「相手の立場で考える」という習慣は非常に大事なものである。
これは就活にも当てはまるものだ。
適切に活かしていくことで、話せるようなガクチカが現状無いような学生でも強引に企業が求める学生像になりきってES・面接の突破を狙える。
早速本編に入っていこう。
全体の流れ
私が提唱する流れを手短に説明すると以下のようになる。
まずは企業が欲しがりそうな人物像を明確化し、そこに自分自身を合わせていく。
あとは選考に関する全ての過程において整合性を保てるように頑張ってウソを付く。
「企業側が欲しい人材」を逆算して求める
この攻略法においては「相手の立場になって考える」というアプローチが重要なものとなる。
自分が何者かは無視して、企業の採用担当者はどういう人間を求めているのか考えてみよう。
そんな人間を演じるのだ。
だいたいの企業において理想的とされる人材は、以下のような能力を持っているだろう。
- コミュニケーション能力
- 継続性
- 最低限の身なり、身だしなみ、マナー、言葉遣い
- 周囲の人と強調して物事に取り組んで行く人間性
- 客観的にアピールできる資格などの実績
これに加えて、業界や企業によって固有のものがあるかもしれない。
求められていそうな要素を書き出せるだけ書き出してみよう。
- 飛び込み営業にへこたれない精神力→居酒屋のキャッチのバイト経験を話す
- 丁寧かつ上品な接客→ホテルの受付や高級店での接客バイトの経験を話す
- 体力が求められる職場→運動関連の実績について話す
- 海外とのやり取りが必要→ゲームやSNSの交流でも良いので、英語でコミュニケーションを取った経験を話す
- ミスが許されない職場→集中力・注意力の高さや、ミスを防ぐ立ち回りをアピール(メモを取るクセなど)
ここまでやれば明確だろう。
理想的な人格を作り出し、面接で実体験・実績としてアピールするべき要素を書き出すのだ。
エントリーシートや面接、適正検査などの全ての選考段階で整合性の取れたウソを付きとおすのだ。
「企業が求める人材」を知る方法
会社の人に直接聞く
1つ簡単な方法がある。会社の人に聞くのだ。
会社説明会にでも出向いて、
「大変有意義な話をありがとうございました。私はまだ大学○年生で社会人のことが分かりません。就職してから活躍するために今のうちから備えたいのですが、大学生のうちにどういったことを行えば良いでょうか」
といった具合に聞いてみると良いだろう。
求人ページに書いてある内容を読んでみる
トヨタ自動車の例
今回はトヨタ自動車の募集要項ページを開いてみる。
技術職・業務職・医務職の3つに分かれているようだ。
ここで一般職の欄にヒントを見つけた。
『自ら考え、関係者を巻き込みながら業務プロセスを遂行』と書いてある。
つまりこの場合では、自分の意志でモノを考えて課題を解決していく能力と、周りの人と協力しながら何かを成し遂げたエピソードをアピールするのが好ましいと考えられる。
トヨタ記念病院の例
トヨタ記念病院の求人サイトから、2025年新卒の看護師の求人を見てみようと思う。
ここには「看護室の理念」というものが書かれている。
ヒントになりそうなキーワードを強調しつつ引用する。
『人々の期待に応える優しい看護
*安全で安心、信頼される看護を提供する
*専門職として誇りを持ち、看護の質向上に努め、看護の発展に寄与する
*医療、保健、福祉のチームの一員として地域社会の健康増進に貢献する』
各キーワードごとに、ES・面接でアピールすると効果が見込めるようなエピソードを考えてみよう。
とりあえず書いたものなので、読みづらい文章だったら申し訳ない。
エピソードを考え出すアプローチを参考にして、自分のESを書く際のベースとして貰えたら幸いだ。
もちろん文章の推敲は入念に行うこと。
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まず「期待に応える」や「信頼される」というもの。
「学生時代から周りの子が忘れ物をしないように注意してみてあげた」ようなエピソードや、「バイト先の病院で薬を飲み忘れやすい患者さんに向けてカレンダーを自作していたこと」などを挙げると良いかもしれない。
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次に「看護の質向上」と「専門職としての誇り」だ。
これは「入社したら自分の看護スキルをもっと磨いてどんな事態にも対処できるスーパー看護師になりたい」という夢を語ってみたり、「家族・学校・運動部系サークル・職場の医務担当として、怪我の対応を行っていた」ことをアピールしてみたり。
また「通学中におじいちゃんが倒れている場面に遭遇し、救急車の通報やAEDの利用、症状の分析から普段持ち歩いているファーストエイドキットを用いた応急処置まで行った」というエピソード、もしくは「ファーストエイドキットを持ち歩いている」という意識の高さのアピールなどが効果的かもしれない。
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最後に「地域社会の健康増進に貢献する」というもの。
例えば「運動不足の兄が自分の勧めで筋トレを始めるようになった」とか、「おじいちゃん・おばあちゃんの健康のため余裕があればにウォーキングに付き合うようにしている」だとか。
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伊藤忠商事の例
ファミリーマートやヤナセでお馴染みの伊藤忠商事の求人ページも見てみよう。
ここは応募資格の欄にも事務的なことしか書かれていない。
しかしこのページの一番下に、『採用にかける想い』というページがある。
例によってキーワードをハイライトしつつ引用する。
アオい情熱を待っている
世界がめまぐるしいスピードで変わっていく時代。
私たちは既存の総合商社の枠を越え、未来への道のりを歩み始めています。だけど、この道のりは決して平坦ではありません。
幾多の壁が目の前に現れ、挫折する日や自分の不甲斐なさに落胆する日だって
きっとやって来る。でも、だからこそ私たちは肩を支えあう仲間の存在を
何より大切にしています。新たな仲間を探す一期一会の採用活動の中で、私たちは
自分の信念をツラぬき、口だけではなく行動で示す人、
常識や固定概念を壊し、道なき道を切り拓く人、
アオくさくて笑われてしまうような、でっかい夢に情熱を燃やせる人に
出会いたいと思っています。知識や経験だけでは新たな時代は切り拓けません。
どんなに技術が発展してもAIやロボットは未来の主役にはなれません。この青い地球を動かしていく原動力は、いつだって人が心に持つアオい情熱です。
あなただけのアオさを、あなただけの熱を、ありのまま見せてください。私たちは未来を創るアオい情熱との出会いを待っています。
伊藤忠商事株式会社
https://career.itochu.co.jp/student/message/index.html
やけに情熱的な文章が並んでいる。
幾つか示すなら、以下のような要素を含んだエピソードを話せると良いだろう
- 挑戦しながら挫折を乗り越えた話(たぶん成果まで出している必要は無し。)
- 仲間と支えあって何かを成し遂げたエピソード。
- 口先であれこれ言って終わりではなく、行動で実績を出せるアピール
- 常識に捕らわれずに既存の何かを打ち破ったエピソード(謎ルールを撤廃させた等。)
- 聞く側が行動への情熱を感じられるような夢を話せること。
おそらくチームで何かするスポーツ(サッカーや野球など)の経験があれば有利になるだろう。
また「既存のやり方に囚われずに何かをやって実績を挙げる」という経験を持っていけると大きなアピールポイントになるはずだ。
「戦力的に不利なチームを高度な立ち回りだけで大会上位に導いた」ような話があると良いのだが…
人事部・会社の人たちのメッセージや表情・人柄を見てみる
同じく伊藤忠商事から、採用担当メッセージのページを開いてみる。
人の顔が映っているのでここでは取り上げないが、どんな人たちが何をコメントしているか見ておくと、面接に向けて偽りの人格を作る際に参考になるだろう。
「自信を感じさせるスマイル」が良いのか。
「ゲラゲラと笑ったりはしない、落ち着きのある丁寧な立ち振る舞いと上品な話し方」が良いのか。
「ドシっと構えてマジメな人間性が伝わってくる」ような振る舞いが良いのか。
「誰にでもフレンドリーでどんな人間にも馴染みそう」な人柄が良いのか。
色々と考えてみよう。
合格者のエントリーシートの例
ネットで検索してみたところ、この伊藤忠商事にて実際に通過したエントリーシートが出てきた。
とりあえず書き記しておく。
♦ 1. あなたの一番の挑戦は何ですか。(20文字以内)
予備校の営業成績全国1位を目指したこと
♦ 2. あなたの一番の失敗は何ですか。(20文字以内)
中学生時のサッカー部の部活動
♦ 3. 自分の好きな点は何ですか。(20文字以内)
机上の計画を実際に実行できる点。
♦ 4. 自分の嫌いな点は何ですか。(20文字以内)
細かい確認を怠る点。
♦ 5. あなたのこだわりを教えて下さい。(20文字以内)
実現可能性にこだわらない目標設定。
♦ 6. 後悔していることは何ですか。(20文字以内)
中学時のサッカー部での部活動
♦ 7. やりがいを感じるときはどのような時ですか。(30文字以内)
組織で、前例のない新しいことに取り組んでいる際の過程。
♦ 8. 怒りを感じるときはどのような時ですか。(30文字以内)
仲間の中に目的意識を持たずに物事に取り組む人がいるとき。
♦ 9. 日頃、心がけていることを教えて下さい。(20文字以内)
目的意識、問題意識を持って行動すること。
♦ 10. どのような人生を歩みたいとお考えですか。(30文字以内)
いつまでも前例のないような仕事に没頭していたい。
♦ 11. ストレスを感じるときはどのような時ですか。(30文字以内)
自分の自信があった部分が、相手に通用しない・認められない時。
♦ 12. あなたがリーダーになるために必要なものは何ですか。(20文字以内)
仲間のエネルギーを同じ方向に整える能力
♦ 13. あなたは周囲から何と言われることが多いですか。(30文字以内)
全体のバランスを大事にしている。誰に対しても壁を作らない。
♦ 14. 商社を志望する理由を教えて下さい。(50文字以内)
様々な関係者をまとめ、自分の行動・アイデアを武器に、後世に残るようなビジネスを生み出したいため。
先ほど書いていた通りの人材のESが通過しているのが見て取れるだろう。
仲間と連携した経験や前例のない課題へと挑んでいく能力・挑戦していく精神などが現れたものとなっている。
たくさん読み込んで、会社が求めている人材を演じられるようになろう。
理想的な人材になりきるために整合性の誤魔化しを行っていく
例えば、「英語力の高さ」を面接でアピールしたいのにTOEICすら受けていない。もしくは著しく点数が低いというのはおかしい。
この場合は世間的に「英語力がある」と認知してもらえる程度の点数を取っておく必要がある。
また「チームで成し遂げました!!」感を強調しているクセに部活動への所属に関する記録が一切なかったり、「運動頑張ってます!!」というアピールをしている割に体系が伴っていなかったり。
さらに「勉強頑張りました!」と言っている割にGPAの成績が悪いものであったり。
人事の人が学生の実態を知るために見る情報というものを知っておいた上で、見られてもウソだとバレないような状態に持っていく必要がある。
面接に関する知識・経験を付けていくために
インターネットの無料コンテンツで学習
みんなやっているかもしれないが、対策コンテンツを読み込むのがオススメだ。
例えばYouTubeで「就活 面接 コツ」などと検索すると、それらしい動画が大量に出てくる。
これを流し続けて頭に知識を入れて行こう。
YouTube Premiumに加入しておけば、オフラインに保存してバックグラウンド再生が可能になる。
通勤の電車の中でもイヤホンから聞けるぞ。
練習として実際の面接を受けに行く。あわよくば滑り止め内定ゲット。
マナー的に好ましくないのであまり良いとは言えないが、「人生で新卒カードを使えるのは1度きりであること」と「みんなやっていること」から紹介していく。
高校・大学受験の際にみんながやったように、滑り止め面接を受けに行くのだ。
こうすることで、事前のシミュレーションでは見えてこなかった色々な弱点が発見されるだろう。
「事前に入念な準備を行っていても、いざ対人で会話する場面になると緊張してまともに話せなかった」
「エピソード関連の定番の質問よりも、人間性や幼少期からの積み重ねに関して軽く聞かれた際の返答のほうが困った」
「自分の粉飾にばかり意識を取られて、会社を見極めることが疎かになっていた」
「話している際に目が泳いでしまって、如何にも今ウソついてます感が出てしまう。」
「全く想定していなかったイレギュラーな質問が来た際にフリーズしてしまう」
私が少し考えてみただけでも上記のような改善点が挙げられた。
こういうものは実際に面接を受けて見ないと分からないということで、とりあえず内定だけでもゲットして安心するためにも何処かしら受けてみようと言ったのだ。
実行→改善→実行のループを繰り返す(いわゆるPDCAサイクルというやつ)
「改善をしながら行動を積み重ねる」というのは人生の基本的な成功ルールのうちの1つだ。
まずは模擬面接を繰り返しながら自らの練度を高めていく段階について考えていく。
- とりあえず場に慣れる
- 相手にとって聞きやすい話し方を心がける
- 言葉のバリエーションを増やす
- 相手の反応を観察するようにする
- 学んだ知識を基に組み立てた方法で話をしていく
- 相手の印象に残るような雑談や一言コメントが残せないか考えてみる
といった具合で、模擬面接を行うたびに何かしらの改善点を書き出し、次回までに修正できるようにすることを繰り返すのだ。
エントリーシートや適性検査の対策
実際に合格したエントリーシートが見られるサイト
例えばUnistyleというサイトでは、三菱商事の総合職に実際に内定したエントリーシートの文章が見られる。
所属している部活の中退率の高さと、コミュニケーション能力を活かした取り組みによる数値で証明できる実績を手短に記述している。
理想的な人物像・エピソードの書き出しと、理想的なフォーマットでの文章化。
この2つを同時並行で進めつつ、通過可能なエントリーシートを書けるようになっていこう。
言うまでもなくこのESに基づいて面接本番は進行していく。違和感ない受け答えが出来るように。
コミュニケーションが苦手な人が最低限のアピールをするには?
みんながみんなコミュニケーションが得意な訳ではないだろう。
誰とも話さずに大学生活を過ごしている人も少なくはないと思う。
しかし大抵の企業が求めるのはコミュニケーション能力である。
ここのバランスを取りつつ理想的な人材としてアピールするためには、ただ面接とESでウソを付くだけでは心許ないだろう。
詳細は以下の記事にて解説しているが、ある程度は能動的に動く方が対策として良いのだ。
実際の面接でのあれこれ
書類や適性検査を誤魔化せていれば、一次面接に入れるだろう。
ここまで来られた読者には言うまでもないが、これまでに書いてきたエントリーシート・理想の人格に沿った返答やアピールをしていくのだ。
当たり前の話も念のためにしておこう。
例えば「コミュニケーション能力に優れた人材」を演じるためにESや話す内容を完璧に作り上げたとしても、話し方がオドオドしていたり、目も合わせられないようでは怪しまれる。
実際にこういう場面に慣れている人なら良いが、人によっては緊張でいつも以上に人見知りが悪化しかねない。
面接の練習や、そもそもの対人コミュニケーション能力の訓練で違和感なく演技が出来るよう対策していくこと。
まとめ・そもそも論
ここまで読んでいて気付いたかもしれないが、ちゃんとした大学生活を送っていれば極端な就活対策は不要なのだ。
合格者のESを参考にしつつ、どういう学生生活を送るか、もしくは送ったことにしたか逆算して決めて行こう。
検討を祈っている。