ベースグレードのリーフからバッテリー容量とモーター出力を強化したe+。
具体的にはバッテリーが40kWhから60kWhへ。
モーター出力が150馬力/320Nmから218馬力/340Nmへ向上している。
ベースグレードのリーフで微妙に物足りなかった加速力がどこまで改善するのか、ベースグレード比で130万円ほど上がった本体価格に見合ったクルマとなっているのか。
2023年式のXグレード(安い方)でチェックして行こう。
リーフ自体は既に複数回乗っており、名古屋~東京間の日帰り弾丸往復もやっているので試乗自体はサクッと済ませる。
冒頭のまとめ
ハッキリ言うと想像以上だった。
ここまで楽しめる218馬力はそうそうないだろう。
うねった路面でベタ踏みを入れればトルクステアによる左右に揺さぶられ、ホイールスピンを起こしてタイヤが悲鳴を上げる。
勢いよくグイグイと押し出されていく加速性能は文句なしの領域へ。
リーフの持ち味だったスムーズなハンドリングや良好な乗り心地はそのままに、バッテリーと電池の強化が素晴らしい世界をもたらしている。
本体価格は高いが、500万円でも納得のドライバーズカーとなっていた。
むしろ中途半端に400万円加速力やら電池やら諸々に不満が残る40kwhを買うより、100万円ちょいプラスして完全体となったe+を買った方が総合的な満足感は高いと言えるだろう。
値上がりについて

インフレによる電池調達コストの大幅高騰を受けたのか、このリーフのe+はモデルイヤーの途中で100万円単位の値上がりをしていた。
初期モデルでは412~470万円で買えていたe+だが、最終モデルでは523~584万円である。
通常の40kwhモデルでも80万円近く値上がりしている。
補助金やインフレを加味する必要はあるが、600万円近い支払総額になることもあるわけだ。
新車価格315万円からスタートしていたリーフに、モデル3のスタンダードと同じ値段を出せるのか。
値段に見合う付加価値があるかどうか、議論の余地がある。
外観・デザイン
「e+」であることは外観からは読み取れない。

新車を買った人はプラス100万円以上多く払ったんだから、テールゲートに「e+」のバッチの1つでも付けてあげたらいいのに…



内装
廉価グレードであるためか全体的に高級感はない。上位グレードになれば改善が見込める。

e+くらい上位グレード相当を標準装備にしてくれてもいいのに…

ナビもメーターも、インフォシステムが全体的にラグいのが不満。

人間が入力してから反応するまで耐えがたいほどのラグがあり、ナビの縮尺変更でさえ手間取る。
カーナビを動かして行って目的地指定をするのは苦痛以外の何物でもない。
メーター内の表示切替でさえもラグりにラグったオンラインゲーム並みの遅さ。

狙ったページにスパッと飛ぶことができず大変ストレスが溜まる。
暖房について
気温が1℃の深夜3時ごろに始動したが、1~2分くらいで非常に暖かい風が出てきて設定温度を下げられるようになった。
エコカーなら暖かい風が出始めるまで5分以上。そこからまともに暖まるまで+10分と時間が掛かることがあるが、さすがのEVである。静かにガラスの凍結・曇りを取ることも出来る。
空調の快適性は大きな魅力。
静粛性
電気自動車!静粛性!みたいな期待を持って乗るには微妙だが、スピードを上げても車内が「うるさいなぁ」という感想を抱くほど騒がしくなることは無い。
実走行インプレッション
取り回し
コンパクトカーサイズに高品質なアラウンドビューカメラまで付くので非常に扱いやすい。

車中泊を考えないなら日本で乗るにはベストサイズだと言えるだろう。
パワートレイン
加速感は爽快の一言。
というか不慣れな人がそこらじゅうで見境なくアクセルを踏むのは危ないと思う。
圧倒的な加速力によってトルクステアが発生し、路面のうねりに流されて左右に振られるのみならず、そのままホイールスピンが起きる。
トラクションコントロールがすぐにアクセルを緩めてくれるので一瞬で収まるが、カットして踏み続けたらどうなってしまうのだろう…
さすがに試す気にはならなかった。
トラコンも大衆車セグメントである割には細かめな制御。
「滑った瞬間に問答無用でアクセルを1秒間強制カットして加速を拒否することで、追突事故を誘発する」ようなポンコツトラコンではなく、ホイールスピンが収まれば瞬時に加速を再開させてくれる。
パワースライドを起こしながら加速を続けてもあまりぶった切られる感がない。
20~40km/hでの加速はそういった具合だが、そこから100km/hまでは速過ぎないが充分すぎる気持ちの良い加速。
100km/hから上はハッキリ言うと先細り感がある。
スムーズに気持ちよくスイスイ伸び続けるのでストレスは無いのだが、実際の加速的には言うほど速くないかなといったところ。
というか40kwhのリーフと比べてもあんまり速くなった印象はない。
アクセルもブレーキも、ハンドリングも、奥まで入力を与えていくタイプ。
制動力の立ち上がりはBレンジ+e-pedalでもマシというレベルで、Dレンジ+eペダルオフだと踏んでも止まって行かない感が強い。奥まで踏み込んでも、コンパクトカーセグメントである割にはあまり止まらない。
地味に1.7トン近くあるからしょうがないのだが。
また加速についてもパワーモードが無いため、特に中速以上のカーブでは結構踏まないと加速力を発揮できない。これも勿体ないところ。
またe-pedalとブレーキホールドは分けられないというのも好みがわかれるところ。
ブレーキホールドが欲しければe-pedalをオンにするしかない。
サクラとは違って完全停止まで行けるのは良い。
レーンキープ
ステアアシスト付きのプロパイロットが装備されており、ハンドル操作も能動的に代行してくれるので相当なラクが出来る。
…が、結構な頻度でやって来る赤いポップアップが非常にうざったい。

ハンドルを揺さぶることで返事をするのだが、パトカーの前でやったら蛇行運転として目を付けられそうなレベルでハンドルを大きく動かさないとクリアにならないため、一発でスパッと決めるのが難しい。
この機能がウザすぎて快適に使えるとは言い難い。むしろストレスフル。
こんな使い勝手で「快適に手放し!極上の運転体験!技術の日産!」とか言って訴求するのは無理がある。
レーンキープ性能自体が非常に優秀なだけに勿体なさ過ぎる…
乗り心地
40kwhモデルの時点で乗り心地はよかったが、重量増に伴って見直された足回りはさらに良い乗り心地を実現している。
もともと大きめにストロークしながら抑え込んでいくアシだったが、簡単に言うならその動きが小さなった。
それはストローク量もそうだが、入って来る衝撃も体感35%ほどカットされているような印象。
雑に言うならちょっと欧州車っぽい乗り味になっている。
旋回しながら段差を越えても暴れることは無く、イン側のアシがちょっと縮むだけでハンドルが揺さぶられるようなことは無いため安心感もある。
断続的にうねりや衝撃が連続するような住宅街の40km/h制限路では、収まりきる前に次の衝撃を喰らって落ち着きが悪くなる。
そういう状況となれば褒めるほどではなくなるが全体的に乗り心地は良い。
ハンドリング
スムーズで気持ちがいいハンドリングはe+になって磨きが掛かった。
重心が下がったのがプラスに働いている。重量増加のネガを感じることは特にない。
さすがにテスラのセダンのようには行かないが、文句なしの旋回性能。

動かし始めからスムーズに切れ込んでいってくれて、イン側へとスイスイと飛び込んでいくため軽快で俊敏で気持ちいい。
ある程度のロールや四輪での動きを伴っていくタイプで、クルマ全体でしっかりと傾いて曲がって行く。
フロントのアウト側のタイヤが悲鳴を上げるのは比較的早いが、その動きはFFの範囲を出るものではないため誰が乗っても危険はない。
そんな安全な動きに抑えつつも、ちょっとしたスポーツカーのような軽快さも同時に実現している。
乗り心地もハードではないし、加速性能もあるし、40kwhのnismoよりもこっち買った方が良いんじゃないか・・・?
マルバツ評価
〇:圧倒的な加速でついに実現した刺激的な運転フィール
×:電池コストが高すぎる。ナビがラグく、内装の質感も もう一声欲しい