これは、200台以上のクルマに試乗してきた男が、ある夜に体験した「敗北」の話だ。
相棒は、型落ちと馬鹿にされる1500万円のフラッグシップ——W222型メルセデス・ベンツ Sクラス。455馬力のV8ツインターボを積んだ勝者のクルマだ。
そのはずだった…
目の前を走る一台のRX-8に、どうしても追いつけないのだ。
忖度なしの試乗インプレを軸に、型落ちの巨体で夜の高速を駆ける——実体験から生まれた自動車漫画+小説。
作品名は「ダーク・オドメーター」と命名する。
湾岸ミッドナイトや頭文字Dに並ぶ公道架空戦記として、リアリティを楽しんで欲しい。
■注意■
本作品はフィクションです。作中の人物・団体・エピソード、および各車両に対する評価や描写はすべて創作であり、実在の個人・団体・メーカー・運営各社の見解や事実とは一切関係ありません。
高速走行等の描写は物語上の演出です。公道での速度超過・危険運転は法律で禁止されています。絶対に真似をしないでください。
漫画本編

鋭意制作中!
完成したコマから順次アップロードしていきます。
小説版
ここから先の文章は、漫画化の前段階として私が自分の体験談を文章化したものである。
これ単体で1つのクルマ系小説として楽しめるよう仕上げた。
—Sクラスとの出会い—
今日の相棒はベンツのSクラス。
2013年の初期モデルではあるが、新車価格は約1500万円のS550ロングだ。
エンジンは4.6リッターのV8ツインターボ
455馬力に700Nmという大出力。
とにかく何もかも滑らかだ。
ハンドルが驚くほど軽い。パワステの低速域の味付けをかなり意識して作り込んでいる印象で、これがSクラスの乗り味の肝だと言える。
路面のザラザラやタイヤの重さの類が、一切手に伝わってこない。
エンジンの始動音も振動も、このサイズのわりに感知できないレベル。アクセルを踏んでもエンジンは全く唸らない。
ハンドルは路面と繋がっていないような感触で、市街地の喧騒もしっかりカットされる。
物理的にはデカい車だが、切れ角と見切りの良さのおかげでスッと手に馴染む。
2.2トンに迫る車重も流石に気にならない。
日付が変わる程度では眠らない街、東京を抜けるために首都高へ。
まずは箱根ターンパイクを目指す。
周期的に継ぎ目があったり路面が多少うねっていたり、交通の流れに乗るために中程度以上の加速を行う必要があったり、低くない負荷でカーブを旋回したり、80km/hを越えるスピードで巡行したりと、常識的なゆったりペースで流していても試せることは多い。
むしろ無理やり全開走行をしないからこそ分かることというのは非常に多い。
車への習熟や暖気、環境把握などの安全対策のほか、低負荷域ならではのフィーリングの把握のためにもゆったり走るのは大事なのだ。
ブレーキやハンドル、ギアシフトのレスポンスやアシの硬さ切り替えなんかも、いきなり飛ばしていては車に対応できないかもしれない。ゲームじゃないんだ。
—箱根ワインディングアタック—
箱根ターンパイクに到着。
ここは見通しやカーブなどの条件が関東トップクラスに良く、100km/hペースでタイヤグリップをギッチリ使い切るコーナリングが可能だ。
ワインディングに持ち込むと、まずエコモードではハンドリングがゆっくりというよりダルい。舵角に対する遅れが目立つ。
ドイツ信者が絶賛するボディ剛性も、言うほどよくはない。経年劣化か車重のせいか、軋む感じさえある。
ただ、車自体は重くても、前後の重量バランスとタイヤのキャパで四輪をフラットに使って曲がっていく。
意外とコンパクトに手のうちに収まるし、ちゃんと旋回性は持っている。
個人的に最も不満だったのはATの動作だ。
アクセルもマニュアルモードのはずが勝手にシフトダウンし、クラッチが繋がった瞬間に700Nmの過剰トルクが唐突にドカンと後輪に掛かる。
人間の感覚にとってナチュラルなパワーの出方じゃない。
ホイールスピンを起こして事故りそうで、正直あまり良い動きだとは思わない。
レクサスのLSのハイブリッドのマルチステージハイブリッドも中々に乱暴なパワー特性だったが、純ガソリン+多段ATのSクラスでもこのザマか…
ブレーキも重さかパッドのせいか効きがいまいちで、止まっていかない。そのせいで突っ込めない。
スポーツモードで攻めればハンドルもクイックなFRスポーツにはなる。バランス自体は悪くないのだが。
–高速道路のハイスピードテスト–
箱根から降りて東名高速を東京方面へ。
このわずかな区間は交通量が少なく登り勾配で、路面がうねっておりカーブもそこそこ。
実は新東名以上に超高速テストに適している。
箱根ターンパイクから一直線に下ってきて東京へ向かえる都合上、試乗ルートとしても合理的だ。
道がガラ空きなので思い切り踏む。200km/hオーバーのハイパーテストだ、
200km/hまでは涼しい顔だ。加速性能は圧倒的で、一瞬で220キロ近くまで出る。
しかし速度計の数値が220km/hにタッチした瞬間、Sクラスの優雅な世界は崩れ去る。
し東名みたいなうねりのある路面だと、面の山を飛び上がったタイミングで車の下に大量の空気が入るのか、飛び上がるような動きが出て来る。
このSクラスのうねり路面における上限スピードは個人的には200km/hだ。
おまけにこの速度域でも、フロアからはビリビリした微振動が終始湧いてくる。
まあ首都高の追い越し車線ペースでもフロアの振動は普通に気になるが。
自分でフロアのデッドニングをするか…
直線だと思い込んでいた道も、この速度になるとわずかなカーブが殺人的な急カーブに化ける。
140km/hくらいで体感2倍、そこから160km/hで体感50%アップだが、そこから180km/h,200km/hと、20km/h刻みで体感速度は倍々ゲームで増えていくようだ。
たった100km/h足す程度でも東名高速程度の道路状況ではワープのようであり、「万が一のことがあればこの運動エネルギーを何とか削らねばならない」というプレッシャーが重くのしかかる。
このくらいの路面、GRカローラなら240km/h出してもすまし顔でスイスイ走ることだろうに…
結局、140~160くらいで「快適だなぁ、スピード感ないなぁ」とやっているのが、このSクラスでは最もバランスがいい。
快適だし危険性が無い。日本車相手に勝った気になってバカにすることもできる。
ーー鮎沢サービスエリアーー
別に誰の命も危険に晒していないのだが、とんでもないスピードで走ったので神経が疲れた。
スピードを落として第一レーンペースへ。サンルーフを開けつつクルマと人間をクールダウン。
新東名から東名高速へ合流してトラックたちに交じりながら御殿場の山登り。
カツカレーが食べたくなったので鮎沢PAに寄る。
トラックでいっぱいだが、普通車数台を停めるくらいの空きはある。
ネットでは散々バカにされる型落ちベンツだが、そのSクラスの後ろ姿は流麗で美しい。
テールランプは幻想的であり、バイオリンのような曲面主体のデザインが高貴だ。
1000円で揚げたてのカレー。特別なものは特にないのだが、揚げたてのカツが24時間食えることは素晴らしい。
「1500万円のSクラスに乗っているときにSAのカツカレーなんか食うのか…」と思われるかもしれないが、自分は月収が500万円くらいあった時期も、某回転寿司チェーンにちまちま行くのが最高の趣味だった。
余ったお金を見栄や浪費ではなく投資に回して質素な生活をしているし、なぜか未だにプリウスPHVに不満なく乗っているため、コメント欄ではよく底辺貧乏人認定されている。
野菜は皆無だが、素晴らしいエネルギーを補給することができた。
ーー首都高へーー
御殿場の山下りもそこそこエキサイティングな道ではあるが、第三レーンも110km/h程度で詰まってしまうのでアタックを期待する価値はない。
この区間は諦めながら真ん中のレーンをゆったり走る。
音声でメモを取りながらメンタリストDaiGoの動画を流していたら神奈川県もあっという間に終わった。
普段はやらない140~160km/hくらいのスピードでクルーズしたが、このSクラスはこれくらいのスピード域に抑えているのが最も快適だ。
これ以上速度を上げると車のバランスの悪さというか安定性のネガが出やすくなる。
フラッグシップセダンであるSクラスだが、ハイパフォーマンスカーに分類できるかと問われると怪しい。GRカローラのほうがよっぽど速くて安定している。
用賀の料金所を抜けて首都高の渋谷線に入る。
法定速度は50km/h程度だが、大型トラックも110km/hオーバーで飛ばす暴力的な路線。
道は空いているが、無用なリスクを避けるため第一レーンペースで穏やかに流す。
85km/hくらいに抑えた遅すぎず速すぎずのペースである。
そのときヤツは表れた…!
後方から速いスピードで接近するヘッドライト。
その接近速度が明らかにおかしい。
あの巡航スピードは160km/hクラス。
その割にはあまりシルエットが大きくない。
すぐに識別可能距離に入る。
RX-8だと!?
カーボンボンネット、大ぶりなGTウイングやエアロ、車外テールを全周に纏い、車高も下げ、社外マフラーのエンジン音を響かせながら抜き去っていく。
Sクラスのゆったり系の乗り味に飽きてきたところだ。
アシとギアシフトをスポーツモードに切り替え、サンルーフと窓を閉めてアクセルを一気に踏み込む。
さっきまで低回転域でゆったり流してたエンジンに、もう一度700Nmを発揮させる。
また後ろからキャーというタイヤの悲鳴が鳴り、強い力で抑えつけられるのを感じながら猛追する。
一瞬で自車の車速は160km/hを越える。
相手も常時ベタ踏みで踏みぬいているわけではないようで、その差はすぐに縮まった。
お互いに公道走行である。交通量だってゼロではないし、料金所からの合流もある。
車の間を紳士的に抜けつつ、隙を見ては160km/hくらいまで加速して、その速度域をキープする。
踏めば追い付き、追い抜けるが、私は安全な車間をキープしてストレスを与えない。
相手も本気では逃げず、車間すら詰めて来ない圧迫感の無い相手にわざわざ身を引いたりもしない。
紳士的な巡行が数キロに渡って続く。
ーーーー
ちょっと過去の話になるが、私は実際にRX-8を所有していた。
初期モデルのマツダスピードバージョンだ。
マツダスピードのフルエアロのみならず、ECUや社外マフラー、フライホイールにアーシング、プラグ、サスペンションにボディ剛性強化パーツなど、何から何まで手が加わっている純正スペシャルモデルだった。
RX-8の中でも最もパワフルなバージョンだったろうが、
その馬力は未公表だが、やっていることの内容的に260馬力前後だとされている。
これは物理的に吹っ飛ばされるような加速性能を持っていた。
NAのRX-8としては最大クラスのパワーを持っていたことだろう。
それとは別にオートマの後期モデルに乗ったが、そちらは215馬力程度しかなく特に速くはなかった。
しかし1つだけ断言できる。
「過給機未搭載のRX-8に、455馬力級のSクラスと互角の勝負ができるような加速性能はない。」
RX-8の車重は1.3トンほど。
ちょうどGRヤリスと同じ数値だ。
GRヤリスは300馬力ほどあるが、それでもスーパーカーと同等の加速性能を持つ。
あのクルマの加速G的に過給機搭載は確実。
おそらく300~350馬力前後だろう。
こっちが約2.2トンのデカブツとはいえ、455馬力と同等以上の加速を魅せるとは大したものだ。
ーーーー
さて人名を危険に晒すことこそないものの、緊迫感のある速度でお互いに走り続ける。
Sクラスは抜群のパワーを調子よく発揮する。
大柄なボディゆえのゆったりとしたスタンスを持って快適性を保ちつつも、強い負荷の走行においてもしっかり安定してその車体を走らせる。
相手のRX-8の走りも観察しているが、足回りもタダモノではないようだ。
RX-8の純正サスペンションはただ減衰だけ引き締めてバインバイン跳ねるボディを強引に抑え込むようなザ・低価格帯スポーツカーといった仕上がりだったが、あのクルマは車体自体が沈み込んで路面に吸い寄せられるような動作をしている。
ダウンフォースの抑えつけや「ただ車高だけ落とせばいい」「ただ締めればいい」なんてモノではない、実際の荒れ狂う路面にマッチしたサスペンションセッティングが見て取れる。
レーンチェンジの旋回操作も無駄がなく、瞬間的に過剰なヨコGを生じさせることなく、ロール方向へと傾くこともなく地面に吸い付いてスッと動いていく。
クルマ自体もただ馬力とGTウイングだけあるようなモノではなく、乗り手だって乱暴にアクセルとハンドルをガッと切るようなタイプではない。
正直かなり厄介な相手だし、この時点で自分とSクラス程度では勝ち目がないことをなんとなく悟っていた。
しかしちょっと不利なのを痛感した程度で引き下がる自分ではない。
路面のうねりや荒れの前にはそこまで余裕がないが、常時ベタ踏みという狂気の選択肢を取らずとも付いていけている。
下り坂で気持ち離れ、上り坂でガッツリ踏んで詰め、C1へと合流するジャンクションへの下り坂。
オールクリアとなってお互いにフルスロットル。
このジャンクションは2レーンの中央で割け、左レーンはC1外回り、右レーンはC1内回りへと合流していく。
RX-8が選択したのはC1内回り。
私もありとあらゆる車で何百回と周回している定番のテストコースだ。
ーーC1 内回りーー
さて、実際に走っている人は分かるだろうが、東名高速からC1内回りに合流する際、右カーブの後に右から本線に合流する。
この合流レーンがバカみたいに短い。
そこへ向かって200km/h近いスピードで飛び込んでいくが、相手は本気でブレーキを詰めていない。
手前から穏やかに制動力を立ち上げ、途中で強めに減速Gを出してから、また緩めて穏やかに抑えてから旋回に移行していくような踏み方。
明らかに奥深くまで攻めていない。
こっちが本気で追いかけているのはミラー越しに気づいているだろうが、バトルモードと言うほどではなさそうだ。
「狂気に任せてペースを上げて秒速で振り切る」という選択肢を相手は取っていない。
相手の車を見るのも良いが、そんなことしていては自分の減速が間に合わなくなる。
ここのブレーキング1つ取っても、「運動エネルギーは速度の二乗で大きくなる」という基礎的な物理法則が立ちはだかる。
相手は軽く減速している程度だろうが、同じ速度から同じ速度まで減速するとしてもこっちは約1.7倍多くのエネルギーを熱に変えて捨てなければならない。
重いというのはそれだけ物理的な負荷が高いのだ。
ここに来るまでの道中でブレーキの効き具合については心得ているが、ここばかりは安全マージンを削りながら食らいつくしかない。
谷底でグイっとブレーキを踏む。
荷物がドサっと崩れる音がして、強烈な減速Gが掛かる。
フロントタイヤをしっかり押し潰し、旋回のGに耐えられる速度まで落としてから強い負荷を保ったまま右カーブへ。
フロントのアウト側のタイヤが苦しそうだ。
ただですら2.2トンある車重のうちの、重たいV8の遠心力を直に受けて、安定優先のサスペンション設定によってねじれる感触もある。
安全な範囲に抑えていたため旋回途中の段差も特に危なげなく超えていくが、1500万円の重たい高級車を安全に旋回させた代償は2台の距離に現れる。
相手は余裕がありそうだったが、同じくらいのスピードで旋回しながら左奥の本線の道路状況も確認するのはかなり大変だ。
横Gが強くて耐えているだけでいっぱいいっぱいだが、複数回左を振り向いて本線の車両を確認。クルマは来ていない。
なんとか右カーブをクリア。狭い合流レーンでC1本線へ。
突然踏むと唐突にキックダウンされてリアタイヤに過剰トルクが掛かるため、旋回を終えた後も気持ち慎重にアクセルを開ける。
このわずかな差でも数車身ぶん離れる。
そこからしばらくは継ぎ目と軽いカーブ、左からの合流、右側に道路管理車両の駐車場などがある穏やかな区間。
ここでも全開で追いかける。
相手が穏やかな加速と巡航速度に留めているようで、車間は大して開かない。
3速→4速としっかり加速を入れていけば追い付くことができた。
それにしても走行ペースが速い。
160km/hは越えている。
首都高をこのスピードで走っていると、レーン幅は狭く、旋回時の入力タイミングや進入速度少しでも誤ると遠心力に負けてアウトへ弾かれたり、車体をレーンに収めるための急ハンドルを余技なくされる。
法定速度ペースでもそこをクリアできない一般人は少なくない。
しかしお互いに走り慣れているようだ。
カーブを曲がり損なうことはなく、車線からはみ出さず、隣のレーンに寄り過ぎない程度の絶妙なライン取りで右へ左へとカーブを抜けていく。
そのまま左カーブを抜けて一ノ橋ジャンクションへ。
ここは谷のように下った後に登り、その後に左カーブがある。
スピードを上げて走っているとそこそこの難所だ。
カーブが近づくと路面が赤黒になるが、そのあたりまで強めに踏んだ後、谷底に向かってまた強めなブレーキング。
減速Gが乱暴に変動しないよう穏やかに踏力は増やすが、内臓がグッと縮むような感触を感じるほどの減速Gで車速を落とす。
しかし相手は下りが登りに転じるところで一瞬グッと減速するだけで、気持ちよさそうにカーブをクリアしていく。
軽々しく走りやがって…
1500万円のSクラスの王者っぷりも、いまや「重てぇんだよデブ」である。
たかだか220km/h程度でバインバイン跳ねてまともに走らなくなるこんな巨体のどこが「王者」なんだよ。
そのまま第二車線でお互い左カーブへ。
ここはまだ緩い方だが、それでもこっちは遠心力に抗うのでいっぱいいっぱいだ。
相手はペースを上げているようで、コーナリングから再加速にかけてのアクセル開度がさらに増している。
右車線からの合流車を左からかわすために加速の中断を余儀なくされ、安全に抜いた後に再加速するが、これが決め手となり大きな差が開く。
ベタ踏みでの猛追を試みるが、芝公園出口へのS字が中々の急カーブ。
車線幅も狭いので満足にラインが取れず、この巨体で常識的に走ろうと思えば相当なペースダウンとなる。
遅れ気味に右カーブ、左カーブとクリアしても、わずかな直線のあとにまたS字。
流石に敵わない。
それ以上無理なバトルをしても仕方ないということで、アクセルを抜いてエンジンのクールダウンへ。
相手はその後のジャンクションでさらにC1方向へと左折して行ったが、自分は直進してお台場方面へ。
Sクラスは遅い車ではないが、首都高で軽量級とバトるには持て余すのだった。
ーーーー
その後はハイブリッドのレクサスNXにサクッと試乗する。
そしてコインパーキングに車を停めてマンガ喫茶で返却時間まで過ごした。
「ビジネスホテルくらい用意すればいいのに…」と思われるだろうが、どうせ20時から朝の5時過ぎまで出かけているのだ。
そのわずかな滞在時間さえも、どうせシャワーを浴びて寝るだけ…
使わない部屋のためにビジネスホテルを借りるのはバカらしい上に、私にとっての深夜帯は移動と試乗の時間なので…
さて内臓がキリキリ痛むお楽しみ()な給油タイムだが、やはり1万円が飛んでいった。
全区間燃費はリッター7kmくらいのモンだろう。
レギュラーでリッター30km越えの車に乗っている私からは目も当てられないくらい悪い数値に見えるが、この手の300馬力越えハイパフォーマンスカーは燃費がリッター7km程度で下げ止まるもの。
そういう意味ではあまり気にしなくていい・・・?
それよりも「いちいちガソリンスタンドに行かなきゃいけない」ことのほうがよっぽど面倒だろう。
首都高の夜に一台のRX-8を追い、そして届かなかった。
1500万円のSクラスと、タイヤグリップの限界に日常から挑んでいる自分の操縦でも…だ。
455馬力あろうとも、2.2トンという車重の足枷は公道というステージにはあまりにも重すぎた。
1900ミリという横幅を気にする必要があまりない、首都高というステージにおいても。である。
この手の140~200km/hくらいのスピードレンジで最も早いのは、GRヤリスやGRカローラ、GR86のようなコンパクトだが小さすぎない車体と、その車体を身軽に200km/hゾーンまで加速させるパワーを持った小柄なクルマなのかもしれない。