【CX-5(後期ディーゼル)】グラつくと捉えるかスリリングで身軽と捉えるか… #185台目【試乗インプレッション】

マツダ車の売れ筋傑作SUVであるCX-5。今回は後期のディーゼルモデルに乗っていく。

世間ではコスパコスパというが、そのコスパの評価基準から走行性能関連のパフォーマンスが抜け落ちていないか。しっかり走り込んで確かめてきた。

冒頭のまとめ

燃費性能と加速性能を両立した傑作のディーゼルエンジンを搭載することでガソリンモデルとは段違いの世界の走りを手に入れた。

しかしハンドル操作や横風によるグラつきが大きく、乗り心地も車高を上げてホイールサイズを下げている割には気になるところがある。

内装の質感も価格相応なところが否めない。

そんな乗り心地、ハンドリングのクセをどう捉えるかによって評価が変わりそうな一台である。

外観・デザイン

日常的に見かけるクルマなのでいちいちコメントすることもないが、廉価グレードゆえの小ぶりなホイールが優しい印象を与える。

後期型であることはライトの中を見ればわかる。

内装

コスパコスパと言われるが、最廉価グレードの質感は何とも言えないところ。

内装の使い勝手は定番のマツダワールド。

ナビシステムのコマンダーの動作が悪いことがある。

「戻る」がBMWでは左下だったが、マツダは右下。

静粛性・オーディオ

静粛性・オーディオの両方において期待を上回る良さを持つ。

300万円級に収まっていることを踏まえると素晴らしい。

実走行インプレッション

取り回し

個人的にCX-5には大きいというイメージを持っていたが、実際に乗ってみると非常に小さく感じて驚いた。

画面は大きくないがアラウンドビューモニターまで装備される。

車幅も1850mm程度なので狭い道でのすれ違いでも苦労しづらく、全長も4.5メートル程度なので狭いところでもつっかえづらい。

最低地上高があるので輪留めやちょっとした段差も気にならない。

パワートレイン

ディーゼルと6速ATの相性が抜群で、この傑作パワートレインがCX-5の完成度を大きく押し上げている。

450Nmのトルクは伊達ではなく、1000回転台中盤から踏んでいくだけでスイスイと気持ちよく速度が乗っていく。

市街地で前が開けた場面でも、高速道路の上り坂の追い越し車線でも、峠道でのコーナリングからの立ち上がりでも、大きなトルクによる加速性能がワンランク上の走りを実現する。

ちなみに馬力の方も数値上は200馬力あるが、私が借りた個体は整備状態の問題なのかそこまで速くは感じなかった。

料金所ダッシュでは素晴らしい出足を魅せるが、100km/hあたりから上は中の上くらいの加速性能に収まる。

しかしベタ踏みして踏んでいっても気持ちの良い走行フィールは維持される。

ディーゼル=運転が楽しくない という認識は完全に誤りである。

ディーゼルにはスポーツモードは無いが、私は付けて欲しかったと思う。

Dレンジのまま奥まで踏んでいくと、キックダウン待ちの待機時間のようなものが発生することがある。

基本的に分厚いトルクで進むが、ある程度は回転数を上げてやりたい。

「常にノーマルモードの一個下のギアで走る」「BMWのようにマニュアルレンジがSレンジを兼ねる」程度の設定でも充分なので用意してくれれば良かったのに..

燃費性能にも優れ、リッター20kmくらいなら普通のペースで走っていても普通に実現可能。

高速道路を100km/hくらいで走る機会が多いなら非常に魅力的なエンジンであると言える。

(風やら継ぎ目で振られやすいので長距離向きだとは思わないが)

アイドリングストップからの出足も速い。

チョンと踏み足すとブレーキホールド、奥まで踏み込むとアイドリングストップが掛かる。

高速道路を追い越し車線ペースで走っていて気になるのがエンジン回転数の高さ。

120km/h地点で6速でも2000回転を越えるくらい。

7速目があればさらに回転数を下げられたことだろう。

このローギアードよりなギア比がエンブレや加速感に効いており、いたずらにギアの段数を増やさないことが軽量化にも信頼性アップにもなっているのでメリットデメリットの話ではある。

ハンドリング・直進安定性

軽い力で切れ込んでいってくれるが、急ハンドルを切るとガタンと一気に傾く。

そのグラつきはすぐに収まるので、その後は気持ちの良いコーナリングが可能。

個人的には傾け過ぎだと感じるが、ちゃんと旋回姿勢に移行したあとは安定する。

旋回遅れのようなものを感じることもない。

急ハンドルを入れるとかなりグラつくのが気になるが、その先で安定して曲がって行くので受け入れられる。

峠道でペースを上げても結構付いてきてくれるので、慣れればこれはこれで身軽な感触があって楽しい。

エンジンのトルクでグイグイと加速して行くため、乗りこなせばかなりのハイペースで走り抜けていくことも可能。

強い負荷の旋回中からさらに急ハンドルを切っていくと前がねじれていってしまう感覚があり、タイヤが鳴るようなペースは許容されない印象だ。

ロードスター感覚でペースを上げて行こうとすると、重さが顔を出す。

特にフロントタイヤのキャパシティが重さに対して弱いような印象がある。

前輪を使って曲がって行こうとする動きが強めで、旋回中にただハンドルを切り増して横Gを上げようとしてもグワーっと前がアウトに逃げるような動きが出やすい。

また路面がうねっているカーブにハイペースで突っ込んでいくと、山の頂上を越えたタイミングで車体がジャンプしてアウトに飛ぶ。着地後にも遠心力に剥がされて路面に食いつかない。

乗りたいラインに乗れずに車体が大きく膨らんでいく。

特に着地した際にタイヤグリップが車重に負ける感覚があり、勾配によるタイヤの負荷変動の目測をミスると事故の原因になるだろう。

スリリングで楽しいとも言えるし、まともにグリップしていないとも言える。

ちなみにブレーキについては踏み込んでいくとグイっと頼もしく車速を削ってくれるようになる。

ローギアード寄りのギア比のおかげなのかエンジンブレーキの効きも比較的良い。

MTレンジの使い心地も気持ちよい。

高速道路に上がったが、法定速度ペースでもグラついてフラフラする。

瀬戸大橋の横風に持って行かれて振られているし、路面のうねりや継ぎ目の段差にも進路を乱される。

大してスピードを出していないのに常に修正舵を要求されるような運転フィール。

ハンドルが重かったりダルいわけではないので、慣れてしまえば無意識に修正舵を当ててしまうが、直線でのしっかり感は一部の傑作軽ハイトワゴンにさえ見劣りするレベル。

しかしスピードを上げてもそこまで悪化していかないため、いっそのことスピードレンジを140km/h級に上げてしまったほうが良いくらい。

ちなみに強い負荷が掛かった際は瞬間的にシャキッと動きを抑えるようなセットになっているため、それがハイペースでの走行時に安定性をプラスする。

微妙なうねりや横風に対しては弱いが、強い入力に対してはむしろグッと踏ん張る。

しかしアップダウンの動きが大きめで、他の乗員の車酔いの原因になるのではないかと思うほど動く。

普段乗り領域のゆったり感と高負荷域のシャキシャキ感の両立を狙ったのかもしれないが、最も常用する領域がフラフラなので好みがわかれるだろう。

乗り心地

タイヤホイールをしっかり動かしていってはくれるのだが、安定性優先のゴツゴツした感じが否めず良いとは言えない。

上がっている車高を乗り心地に還元することがイマイチできておらず、むしろ安定性を出すためにゴツゴツ硬くなってしまっているのだ。

二列目の乗員がこれで快適なのか疑問。

軽い継ぎ目程度ならサスペンションのストロークだけでコトンと越えて行こうとするが、何の衝撃も車体に入れない車種が少なくない中で、CX-5は体感できるような入力がある。

17インチに抑えられたホイールサイズによってまろやかさが増してはいるが、安定性も快適性もどちらも持ち合わせていない印象を受ける。

ドライバーズカーとしては楽しめるようにセットされているが、快適性において優れているサスペンションなのかは分からない。

マルバツ評価

〇:傑作ディーゼルがもたらす加速性能と燃費性能 + 身軽さのある走り

×:ハンドル操作時や横風を受けた際のグラつきが酷く、高負荷走行時の安定感に欠ける

試乗車の情報

2023年モデルのディーゼル。

具体的にはXD Smart Editionの4WDである。

新車価格は345万円。

322万円のFFモデルの次に安い最廉価グレードだが装備類はしっかりしている。

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