加速の遅さが懸念されるランドクルーザーFJと、初期型のBMW X1の最廉価モデルの最高速バトル….
150馬力クラスの緩慢ながら手に汗握る緊迫の公道レースが静かにゆっくりと幕を開けるッ…!!

車両自体のインプレはこちら↓
アニメ・漫画版
先にベンツSクラス vs RX-8を作っているので、まだ取り掛かってもいません…
小説版
クロカンベースなこの車体では160km/hにはタッチできないッ…
BMWの20年落ちの最安のSUVに負けるのか…!?
FJと対面
乗り比べ235台目に乗る機会をゲットしたのはランクルFJだ。
提携している車屋さんが仕入れたそうで、長くない時間だが乗り回せることになった。
駐車場に停まっていたFJに歩み寄ると、まず目を引くのは光沢のある土系グリーンの塗装だ。
直線基調でカクカクとしたデザインに、ボリュームのあるリアまわりが加わって、未来的というよりはどこかサイバーパンクな乗り物みたいな雰囲気を纏っている。
400万円台とは思えない迫力で、パッと見た感じは700万円クラスと言われても納得してしまいそうだ。
乗り込んで内装を見ると作りは簡素。
ただ触れてみるとレザー調素材やソフトパッドの面積は思ったより広く、質感自体はそこまで悪くない。
この価格帯でここまでやってくれるか。トヨタの良心を感じた。
とはいえシートベンチレーションもブレーキホールドも無く、サイドブレーキは今どき珍しい左手引きのレバー式。それゆえ追従クルコンは停止保持もできない。
センターコンソールは「ランクル250の部品を流用すること」を第一に強引に成型したなと分かるレベル。
ナビやステアリング、エアコンスイッチなども定番の共用品。
サンルーフも用意されていないというのが、このクラスなりの割り切りを感じさせる
市街地を流しつつ肩慣らし
実際にシートに座ると視点はかなり高い。
エントリーモデルとはいえ、ランクルらしい見晴らしの良さはしっかり味わえる。
この「普通車の常識からは抜けた高さから世界を見下ろす」という雰囲気、まさにランクルだ。
車体サイズ自体はまだ良心的な部類だが、それでもランクル系特有の「道路幅に対してちょっと大きすぎる」感覚は拭えない。
上から見下ろしながら丁寧に扱ってやる必要がある。
とはいえ繊細に操作していれば自然と収まるサイズだ。
運転への充分な習熟や基本操作の丁寧さがあれば何も問題なく乗りこなせるだろう。
パワーステアリングは気持ち重ため。
今どき珍しい油圧式と考えれば、この重さもむしろ自然な部類だろう。
市街地を流している分には車両の静粛性は意外なほど高い。
ランクルって駐車場から出して街乗りする程度でもプレッシャーが掛かるクルマだと感じていたが、FJは価格的にもサイズ的にも非常に良心的である。
さて個人的にランクルFJに対して抱いていた最大の懸念点がエンジンだ。
ランクル250で散々「非力だ」と言われ続け、実際に運転してみても目も当てられないくらい酷かったあのガソリンエンジン、2TR-FEである。
250においてはノンターボの軽自動車みたいな加速感しかなく、高速道路の合流が安全に行えないレベルで酷いアレだ。
FJのほうはだいぶ軽いとはいえ、残念ながらエンジン性能に余裕はない。
ちょっとした上り坂ですらエンジン回転数がなかなか落ちてくれず、まるでマニュアルシフトを戻し忘れたような回転数とギアのまま走り続ける。
2000回転を超えれば加速音がキャビンに響いてくるから、静粛性という面でも褒められたものではない。
トランスミッションは常にシフトチェンジを繰り返して回転数を高め、エンジンの力をしっかり引き出そうと動いてくれる。
でもそもそものエンジンの地力が足りていないので、ギアシフトが噛み合ったところでたかが知れているというのが正直なところだ。
少し坂を登ったりクルーズコントロールの設定速度を上げただけでシフトダウンし、エンジンが唸り声を上げる場面も多い。
しかしランクル250のどうしようもないガソリンの遅さと比べれば、これは充分に耐えられる。
また1000回転台という低い回転域でも必要十分なトルクを発生させてくれるので、下り坂での減速や悪路での発進、ローレンジを使った険しい坂の上り下りではこの特性がしっかり効いてくるだろう。
パワー不足は否めないが、そのぶん悪路走破性は光り輝いているのだろう。
もちろん過酷な環境で長期的に運用しても壊れないだろう。
過剰な信頼性だと思うが…
高速道路で高負荷テスト
さて東京エリアで簡単にハンドリングテストをするために大師ジャンクションを使う。
ここはぐるぐるしながら上へ地下へと高低差を埋めるため、東京都内でもトップクラスに条件の良いカーブが揃っている。
昼間でも比較的交通量が少なめで、期待値は高くないがオールクリアを取りやすいという特徴がある。
今回も前が開けたので、思い切り車体を振ってテスト。
ステアリングのレスポンスは、決してクイックではないがダルいわけでもない、というのが正直な感触だ。
手元で切り込むと、思っていたよりもスイスイと気持ちよく向きを変えてくれる感覚があり、この曲がり心地はどこかbZ4X系に近いスムーズさを感じさせる。
少し大きめにハンドルを切っているような印象こそあるものの、ジムニーのように延々とハンドルをぐるぐる回し続けるような必要はなく、扱いやすい部類だと言っていい。
コーナーではロールを抑えながらしっかり向きを変えていくので、ハンドリングの動き自体は意外と悪くない。
とはいえ「軽い」と言われるFJでも車重は物理的に2トン近くあるわけで、そこそこのペースでカーブに飛び込めばタイヤがキュッと悲鳴を上げる。
それでも足はしっかり踏ん張って、オフロード寄りの設計ながらオンロードでもきちんと曲がりきってくれるのは好印象だった。
そのまま長い直線を抜けて東京湾アクアラインに入る。
問題はここからだ。加速性能自体は250よりマシになっているとはいえ、直進安定性のなさは正直かなり気になる。
120km/hを超えたあたりから横風に揺さぶられ始め、ジープのラングラーを彷彿とさせるような挙動で右へ左へと小刻みに車体が振られ続ける。
レーンの端に落ちている落下物をちょっと避けるだけでも一苦労。
正直「ランドクルーザー」の名を背負うにはこのレベルの直進性はどうなんだろうと思ってしまう部分だ。
車体が高くAピラーも寝ていない上、足回りも悪路性能優先のセッティングだから仕方ない面はあるのだろう。
静粛性そのものは市街地同様に悪くないのだが、カーオーディオは酷い。
少し音量を上げただけで途端に厳しくなる鳴り方で、ランドクルーザーと言えばオーディオの良さにも定評があった(特に300はかなり素晴らしかった)だけに、FJのこの部分は正直かなり見劣りしてしまう。
休憩がてら海ほたるへ
書き留めた音声メモを推敲するという目的もあって途中下車。
休憩も兼ねてあさりそばを食べにフードコートへ。
深夜帯になると営業している店舗はグッと減るが、その中でも楽しめるのがあさりそばである。
文字通り大量のあさりが入っており、出汁の香りもかなり良い。
ラーメンのトッピングのように上だけに大量にちりばめるのではなく、内側にも沈んでおり大漁だ。
天からの恵みを感じることができる。(まぁ浅利の名の通り、アサリが居るのは思い切り地中だけど…)
麺だけはスーパーで13円くらいで売っていそうなタイプだが、他が良いので総合点は上々。
1~2個だけジャリっとしてテンションが下がるが、あさりの数が多いので遭遇率はあまり高くない。
最近の物価高で値段が上がるかあさりの内容量が下がっている可能性はあるが…
あさりそばを食べたら、食後の運動も兼ねて海ほたるのデッキ(?)に出て散歩。
昼間だったら羽田空港に向かって着陸していく航空機を西の方に見つつ、そのまま東を見れば同じ航路を後ろから辿って着陸していく飛行機が見える。
そんなに詰めて大丈夫なんだ・・・
スカイツリーや東京の建物が大量に見えるので昼間に来るにも良いし、夜に来ても夜風が浴びられる。
まぁ夜の20時以降あたりからは改造車の集会所みたいになって「ブウォーーーー」っとエンジン音がクッソうるさいし、昼間でも常時混んでいるので、常に何かしらの代償を払う気持ちで立ち寄ることにはなる。
私が寄ったときは爆音マフラーのLC500が来ていた。
駐車場内でアクセル全開。バゴバゴと下品な破裂音を響かせる。
なんの格式も美しさもない。クルマの格が下がるのでレクサスでやらないで欲しい。
逆に千葉県に入ると高速道路がアウトバーン状態になるので、海ほたるに寄るのは良いことばかりではない
ヤツの登場
アクアラインのトンネルに入った直後は風に進路を乱されていたが、風向きや路面の都合なのか、海ほたる東側のむき出し区間での走り心地は意外と悪くなかった。
ランクル250では遅い遅いと言われていたエンジンだが、130km/hを越えて踏み続けていても意外と伸びる。
直進性においても、ジープのラングラーなどで見られる下げ止まり現象により、意外と特性は悪くならない。
操舵感が頼りないのは事実だが、意外とイケるなとも思った。
そんなときにヤツは表れた。
ゆったりペースで追い越し車線を走っていた後続車を、レーンをはみ出すように煽った末に左から抜いてきた黒いBMWのSUV。
初期のX1である。
流石の黒色。
運転の荒さに定評のあるボディカラーだ。
車の密度が低いわりに2レーンとも詰まり気味で、どっちのレーンを選んでも到達時間に大差がないような状況。
一旦左レーンに移って先に行かせる。
そのX1の加速は緩慢だが、最終到達速度はかなり高い。少なくとも一般人の感覚ではまず行かないゾーンまで加速してやがる。
一般人は「人が飛び出してくる恐れのある市街地では車間を詰めるが、その危険が無くなった区間では法定速度を30km/hも越えればなぜか途端に追いかけて来なくなる」という謎ムーブを噛ますヤツが多いが、そいつはその+30km/hの壁を難なく突破してくるタイプの乗り手だ。
エントリークラスのドイツ車といえば、絶望的な加速の遅さが泣き所である。
150馬力程度しかないので加速がクソ遅いわりに、1.5~2リッターの純ガソリンターボなので燃費も悪い。
内外装の質感も高くなく装備も悪く、その割に500~700万円のプライスタグを要求されるというクソみたいなセグメントである。
私も動画用のネタとして最安のBMWを買おうかと迷い続けており、色々と調べた。
当然E84のX1も同じであるが、実は最安&最遅モデルのsDrive18iのみ、マフラーが左側の一本出しなのだ。
それも横長の楕円。
他のエンジンは細いのが二本出し。
右リアライトの上側に「18i」とか書いてあれば分かりやすいのだが…
さて素直にブチ抜かれて終わるようではなにも始まらない。
ただ適当に走っていただけでは面白くならないのだ。
自分もシフトノブをS位置へとズラし、アクセルを開けて追い越し車線へ移る。
同時に前照灯も点灯。道路状況からイメージされるスピード感よりも速く走る際は、昼間だろうが点灯は必須だ。
パワー不足が否めないエンジンだがトランスミッションの動作は悪くなく、少し踏み込めば簡単にタコメーターの針は正午よりも右側の位置に来る。
120km/hを越えて車速が刻まれていく。
加速自体は遅いが、X1の正面は詰まっているので差は開かない。
90km/hくらいまで減速して右レーンが開くのを待つ。
私は車間距離は詰めない主義なので、前走車へのプレッシャーもあまりかけず大人しく待機する。
そして程なくしてその時は訪れる。
三台前を塞いでいたトラックが第一レーンへ戻り、その後ろの一般車もすぐに左へ。
フラットアウト。
FJの加速は250よりはかなりマシだが普通に遅い。
速いうちから全開にして追いかけないと、最廉価の1シリーズSUVとて追いつかないレベルだ。
オーバースピードの加速勝負はすぐに始まった。
手慣らしの120km/hゾーン、ここから既にFJは頼りないが、直進性はこの手のクロカン車の中ではまともである。
ハンドルやフロントがバッタバッタ暴れたりはしない。
130km/h台、このあたりから暴走スピードとなる。
周りの景色の流れる速度感は一気に気持ちよくなり、周辺の車を一瞬で置き去りにする。
世間的には相当なペースだが、速さを感じないFJでもスムーズに駆け上がれる速度レベル。
X1にもじわじわと迫る。
しかし相手もこちらのペースに対応するように加速を続ける。
路面がうねった右カーブが迫ってきた。
相手は早めにアクセルを抜いてブレーキを穏やかに踏むことにしたようだ。
まだレースというより、追い越し車線を気持ちよく走っている程度なので、ペース感としてはこんなモンだろう。
自分もその動きを察知してアクセルを抜く。
FJのトランスミッションはすぐに回転数を上げるので、中回転以上のエンブレと投影面積の大きさから来る空気抵抗によりそこそこ減速する。
カーブの途中だが左レーンは幅の太いトラック、右には落下物。
イレギュラーを避けるため減速を強いられる。
さすがにFJのハンドリングで狭いところを抜けるのはイヤなので、ブレーキを踏んで車体を引っ込めて、トラックの右後ろの位置で左に寄って落下物を回避。
その後車線右側に寄り直して、アクセルを踏み込んで車速を回復させていく。
風やうねりに流されてゴトゴトと進路が乱れるが、まだ修正舵で対応できる。
乗用車とは異なるゆったりなステアリングを器用に操り、乗せるべきラインへ車体を乗せる。
そんなことをしているわけだが、相手のX1は追い越し車線を塞ぐ車に対し非常識なほど車間を詰める。
直線で130km/h程度しか出さないのに煽り散らしたって意味ないだろと思うが、たまの休日くらい爽快感を伴って走りたいという思いがあるのかもしれないな。
実際関東人の走行ペースは日本トップに速い。
もっとわかりやすく言うと名古屋より運転が荒い。
東京都内の市街地でも、40km/h制限の道路を75km/hで走っていても後方のタクシーはフリードは離れて行かない。
当然付き合っていられないので、複数レーンあれば空いているほうに逃げたり、赤信号のタイミングでハザードを出してポジションを入れ替えたりすることになる。
東名高速神奈川エリアの3車線区間は、3レーンともダラダラスピードで封鎖されるが…
FJの操舵感はスポーツ車と比べたら目も当てられない酷さだが、慣れれば意外とやっていけるものだ。
当たり前ながら加速が遅い車で一旦速度をロスすると、回復にはまた時間がかかる。
しかし相手も本気で踏んでないのかそんなにパワーが無いのか、差はほとんど開かない。
しばらくお互いにゆっくりと加速する時間が続く。
140km/hを超えてもX1との相対距離は変わらず、むしろ車間が詰まり出す。
かなり遠くの方ではまた追い越し車線が詰まっている。
ここで加速を入れても奥の方でブレーキを踏むハメになり、運動エネルギーを無駄に熱で捨てて、そこそこの炎天下の中で無駄にエンジンを加熱させるだけだ。
確かあのX1には、オルタネーターから電気を回収してバッテリーに貯めておく回生システムがあったんだっけ?
あの世代でも、エコモードでアクセルを離せば走行中にクラッチを切り離す挙動があったか?
微妙な空走で走っているのは、コースティングモードだからなのか?
まぁよい、こちらもブン回したエンジンを気持ち冷却しつつ、エンブレによるエネルギーロスを回避するためにマニュアルシフトでギアを上げて6速に入れて待つ。
程なくして追い越し車線組に追いつき、黒い型落ちBMWのSUVの威圧力と、「左レーンから抜くぞ」という意思表示が溢れんばかりのどけどけムーブのパワーなのか、すぐに前が開けた。
またギアを下げてフラットアウト。
5速に落とすか4速に落とすか分からなかったので、シフトアップ方向にギアシフトを数回連打。アクセルベタ踏み。
これでコンピュータが勝手に最適なギアに落とす。
400馬力級では軽く踏んで4速のレッドゾーンに入るだけで200km/h近く出るわけだが、お互いにクソ遅いのと、周りの環境の影響を受けながらの走行であるためペースが上がらない。
CクラスAMGを借りた際に、同じ道を250km/hで軽々と駆け抜けたのが嘘のように遅い。
今回は結構長いオールクリア&フラットアウトだ。
スピードメーターにやっと150km/hという数値を表示させることができた。
トヨタの開発陣は地獄のように攻め込んで、横転したりサスペンションアームが折れそうなペースで車を走り込んでセッティングを詰めて居そうな乗り味の車が特にSUVに多い。
しかしランクルFJで150km/h越えともなれば、開発陣がどこまでやっているのか分からない。
50プリウスはメーター読み172km/h(たぶん実測160km/hくらい)でスピードリミッターに当たるが、FJもそういう風に、180より低い数値にリミットが設けられていたりするのだろうか?
最後まで160km/hにはタッチできなかったので分からずじまい…
後で直接確認して分かったことだが、ランクルFJに履かされているタイヤはオンロード性能を意識したものである。
走行している際は、ハンドルからボコボコというオフロードタイヤのブロックノイズのような振動を感じていたが、少なくともタイヤによるものではなかったらしい。
しかしこの速度ともなれば、振動や騒音がさすがに大きくなってい来る。
まだ応答性は維持されているが、200km/h出してもビシッと安定して静かで快適だったレクサスのLSと比べるとあまりにも辛い。
風や路面の荒れに強く影響を受けやすいという特性やハンドルのゆったりとした応答性ゆえ、万が一の際の対応が厄介だ。
晴れ、風が荒れた日でない、見通しが良い、よく知った路面、先導車あり。
車の調達元はレンタカー会社などではない。
色々な条件に恵まれて、まだアクセルを踏みつづけられる。
しかしこの辺りからは風の抵抗が強い。
このエンジンパワーでは、勝負以前に空気の壁を切り裂くのがやっとである。
空気の壁はマジで厚いようで、踏み続けても車速が増えて行かなくなる。
公道であること、相手が本気とは思えないことと相まって、なんとか「バトル」と呼べそうな事態が展開されていたが、このあたりからいよいよ本格的に車間が開き始める。
加速力的には相手の圧勝だろうが、そもそも道路に対してスピードが出過ぎている。
人間と道路状況がこの150km/h級のスピードを許容できないのだ。
+80km/hというのは非常に大きなリミッターだ。
周りの景色が流れるスピードは、このあたりから指数関数的に速くなる。
当然ながらイレギュラーに対処する時間も、減速時に捨てなければならないエネルギー総量も、事故を起こした際に相手に与えるダメージも指数関数的に増えていく。
ここ以下の速度域なら「気持ちいいなぁ」程度で済むお遊びゾーンだが、+80にタッチする頃には「他人の命を常に危険に晒している」「自分がなにかやらかせば、とりあえず問答無用で他人が死ぬ」という緊迫感の中で走っていくことになるのだ。
570馬力あったGT-Rはそんな+80km/hの壁なんて無視して300km/hへ向かってグイグイと加速していき、その速度域でもビシっと安定していたが、BMWのエントリークラスのSUVで同じことは流石にできないのかもしれない。
私が車間距離をま~ったく詰めないので、こっちのことなんて「なんか出してる速度の割に離れねぇな」程度にしか思われていないかもしれない。
増大する風切り音や神経を尖らせ続けたハンドル操作、フルパワーで唸り続けるエンジン、縮まる気のないBMWとの格差。
しばらくほどほどの距離感で追いかけていたが、注意力も有限なので降りることにした。
アクセルを緩め、今回ばかりはブレーキを軽く踏んで減速していく。
最終的に84km/hまで落としてエンジンをクールダウン。
そのまま走り続けて最寄りのパーキングエリアに入った。
車の全力を示すことができなくて不甲斐ない気持ちではあったが、「あの基本設計とシャシーでここまでやれるんなら上出来だな」とも思った。
自分が普段乗っている一級品の高性能車と比べればクソみたいなハンドリングではあるが、よく頑張った。