【LS500h】日本の最上位セダンの威厳と風格 #174台目【試乗インプレッション】

センチュリーを除けば日本・トヨタのトップに位置するセダンであるLS。

今回はそのハイブリッドモデルのLS500hの後期型に乗っていく。

外観・デザイン

撮影時くらいサンルーフ閉めればよかった…

内装

ステアリングボタンは後期型でただの樹脂に変わってしまった。

パドルシフトが付いているが10段もあり変速もCVTのラバーフィールが目立つ。

じわーっと2000回転下がるだけと言った感じでスポーティーさに欠ける。

7段くらいに抑えて明確に区切ったほうが良かったのでは…

ちなみにヘッズアップディスプレイにタコメーターを表示させることが可能。

センターメータのようにオフセットされた位置にはなるが、実際に運転した際の視認性は悪くない。

メーター内部は正直言うと表示がゴチャゴチャで洗練感がない。

画面の解像度が低く、フレームレードもラグったオンラインゲームのように低く、世代の古さも隠し切れない。2010年ごろのシステムで作った2015年ごろの雰囲気。

メルセデスの超高解像度&ビューティフルUIとは天と地ほどの差であり、私が思う唯一にして明確なレクサスの弱点でもある。

(180km/hでスイスイ走れるほど走行性能には余裕があり内装の素材感も良いため、本当にこれくらいしか劣っているポイントは無いと思う)

ドアは複数の素材を織り交ぜたもの。ベースグレードの内装素材は簡素なものではあるが、凹凸が表現された木材風のものであり、複数のレイヤーは水族館のライティングのような雰囲気がある。

しかしネットで見かけるような感動が欲しければここから数百万円積むのか…

シフトはプリウスシフト。

ノブの形状こそ横長で平坦だが、この配置は他のレクサスモデルのシフターを再利用したのがバレバレ。

手首の角度とのマッチングも悪く、可動域も狭くて使いづらいので専用のシフターを起こして欲しかった….

またバックブザーもトヨタ系の「ピー」という耳障りな音。何を考えているんだ….

電動パーキングはなぜか押して作動、引いてキャンセルだが、サイドブレーキはシフトポジション連動なので基本的にココを触る機会はない。

1つだけついたオーディオ操作のダイヤルはアルミ削り出しで見かけもカッコよく、操作していても重厚感があって素晴らしい。

下側のダイヤルを回すと選曲になるが、一曲だけ動かしたい場合はステアリング内のボタンを押した方が良い。

温度調整ダイヤルは物理だが、小さいため素直に物理ボタンの方が良かったという意見も出て良そうだ。

私のようにスマホホルダーを吹き出し口に付けると、スマホの裏側に行く。

横倒しにしてセットすると良いが、その場合は独特な形をしていたほうが探し当てやすくもある。

冷房は部屋全体がじんわりとキンキンに冷えるような独特な効き方となる。

後期型になってタッチも可能なディスプレイに変更されたが、そのグラフィックは明らかに世代が古い。

現行のトヨタ・レクサスのあのインフォシステムとは違うものがはいっている。

手元でも操作できるようになっている。

「各ボタンに近づくと吸い寄せられる」というのが良い点として扱われているのを聞くが、個人的には勝手に吸い込まれて離脱するのにグワっと動かす必要があるので大きなストレス。

発情期のイヌを、メスの犬が大量に繋がれている通り道で散歩することを想像して欲しい。

おそらくイヌはそこらじゅうのメス犬に飛びつこうとして、飼い主がリードを引っ張らないと進めないだろう。そんな感じの操作感である。

ちなみにトラックパッド下のボタンを押すとシートヒーター・ベンチレーションのショートカットメニューに飛べるのでぜったい覚えておこう。

ドアに使われていたのと同じ、木材のデコボコを再現した素材で包まれており質感は悪くない。

しかしカップホルダーのフタが運転席側に向かって開いてくるため、あまりストレスには感じた記憶がないが飲み物の出し入れの邪魔になる。

「LSのようなクルマだと運転席が最優先とは限らない。」「助手席の人を優先している」ということにしておこう。

シガーソケットはドリンクホルダーの間とセンターコンソールボックスの両方に用意される。USBポートは両方ともタイプA。

ケーブルを出す用の穴はもちろん用意されるが、結構な頻度で引っ掛かってセンターコンソールが閉まらなくなる。

2列目

フラッグシップラグジュアリーセダンのLSと言えど、1200万円程度のベースグレードでは2列目は普通だ。

ファーストクラスのような装備はなく、ただの高級セダンの2列目でしかない。

重役になった気分でズッシリと座ることは出来るが、虚栄心の類を持たない私は「なんか窮屈だな」としか思わなかった。

リクライニングが無く座面のクッション性もあまりないためシートの角度が合わなければあんまり快適ではない。というか走り始めて数分で助手席に戻りたくなった。

またコンフォートモードでは減衰がダルすぎてフワフワするため、上下動が収まらず逆に落ち着かない。

ノーマル・スポーツモードあたりが二列目の乗員に取ってもバランスが良いように思う。

こんなこといったらダメだろうが、LSの下位グレードくらいならアルファード・ヴェルファイアの2列目の方が広いしリクライニングもあるし快適だと思う。

あの2台だってLSと並べるほど乗り心地が良い。

自分で運転するならまだしも、二列目にしか乗らない状態で乗る車を選べるなら、私はアルファードにするかな…

静粛性とオーディオ

感動するほど別次元に静かなわけではないが遮音性のレベルは大衆車や並みの700万円とはワンランク違う。

ガラスを指で叩いても明らかに音や響き方が違う。

しかし荒れた路面でゴーというノイズの侵入を許したり、スピードを上げると風切り音が目立ち気味になったり。

LSというクルマのイメージに対してはあんまり良いと思えない。

オーディオについては日本車のイメージに反して高クオリティ。

音量を上げても鮮明できれいな音を楽しむことができる。

イコライザー設定をサボってもそんなに不満が無かったが、適切に調整すれば女性ボーカルの高音域の大音量時のこもり感を抑えることでさらなる改善が見込めそうだ。

実走行インプレッション

取り回し

車体サイズを感じさせぬ運転のしやすさは大きな特徴。

モード切り替えダイヤルが良い具合の基準点となり、水平基調の内装デザインもビシッとした運転感覚を掴むことに貢献している印象だ。

全長の割には小回り能力も並みなので、狭いところでの取り回しもそこまで悪くない。

アルファードやテスラのモデルSだと「長すぎてイヤだなぁ…」と思う5メートルオーバーだが、LSはスッと収まるためあまりストレスや苦がない。どこへでも乗り入れられそうだ。

非常に窮屈なところでの180度左折を行わねばならない状況に遭遇したが、アラウンドビューカメラで保険を掛けつつ一回バックしただけでパスできた。

左端に沿ってスムーズに交差点を左折して、職業運転手気分に浸るのも良い。

パワートレイン

クラウンと同じマルチステージハイブリッドだが、遥かにスムーズに回って速度が乗るようになっている。

エンジンは3.5L V6NAが299馬力に356Nm.

レクサス組付けという名の純正バランスチューンが入るため滑らかに回るようになっている。

モーターは179馬力に300Nm。システム合計では354馬力となる。

エンジンルームはフルカバーされていて面白味がない。日常点検もやりようがないレベル。

レクサスのハイブリッドらしく走り出しはモーターで自然にエンジンに切り替わる。

加速性能には全く不満が無く、エンジンも気持ちよく官能的な音を立てて回って行ってくれる。

よく言われる「エンジンブレーキ感」のようなものはなく、遅さも感じさせずにスイスイと速度が乗っていく。

あまり必死感を出さずにレッドゾーンまでエンジンを使ってまわっていく。

意識せずに乗っていればただただマイルドだ。

しかしトヨタのハイブリッドであることを踏まえると私の感覚だとモーターのパワーは不十分。

特に減速時の回生ブレーキの効きが少々弱く、高速道路で目の前に割り込まれると大量の運動エネルギーを回収しきれずに熱に変えて捨てることになる。

これでは勿体ないしハイブリッドである恩恵が小さい。

マルチステージハイブリッドという変則的なパワートレインについても気になるところがある。

ただの多段式ATでもなくCVTでもない。

CVTと4段のATを組み合わせて疑似的に10段変速を実現することでCVTの効率とATの操作感を両立することを狙ったものではあるが、人間にとっては違和感が強い。

アクセルを踏み足していくと、CVTのようにベルトが動いて回転数が変わるときと、一旦駆動を切ってシフトダウンを入れるときの2つが変則的に訪れる。

このもたつきがどうも慣れない。

年次改良によるマイルド化の恩恵か、ドカンと唐突に加速しだすことは無くなったのは良い。

しかしベタ踏みしていても多段式ATのような明快なシフトチェンジフィールはなく、変速の度に1500回転ほど下がるだけ。

シフトショックはないがスポーティー感も削がれているので何とも言えない。

またエンジンを切ったまま流せる領域も3.5リッターという排気量ゆえか小さめ。

クルコンを85km/h程度に設定してダラダラ走っていたら長いことモーターで踏ん張ってくれたが、110km/hオーバーで追い越し車線をスイスイ走るならハイブリッドの恩恵は小さくなる。

「燃費を出したいなら85km/h以下で走る」ということを覚えておこう。

その場合、リッター17kmオーバーの燃費も狙える。

私の場合は名古屋~東京間をかなりハイペースで往復したため、全区間燃費はリッター10.2km/h程度だった。

もちろん燃料はハイオク。

渋滞や市街地、85km/h以下での巡行がメインならもっと燃費は伸びるだろうが、これなら加速性能を取って純ガソリンでも良いのでは…

乗り心地

エアサスらしくバフっとした衝撃吸収を行う。

ラグジュアリーセダンらしく高い快適性を持っており、あまり酷い叩きつけを喰らうようなことはない。

大衆車セグメントのダンパーを器用に使う当たり車のようなものとも、一部のドイツ車がやるゴムブッシュのねじれを減衰に使うようなものとも違う乗り味がある。

物理的に路面と繋がっていないような印象を受けるようなところは流石エアサスである。

しかし魔法のような足回りと呼ぶほど格段に良いわけではなく、LSというクルマに幻想を抱いていると「まあこんなモンか」といった感じになる。

テスラのモデルS,モデルXよりはいいが、クラウンやBMWの5シリーズとあんまり差が無い。

スポーツセダンではなく送迎向けの車だからなのか全体的にはコンフォートを見据えたセット。

それゆえなのか、うねり続けているような路面だと揺れの収まりが悪く感じる。

飛び上がる瞬間やその前後に、無重力状態になってフワついてしまうようなところがある。

地面から完全にクルマが離れた感じが落ち着かないが、快適性としてはむしろ良いのか…

…というかこの日は12時間借りて名古屋~東京間を往復したのだが、シートのクッション性がないせいか帰り道の静岡あたり、9時間を経過したあたりでお尻のあたりが痛くなってきた。

エアサスの乗り心地は頭打ちだし、シートは座面がちょっと硬い。

沈み込みは少しあるが、衝撃吸収や振動の蓄積を防いでくれるレベルではない。

こういう場合は長距離ドライブ特化の良いクッションを敷くと改善することがあるが、表面がツルツルすべすべレザーであり、LSの見た目にも合わない。

この座面硬くてお尻痛くなる問題のせいで「長距離が快適」という期待は裏切られた。

自分が持っているプリウスPHVGR(数万円のドライブ特化クッション付き)では、数時間滞在の東京~名古屋間往復程度では腰が痛くならないぞ…

というか新車価格400万円級のクルマの中にもこれくらい乗り心地が良い車種は普通にあるので、1200~1600万円も出してこの程度なのか感が否めない。

2列目での乗り心地

運転しているときと二列目に座っているときで乗り心地の感じ方が違ったため書き残しておく。

私の感覚だが、コンフォートモードではふわふわとしすぎてあまり快適に感じられない。落ち着かない感じが強いのである。

その割には真下に落ちた時にドカンと衝撃を感じることがあり、「LS」というイメージの割にはアルファードあたりと大差がない。

逆にスポーツモードでは揺れの抑え込みが早すぎるところがあるため、ノーマルモードが一番バランスがいいと感じた。

ベンツのSクラスやBMWの7シリーズと比較してどんな塩梅なのか、数か月以内を目安に確かめていくことにする。

直進安定性

メリットを挙げるなら高速道路を180km/hで流しても素晴らしい快適性と安定性、スムーズな加速感、騒がしくない車内が維持されることだろう。

直進安定性も速度の乗りも良いため、この手の走行フィールにてドイツ車に劣っているとはほとんど感じない。

ただ旋回性を意識したFRセダンだからか、直進”感”は特段と高くはない。

乗り物の直進性が悪いわけではないが、少しハンドルを動かすと車体が左右に触れてしまうような感覚がある。

BMWのセダンあたりで良く味わうタイプのハンドリング。

レーンキープ

LSのレーンキープ性能は基本設計の古さが大きなネガとなっている。

ハッキリ言うと現行のシエンタ以下。スペーシアカスタム並ぶレベルかもしれない。

レーンセンタリングをオンにしても、システムがステアキープモードをオンにしてくれないことが結構ある。

また突然解除されたり、オンオフを繰り返したり、端っこによってはみ出す寸前になってから渋々ハンドルを切り出したり。

絶妙にストレスなので結局自分で操作してしまう。

BMWやテスラだったら完全自動運転レベルを500万円台から実現しているのに…

ハンドリング

重量を純ガソリンの500hと比較すると、ハイブリッドモデルは60kgだけ重い。

ハイブリッドは自然吸気だが純ガソリンはツインターボなので、重たいバッテリーを積んでも大人一人分程度の重量差しかないのだろう。

しかし車重は約2.2トン。

重量配分やセダンボディをもってしてもその重量を抑えきれていない場面が出て来る。

1900mmもある横幅や5235mmの全長が気になることは無い。

運転感覚が良いため狭い箱根の峠道でもあまり手狭には感じないどころか、ある程度は左右にクルマを動かしていく幅さえある。

ハンドルの回し始めにはあまりゆったりとした間を設けておらず、穏やかにだが比較的すぐに車体が応答する。

そこから少しの間を置いてフラットな旋回に移っていく。

追い込まずに程々に気持ちよく走っていく限り、スルスルと車が曲がって行ってくれるので非常に気持ちが良い。

しかし負荷を上げていくと、旋回途中で突っ張るような動きがあったり、段差を越えた際に重量を受け止めきれづに崩れたり、なんかイマイチ、リニアに動いて行ってくれないなあという印象を受ける。

全体的に重さの影響を受けているところが強い。

コーナリングスピードをグイグイと上げて行っても重さに剥がされていくようであり、自在に追い込めるという感触はあまりない。

3.5のクラウンの時点で重さに剥がされるところはあったので、LSのサイズにもなるとさすがに苦しいか。

ペースを上げずに流す範囲に抑えるくらいが一番幸せになれる。

ちなみにブレーキの効きについてもゴツいフロントブレーキを採用している割にはあまり止まって行かない。

マイルドさ重視のパッドを入れている可能性が高いが、箱根の山下りでアタックするには怖すぎる。

マルバツ評価

〇:優美な世界で味わう移動体験

×:ベースグレードでは期待していたほどの感動はない

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