bz4xを語っていく上で、避けて通れないのが各種の問題事項だ。
本当に色々な問題があり、それが発端となり、ネット上では憶測が飛び交う悲惨な状況となっている。
インプレッションに入っていく前に、私が確認した問題点について、真偽の調査や、その後の顛末について調査してみた。
トヨタ・bz4xに関する炎上騒動について
…記事を始めて行く前に物申したいのだが、今のネットには憶測や身勝手な発言が多すぎる。
特にbz4xは、EVシフトの渦中で、幾つかの不幸に見舞われ、根拠のない噂話のターゲットになってしまった。
私が確認した諸々の問題事項について、事実ベースで整理させて頂きたい。
充電制限について
なんやかんやbz4xを購入検討していく際に、いちばん問題になっていくのが、「1日2回までしか急速充電が利用できない」という制限だった。
「だった」とい表記した理由は、「アップデートにより大幅緩和が行われたから」だ。
公式の案内ページを見つけられなかったため、「EVSmart」と「EVネイティブ」という、信頼性のある情報発信をしているメディアからの紹介とさせて頂く。
また、bz4x公式サイトにて、「充電制限に関する具体的なロジックの説明が追記」された。
「電池ダメージ」という概念が追加され、急速充電によるダメージ増加や、走行によるダメージ回復などが、細かく記載されている。
そこそこ複雑な概念にはなるが、オーナーが実際に長距離ドライブにおける充電計画を立てる際、参考になるだろう。
解説動画も貼られている。
公式サイトを読んでみた限り、以下の充電においては、ダメージ蓄積と判定されないようだ。
- 50kW以下の出力で、0→30%、80%→100%への充電を行った。
- 90kW以上の出力で、0→10%、80%→100%への充電を行った
- 速度制限が掛かった後に行った急速充電
また、急速充電をしていない時間に応じて、ダメージ総量は減っていく。
細かいロジックについて書いているとキリがないので、が、「充電制限はアップデートで、そこそこ緩和された」ということだけ頭に入れておいて欲しい。
リコールについて
bz4xは、ハブまわりのリコールが発生していた。
トヨタ公式サイトに、以下の記載がある。
1.不具合の状況
https://toyota.jp/recall/2022/1006_2.html
- (1)カーテンシールドエアバッグにおいて、車両工場での作業が不適切なため、展開補助用のストラップが正規位置に組付けられていないものがあります。そのため、エアバッグ作動時に正常に展開できず、最悪の場合、乗員が負傷するおそれがあります。
- (2)ディスクホイール取付部において、ホイールの加工およびハブボルトの仕様が不適切なため、ハブボルトの締結力が車両の走行性能に対して不足し、連続した急加速や急制動の繰返し等で、当該ボルトが緩むことがあります。そのため、そのままの状態で走行を続けると、異音が発生し、最悪の場合、タイヤが脱落するおそれがあります。
ハブボルトの締結力が、不足気味であったようだ。
だが、当たり前だが、「リコールが出たなら対応してもらえば良い」だけだ。
不安な方は、中古車を購入したり、レンタカーやカーシェアを借りる際に、リコール実施の有無を問い合わせれば良いだろう。
このレベルのリコールなんて、新型車にはつきものだ。いちいち手にとって、どうこう言うような問題ではない。
買い方について
いまのところ、bz4xは、サブスクサービスのkintoでしか買うことが出来ない。
また、私は試乗後に本当に欲しくなり、詳細を調べてみたのだが、
- 契約だけで頭金が40万円掛かる
- 買ってから数年は、毎月12万円が飛んでいく
- 途中で手放そうと思ったら場合、約100万円くらいの違約金が掛かる
- 契約期間を満了しても、クルマは必ず返却せねばならない
などなど、どうしても不自由が残ってしまう。
スバルのソルテラの場合は、現金一括でも、普通に購入することが可能なのだ。
どうして普通に買わせて貰えないのか…
こんな体制だから、「電池劣化が心配だから強引にクルマを引き取ろうとしている」といった噂話を流されてしまうのだ。
ちなみに、このことについて「bz4x kinto なぜ」とggるだけで、開発陣の以下のメッセージが出てくる。
大きな不安要素である下取り価格とバッテリーの劣化とか故障といったリスクをお客さまにとってもらうのではなく、われわれが負うべきだと考えた
https://response.jp/article/2022/04/13/356210.html
テスラのバッテリー劣化率を見ていると、どうしてもbz4xのバッテリー性能には疑問符が残るが、調べていくと、トヨタ側にも色々と考えがあった上での、サブスク専売であったようだ。
バッテリー残量のパーセント表示が無い問題について
bz4xは、いまバッテリー残量が、具体的に何%残っているのか、数値で表示してくれる機能が無かった。
だが、アップデートによって表示されるようになった。つまり、この欠点は完全解消されたのだ。
「目的地を設定した際に、何%の残量を残して到着できるか教えてくれる機能」はまだ設定されていないが、大きく使い勝手が改善したことに変わりはない。
トヨタ側も、ユーザーの意見や市場の動向を観察して、それらを製品に取り入れてくれているわけだ。
ここは素直に、新時代へ向けた取り組みと改善を歓迎しようではないか。
テスラとの性能差について
bz4xがなにかと叩かれがちな理由として、シンプルなものがある。
テスラとの性能差だ。
トヨタのbz4xは、「電池保護のため」という名目で、2023年になった今でも、充電回数に制限を加えている。
ここで比較対象として出てくるのが、充電制限なんて全く存在しない「テスラ」の存在だ。
海外では、もう数十万キロ走ったテスラが存在する。
そんな個体のバッテリー劣化状況が公開されているのだが、12%程度しか劣化していないのだ。
テスラ側は制限無しのスーパーチャージャーし放題でこの劣化率なのに、bz4xはどうなっているんだ。
そういう観点から、使い勝手の不便さや、性能差に関する憶測が飛び交っている現状にある。
まとめ
EVシフト否定派の感情論、bz4xが抱えるリコールや充電制限などの問題点が複雑に交差&連続した結果、多くの憶測が産まれ、ハチャメチャな現状となってしまった。
しかし、世の中の状況はすべて改善していくし、情報発信者側も受け取る側も、恣意的な解釈を行いがちだ。「小さな問題事を発端に、身勝手な発言が飛び交う騒ぎが起こる」ということは、今の時代よくあることだ。
自分に関係のない与太話に首を突っ込むのは人生の無駄であるが、せめて試乗インプレで取り扱う領域くらい、正しい知見を身に着けておきたかったのだ。
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