【CX-5(後期20S)】軽快な走り心地が楽しい当たりグレード #187台目【試乗インプレッション】

ディーゼルに乗った3日後だが、ガソリンモデルのCX-5にも乗っていく。

乗り心地や直進性に対する世間の評価があまりにも私の感想と乖離しており、動画を作るに作れなかったからである。

同じ後期のCX-5で、ディーゼルターボと純ガソリンの比較。

ただエンジンが違うだけなんてものではなく、車の世界の深さを痛感した。

冒頭のまとめ

加速性能が良くはないことを除けば、軽快な身のこなしが楽しい当たりグレードである。

乗り心地やハンドリングが良好で、エンジンも気持ちよく高回転域まで使い切れる。

細かいところに気になるところはあるが、値段に対する満足度は総じて高い。

ディーゼルと直4NAの比較

まずは数値で違いを見ておこう。

項目2.0L ガソリン (20S)2.2L ディーゼル (XD)差(ディーゼル比)
最高出力156 ps / 6,000 rpm190 ps / 4,500 rpm+34 ps
最大トルク199 N・m / 4,000 rpm450 N・m / 2,000 rpm+251 N・m
車両重量1,540 kg1,640 kg+100 kg

20Sはパワーでは劣るものの100kg軽い。

この100kgの重量差はフロント=エンジンルームに集中している。

このフロントの重さの違いがハンドリング特性に大きな影響を及ぼしている。

100kgの車重差が乗り心地にもたらす影響

乗り心地の違いをgeminiに聞いてみた。

1. エンジン重量に合わせた「専用チューニング」

フロントセクションの重量が約100kgも違うため、同じ足回りを使うとディーゼル車は底突きしてしまい、ガソリン車は跳ねすぎてしまいます。

  • バネレートの違い: 重いディーゼルエンジンを支えるため、XD(ディーゼル)モデルには、ガソリン車よりも硬い(反発力の強い)スプリングが採用されています。
  • ダンパーの減衰力: 100kgの重い塊が上下に揺れるのを抑え込むため、ディーゼル用のダンパーはガソリン用よりも減衰力を高めて(動きを抑制して)います。
  • フロントスプリング形状の最適化: 荷重のかかり方が異なるため、それぞれのモデルで最適な姿勢を保てるよう、形状レベルでの微調整も行われています。

2. なぜガソリンの方が「しなやか」に感じるのか

数値上はディーゼルの方が「重厚でしなやか」と評されることも多いのですが、あなたの感覚が「ガソリンの方がしなやか」と捉えたのには、以下のメカニズムが関係しています。

  • バネの「突っ張り」のなさ: ガソリン車はエンジンが軽いため、柔らかいバネを使うことができます。これが、路面の小さな凹凸に対して「スッ」と足が動く、軽快なしなやかさを生んでいます。
  • ピッチングセンターの違い: 重いディーゼルは、車体の揺れの中心(ピッチセンター)が前寄りになりやすく、ゆったりした動きになりますが、人によってはそれが「モッサリした揺れ」や「不自然な重み」と感じられます。ガソリン車は前後バランスが良いため、揺れの収まりが自然で、体が揺さぶられる感覚が少なくなります。
  • タイヤへの攻撃性: 100kg軽いことで、タイヤのサイドウォールが受ける負荷も減ります。これにより、タイヤ自体が持つ本来のクッション性を活かしやすくなり、乗り心地の「角」が取れた感触になります。

3. 改良による「しなやかさ」の向上

マツダは年次改良(特に2021年の大幅改良)において、さらにこの「作り分け」を深化させました。

  • 減衰特性の最適化: 路面からの微細な入力をいなすため、ダンパーの減衰力を全モデルで再調整し、穏やかで安定した乗り心地を追求しています。
  • ボディ剛性との相乗効果: 剛性が高まったことで、サスペンションが設計通りに正確に動くようになり、ガソリン車の「軽やかさ」とディーゼルの「重厚さ」それぞれの良さがより際立つようになりました。

なぜエンジンが変わるだけで直進性に違いが出るのか

直線でフラついていたディーゼルに対し、なぜか20Sのほうが直進性が圧倒的に高かった。

geminiに理由をうかがってみた。

1. 「フロントの慣性」が少ない

ディーゼル車はフロントが極端に重いため、一度横風や路面のうねりで左右に振られると、その重い鼻先が「慣性」となって動きを助長してしまいます。

  • 20Sのメリット: 鼻先が軽いため、外乱によって進路が乱れそうになっても、車体が元の姿勢に戻ろうとする「復元力」が素早く働きます。
  • 修正舵の効き: ステアリング操作に対する反応が軽やかなため、無意識に行う微修正が最小限の力で済み、結果として「ビシッと真っ直ぐ走っている」という感覚に繋がります。

2. サスペンションの「突っ張り」がない

先ほどお話しした通り、ディーゼルは重いエンジンを支えるために、フロントサスペンションを物理的に「硬く」設定しています。

  • 路面追従性の差: 硬い足回りは、路面の大きなうねりに対して車体全体を揺らしてしまいがちです。一方で、20Sはバネが柔らかいため、路面の細かい凹凸やうねりを足回りがしなやかに「いなして」吸収してくれます。
  • 接地感の維持: 足がよく動くことでタイヤが路面を捉え続け、高速道路の継ぎ目やわだちでも進路が乱れにくくなります。

3. ステアリングの「据わり」とタイヤの負荷

  • タイヤへの負担: ディーゼルは重さゆえにタイヤのサイドウォールに常に強い圧力がかかっており、路面の傾斜などの影響を過敏に受けやすくなっています。
  • 自然な手応え: 20Sは前輪への負荷が適切なため、ステアリングの中立付近での「据わり」がより自然に感じられます。マツダの「遊びの少ないステアリング」が、20Sでは「過敏さ」ではなく「正確な直進性」としてポジティブに作用したと考えられます。

外観・デザイン

エンジン違いの廉価グレード同士なので内外装についてはほとんどディーゼルと変わらない。

外側のバッチ類が違うかもしれないが、時間が無かったこともあり気づかなかった。

内装

こちらもディーゼルとの違いは皆無。

パワーモードがディーゼルには存在しないことと、一部の内装素材が変わっている程度の違いしかない。

ちなみに20Sのパワーモードより、ディーゼルで普通に踏んだときのほうが加速としては良い。

内装関連で違うのはエンジンの静粛性だろうか。

ディーゼルも別にうるさいとは思わないが、ガソリンエンジンは静粛性のレベルが1つ上がる印象だ。

価格帯を忘れるほどの静かさを持つ。

まぁ20S程度の排気量では踏んでいくと回転数が上がりやすいので逆転もあるが。

実走行インプレッション

取り回し

ディーゼル版で取り扱ったので省略。

アクセルを踏んでからの出足に多少の違いがあった可能性はあるが、あまり気にする意味があるとは思えない。

パワートレイン

圧倒的なトルクでスイスイと走っていたディーゼルに対し、20Sはブン回して必要なパワーを得ていくタイプ。

私はこちらでも悪いとは思わないが、高級車のような余裕は特にない。

むしろNDロードスターの1.5Lの幌屋根的である。

ただ周りに合わせて街乗りする程度なら低回転域で走れるが、レーンチェンジや合流などの加速力が必要な場面ではキックダウンを待った後にエンジンが元気な音を立てて回り出す。

マツダ車の小排気量はエンジン音が気持ちいいので許されているところがあるだろう。

奥まで踏んでも大して速くはないが、加速性能が無くて困ることはほとんどない。

しかし踏んでいってもキックダウン待ちの時間が長いと感じる。

スポーツモードを使っても良いが、常陽回転数が高くなり燃費が落ちるためレーンチェンジ程度でわざわざオンオフする価値があるのかは微妙。

乗り心地

イマイチしっくりと来なかったディーゼルに対し、20Sは乗り心地も良好である。

サスペンションがしっかりストロークするし、ボディは頑丈さを活かす。

しっかり感としなやかさの両立が出来ている印象だ。

具体的にはサスペンションの揺れは下から上に行って収まる程度。

上に来た際に頑丈なボディが受け止めてくれるため安心感がある。

上下方向への動きは少々大きい気もするが、20Sの加速性能やCX-5の想定する走行ペースを踏まえるとこれくらいの塩梅の方が快適性とのバランスが取れているとも言えるだろう。

もっと良い動きをするサスペンションを持った同格のSUVは挙げられるが、20Sがダメなわけではない。

ハンドリング・直進性

フロントがあからさまに重く、うねった路面でジャンプして剥がされていたようなディーゼルに対し、20Sは軽さが効いている。

…とはいっても重量級よりな動きではあるのだが、ディーゼルと比べるとあからさまに余裕がある。

ハンドルを少し動かしただけでもクルマはリニアに追従してくる。

フロントが相対的に軽いため、カーブを曲がって行く際中の動きにも身軽さがある。

旋回中にさらに負荷を上げて行けば辛さが隠し切れなくはなるが、あからさまに前が逃げたりせずに曲がって行ってくれる。

一般的なスポーツカーほど余裕はないが、グイグイ進む。

リア側のサスペンションも旋回中に強い負荷を掛けるとグッと沈み切って反発し、ちゃんと安定したコーナリングに参加してくれる。

意識して操作して行かないと感じ取ることはできないが、ちゃんと4輪、前後のサスペンションを活かしている様子が感じられる。

ちなみに急ハンドルを切るとグラっと来るように傾く動きはあるのだが、すぐに収まる。

これくらいの安定性があってくれれば、グラつくというよりは傾く角度がただ大きいというだけ。

SUVゆえの腰高感とかそういうものではないと感じた。

まとめると「追い込んでいくと重さは隠し切れないが、スムーズに身軽に曲がってくれる特性である」と言えるだろう。

直進性についても大きな違いがあり、20Sのほうは完全手放しのようなことをしてもまっすぐ進み続けてくれる。

風やうねりに流されまくっていたディーゼルとは大違いである。

マルバツ評価

〇:軽さがもたらす身軽で快適な走り+エンジンを使い切る楽しみ

×:絶対的な加速と燃費性能と内装の質感は見劣りする

おまけ:CX-5のエンジンラインナップについて

1. 2.2L クリーンディーゼルターボ(SH-VPTS)

今回あなたが試乗された、CX-5の主力エンジンです。

  • 特徴: 4.5Lガソリン車並みの強大なトルク(450N⋅m)を低回転から発生させます。
  • 走行性能: 高速道路や登坂路での余裕ある走りが得意ですが、エンジン重量が重いため、フロントタイヤへの負荷や独特のピッチング挙動が出やすい特性があります。

2. 2.0L 直列4気筒ガソリン(PE-VPS)

街乗り中心のユーザーに向けた、最もベーシックな自然吸気エンジンです。

  • 特徴: 軽快な吹き上がりと、鼻先の軽さがもたらす素直なハンドリングが魅力です。
  • 立ち位置: 常用域での過不足ないパワーと、経済性を両立したエントリーモデルという位置づけです。

3. 2.5L 直列4気筒ガソリン(PY-VPS / PY-RPS)

先ほどお話しした、ディーゼルと2.0Lの中間に位置する実力派エンジンです。

  • 特徴: 排気量の余裕により、2.0Lよりも全域で力強く、かつディーゼルよりも振動が少なく静かです。
  • 気筒休止: 高速巡航時などに2気筒を休止させる機能を備えており、燃費向上を図っています。

4. 2.5L 直列4気筒ガソリンターボ(PY-VPTS)

一時期ラインナップされていた、最もパワフルな「25T」モデル用のエンジンです。

  • 特徴: 最高出力230ps、最大トルク420Nmを発生し、ディーゼルに近い加速感とガソリン車の伸びを両立していました。
  • 現状: 残念ながら現在の新車ラインナップからは外れていますが、中古車市場では「最も速いCX-5」として根強い人気があります。

エンジンごとのキャラクターまとめ

エンジン種類呼び称性格おすすめのシーン
2.2L ディーゼルXD重厚・トルクフル長距離・高速クルーズ
2.0L ガソリン20S軽快・リーズナブル街乗り・近距離
2.5L ガソリン25S上質・バランスオールマイティ
2.5L ターボ25T豪快・ハイパワー走りのパフォーマンス重視
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