【ラングラー V6ルビコン】最強オフローダーを街乗りしてもクセは強いが軽快に走る #186台目【試乗インプレッション】

ジープの本格クロカンであるラングラー。

その最上位モデルであるルビコンのV6モデルに乗ってきた。

冒頭のまとめ

かなりクセのある乗り味だが、意外とダルくないハンドリングや耐えられないこともない乗り心地、大きすぎないサイズのおかげでイメージされているほどの苦行ではない。

エンジンはフェアレディZを彷彿とさせるほどの快音を出し、車体はかなり揺さぶられるが140km/h程度の巡行にも耐え、排気量相応の燃費性能にも収まる。

外観・デザイン

非日常的アドベンチャーを感じさせるスタイル。

Forza Horizonで原っぱを駆け抜けたことを思い出す。

このワイルドな見た目こそがラングラーの最大の魅力である。

フロントバンパーは想像以上に正面に張り出している。

多少ぶつけてもダメージが入らないようにも見える。

内装

最上位グレードのルビコンということで赤色の装飾がカッコイイ。

ドアが脱着可能であることを踏まえてミラーやドアのコントロールは車体側に。

電圧計や瞬間燃費計などを表示可能なインフォディスプレイが付く。

ナビシステムは画面こそ小さいが、地図のレスポンスや使い勝手がよい。

AppleCarPlayが使えるため、現代車としてナビシステム類に不満はない。ちなみにオーディオの質も結構良い。

油温なども表示可能な特別なモニターアプリが入っている。

シフトノブの左側で4駆と2駆、ローレンジの切り替えなどが行える。

アクセルをガンガンに踏むなら4Hパートタイムで常時4駆にしておこう。

デフロックやスタビライザーの切り離し機能がある。

外装パネルが脱着可能なのは有名であるが、この薄っぺらいパネルのせいで車内で音が反響したり、ミシミシと鳴ったりするため居住性や快適性としては見劣りする。

外側のパネルを外した後もボディの剛性・安全性を担保するための補強フレームが車内にある。

外装のボルトを外した後、保管しておくためのスペースが荷台下に用意されている。

静粛性も高級車というよりテント。

真夏に二列目に座ったらどうなるのだろうか…

またオフロード系のタイヤを履いていることに起因するパターンノイズのようなものも出ている。

アスファルトの上しか走らず見た目にもこだわらないなら、普通にオンロード向けのタイヤを履いておけばいい。

実走行インプレッション

街乗りフィール

最初はデカい車体に戸惑うが、高い視点と箱型ボディーですぐに慣れる。

左足の置き場所が無いことにもストレスを受けるが、これもそのうち気にしなくなる。

走り出して行くと「なんだこれ?」となるような違和感が出る。

路面のうねりや段差でハンドルが持って行かれ、30km/h以下でも感じたことのない方向へ振られる動きを感じるのだ。

ヨー・ロール・ピッチング、全ての方向に車体がガタガタと揺れる。

あまりにも直進感がなく、油断していると隣のレーンの車に衝突しそうだ。

エンジン自体は静かに回っていく優等生だが、車体のほうのクセが強いのである。

高速道路

低速域であれだけ振られたので不安だったが、意外なことに高速域での直進安定性は悪くない。

というか、140km/hくらいで流していても何ともなかった。

おそらくもっとスピードを上げても問題ない。

大排気量NAのエンジンフィールは音だけでなく走行フィールもフェアレディZっぽさを感じさせる。

8速あるATが110km/h越えの巡行でも回転数をしっかりと落とし、そこそこ快適な巡行を実現する。

「フラついてばかりでまともに踏めないだろ」と思っていたが、普通に楽しく高速巡航も出来る。

新東名120km/h制限も余裕だろう。

取り回し

見た目からしてデカくて扱いづらそうだが、実際は一般的なサイズと高い視点、並みの小回り性能により、イメージしているよりは普通の扱い心地。

私の事前計画が良かった(無謀そうなエリアには立ち入らない)というのもあるが、このサイズで困ることは無かった。

住宅地の中でも普通に乗れるので、自宅駐車場がアルファードが入れないレベルで狭い。というわけではないのなら買っても良いだろう。

ただし太すぎる横幅は隣の車室の人に迷惑をかける可能性が高い点に注意。

事実、前後の長さは4870mmとアルファードより短い程度であり、車幅も1895mmと、日本車の中ではトップに太いがアメリカ専用サイズではない。

最小旋回半径は数値上は6.2メートルあるが、私が乗った印象としてはそんなに悪くはなかった。

視点が高く箱型であり、アクセルにもハンドルにも変なクセがないため意外とスッと乗れる。

しかし個人的に気になった点は2つ。

1つはタイヤ部分が膨らんでおり、運転席からかな~~り外側にタイヤが出ている形状のために特に左端の把握がしづらいということ。

特に細い道のすれ違いの際に、どこまで左に寄れるのか分からない。

視点自体が高くて車体が箱型でも、ボンネットの奥の低いところに左フロントがあるので見えないのである。

私だったらダサくても、実用性と安全優先でコーナリングポールを付けてしまうと思う。

狭い道でのすれ違いは鬼畜であり、このサイズでは「対向車が来たら詰みそうだから入りたくない」という道が多数存在する。

このせいで行くことを見送った観光地が一か所ある。

「存在するだけで他人に迷惑を掛けること承知で細い道に乗り込む」という精神性が無いと、目的地にたどり着くこともできないレベルの車幅。

もう1つは湾曲したミラーだ。

湾曲していると視界が広がるため走行中の安全確認としては良いが、駐車中にタイヤと白線がどういう位置関係にあるのか把握しづらい。

車幅自体が太いため、丁寧に停めようと思うと降りて見に行くということもしたい。

ちなみに手動のサイドブレーキだが、シートベルトを外した状態でドアを開けるとニュートラルかPレンジに入ってしまう。

シートベルトを付けたの状態ではこの機能が作動しなかったので覚えておいて欲しい。

運転しているときに大きさはあまり感じないが、車体サイズ自体は日本では最大級だ。

特に車幅が太いため、駐車場の白線には正確に収めないと大抵の場合において迷惑になる。

「左右の白線を平等に3センチずつ踏む」みたいな停め方になることもあるため、いつも以上に丁寧な運転操作が求められる。

多少歩いても邪魔になりづらい遠くに停めたり、狭すぎる駐車場は見送ったりするような考え方も必用になる。

またネットで言われていた「左足の部分が狭い」というのもその通りで、張り出しがあるため左足を出しておくスペースが無い。

少しでも足を延ばそうとすると壁面に激突する。

適当に足を畳んでおくしかない。

パワートレイン

今は2リッターの直4ターボ(272馬力)しかラインナップにないが、2021~2022年ごろまでは3.6LのV6自然吸気(284馬力)だった。

このV6エンジン、普段は静かに回るが、踏んでいくとフェアレディZのような官能的な音を出してくれるので非常に気持ちいい。

8速ATの動作も滑らかでストレスが無く、エンジンブレーキの効きも強いためマニュアルモードで乗るのも良い感じ。

マニュアルレンジから数回シフトダウンしないと中回転域に下げられないことだけがネック。

さて市街地でも中回転でも、意外にもこのエンジンは優等生だ。

ジープのアメリカンなイメージ、なんか頼りない感じがするが実物は断じて違う。

むしろ良いパワートレインである。

燃費全振りの運転をしていれば、リッター10kmになるような実燃費を出すことも夢ではない。

アイドリングストップも付いており、低回転・低負荷域の燃費性能や快適性と、中回転域以上の加速性能と官能性を綺麗に両立した名エンジンだ。

300馬力級ではあるが、車重があるからかGRヤリスのような恐ろしい加速Gは出ない。

しかし非常に気持ちの良い加速の速さを誇る。

エンジン音も良く、意外と高回転域まで長いこと踏み続けることも可能だ。

どちらかというとシャシーの方が頼りにならないため、大抵の人と道路状況においてエンジンは持て余す。

現行では2リッターの直4ターボのみとなったが、どのみち使い道のない大排気量だったのであまり問題はない。

余談だが高速道路では、加速性能との両立をしたがっているのか8速に落とせる状況でも7速を使い続けることがある。

そういう場合はマニュアルモードで8速指定をしてやると回転数をワンランク下げることもできる。

乗り心地

「ロマンとスタイルで割と長距離も耐えられるが、市販車の中では最低クラスの乗り心地」である。

かなりクセが強いが、耐えられないほど悪いわけではないのだ。

同乗者もこの車のロマンに共感している必要があるが、まあ耐えらないということは無いのでラングラーが貴方にとってのドリームカーなら買ってしまえばいい。

2箔3日+累積30時間以上の車中泊旅行の末にラングラーに6時間ほど乗ったが、特に疲れたとか、しんどいという印象は無かった。

さてその乗り味だが、ストロークのようなものは特になく、直に衝撃が入ってくるようなもの。

物理的にはちゃんとダンパーは付いているが、常にバンプラバーだけで何とかしている感がある。

路面の陥没しているところに落ちるとドカンと来る。

車体が上下に持って行かれるわ進路も乱されるわで、何でもかんでも揺さぶられる。

微振動も喰らう。

旅の中で巡行していると、第二次世界大戦時代を描いた戦争映画でトラックの荷台に載せられている兵士たちの気分になってくる。

ハンドリング

この手のオフロード・クロカン系のクルマはゆったり感の強い、手元でハンドルを回した量のわりにフロントタイヤが切れて行かないタイプが多い。

しかしその点においてラングラーは良好なレスポンスを持っており、特に遅れることなく切れ込んでいく。

このため道が40度クイっと曲がるようなカーブや交差点の左折、山道のコーナリングでも意外と気持ちよく曲がって行くためストレスが無い。

ほとんどロールさせずに抑え込んでくれるため旋回姿勢もイメージのわりに安定している方だが、段差を越えればあちこちに車体が振れるので無理は出来ない。

4輪駆動をオンにすれば圧倒的なスタビリティの中でコーナリングしていけるようになるので試してみて欲しい。

強い加速力の中でも、オンザレールで車がスイスイと曲がって行くぞ。

逆に二輪駆動の際はちょっとしたスポーツカーのようなスリル・軽快感のある動きとなる。

しかし強い負荷の旋回中にさらにハンドルを切り足して行っても、前が逃げてしまってそこから先を切れ込んでいかない。

エンジンは良いが、あくまでオフロード主体の車である。

なんなら市街地で周りに合わせてゆっくり走っている状況下のほうがクセが強い。

普通にクルマを運転していたらまずありえない方向に車体が振られる。

20km/h以下の減速中にも勝手にハンドルが持って行かれる。

ただ左右方向に動くのみならず、ヨー方向やロール方向にも車体が傾いて動くのを感じる。

そのまま70km/h近く出そうとすると、ちょっとの路面の継ぎ目でも車体が大きく傾いてハンドルが持って行かれる感じになる。とにかく無理が出来ない。

高速道路では余裕があるが、レーン幅が狭く路面も荒れた市街地では、エアコン操作のために目を離す数秒でも危険になり兼ねない。

マルバツ評価

〇:非日常的なワイルドさと耐えられる範囲に収まるサイズや乗り味

×:見た目と憧れだけで買うにはクセが強く価格も高い

要望:ボンネットにロックが欲しい。

ラングラーのバッテリー、メルカリでいくらで売れるのだろうか。

試乗車の情報

新車価格650万円ほどの最上位グレードにあたるルビコンである。

3.6LのV6エンジンが特徴的。現行型と比べるとナビ画面やヘッドライトに多少の違いがある。

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