118iのMスポ-ツに乗ったばかりだが、通常モデルの方にも乗って違いを確かめていく。
Mスポーツ抜きということで快適な乗り心地に期待したいが、そこはBMWであった。
冒頭のまとめ
Mスポ-ツが抜けることでマイルドになるかと思ったが、アウトバーン設計の硬派な走りは大きくは変わらない。
低負荷域での減衰特性がダルくなった程度で、市街地での叩きつけの硬さはむしろ悪化しているのではないかと思うくらい。
見た目のスポーティーさも損なわれてしまうし、国産車みたいなダルい減衰特性が出てきてしまうため、何のために買うのだろうという感じになった。
外観・デザイン
スポーティーなイメージを強調していたMスポ-ツに対し、プレイという謎の名称が付いた通常モデルは「普通のクルマ」という印象が一気に強くなる。
Mスポ-ツは派手すぎるという場合にのみ選択肢に挙げる程度のものとなりそうだ。

派手さを避けたバンパー造形と、窓枠のメッキモールが「高級車ブランドのフッツーの車」感。

内装
こちらもMスポ-ツと比べて簡素化されてしまい、せっかくのプレミアム感が薄れてしまっている。

質感が悪いかどうかは人によって意見が分かれるだろうが、個人的には価格の割には良いと思う。
ただ誤差程度の追加課金でMスポーツになることを考えると買う理由が見当たらない…

実走行インプレッション
取り回し
微妙にもっこりと膨らんでいるところがあるため軽自動車のような乗りやすさは感じづらいが充分にコンパクト。
パワートレイン
ドイツ定番のトルク型ターボだが、問題なのは大したことのない加速力ではなく変動が激しい加速である。
アクセルの奥にあるキックダウンスイッチがカチカチとアクセル開度を突然変えてくるし、トランスミッションの変速タイミングもアテにならない。
またトルク型ターボだが元々の出力が無さ過ぎる。
これにより踏み始めは全く加速しないが、踏み込んでいくとキックダウン待ちでもたつき、やっと本来の加速力が出たと思ったらカチっとアクセルが離されるという非常にストレスフルな加速フィールとなる。
燃費性能自体は優秀なのだが、アイドリングストップからの再始動時の振動もかなり酷い。
EVが一般化しつつある時代には通用しないレベルで酷いパワートレインである。
そこそこな燃費性能があるのが唯一の救いだろう。
料金所からドカンと踏むと少しだけトルクステアを感じるが、速いかと言われると迷う。
トルクが向上し、135ほど本格的でない118dがどんな走りをするのか見てから考えたいところ。

乗り心地
簡単に言うと「アウトバーンのようなある程度整った路面を160km/h以上で快適・安全に移動するためのセット」であり、Mスポ抜きだから快適であるというほど簡単なものではない。
シャキッとしていたMスポ-ツと比べるとダルい動きが出ることがある。
この動きが顕著なのは都市高速の継ぎ目を普通のペースで越えた際である。
その手の低負荷,スローピストンスピードな入力に対しては減衰をダルくしておくことで快適性を担保しようということなのだろう。
上下方向への移動量も大きめで、ドイツ車のイメージに対してはダルいなという印象がやはり強い。
しかし強めの衝撃に対しても奥深く沈み込むようにして対応してくれるようなところはある。
ただ単純に「こちらのほうが快適である」とは言い難い。
特に40km/h程度で市街地を走っている際は段差やマンホールなどでかなり激しく車体が揺れる。
一部のスポーツカーを下回るレベルでその乗り心地は悪い。
トランスミッションのシフトショックによるギクシャクもあり、上下・前後に揺れてしまう。
なんならMスポーツのほうが良かったのではないかと思うほど。
そんな微妙にしっくりこない乗り心地だが、スピードを上げて法定速度を越えていくと良い世界がようやく見え始める。
微妙にだるかったりドガドガと硬かった乗り心地が一転し、路面に吸い付くようなスムーズさと上下に一切グラつかない快適性を手に入れる。
アウトバーンのようなある程度整った路面を160km/h以上で快適・安全に移動するためのセットだ。
その速度域でも異様に静粛性が高い。
ハンドリング
Mスポーツと比べて最も違いが感じ取りづらいのがハンドリングである。
(と言ってもエンジン・パワートレインも基本的には同じだが。)
「FFである」と聞けばひたすらにどアンダーな旋回フィールをイメージするだろうが、BMWの1シリーズはスムーズかつクイックだ。
過激であると言って良いくらい。
生半可な気持ちでは乗り物の限界なんて見えてこないような勢いで切れ込んでいく。
ターンインはグイグイと能動的であり、FRっぽい曲がり方をしてくれる。
加速力こそたかが知れているが、旋回方向への懐は非常に深い。
必然的にパワーに頼らないシャシー性能を活かすような走りへと移行していくため、独自の楽しみがあると言える。
ちなみに旋回中に段差を越えた際に多少のハンドルが揺さぶられる動きを感じる。
マルバツ評価
〇:気張らずに無難に乗れるBMW
×:酷い加速フィールと無くなった特別感