価値観破壊のコストパフォーマンスを誇る中国EVが浸透して数年、トヨタ・レクサスがついに対抗馬を出した。
乗り物として同等のシャシー設計、静粛性、車内装備を携えて真っ向勝負。
そんな新世代&新設計の「打倒中国EVマシン」となるのが新型のレクサスESである。
外観
時間が無くて外観を撮れなかったのでwikipediaのものを貼っておく。

時間が無かったためジックリとは見れていないが、正面はレクサスのL字ラインをアクセントとして用いつつスプリットヘッドライトを採用。
デイライト下のゾーンもLの字に折り返してブラックアウト。
フロントグリルも機能的にはほぼ必要ないが、ハイブリッドとの共用や従来のレクサスとのデザインを考えつつL字のスピンドルグリルを採用。
フロントフェイス全体にレクサスのL字を活かした形状を入れている。
リアは水平基調なテールライトと、先代で採用されていた線が中央に集まるようなデザインアプローチを採用。そこはかとなく環境に良さそうな、大人しそうな印象を与える。

「プリウスPHVとデザインアプローチが同じだ」という人もいるらしい。
環境に良い空力と優美な曲線の違いこそあれど、ラインを後方に集めて背面でまとめ上げる点は似ているとは言える。
内装

大きな画面やスッキリした水平基調のデザイン、スムーズなレザーは中国EVを彷彿とさせる。
センターコンソールも水平基調でゴチャゴチャしていないが、指で触れると温度や曇り取り、カメラ機能などが浮かび上がってくる。右側はシートメモリー。

物理ボタンとして押し込むことも可能。
中央には音量のダイヤルが金属調の素材感で実装されており上質感がある。
ステアリングボタンは指で触れるとモヤッと表示が浮かび上がってくる。
こちらも物理ボタンで、右はクルコンで左はナビ関連である。

現行のレクサスのような指でなぞるとHUD内に機能割り当てが表示される分かりづらいものではない。
下側の横長の金属ボタンはオーディオ側も左右一体構造であり、左半分は音量、右半分は選曲機能。
物理の使い勝手と現行世代のコスト感、中国EVを意識したスッキリさが特徴。
新世代のトヨタ・レクサスを魅せてくれる。
個人的に良いと思うのが静粛性とマークレビンソンのカーオーディオだ。
ガラスをコンコンと叩けばガラス本体が音を吸収するかのような感触。
高速道路に乗っても床下からのゴーという騒音が起こりそうなものが、綺麗にカットされてとにかく静か。
大衆車セグメントでは体感したことがないような静粛性には驚かされるばかりである。
「中国EVにレクサスのエンブレムとトヨタ系の次世代内装パーツを貼り付けた採算度外視のプロトタイプ車両だ」と言われた方がまだ納得できる。
マークレビンソンのオーディオも低音のドラムが空気をドンと叩く衝撃波から、女性ボーカルの僅かな呼吸の息遣いまで感じ取れるリアルさが魅力。
その場で収録して、その場で音を発しているような臨場感がある。
BYDシールとの価格差を踏まえるとまだまだ上回ってはいないが、これまでずーっと微妙だったトヨタ系列の自動車のオーディオレベルを一気に中国水準に引き上げている。
ついでにサンルーフもちゃんと開くものが搭載可能。
ガラスだけでは満足しない身には非常に嬉しい。
さて二列目もLS並みに大きく、助手席側にはオットマンや一列目をどかす機能が備わる。
左右にシートマッサージとベンチレーションも付く。
このマッサージ、ゴツゴツ硬くて角っぽいようなものではなく、ほどよい硬さと丸められた曲面がやさしくコツコツプクプクと押してくるようなもの。強さレベルも細かく選べる。
コントロールパネルが液晶でタッチ式なので慣れるのにひと手間要るが、アンダー1000万円の二列目としてはアルファードに勝るほど素晴らしい。
取り回し
5メートルを超えた全長だが、四輪操舵の搭載により最小旋回半径はミドルサイズSUV程度に収まるらしい。
実際にハンドルを振ってみても、あまり大きいとは感じないサイズ感で乗れる。
異様にもっこりしていたり大きく感じられたり死角が大きいということも無い乗りやすいセダンだ。
全周において視界に不満はなく、当然のようにアラウンドビューカメラ類も備わる。
物理的にはデカいが、不便だと感じることはない。
ちなみに充電ポートが電動でウウィンと出入りするタイプになった。
これまでは「ベコッ」と安っぽいプラスチックが開くだけだったので一気に質感が良くなったと言える。
パワートレイン
街中を走っている限りは普通の大きめのサイズの高級EVセダンである。
加速は300馬力級EVということで相当なものだが、魂が置いて行かれるほど恐ろしいというレベルではない。速い車に慣れている私の感覚だと「マイルドだな」と感じるほど。
テスラのロングレンジグレードと比べても勝ってはいない。
実車に乗る機会があればぜひ触れて欲しいがパドルシフト。
通常時はN~強回生を自在に選べるセレクターだが、シフトノブをD状態からさらに一段階下げると疑似MTモードになる。
パドルシフトはギアシフターとなり、エンジン音とシフトショック、レブリミッターなどの純ガソリンATの挙動が再現される。
スパスパ決まるガソリンATとほぼ同等のドライビングプレジャーが楽しめるようになる。
EVにわざわざ多段式トランスミッションの純ガソリン車みたいな振る舞いをさせる合理性はないが、IONIQ 5Nとの対決や今後のトヨタ電動スポーツカーへの実装、トヨタのブランドイメージ的に面白い取り組みである。
乗り心地
乗り心地も重厚。
この手のEVセダンはゴツゴツするような動きになりがちだがESは違う。
足回りをしっかり沈み込ませながらストロークさせてゆったりと動かすクラウン・アルファード系の乗り味。
ハンドリング
ハンドリングはモードによって多少変わるが、ある程度クイック&ニュートラルで高剛性。
EVセダンの期待通りのハンドリングである。
スポーツモードを選べばレスポンスが強化されてクイックになる。
あまり深い領域では試せなかったが、車の重量の割に手元の舵角だけクイックに切れるような印象はあった。
重心やシャシーにはあまり問題がないだろうが、車重が結構あるのでそこがネックにならないか気になる。
マルバツ評価
〇:中国EVに真っ向勝負ができる造り
×:中国EVに色々と似ているぶん本体価格の割高さが余計に目立つ。レクサスブランドのみで差額を許容するのは難しい