控えめながら美しい日本庭園が館内からも見える。
入ると見えてくるのが大垣城周辺を再現した模型。
いまとなっては大垣城周辺はお城があるだけの公園でしかないが、当時は何重にもお堀が敷かれていたようだ。
大垣城からここに来るまでの過程で、昔はお堀だった場所を歩いてきたのも分かる。
大垣まつりに関する展示や、戦国時代に使われていた物品(お盆や筆記具)などが展示されていた程度。
2階で「輪中」という堤防の写真が展示されていたが、わざわざ200円払ってまで入りたいかと言われると非常に悩ましいところ。
オススメ度:大垣祭や歴史が好きなら星3.5。大垣城の付属品としても星1.5
大垣まつりが好きだったり、歴史・文化に関心があるなら来ても良いと思う。
しかし他人にオススメできるような要素はほとんどない。子供が来ても絶対楽しめない。
周辺地域に住んでる50~60代以上の夫婦が、暇を持て余して歴史の探求がてら訪れるのなら悪くない程度。
まぁ歴史に関連した施設って、大々的に観光地化していない限りは大半がそんなモノなのかもしれないけど。。。