恒星のエネルギーを余すことなく取り込む手段として「ダイソン球」が挙げられるが、これを運用する際に致命的なリスクを負うことになる。
それは観測可能範囲内の全宇宙から自分たちの文明の存在がバレる危険性があるということだ。
暗黒森林理論について
暗黒森林理論という話がある。
「宇宙へと進出しつつある自分以外の文明を見つけたら、彼らが発展して自らの脅威となる前に排除する」という考え方だ。
個人的には徹底的に秘匿するのが理想的に思えるが、宇宙人の考え方なんて分かるわけがない。
もしこの考え方を実践している上位文明が宇宙空間に存在していた場合、ダイソン球で迂闊に太陽光を遮ると発覚する危険がある。
バレてしまったら最期。なんらかの手段で滅ぼされてしまうリスクがあるわけだ。
暗黒森林理論の矛盾と、理想的な文明の滅ぼし方について
ここで矛盾が生じる。
例えばデススターや波動砲のような人口兵器を用いて唐突に恒星を破壊してしまった場合、「星の寿命とは無関係なタイミングでいきなり恒星の光が途絶えた」ことが全宇宙に知れ渡ってしまう。
これが「ただの脈絡なき超新星爆発」に擬態されるのか「どう考えても人為的な破壊」なのかは分からないが、さらなる上位文明の存在を警戒するなら迂闊な手出しができないはずだ。
つまりド派手な手法は使えないというわけだ。
こうなると出てくるのが、文明が自発的もしくは自然に消滅したように見せかけるアプローチだ。
SF作品において地球人類が受けた攻撃の実例
『三体』という小説の第一部では、敵対文明から”粒子加速器の衝突実験の結果を妨害する”というアプローチが用いられた。
これにより物理学の発展が阻害されてしまうというわけ。
また別の作品では”人類同士の争いを誘発させる”というアイデアも出ていた。これは寄生虫を用いたものだったかな…
確か寄生虫の分布がそのまま民族の分布を表している結果になっていたはず。ひぐらしのなく頃にで出てきたっけ…
宇宙戦艦ヤマトの冒頭では遊星爆弾が出てきた。
“作中では太陽系内の冥王星基地から地球へ向けて投下する核爆弾”のようなものであったが、”惑星になりそこなった小惑星たちが集まっている恒星系外縁部へコッソリ近づき、自然に落下したように見せかけて隕石を対象惑星へと投下する“というアプローチに転用することができるアイデアだ。
ちょっと隣の惑星に移動できる程度の文明相手なら、発覚しないようにコソコソ立ち回る必要はないかも?
隕石を迎撃する能力くらいは事前にリサーチしておきたいところ。
(太陽系外縁部の小惑星を捕まえてきて地球に放り込むというのは、私が考えている人類撲滅アイデアの中では比較的実現可能性が高い部類に入る。)
本題:安全なダイソン球の利用法の模索
あきらめ論
冷静に考えて見て欲しい。みんなが太陽のデカさを知らないわけがない。
簡単に言おう。ダイソン球は諦めろ。
構成素材を集めるだけで一苦労。
一つの恒星系に固執する可能性も低い中で、恒星1個を包み込む巨大構造物なんか作るだけムダ。
「作りたいと思った程度で作れるわけがないし、これが作れるような文明がこんなもの作るわけがない」という話だ。
(なんか文面が「自分を結婚相手として選ぶようような人間を結婚相手に選びたくない」みたいで草。)
蒸発現象で隠せる程度の太さに抑える
蒸発と聞くと物理的に消滅していそうだが、実際は後ろの光が眩しすぎて手前の物体が見えなくなる現象のことだ。
ご存じの通り宇宙はだだっ広いので、本格的に恐れるべき範囲からは点のようなサイズにしか見えない。
しかも無限大の恒星の光がわれらのダイソン球をさらに目立たなくさせる。
丸ごと覆い隠すような不自然なものではなく、ハッキリと遠くから見て分かってしまうような隠し方でもなく。そんな太さに抑えるのが良いだろう。
小惑星・彗星に擬態する「ダイソン衛星」プラン
見かけを限りなく隕石・小惑星に似せた人工衛星のようなものを作り、太陽に墜落しないよう工夫しながら太陽系に放り込む。
この「ダイソン衛星」とも呼ぶべき人工衛星は、実際に太陽系外縁部に出向いて、そこらへんを浮かんでいる小惑星を改造して作るのが良いだろう。
(なんか氷山空母みたいだけど…)
まあ”統計的にどう考えてもおかしい量の小惑星がビュンビュン飛び回っている恒星系がある“という事実だけでむっちゃ怪しいけど…
まとめ・そもそも論
そもそもダイソン球見たいなものを作ったところで、エネルギーが膨大すぎて使い道があるとは思えない。
ゲームによってはソーラーパネルで発電した電力を何かに使うらしいが、太陽を覆うレベルの発電設備なんて絶対に必要ない。
そんなもの作るくらいなら巨大な太陽光パネルを備えたスペースコロニーで充分なのだ。
無駄なことに時間を使ってしまった。