宇宙空間での推進方式について調べていると、「太陽帆」という意味不明な概念が出てくる。
これは「太陽からのエネルギーを風に見立てて進む」というものだが、うむ、理解出来ない。
磁気帆というものも出てくる。
こういうものに正面から挑んでも理解不可能なので、まずは身近なものからイメージして行こう。
身近なものから考える(このアプローチは間違い)
トップガン・マーヴェリックを見た方なら、帆船で海をセイリングするシーンがあったのを覚えているだろう。
パラシュートもお忘れなく。
凧揚げもそうだろう。
この原理を応用すれば…
と言いたいところだが、これが罠なのだ。
そもそも太陽帆は、太陽フレアの太陽風を物理的に受けて進んでいるわけではない。
この時点で大間違いなのだ。
太陽帆は、光の粒子である光子の反射によって生じる反作用で進む。
物理的な力ではなく、光で進むのだ。意味がわからない。
「光子」とは?
まあ待つのだ。光ではなくて、「光子」なのだ。
「素粒子」が解明された歴史的経緯
これだけでかなり長くなりそうなのでウンザリ気味だが、個人の興味で突き進む。
「標準模型に含まれる17個の素粒子のうちの1つ」という記述を見つけたので深掘りしてみよう。
まず素粒子というのは、「物質を構成する最小単位」だ。
物理学が発展する中で原子核が発見され、その原子核が陽子と中性子によって構成されていることが発見され、その陽子よりも小さい「素粒子」が発見される。
こういう流れの中で出てきたものである。
数時間かけて色々と調べていたが、複雑すぎて混乱してしまったので、詳細はその気になったときにまとめ直すことにする。
ヒッグス粒子が素粒子に質量を与える?(太陽帆とは無関係)
太陽帆の推進原理ゆえ、「素粒子に質量を与える」と言われているヒッグス粒子の存在が気になるものだ。
しかしヒッグス粒子はどちらかと言うと、「素粒子同士をくっつけてブレーキを掛ける」ような存在であるらしい。
このあたりは『宙と粒との出会いの物語』にてかなり分かりやすくまとめられているため、ぜひ読んでみて欲しい。
粘り強いリサーチの末に見つけた、分かりやすい解説の引用
理解が出来ない中で、ありとあらゆるワードを検索し、訪問できるだけのサイトを訪問した結果、誰でも理解できるレベルに分かりやすい記述を見つけた。
それを引用する形で、太陽帆の仕組みの解説は勘弁して頂きたい。素粒子の話を持ち込まれると、理解できる範疇を越えてしまう…
理化学研究所の『たった1つの光子が持つ圧力によって制御された音波の実現』という記事に、” 光をはじめとする電磁波は輻射圧を持っており、物体によって反射されるとき、その物体に運動量を与えることが知られています ” と書いてある。
また、JAXAのとあるページからも引用させて頂く。
実は私たちは普段から光りの圧力を受けているのです。
明るい壁からも、熱いストーブからも力を受けています。太陽輻射圧とは太陽から飛んでくる光子(Photon)が太陽電池パネルやアンテナなど探査機の表面に衝突して発生する力で、表面が黒く反射しないものよりも鏡のように反射する方が大きくなります。
ヨットに例えると光子が風で、太陽電池パネルやアンテナが帆に相当します。
この力はとても弱く大きさはだいたい電気推進の1/100ですが、ゲートポジションで受けるイトカワの重力に比べると10倍以上の大きさがあります。
『「はやぶさ」の位置制御に与える太陽輻射圧の影響』|宇宙科学研究所
この『「はやぶさ」の位置制御に与える太陽輻射圧の影響』というページ、かなり深いことが書いてある。
なんと、実際に「はやぶさ」が受けた太陽輻射の力の強さの、計測結果が書かれているのだ。
” この傾斜から求めた太陽輻射圧は、
1.261×10-10[km/s**2]= 1.25 [m/s/日]=4.5 [km/時/日]と推定されました。
太陽輻射圧は、理想的な反射面では、1000平方メートルあたりで1円玉1枚にはたらく重力に相当する力を出します。
実際は反射は完全ではないので力は弱くなります。 “
[km/時/日]というのが一体どういう単位であるのか、調べても分からなかった。
単純に加速度だとかパスカルだとかニュートンだとか、そういうものではないということか。
…また調べている過程でわかったのだが、どうやらはやぶさ2は、姿勢制御に太陽帆を使っているようだ。
次のページでは、磁気帆(マグネティックセイル)について紹介する。