なんでも「切り抜き」だの「タイパ」だの言われ、愚民どもが感情に振り回されてスマホに遣われる時代であるが、そんなこと関係なく「一次情報にあたる」というのは重要である。
ちょうど6月末には、カゴメの株主優待の権利確定日が来る。
長期保有の妥当性を探るため、決算書類の原本を開いてみようではないか。
とりあえずchatGPTに聞いてみる
いきなりのタイトル崩壊であるが、とりあえずchatGPTに聞いてみるのも時代の流れだ。
カゴメは日本の大手食品メーカーであり、株主優待目的で長期保有することは一般的な投資戦略の一つです。ただし、株式投資にはリスクが伴うことを理解しておく必要があります。 まず、財務面を考えてみましょう。カゴメは上場企業であるため、財務情報は公開されています。重要な指標としては、売上高、営業利益、純利益などがあります。これらの数字を見ることで、企業の業績や成長性を評価することができます。また、カゴメの負債状況やキャッシュフローも注目すべきポイントです。財務情報を綿密に分析することで、カゴメの経済的な安定性や将来の成長見通しを把握することができます。 次に、市場の状況について考えてみましょう。カゴメは食品産業において競争力のある企業であり、需要の安定性が期待される業界です。しかし、市場環境や消費者の嗜好は常に変化しているため、競争相手や市場シェアの動向にも注意を払う必要があります。また、カゴメの事業展開や新商品の開発などのニュースにも注目しましょう。これらの要素は株価に影響を与える可能性があります。 長期保有を考える場合、株主優待制度も重要な要素です。カゴメの株主優待内容や条件を確認し、自身の投資目的や優待内容との相性を考慮してください。株主優待は投資の魅力の一つですが、それ自体が投資判断の唯一の基準になるわけではありません。投資の目的やリスク許容度に合わせて、株式保有のメリットとデメリットをバランスよく考えることが重要です。 最後に、投資に関する意見やアドバイスは個人の意見であり、(略)
…なにも言ってねえや。
やはりAIというのは使い物にならない。ネットに転がっているありきたりな文言を当たり障りなくまとめているだけだ。
いざ決算書類分析
公式サイトから「投資家(IR)情報」的なページを探して行っても良いし、「〇〇(会社名) 決算資料」とでも調べれば良い。
とりあえず決算報告書が書いてあるページに向かおう。
今回は、6月末が株主優待の権利確定日となる、グリコの決算書類を見ていくこととする。
2023年の第1四半期だ。
売上高や利益の変動について
一番上の「連結経営成績」の部分を見てみよう。
今回の数字が上側に、2022年が下側に書かれていることで、比較が出来るようになっている。
売上高は約654億円から、約710億円へ、8.6%上昇したようだ。
しかし、営業利益は4.3%のダウンとなってしまったようだ。
なお経営利益については、10.6%のプラスだ。
業績予想について
2ページ目の頭に、「2023年12月期の連結業績予想」と書いてある。
これによると、今年の売上高の予想は約3170億円となるようだ。
凄まじい数値であるが、これは2022年の通算の売上高と比べて、4.3%のプラスとなるようだ。
その証拠を示そう。これは、2022年12月期の決算短信だ。
2022年1月1日から、2022年12月31日までの間の売上高の数値。
これに約4.3%を加えると、上記で示されていた317,000(百万円)と、同じ数値となる。
この業績予想を一言で言い表すならば、「今年の累積の売上は、去年の累積の売上と比べて〇〇%変わりそうです」というものである。
当たり前ながら数値の前に△が付くとマイナス、付かなければプラスである。
再掲になるが、この決算短信を見る限り、グリコ社は売上は4%アップ、営業利益と経営利益は、24.6%アップを見込んでいるようだ。
順当に売上を伸ばしているようである。
配当について
今回は株主優待について調べているのだから、配当がいちばん大事であろう。
それについて記されているのが、「配当の状況」という項目である。
第1四半期においては明確に書かれていないので、去年の12月期の決算短信から引用する。
ここには明確に、配当性向や年間配当金に対する記述がある。
「合計」の数値を見ていると、70.00円であった2021年と比べ、2022年は80.00円となっている。
増配されているのだ。
さきほど確認した通り、今期は売上・利益ともに上昇する予想であるから、配当や株主優待にも期待が出来そうだ。とりあえず不安は無いだろう。
株探から決算の推移を探る
売上高の編纂について確認したところで、唐突ではあるが、ここで株探のグリコのページを開く。
直近数年の決算推移について
色々とあるが、今回確認するのは「決算」のタブだ。
2019年から、2023年の予想まで、一気に並べられている。
売上高については、2020年に「344」を記録してから、2年連続で下がった後に持ち直す予想のようだ。
利益についても、これまでの数年間で下がり続けたが、2023年度は持ち直す算段であることが見て取れる。まあ予想でしかないのだが。
3ヶ月決算について
下にスクロールしていくと、三ヶ月決算というものが見られる。
これは例えば、クリスマス商戦で大きな売上を上げる任天堂や、春の引っ越しの季節に売上を上げる引越センターなどの、「特定の季節にドカンと儲ける系」の業種である場合に無視できない要素となる。
また同じく、「儲からない時期」というのも存在するはずだ。
目先の決算の数値変動に惑わされないためにも、季節性は頭に入れておくようにしよう。
決算に関する企業からのコメント
さて、決算短信に戻ろう。
概要について
「1.当四半期決算に関する定性的情報」の欄に、長い文章が書いてある。
以下のようなことが書いてある。
「新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化に向けた動きが見られました」
「一方で、エネルギー・原材料 価格の高騰、急激な為替変動等の影響が懸念され、また、世界的な金融引締めによる景気の下振れリスクが生じて おり、依然として先行き不透明な状況が続いております。」
「①健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、②注力領域への研究投資
の集中、③海外事業の拡大に向け取り組みました。」
3つめの取り組みは、具体的になにをしているんだ…
なんてことも思ってしまったが、コロナショックやウクライナ侵攻を発端とした不安定な世界情勢により、まさに「先行き不透明」である。
各事業に関する細かい話
上記の話の下に、各事業領域ごとの話が続く。
以下、私が内容を読み込み要約してみる。
◯健康・食品事業について
“DONBURI亭”などは前年同期の売上を下回った。
“パピコ”と”アーモンド効果”が前年同期を上回る売上を上げた。
広告宣伝費の増加により、営業利益が減少となった。
◯乳業事業について
“牧場しぼり”や”BifiXヨーグルト”などは前年同期を売上で下回った。
“セブンティーンアイス”と”ジャイアントコーン”は前年同期を上回る売上を上げた。
売上高は前年同期より1.7%上がったが、原価高騰により、営業利益は前年同期より7600万円の減少となった。
◯栄養菓子事業について
売上は前年同期を3.5%上回った。利益も約2.6億円増加した。
◯食品原料事業について
「小麦たん白」や「澱粉」などが前年同期を上回った。
また、原価率が低下したこともあるい、営業利益も増益となった。
◯国内その他事業について
「オフィスグリコ」が前年同期を上回った。
売上原価率の低下と合わせて、増益となった。
◯海外事業について
中国、ASEAN、米国などで前年同期を上回ったことで、前年同期と比べて26.8%の増益となった。
書いていくうちに雑になったが許して欲しい。
冒頭の表だけでは数値の変動しか見られないため、この部分もしっかり読む。
ただ日本語の羅列を読むのではなく、その意味を汲み取る。
こういうことが大事になっていくはずだ。
貸借対照表について(今回は割愛)
その下には、水色と白色で貸借対照表が書かれているが、初心者向けの内容ではないため、今回は省くことにする。
決算説明会資料について
決算資料とは別に、決算説明会資料というものがある。
こちらではパワーポイントにて、要点がまとめられているので確認されたし。
売上の推移と、その因果が明快に記述されている。合わせて読めば理解が深まるだろう。
先ほどの字が小さい大量の文章を読まなくても、「売上は増えたけど、原価高騰のせいでプラスにならなかった」ということが簡単にわかる。
領域ごとの売上推移も明快だ。
さきほど「具体的に何をやったんだ」と言ったことを申し上げたが、画像を用いて明快に記述されていた。
かなり抽象的な内容も含まれているが、将来性を汲んで、投資するかの判断材料にすると良いだろう。
健康食系のデリバリー事業への参入や、実店舗での取り組みの予告。
健康にも気を遣ったお菓子を発売したり、日本でお馴染みのビスコを、人口10億の中国で販売していくことも示されていた。
まとめ
「決算説明会資料+会社が出す決算書類+株探の売上推移」
この3種の神器を組み合わせれば、おそらく必要な情報の7~8割を得ることが可能だ。
これに加え、実際にブログ記事を執筆していくことで、私自身が理解を深めることが出来た。
読者のみなさんも、与えられた情報より、自分で能動的なアウトプットを行う習慣を身に付けてみて欲しい。
参考にした動画
あれだけ複雑に見える書類を、ゼロから解読するだけの能力も、時間も無かったため、先人様の情報をお借りした。
この記事は下記にて紹介している動画内の注目点を抑えつつ、江崎グリコの決算に当てはめて、自分の意見も交えつつ執筆した。
この場を借りて感謝を申し上げる。
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