【初代フリード】 最高コスパの車中泊ベースで乗り心地もヨシ #173台目【試乗インプレッション】

ただスペース効率が良いミニバンであるのみならず、運転フィーリングの良さとの両立が実現しているフリード。

その中でも初代モデルは、40万円も予算があればそこそこな選択肢があるレベルで中古が安い。

そのコスパは最強クラスであると期待できるが、果たして…

冒頭のまとめ

まず18万kmとは思えない耐久性を同時に確認できた。

さすがフィットと基本設計を共用する車体。

乗り心地も価格と距離を思わせぬほど良好で、ハンドリング特性も悪くない。

エンジンはホンダのVTEC系である割にはCVTのラバーフィールに快感を邪魔されるが、経済性とのバランスに優れる。

そして最高の車内空間。

安く買って運用する車中泊ベースとしては最高であろう。

外観・デザイン

基本的にはスペース効率最優先の箱型ボディーだが、寝そべったAピラーや多少キリっとした顔つき、勢いを感じるようなとんがった形状のテールランプには程々のスポーティーさがある。

そんな多少のやんちゃさのある顔つきと刺激的なエンジンゆえ、男が乗ってもあんまり不満が出ない点はシエンタと比較しても強い主張ができるフリードの特徴だ。

内装

初代が出た2008年、新車価格は160~250万円程度であった。

その後も代替わりになる2015年まで多少の変更は入るが、基本的には170~220万円のクルマである。

典型的な安いクルマであるため元の期待値は低い。実際内装も一面がプラスチック樹脂だがその肌触りは悪くない。

廉価グレードはクルコンもオーディオのリモコンも付かないことが多いので中古で買う際は要チェック。

スマートキーもグレード別装備である。

エアコンのボタンは内部が潰れているのか押したきり戻ってこない感がある。

外側のサイズからは想像も付かないほど大きな車内空間が魅力。

3人目以降を乗せないなら、正直いうとシートは邪魔。私だったら撤去してしまうだろう。

その場合、快適に寝転がれるくらいのスペースはできる。

おそらくバイクも積める。

静粛性とオーディオ

この価格帯なので何も期待していなかったが、静粛性は並み。

価格を踏まえれば不満無いくらいのものは持っている。

スピードを上げたり路面が荒れたりすると状況は悪化するが、普通に快適に過ごせるくらいの騒音レベルに収まっている。

ちなみにハイブリッドになるとフロントガラスのみ「遮音中間膜入り合わせガラス」なるものに変わる。

115km/h以上での走行が多かったり、少しでも静粛性にこだわりたいなら…と言いたいが、差額でデッドニングでも施工するかタイヤのランクを上げたほうが良さそうでもある。

ちなみにロードノイズについてはむしろ現行のシエンタ・フリードのほうがうるさい。

オーディオについては極端に悪くはなく、音量もしっかり出てくれる。

音にこだわるなら交換だが、普通に移動中に聞くだけなら充分。

実走行インプレッション

18万kmの劣化

私の借りたフリード、なんと18万kmを越えていた。

CVTの内部でなにか擦れているのか、移動中にエンジン音とは違うクウォーンという音が聞こえて来る。

CVTフルードを交換・補充したいところ。

なおエンジンの掛かりについては全く悪くない。

ダンパーが劣化しており、縁石から降りたりして縮めらるとズシューと擦れる音がしてくる。

衝撃吸収についても明らかに弱くなっており、段差で縮められた際も物理的なダンパーのストロークの割にはあんまりショックが緩和されない。

…が、距離の割には全く酷くない。

というかむしろ乗り心地は変わらずに良いくらいである。

10万km近辺のビルシュタインダンパーのほうがよっぽど劣化しているくらい。

足回りからのオイル漏れが車検を通過できない基準になったら交換したらいいだろう。

撮影したのが洗車後なので下回りのオイル漏れの有無は判定不能。伊勢湾岸自動車道を飛ばして大抵の水滴は吹き飛んだ。

取り回し

車幅が1695mmしかないため、狭いところでのすれ違いや駐車場の出入りも楽勝。

推奨はできないが路駐をした際も他の車に迷惑をかけない。

車内空間の使い勝手を一切犠牲にせずにコンパクトサイズを実現する偉大さを事あるごとに感じられる。

視界に優れる箱型ボディで取り回しも良いため文句なし。

交差点内のUターンも楽勝。

パワートレイン

1.5リッターの直4エンジンは118馬力しかない。

車重も1.3トン程度だがさすがに加速性能はたかがしれている。

遅くはないが、田舎道で対向車線に出て白点線追い越しを仕掛けるかと言われるとかなり迷うくらいの加速力しかない。

山間部の住宅地の道路の上り坂をエコモードでもスイスイ登っていけるくらいのエンジン性能はある。

流れに乗るくらいなら充分だが、エコカーだと思って割り切れば問題ない程度でエンジンパフォーマンスが良いとかそういうものではない。

VTECと名の付く直4なのでエンジンフィールに期待したいが、マニュアルモードもパドルシフトも存在しない。

あるのはスポーツモードとLレンジのみ。

CVTが常にギア比を変動させるせいで、高回転に向かって駆け上がるような激烈なブン回り感は削がれてしまっている。

このへんのフィーリングに期待して買うものではない。

投影面積の大きい車体と1.5リッターエンジンを搭載しているという不利ポイント2つを抱えている割には充分な加速をするし燃費も良く、耐久性もそこそこあるという程度のもの。

深夜の信号待ちの非常に多い名古屋の市街地で燃費アタックをした結果、リッター14.8kmくらいの燃費を出すことに成功した。

ハイブリッドシステムはおろかアイドリングストップさえ持たない純ガソリンであること、数百メートルと進めずに赤信号に引っ掛かるようなハズレ周期であったことを踏まえると素晴らしい燃費性能だ。

アイドリングの際のエンジン音も静かで1.5リッターの小排気量でもあるため、推奨は出来ないが一晩中アイドリングしていても比較的経済性は良い方だと思われる。

ちなみにブレーキもかなりしっかりと効いてくれる。

車重の軽さと必要充分な整備状態が活きているようだ。

車中泊利用を考える際のハイブリッドの注意

初代フリードにもハイブリッドが存在するが、「ハイブリッドを買えばエンジン停止中にエアコンが使えて快適」なんて思っているなら要注意だ。

私が実車で確かめたわけではないが、この世代のフリードのハイブリッドシステムは、停止中のエアコン利用を想定していないらしい。

純ガソリンで信号待ちの多い市街地を走ってもリッター14.6kmくらいの燃費は出るのだ。

特にアクセルを抜いた際の空走力が高く、逆にスピードを上げた先の空気抵抗が大きいため、ココを使ってどれだけ稼ぐか。

差額と走行距離、故障リスク次第ではあるが、わざわざ故障リスクを背負って重たいハイブリッドを選ぶ必要ってどこまであるのだろうか…

あまりこういうことは言いたくないが、このフリードのアイドリング音は非常に静かである。

深夜帯にコールドスタートをかけても一切うるさい音を出さなかった。

パーキングエリアに停めておけば一晩中エンジンを掛けながらエアコンを付けてもあまり迷惑にはならないと思う。

高速性能・直進安定性

フィットの時点で加速性能なんて特段と良くはなかったので、より重くて投影面積の大きいフリードでさらにパフォーマンスが下がるのは仕方ない。

加速は正直遅く、耐えられないとか周りに乗れなくて危険とかそうではない程度。

新東名の真ん中レーンの120km/h巡行くらいなら余裕だが、あんまり飛ばすような感じではない。

さてフリードは実は直進安定性が高い。

見るからに風に弱そうな形状をしているが、寝そべったAピラーや乗用車テイストな足回りが効いてか、伊勢湾岸自動車道を130km/hくらいで流す程度なら特に問題を感じることは無い。

空力特性に優れるクルマと比較したら、少し風に進路を揺さぶられる動きが強いかなと感じる程度。

隣のレーンに車が居るなら120km/h以上の勢いを保って走り続けるのはやめて、早めにアクセルを抜いておこうかなというレベル。

乗り心地

18万kmも経ち、縁石から降りる際や強い衝撃を受けた際に「ゴシュン」みたいな擦れ音が聞こえてくるような足回りで乗り心地のレビューなんかするのもバカらしい気はするが、意外と動きは良いし今から購入検討する際には参考になるだろうから他車と同様に記録しておく。

「どうせ低価格帯の車らしくバインバイン跳ねてダルンダルンになるんだろ」「劣化しまくってショックは衝撃吸収しないんだろ」みたいな乗り味を覚悟していたが、その事前イメージは予想もつかない形で裏切られることになる。

乗り心地としては全体的にドタドタしがちなところはあるが、程よいストロークと衝撃吸収を持つ。

そのためマンホールや起伏が多いような荒れがちな地形でもそんなに叩きつけがしんどくない。

抜けたショックでよくある、ストロークだけでドシンと来るような動きはあるが、距離の割には乗り心地はむしろ良い。

車のセグメント的に期待していなかったが、足回りの基本骨格は乗用車的である。

リアは車軸式ではあるのだが、段差でドガンと飛ぶ跳ねたり斜め方向に揺さぶられるような動きを感じることは無かった。

ハンドリング

交差点の直角左折ではハンドルの要求回転量が少々多めだが、運転の楽しみを削ぐほどダルいわけではなく、必要充分にドライブを楽しめる程度の動きをしている。

交差点ではたくさん回す感があるが、コーナリングにおいてはスイスイ曲がって行ってくれる。

ある程度はロールするが、その先で抑え込んでくれる。

一部のミニバンのように思い切り旋回を拒否させて、フロントのアウト側のタイヤを過労死させながら遠心力に抗っていくものではなく、クルマ全体で身軽に旋回していってくれるところがある。

安定性に振りつつも軽快なフィーリングを犠牲にしておらず、スポーツカーには敵わないが悪いわけではない。

マルバツ評価

〇:コンパクトサイズに最強コスパで実現した広大な車内空間と良好な走り心地

×:エンジンフィールは期待を満たせず。ハイブリッドだがエンジン停止中のエアコン使用不可(+1~2人使用なら2列目以降のシートは邪魔)

上部へスクロール