現実世界でもファミリー・ガイなどの空想の世界でも爆走している20プリウスだが、偏見や誇張抜きに見ると今のトヨタの原点とも言えるクルマだ。
プリウスとしては2代目だが、空力と経済性を追求した究極のエコカーである。
新車価格220万円~250万円という低価格が素晴らしい。
世の中に与えた功績は計り知れない。
たまたまカーシェアで乗れる個体を見つけたため、無くなってしまう前に乗っておくことにした。
車内が異臭に満ちたヤバい個体だったが、その走行フィールは驚くほど良いものであった。
アメリカ人の紹介動画で「まだ走ってるのを見かける。信頼性も高いのだ」とコメントされてもいる。
外観
優しいが退屈ではないデザイン。

実物のテールランプは近未来感ある輝き。
コンパクトサイズながら偉大さがある。

内装
2000年代前半に200万円ちょいで登場したクルマであるが、近未来感や高級感などが感じられる。
古いことは古いのだが、当時としてはかなり先進的で輝いたクルマであったように見える。


インフォディスプレイは劣化によりまともに見えないほど画面が暗いが、これでもタッチ対応だ。
ハイブリッドシステムモニタも搭載。
下側のオーディオデッキや両脇のメッキ調の塗装には高級コンポのような雰囲気さえ感じる。

エアコンはナビ内からタッチして操作するもの。正直言って操作性はよろしくない。
オートエアコンの温度設定と曇り取りだけはステアリング付属のボタンから行えた。


静粛性
価格やセグメント的に何も期待していなかったが、意外にも車内はうるさくない。
風切り音もフロアからのゴーという音の侵入も控えめで、115km/h程度ならうるさいと感じることは無い。
2列目の居住性
あからさまに狭そうな二列目だが実際に座ると不満が無い。
充分な広さ、快適性と視界の広さがある。
20プリウスが送迎に来ても、私なら全くハズレだとは思わない。
「アームレストにドリンクホルダーがないやん」と思いきや、一列目センターコンソールの背面から倒れて来る。
実走行インプレッション
取り回し
車体サイズが非常にコンパクトであり最小旋回半径も5.1メートル。
視界がそこそこ広く、ハンドルをたくさん回して切れ角を大きく取れるため駐車もしやすい。
エコな形状はしているが、空力と乗りやすさの両立を実現していると言える。
レイバックや軽ハイトワゴンには流石に及ばないが、初心者にオススメできるレベルで乗りやすい。
パワートレイン

インフォディスプレイにシステムモニターを表示させることができるが、基本的な動作は今のハイブリッドシステムと同じである。
低負荷域はモーターで流し、エンジンを掛けている間は充電し、ベタ踏み時はモーターアシストも使いつつ充分な加速。
減速に入ればエンジンを切って回生充電し、低アクセル開度の巡行中や信号待ちなどの停止中はエンジンをカットする。
16万kmを越えていても現役なハイブリッド、燃費性能についても十二分に良い。
リッター30kmを越えるカタログ燃費にも納得。
なんなら車体が軽い分、現行型並みに有利なんじゃないかとさえ思う。
ただ燃費が良いだけでなく、強くアクセルを踏み込んだ際は気持ちよくエンジン回転数が上がり、モーターのアシストも受けるため加速が気持ちいい。
速いと呼ぶほどではないが全く遅くもなく、なんの不満もない加速でグイグイ伸びて行ってくれる。
直進安定性も充分に高いため、新東名120km/h制限を元気よく走ることもできる。
2003年登場のクルマなのに、現行のクルマたちと走行フィールで極端に劣らないというのは驚きだ。
高速安定性
現行型と比べると横風に対してちょっと吹かれやすいが、それ以外は充分に良い安定性を誇る。
110km/hくらいなら片手でゆったり流せてしまう安定性。
ボディ剛性としても年代の割には芯が頑丈なようで、空気に乱されずらいボディ形状や安定性優先な足回りと合わせて予想を裏切る直進性を発揮してくれる。

乗り心地
整備状況が不明だが、この個体は途中でダンパーやブッシュ類のリフレッシュを行っている可能性がある。
16.8万kmを越えているのに乗り心地に衰えを感じないどころか、しっかりストロークするため快適性にも安定性にも優れる足回りとなっている。
ハッキリ言うと乗り心地が良い。
強い衝撃を喰らってもパタッと足回りを動かし、バンプラバーも使いながら吸収して行ってくれる。
現代の乗用車と比較することができる程度には良い。
しかし完璧ではない。
段差で飛び上がるようなピストンスピードが速くなるような入力を受けた際の、上下への動きは大きく、揺れの収まりも少々悪い。
不快ではないし人によっては何とも思わないレベルであり、快適性優先な足回りなのであまり大きな問題ではない。

ハンドリング
運転がつまらないクルマの代表みたいに思われがだが、実物は自由自在な一面を持つ。
基本的には安定性優先で過激・急激な動きを抑えるものではあるが、どアンダーではなくハンドルの操作に合わせてグイグイと前が入って行ってくれるタイプ。
また四輪の荷重移動が分かりやすく、「いったん右フロントを沈ませながら、ターンインの瞬間に開放してパッとインに向け、右リアを押し付けながら加速して行く」といったコントロールを楽しんでいける。
持ち前の車体の小柄さで峠の下りもスイスイと抜けていけるため、意外と楽しむことができた。
急ハンドルを切ってしまうとバタンバタンと大きくロールするが、その先ではちゃんと抑えてくれる。
またあまりにも急激な旋回方向への入力を与えるとアウト側のフロントがねじれる様に安定性優先の動きをしてしまう。
一輪だけ力づくで酷使するより、クルマ全体をぐわっと回していくようなイメージで行くと良いだろう。


マルバツ評価
〇:20年15万km経っても通用する信頼性と経済性。
X:奥まった配置で操作性が悪いインフォディスプレイ