新型プリウスはエコとスポーツを両立。タイヤグリップの限界まで徹底的に安心して攻められる【試乗インプレッション】

クルマ・バイク

発売初期に軽く乗った新型プリウスだが、ワインディングアタックとブログ用の記録集めを目的としてもう一度「TOYOTA SHARE」で借りてきた。

一通り納車が終わったタイミングだろうが、改めてじっくりと確かめて行こう。

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冒頭のまとめ

操作系統にはややクセがあるものの、やりすぎない範囲でシャープなハンドリングを圧倒的な安定感の中で味わいながらハイペースで走っていくことができる。

足回りはかなり硬めだが、耐えられないようなレベルではない。

日々のエコドライブからタイヤを徹底的に追い込んだスポーツ走行まで、乗りやすいサイズと安全な挙動で安心して身を預けられる。

内外装

外観について

世間から「カッコいいクルマ」として認知されているだけのことはある。

今回乗った個体は小ぶりなホイールを履いていた。

アシとして割り切るならローコストに運用できるが、スタイリングに対してあまりにも不一致であると言わざるを得ない。

横に一本のラインを通すいま流行りのリアデザイン。

内装について

ステアリングホイールの革の肌触りは良好で、程よい上質感と先進性を感じられる。

室内にはブルーのアンビエントライティングが入る。個人的には気が散るのであまり好きではない。本体設定から切る方法を探したが見つからなかった。

色はグレードによって固定されるらしい。

機能的にまとまったセンターコンソール。

クセのあるプリウスシフトが続投されてしまっている。

またドライブモードセレクタのスイッチが小さすぎる

指で押そうにも指先の小さい範囲しか引っかからず、闇夜ではそもそも見つからない。

ブレーキホールド付きの電動パーキングブレーキは、嬉しいことにシフトポジション連動。

ちなみにバックビューモニターのカメラをウォッシャー液で洗浄できる機能付き。

広角と通常画角を切り替えられるボタンも、アシスト線の種類を切り替えるボタンもある。

ルームランプはただ電球を埋め込んだだけではない先進的な造形。

LEDだが目に突き刺さるほど眩しいわけではなく、それでいてしっかりとした光量で照らしてくれる。

ドイツ車のような美しさとLED直射の明るさの両立を実現している。素晴らしい。

(強いているなら後席用のルームランプがかなり後ろの方に配置されているので、運転席側から切り替えられなくて不便に感じた。)

車両の制御システムが埋め込まれた定番のナビ。

現在地表示が物理ボタンで存在しない点と、地図の拡大縮小ボタンが左の端っこにある点が不満

現在地表示は右上の青い丸矢印だが、せめてSUBARUやHONDAのように大きく押しやすい位置を追求して欲しかった。

このグレードはナビのサイズが僅かに小さいが、今言った「地の果てにあるカーナビの拡大縮小ボタン問題」が大きく改善するので個人的にはアリ。

エアコン操作は物理ボタン。非常に素晴らしい。

また温度切り替えの部分だけ赤と青で表面が塗ってあるため暗闇の中でも探しやすい。

ボタン配置も単純明快で、クラウンクロスオーバーの時ほどボタンの横幅が狭いわけでもない。使い勝手の良い最高のエアコン操作系である。

ハザードも単純明快に押しやすい位置に配置されているが、微妙に遠いような印象を受ける。

センターコンソールの奥にはシガーソケットとUSBポートが2種類。

ちなみに左側のUSBポートは車両の内部システムとのデータ通信用なので迂闊に接続しないこと

ここに変な社外機器を接続したせいで、車両の基本動作に致命的な影響が発生する不具合が報告されている。

「ナビに繋ぐだけで走行中でもYouTubeが見れる!」みたいな機器は繋いではいけないようだ。

私は思いっきり左側のUSB-Cを使っているが、これは誤り。

さてさて、実はここのスペースの下側に「↑」マークがある。

ここを持ち上げると「#HIDDENCOMPARTMENT」と書かれた謎のスペースが出てくる。

キャバクラやそっち系のお店のポイントカードや、避妊具を隠しておくのに便利そうである。

さてさて、嬉しいことにセンターコンソールボックス内にもUSB-Cの充電ポートが2連装で用意されている。(これだけあるなら1個くらい従来型のUSB-Aでも良かったと思うけど…)

またボックス左側にはちょうどケーブルを通せるような溝が切ってある。

今はミニ懐中電灯を放り込んでいるが、ここにスマホを充電しながら挿しておけるわけだ。

なおこのスマホ挿しておくスペース、ワイヤレス充電機能を追加できるらしい。

エンジンのプッシュスタートボタンは左。右に慣れている身には慣れるまで戸惑うが、最高に押しやすい位置に配置されている。

ステアリング左側のボタン。ナビ内部の情報切り替えや音量調整、ナビの音声入力などの機能がある。

ナビメニューの内部は瞬間燃費系やクルコンのモニター、オーディオや車両設定など。2015年ごろのトヨタ車と大きな違いはない。

設定画面に入るとアルファベット3~4文字と小さいアイコンで表記される電子アシスト系の装備のオンオフがズラーーーーっと並ぶ。多すぎて何がなんだか分からない。

車両設定メニュー内には休憩を促す機能や前車発進を知らせる機能などがある。

表示設定からは言語や速度の単位などを選択可能。

ステアリング右側はクルーズコントロールと運転アシスト関係。

前車追従式か定速キープ式か切り替えられるので、ガラ空きの高速道路を走る際に便利なのだ。

(前車追従式クルコンには、追い越し車線に移る前に前走車を検知して減速を始めてしまうという問題がある。)

しかし、その切り替え機能のせいでクルーズコントロール回りが非常に分かりづらくなっているのだ。

その下側はオーディオの選曲やモード切り替え。

ウインカーは幸いにも行きっぱなしタイプ。下に倒すと前照灯のみを消すことができる。倒したまま長押しするとライトオフ。

右側はETCやオートハイビーム、給油口のスイッチなど。

写真左上にはメーターの照度調整やトリップメーターのリセットボタンが隠れている。

ドアミラー調整ボタンはレクサスっぽい形状をしているが、なんかグニャリとしていて操作感が見かけほどよろしくない。

エネルギーフローを出しておくと、駆動用バッテリーの残量を知ることが出来る。

必要充分なトルクを用いて60km/h以下にて結構な距離をEVモードで普通に走行できるため、その際のバッテリー残量管理に役立つ。

ドライブモードを切り替えると画面上部にポップアップが出る。

停止中であれば右側の「設定」からカスタマイズが可能。

試乗車のスペック

新車価格320万円の「G」グレードだ。

2023年式で、FFのCVTである。

  • 車体サイズは4600×1780×1430mm
  • エンジンは2L直4NA
  •  最大出力は152ps(112kW)/6000rpm
  •  最大トルクは188Nm/4400~5200rpm
  • モーターの最大出力は113ps
  • モーターの最大トルクは206Nm
  • 車両重量は1400kg.
  • バッテリー容量は4.08Ah

エンジンとモーターの最大出力を足してみると、265psと394Nmとなる。優れた加速力を持つわけだ。

4WDモデルの場合は41PS、84Nmのモーターが後輪に追加される。

またPHVモデルのモーター出力は120Ps,208Nmまで高められている。

例によってトヨタ車の車体番号検索サービスからグレードを特定し、グーネットカタログで諸元を確認した。

プリウス(TOYOTA)G(2023年1月)|カタログから中古車を探すなら【グーネット】
プリウス G FF CVT(無段変速車) の中古車を物件詳細で見る。カタログ(2023年1月)・(10147106)から最新のトヨタ情報もチェック!中古車・中古車情報のことなら【グーネット中古車(Goo-net)】!中古車登録台数が豊富だか...

また、ハイブリッドシステムまわりの諸元を確認するためにTOYOTAの公式サイトも参考にした。

https://toyota.jp/pages/contents/prius/005_p_001/5.0/pdf/spec/prius_spec_202312.pdf

実走行インプレッション

視界性能について

このプリウスが世に出て間もないころ、レンタカーで借りて乗った際に「拒絶反応が出るレベルの車幅感覚の掴みづらさ」を欠点として挙げた。

しかし、2回目ではそこまで悪いとは思わなかった。

元々の車体サイズも小さめなので慣れれば普通に乗りやすいだろう。

運転し辛さを感じたらシートの座面を上げることを覚えておこう。視点が上がるだけで運転がやりやすくなる場合が多い。

パワートレインについて

このプリウスの大きな魅力はモーターに充分な出力が持たされていることにある。

これを用いてアシストすることで俊敏な加速を実現している。

モータートルクのアップは燃費においても恩恵を受けられる。

例えば坂道を下る際や街乗り走行でも、回生ブレーキのみでそこそこ大きな制動力を立ち上げられるためエネルギーの回収効率が良い。

また60km/h以下で使えるEVモードでも、アクセル開度を抑えてエンジンを切ったまま流す距離を稼ぐような通常走行でも、不自由ない程度に加速が可能となっている。

道路状況に合わせた燃費の最大化が可能となっている。

おまけにバッテリー容量もこの手のハイブリッドとしては比較的大きめなので、長い下りでの充電や数キロ程度のEVモード走行も問題なくこなせる。

加速力のアシストという面でも長時間にわたって電気を持たせられるため、箱根や富士山のような山登りでも電力は尽きづらいだろう。

もちろんエンジンの底力も悪くない。

ブレーキについて 

あまり強く踏まなくてもバチっとした制動力を立ち上げられる。

初期制動が強いということもなく、回生ブレーキと油圧ブレーキとの切り替えタイミングでも違和感が出ない。

約1.4トンというバランスの良い重量と相まって、制動力自体も充分に高い。

ハンドリングについて

切り始めからグイグイと入っていくようなシャープなステアリング。

燃費を優先したゆったりペースでワインディングを流していても、タイヤグリップをしっかり使って楽しく走ることができる。

シャープなステアフィールを維持しつつも、バッと思い切り切ってもきれすぎることはない。

万人向けの範囲に収まっている。

ロール自体はしっかりと行うが、早めに抑えて安定した動きで曲がる。

アンダーステア傾向も控えめで、しっかりと持たされた加速力と合わせて身軽に走り抜けていける。

プリウスの最大の魅力はタイヤグリップを使い切りに行っても乗り物の動きが一定のまま維持されることにあるだろう。

旋回中にタイヤから「カーッ」という音が聞こえてきても、アンダーステア傾向の穏やかな動きがずーっと続く。

恐怖感皆無で安全にスピードを乗せていける、非常に気持ちの良いセッティングだ。

乗り心地について

足回りをほとんどストロークせずない硬派な足回りだが、フレームに入って来る衝撃の強さ自体はそこまで強くはない。

以前に乗った際は腰が砕けそうになったが、今回はそこまで酷いとは感じなかった。

さすがに「快適」とは言えないが、悪いというほどではない。

ホイールのサイズや空気圧の違いなのだろうか。

なお温感時に空気圧を測定してみたところ約250kpaであった。

車両の指定空気圧は前240・後230だ。

前を相対的に高くすることで直進安定性を高める定番のチョイス。

このクルマのアンダーステア傾向は控えめだが、私だったら前後同一かリアちょっと高めで乗るだろう。

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