1999年から2014年ごろまで売られていた9代目のハイゼット。
15年に渡って生産され続けており今でも私の住んでいる岐阜の田舎ではたまに見かける。
後期モデルではあるが、99年代ベースの軽トラ。どんな走りをするのだろうか…

冒頭のまとめ
この軽トラは日本の公道を安全に走れるレベルに達していない。
乗り物の性能が低すぎるから、70km/hで走っていても安全運転ではない。
この乗り物にとって安全な速度まで下げると、それも遅すぎて安全運転ではない。
少しでもスピードを出そうものなら吹っ飛んで爆発しそうだし、安全な速度に抑えたら遅すぎて交通をブロックして他人にストレスを与える。
そういう自己満足を安全とは言わない。
段差でダンダンと飛び跳ねまくり、ボディ剛性に対して疎い私がボディが歪んでいるのを感じまくる。
ハンドルは感触が希薄で、車がどう動いていくのか分からない。
エンジンは音と回り方が気持ちよく、空荷では意外と深夜の首都高速への合流もこなす力を持つ。
安定性が無ぎて80km/h出せるか出せないかレベルだが…
ダラダラ交通の流れをブロックするしかやれることがないが、そのダラダラペースでも安全ではない。
外観

だが日本の社会を陰で支える、飾らないシンプルさがここにある。
内装
私たちのイメージする通りの典型的な軽トラの内装。

このオートマが結構な不満。

Dに入れたと思ったら行き過ぎて2とかLに入るし、DやRを入れ替えた瞬間に車が急発進しそうなほど揺れる。
ブレーキを強く踏んで抑えてないと暴走事故のトリガーになり兼ねないレベル。

実走行インプレッション
乗り込む前に車体に手を押して体重をかけてみる。
ユッサユッサバタンバタンとド派手に揺れる。
ドアを開けて締めしてみる。ペラッペラ。
すぐ半ドアになる。
大丈夫かこの乗り物…
取り回し
これがこの車を唯一褒められるポイントだろう。
小柄な車体と圧倒的な小回り性能により、自動車の運転に対して想定しているもの遥か上を行く取り回しを実現する。
後方視界もスカスカの荷台を上から見下ろすようなレベルのものが得られる。
しかし慣れるまでは車体サイズのわりにバック駐車がラクではない。
ちなみに右後ろの死角が地味に存在しており、合流の際にクルマの存在を把握するのが少々面倒である。
またシートにはリクライニングが存在せず、ヘッドレストは背面の壁に留められているだけ。
私の場合はヘッドレストに触れられたが、ピンと立った姿勢で運転を強いられる感じになる。
パワートレイン
エンジンを始動すると戦時中~高度経済成長期を描いたドラマやら映画で聞いたようなエンジン音が響いてくる。
そして大きな振動とアイドリング騒音が車内を包み込む。
「よぉ!この軽トラに乗るからには快適な走行は自信をもって約束しないぜ!」と挨拶された気分。
さて私が軽トラを借りる目的は荷物運搬ではなく走行性能テストなので、空荷のまま公道に出て首都高へと走っていくが、意外にも加速性能とエンジンフィールは良かった。
エンジン音の響き方と回り方が気持ちいいのだ。
押せば押すほど気持ちよくエンジン回転数が上がって行く様が爽快。
無難なCVTや優秀なハイブリッド、トルク型ターボばかり乗っていたのでこういうのは珍しいと思った。
全開で踏むと結構な勢いで速度が乗っていき、首都高のPAからの合流でもすぐに70km/hオーバーに到達可能。
意外と合流も辛くないのが好印象だった。
ちなみにアクセルを瞬間的に踏んだり戻したりしていると、踏んだ瞬間だけグッと身体をシートに押し付けられる。
よくネットで「昔の車はスロットルレスポンスが良かった」というが、なるほどこういうことか。
ペダルを踏んだ瞬間にもう体が押し付けられるほど。
乗り心地
ご想像の通りまぁ良くはないわけだが、良くないと言っても色々ある。
空荷状態のこのハイゼットは、「跳ねて吹っ飛ばされる動きが酷い」系の悪いだ。
荷物をしっかり積めば抑えられるかも?
まぁ重くなったら重くなったで、加速性能だとか別の問題が出そうではあるが。
さて乗り心地としてはある程度上下に揺らしてくれる。
だがすぐにバタンと飛び跳ねてしまう。
何も荷物を積んでないのにバンプヒットしているようで、その後剛性のないボディが歪む感じがする
ヤバい乗り物乗ってる感がすごく強い。
以前C+Podというトヨタの小型モビリティに乗ったが、あっちのほうがボディ剛性の芯は強かった。
段差を超えただけで上に吹っ飛ばされてガタガタになっちゃう。
ちなみにずーーーーっと車内が騒々しいのみならず、振動もひどい。
1時間走ったころには、私のドライブ旅が始まってから10時間経った後みたいな疲労感だった。
400万円程度の長距離得意系のクルマが相手でも、10倍疲れるのだ。
飛び上がりと振動の蓄積が辛い…
ハンドリング
一応深夜のC1を一周したが、それっぽいことはほぼやれていない。
こんな操舵フィールの車でハンドリングテストなんかやったら事故を起こして通行止めになるだろう。
普段乗るようなハイパフォーマンスカーでは、安全な範囲に抑えて軽く流していてもラクラク160km/hオーバーに達するような直線が、たった72km/h程度で余裕ゼロのフラッフラな命がけドライブになってしまうのだ。
ハンドルの感触も希薄で、手元で角度だけ動くけど、クルマが付いてくる感触が全くない。
タイヤグリップとか荷重コントロールとかそういうことを考えることもできないくらいに余裕が無い。
一応軽く試した範囲では、外側に負荷を掛けてロールを収束させ、ショートホイールベースミッドシップを活かして良好な旋回特性を発揮してくれそうな印象はあった。
おそらくシャシーのバランス自体は悪くないが、足回りがポンコツすぎて走行スピードを全く上げられないのでお話にならない。
高速(?)安定性
80km/h以上は基本的に出せなかった。
本能的なリミッターが80km/hなのだ。
この段落の名前の「高速安定性」も、80km/h程度は私のスピードレンジだとゆったりペースなんだよなぁ…
アウディやスカイライン、フェアレディZで180km/hで走っても何も起きなかったような路面が、85km/hも出してしまえばもう生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。
深夜の首都高を走っている全ての乗り物に抜かされた。
1回だけ60km/h制限を律儀に守るバスを抜いたが、その際はミラーに映る後ろのクルマが全て自分とバスを抜き終えるまで、追い越し車線への移動を800mほど保留した。
まとめ
田舎の柴犬に転生したら、こういう軽トラの荷台に放り込まれて風を感じながら田んぼ道を走るのも悪くないかもしれない。
これと比べると現行型のハイゼットは素晴らしいほど改善したし、同じ価格帯であれだけ上がるなんてマジックじゃないかとさえ思った。