【初代ソアラ】1982年の高級クーペは当時の頂点が詰まっている #184台目【試乗インプレッション】

奇跡的に1981年に登場したトヨタの初代ソアラに試乗する機会を得た。

4速ATではあるが、2.8リッター直6ターボは170馬力を発するらしい。

実際に素晴らしい体験ができたが、どこまで行っても1981年の車だ。年代差を無視して今の車と比べるのは酷ではあるのだが、あえて事実ベースで、他の車と同じ感覚で走行フィールを書き留めることにする。

伝説的な素晴らしいクルマだが、何でもかんでも褒めるということはしないのでご了承を。

外観・デザイン

伝統的な箱型の造形とクーペスタイルの組み合わせが美しい。

燃料キャップはおそらく真鍮製。

気品あふれるホイールを装着する。

エンジンルームはスカスカで時代を感じるところ。見たことが無い機構がある。

リアサスペンション↓

フロントサスペンション↓

内装

特別感あふれる車内空間が広がる。

設定したスピードを越すとピっと鳴るアラーム。

左側にはメーターの明るさを調整するツマミがある。もう片方は不明。

エアコンはタッチの静電容量式らしいが、残念ながら微妙に反応が悪く操作性としてもよろしくはない。

ボタンは大きいが奥まったところにあるため押しづらい。

シフターは典型的なストレート式。スティックは長いが操作感はしっかりしているため入れ間違いは起きづらい。

ヒーターなどのスイッチ。

パワーモード・エコモードの切り替えボタン。ターボでもなく、変速プログラムが変わる感覚も無いので違いがヨクワカラナイ。

エコモードにするとアクセルがダルくなる程度。

先進的なテイストのある凝ったメーター。

実走行インプレッション

とりあえず体を慣らす

あまりにもレアな車なので、レビュー以前に安全に運転できることを一歩一歩確かめていくことにした。

エンジンはスパッと始動した。異音もない。

まさに極上車である。

エアコンもちゃんと効く。

ルームランプの一つに至るまで正常に動作をしている。

とりあえず出発。

駐車場から行動に出るまでの10mない区間で、アクセルとブレーキを交互に踏んで操作感を確かめつつ、ハンドルを左右に振って応答性も見る。

まずハンドルは直径が大きい割に重く、その応答性はジムニーのようにゆったりしていた。

この印象は山道を走り込んでも変わらない。

アクセルについては踏んでから加速して行くまでかなりの間がある印象だった。

じわーっと加速して行く。

暖機運転も兼ねてじわーっと流しつつ、いつも通りの車の乗り味確認へと移っていこう。

取り回し

昔の車ということでコンパクト&箱型だが、小回り性能は良くも悪くも無いと言ったところ。

軽自動車みたいにスイスイとは行けない。

最小旋回半径は5.5メートルあるようだが、駐車場内で小回りさせた際の旋回半径の感覚はシビックタイプR(FL5)に近い。

昔の車=コンパクトと考えていると面食らうこともあるかもしれない。

ミラーもフェンダーについているため駐車中の車両感覚の把握に一癖がある。

車幅自体は1695mmしかない上に、箱型なので左端がハッキリ見える。

狭い山道で歩行者や自転車を抜く際にも苦労することが無い。

パワートレイン

環境規制や冷却性能に関しては時代を感じる。

暖気ついでに内外装を撮影するためにしばらくアイドリングをしていたが、運転席に座っているだけでエンジンの排気ガスや熱気が直に身体に伝わってくる。

「このままアイドリングし続けるのは絶対に良くない。車両火災の原因になりそうだ」と五感で分かる。

パパっと電装品を動かしてエンジンを切っておいた。

空ぶかしなんて絶対にやってはいけないように感じた。

どうしても動画に撮りたかったので、すぐに走り出して走行風で冷やすことにした。

2.8リッターエンジンは軽やかに回る。

空ぶかしをすればギュンと回転数が上がり、クランクシャフトの慣性でブルっと車体が振られる。

その際のエンジン音は官能的な直6というよりトラックのようだ。

クウォンという空気の音やメカニカルノイズが多く混じっている。

さて、数値的には170馬力ある加速性能だが、実際に運転していると100馬力も無いような感じである。

アクセルを踏んでいってもあまり加速して行かず、中回転以上に入ることはほとんどない。

走行中に高回転サウンドを聞いてみたい場合、Lレンジ+パワーモードに入れる必要もありそうである。

何回かベタ踏みしてみたが、なにをどう計測すれば170馬力になるのか教えて欲しいくらいであった。

よく「昔の車はスロットルレスポンスが鋭い」と言われる。

というわけでアクセルを瞬間的に踏んで戻すという操作を繰り返してみたが、確かに軽く踏むだけでドンと叩きつけるように車が前に出る。

EVよりもレスポンスが良いのではないかと思うほど。

そこから先が続かないが….

トランスミッション

4速ATを採用しているが、ただ走っているだけならクセを感じることはほとんどない。

気になることと言えばR,Dレンジに入れた際に車体に大きな衝撃が走ること、Sレンジに入れた際のシフトダウンのショックがあまりにも大きくて壊れないか不安になること程度である。

ゆったりしたハンドリングやエンジン特性ゆえ走行フィールが上がりづらく、100km/hで巡行することすらもほぼ無く、車両自体の静粛性もガバいところが目立つため、この4速ATで不満が出ることはない。

ちなみに手元にECOモード/ノーマルモード/パワーモードを切り替えるラジオスイッチがある。

エコモードでは明らかにアクセルレスポンスがダルくなるが、現代の車のパワーモードほどハッキリとは変わらない。

ブレーキ

残念ながらブレーキはエアを噛んでるヤバい系の格安カーシェアと同じレベルである。

踏んで行ってもじわーっとペダルが沈んでいくばかりであまり止まっていく印象が無い。

乗り心地

多少のリフレッシュはされているだろうが、11万kmの走行距離があり抜け気味な乗り味があった。

これが経年劣化なのか区別が付かないがとりあえず感じたことは書いておく。

実は最初に往復していた山道が地味な路面で、大した段差もうねりも無かったため書くことが無いと感じていた。何とか色々試して味を確かめて行った。

四輪独立懸架になっているのは本当らしい。

例えばリアに車軸式を採用した背が高いクルマは、衝撃を受けた際に傾き方向にドカンと揺れることがある。そういう動きはなく、ちゃんと4輪が独立している。

段差を超えたときの衝撃吸収は、ぼーっと乗っていると何も感じられずに終わってしまう。

ちょっとだけストロークした後にバスって車体に衝撃が来るが、そのままバンプラバー→フレームと入ってきてしまっている。

経年劣化があるので仕方ないが、今の感覚だとこの乗り味で高級車を名乗るのは苦しい。

さて少しうねった山道の見通しの良い直線で一気にスピードを上げる。

路面のうねりに対して、サスペンションがしっかりとストロークしているのを感じられる。

何周期も上下にポワポワと動かしたりはしない。

分類するならゆったり系のアシではあり減衰も緩めにセットされてはいるが、フワフワになる前に上下動を抑え込む。

フワつくような印象はないが、ちゃんとストロークさせてある程度は上下に揺らすようなセッティングは良いところを突いている印象だ。

今のクラウン・LSのコンフォートモードとノーマルモードの間くらいの減衰力設定なのではなかろうか。

衝撃の吸収やハンドリング関連の味付けに関しては弱く感じられるが、減衰設定は良い。

ちなみに走行途中でひび割れた小学校の校庭の端っこの方にあるトイレの外壁のペンキのようなザラザラとした面を通ったが、そこでの快適性には難ありだった。

常にビリビリと衝撃とロードノイズが入り続け、ハンドルも車体も揺れ続ける。

ハンドリング

最初に「なんかジムニーみたいだな」と感じた特性だが、最後までこの印象が変わることは無かった。

直径が大きく重たいハンドルは、NDロードスターやアルファロメオのジュリアのようなクイック系ではない。

じわーっとハンドルを回していくと前が遅れて動き出す。

ジムニーのようなゆったりダルダル系の動きをしている。

Uの字カーブではハンドルを回すのが間に合わなくなるような状態になることもあり、操作が追いつかないのであまりペースアップしようという気にならない。

上り勾配、旋回時間長めの右カーブ、視界がクリアで対向車歩行者後続車落下物全部無し、2本目以降で実走テスト済み。

そんな完璧な状態を作り出して高負荷コーナリングを試したが、横Gを増やそうと思ってハンドルを切り出しても、前がぐわっと捩れるように逃げていってしまう。

理想的な旋回姿勢が作れないというか、この車の素性を引き出す乗り方を見つけられなかったというか…

この車の駆動方式はFRなのだが、FFだと言われても違和感が無いような乗り味だった。

ボディ剛性

「無い無い」と言われるボディ剛性だが、私が乗った限りでは箱としてのの頑丈さは感じられた。

ドアを閉めた際のガッチリ感も多少は感じられる。

というか半ドアになりやすいのでしっかり閉めなければならないが。

とはいっても構成している金属が持つ強度のほうに限界があるような印象がある。

アルミ板で溶接して作った箱をハンマーで叩くとバインと微振動が残り続けると思うが、そんな感じになる。

小学生の頃に下敷きをたわませて遊んでいた人は居ると思うが、あんな感じのボディーである。

「対向車が正面衝突してしたら自分の体が潰されそう感」はなかったが、今のTNGAプラットフォームのようなゴリゴリのガッチリ感は流石に無い。

しかしこのボディーが走行性能を下げているということも無い。

直進安定性

高速道路に乗って100km/h近く出してみた。

最初は不安だったが、意外にも何とかなる。

しかしその走行フィールは明らかに今の車とは異なる。

これまでに200台近く乗ってきたが、傾いたことが無いような方向にクルマが傾く。

グラグラと揺れる船のようで、右フロント、左フロントに沈んだり、前後にピッチングしたり、記憶が正しければヨー(回転・旋回)方向への傾きも感じた。

少しでもアクセル開度を変えたりハンドルを振ったりすると、そんな具合にフラつき気味にはなる。

飛行機のシミュレーターの動作を外から見ている光景をイメージして欲しい。

パイロットが乗った飛行機のコックピットを再現したモジュールが色々な角度に傾くだろうが、あんな感じである。

あれほどあからさまには傾かないが、動きの方向性としてはそれが近い。

ちなみに峠道ではFFと区別が付かないと言った走行フィールだが、高速で直進しているとその感触はクラウンなどのFRセダンと同じものを感じる。

具体的にはハンドルを少しでも動かすだけで車の向きが変わるため、「直進感」としては弱く感じる。

しかし乗り物自体はまっすぐと進む。そんなフィーリング。

ちょっとした小ネタ類

〇スピードアラーム

運転席の右側にはスピードアラームが付いており、設定速度を超えるとしばらくピッ…..ピッ…っと鳴る。

AE86のようにキンコンと言い続けたりはせず、すぐに収まる。

〇トヨタロゴ

真鍮製の燃料キャップやエンジンのオイルフィラーキャップなど随所に昔のトヨタロゴが入る

マルバツ評価

〇:発売当時、全てが革新的だったスペシャリティカーである

X:現代車と比較してしまうと内外装の質感でしか勝負できない

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