【フロンクス】装備たっぷりのプレミアムコンパクトSUV#192台目【試乗インプレッション】

カーオブザイヤーを受賞したスズキの発展途上国逆輸入系プレミアム志向のコンパクトSUVであるフロンクス。

その実力を確かめよう。

外観・デザイン

膨らみで筋肉質な力強さを表現する下半身とシャープなライトで高級感や華奢なイメージを持たせる上半身。

この2つの別々の方向に行くデザインを1つの車体に同居させているため、慣れるまで違和感が強い。

デザインの方向的にはヒョンデのコナに近いだろう。

コンパクトサイズに見合わぬ威圧感と迫力があるとは言えるが、色々な要素を付け足したくて迷走したようにも見える。

内装

装備はかなり充実している。

スイフトでも見られた複数の素材を立体的に組み合わせたダッシュボードが素材以上に質感を高く見せる。デザインも良い。

逆に充実しすぎて、機能や操作のボタンがあちこちに散らばってゴチャゴチャしているような印象さえ受ける。

ヘッズアップディスプレイにはエンジン回転数さえも出せる。

ナビはスズキ定番のものでスペーシアなどと共用ではあるが、それゆえ機能も安定している。

高クオリティなアラウンドビューカメラが付く。元の取り回し性能の良さを合わさって軽トラよりも乗りやすく感じるレベル。

静粛性について

ネットでは「高い」という風に言われていたが、85km/hを過ぎるあたりからゴーという音が出始めてしまう。

あまり期待しない方が良い。

実走行インプレッション

取り回し

コンパクトSUVは全般的に取り回しが良いが、フロンクスは想像の遥か上を行く乗りやすさを誇る。

思っている以上に小回り性能が良く車体も小さい。

誰が乗ってもスッと馴染むほど乗りやすい。

パワートレイン

約1.1トンに101馬力、カタログ燃費は19~21km/Lである。

1.5リッターの直4エンジンは、しっかり踏み込んでやればストレスない加速感で元気に伸びて行ってくれて楽しい。

しかしレスポンスの方に不満がある。

ノーマルモードではスロットルレスポンスが悪く、多少踏んだくらいでは前に出てくれない。

せっかくの車のエンジン性能が活きていない。

トランスミッションは6速ATだが、素直にCVTだったほうがストレスは無かっただろう。

ちなみにパドルシフトまで付いてくるが、パドルを引いてから実際に変速されるまでが異様に遅い。

MT免許取り立ての初心者のシフトダウンでももう少し速いだろう。

シフトショックは低減されるがさすがに変速が遅すぎてテンポが悪くなる。

またカーブに飛び込む際にパドルを引いても、旋回に移ろうというタイミングで前後にG変動を入れて来るような状態となるため走りの安心感も下げる。

またアイドリングストップが付いているが、8km/hくらいまで落ちるとその瞬間にストンとエンジンを切る。

このせいで一時停止やちょっとだけ前の車が停止したタイミングでもエンジンが切れてしまい、非常にストレスが溜まる。

せめてマツダ車のように完全停止後に深く踏み込んでから作動にして欲しかった。

乗り心地

上質「感」と実際に良いサスペンションというのはイコールではなく、このフロンクスの足回りは上質”感”、高級”感”である。

数分だけ乗った程度だと、アシをあまり動かさずにバシッと安定させる高級志向の乗り味に見える。

しかし実際は少なめなストロークの後にボンボンと硬いボディーに叩きつけを入れて来る乗り心地。

全般的に叩きつけのしんどさを感じてしまう。

周期的に継ぎ目がある路面では足周りのストロークでも結構対応はしてくれるが、その後にガタンと上に飛び上がっちゃうところがある。

フロンクスはちょっと上下に動きすぎ。衝撃吸収が弱いのかもしれない。

乗り心地が硬めだが、高負荷域での安定感にも不安がある。

そもそもの腰高感を隠しきれていない。

車高が上がっていることがクルマを不安定感にさせており、その弱点がなにをどうやっても解決しておらず乗り心地もハンドリングも悪化させているという点においては、フロンクスは昔ながらのSUVであると言えるだろう。

幸いにも減衰はある程度締まっている。

スポーツ車のような減衰のキツさゆえのしんどい乗り心地を感じることは無いが、スピードを上げて行った先でも揺れはしっかり抑え込まれる。

直線での安定感はしっかりと持たされている。

ハンドリング

全体的に腰高感が強い。

「SUV嫌いが嫌うようなSUV」であると言えるだろう。

ロール方向においてもピッチング方向においても動きが大きめ。

何か入力を与えると一瞬グラついて遅れる。

その後にはシャキッと収まるのだが…

曲がり始めのグラつき自体はあるが、動き自体は安定している。

四輪で粘っていく感触があり一体感がある。

軽快さと不安定感を逆手に取って、入り口からインへと吹っ飛ばすような走り方も出来て身軽さが楽しめる。

しかし一気に曲がろうとすると前がグラついて付いてこない。

ペースを上げれば地面から離れそうにもなる。

この腰高感、遅れがライントレース性も損なっている。

またパドルを迂闊に引くと、シフトダウンまで非常に遅いため「これから旋回するぞ」というタイミングで減速Gが入って姿勢を乱される。

ちなみに旋回中盤以降のハンドリング特性はコンパクトFFとしてのイメージ通り。

攻めるような運転をしないのであれば全く悪くない。

むしろ変なダルさや過剰なクイックさもなく、ハンドルを切って行けば気持ちよく曲がって行く。

表向きに言えない話:カーオブザイヤー受賞について

インスターに乗った際も同じことを思ったが、こんな運転フィールでもカーオブザイヤー取れちゃうのかよ…

ハッキリ言うと車の乗り味にこだわりがある人が乗っても満足できないと思う。

見た目と装備と実車の質感で買って、流す程度のペースで乗る車である。

マルバツ評価

〇:乗りやすいコンパクトサイズに嬉しい装備がふんだんに詰まっている。

×:乗り心地とハンドリングのバランスに不満アリ。高重心でフラつく。アイドリングストップがストレス。SUV嫌いや走り好きには勧められない。

上部へスクロール