ステップワゴン、スパーダのSの、サイドリフトアップシート車に乗っていく。
まさかの介護用車両だ。

新車価格約250万円のグレードに特殊なシートを足して約300万円。
外装
なんの変哲もない4世代目ステップワゴン。
シンプルな顔つきに銀メッキの挿入面積が大きめ。

派手過ぎないのがちょうどよいが、スパーダグレードは装飾やエアロが入るため退屈・地味でもない。
テールランプのLEDが古さを薄めてくれている。

シンプルで優しさを残しつつも、オラオラ感のような売れるデザインのテイストを取り入れている。
個人的には良いバランスが実現されていると思う。
内装
一面は樹脂素材が多いが価格ゆえ仕方ない。

ダッシュボードが低いところに抑えられており視界の広さが魅力。

エアコン操作が物理なのはありがたいが、シフトノブに視界を遮られる形になるため操作性が良いとは言えない。

ドリンクホルダーはキャップ置きが付属する賢いタイプ。
タコメーター付属。パドルシフトを使えば多段式ATとして使える。

静粛性とオーディオ
見かけや価格から何も期待していなかったが、最低限必要充分にやってあるようだ。
あまり走行中にうるさいと感じることは無かった。
高速道路でスピードを上げても風切り音や床下からの振動が気になった記憶はない。
カーオーディオについては期待していなかったので特に不満も感じなかった。
ただ聞くだけなら問題ないが、「音を楽しむ」というような大層なものではない。
実走行インプレッション
取り回し
このサイズのミニバンで最も気になるのが前後方向の長さだ。
とはいっても4690mmなのだが、相対的に長いため慣れるまでは気を遣うことになる。
しかし視野の広さに優れるため非常に扱いやすい。
窓ガラスは低いところまで来ているため死角が少なく視点も高い。
あまりアテにはならないが、ミラーと車内の2つの鏡を合わせることで左フロントの足元を照らす装備も1つ持っている。

パワートレイン
2リッターの純ガソリンにこの投影面積ということで、燃費はリッター10~13km程度と平凡な数値である。
しかし150馬力のエンジンはVTECのホンダらしいブン周りを魅せ、かなり元気の良い加速性能を発揮してくれる。
踏み始めからCVTの制御のおかげでストレスなく発進し、いくつかの段階を踏みながらエンジンを唸らせてグイグイと車速を乗せていく様は気持ちがいい。
運転する楽しみさえ感じさせてくれる。
大排気量エンジンの余裕や官能性も無ければ小排気量エンジンの経済性もない中途半端な感じではあるし、エンジン音も中回転域以上ではかなり響いてくる。
アイドリング中もエンジンの振動が体に伝わってくる。
(これはエンジンマウントなどの劣化に原因がある可能性はあるが…)
音が気持ちいいから多少荒くても許されている感は否めない。
エコモードにすれば不快な急加速を制限することもできるし、踏めば膜を破いていくように段階的に加速力が解放されていくのでストレスを感じづらい。
アクセルを抜いた際の空走力が高いため、器用に運転して燃費を稼ぐという楽しみもある。
またスパーダグレードにはパドルシフトが付いてくる。
これも咄嗟のエンジンブレーキに役立てられる。
乗り心地
街乗り領域での快適性を優先したセットアップとなっており、年代・価格ゆえの限界こそあれど予想を上回る乗り心地の良さを見せてくれた。
具体的には4つのタイヤホイールをしっかりとストロークさせて、路面の荒れやうねりに対応してくれる。
さすがに完璧ではなく、ちょっとでも荒れて来るとドタドタ気味な乗り味とはなってしまう。
年式と価格帯相応にボディの剛性感も足りておらず、安物車の動き自体は隠し切れない。
バンプヒットするような状況ではギシギシと揺れるが、発生頻度は高くはなくその衝撃も抑えられている方。
だが充分よくやってると思う。
個人的には開発陣の仕事ぶりを賞賛したい。
連泊の車中泊旅行に乗っていくクルマとしても不満が無いレベルだ。
クルコンと四輪駆動、ハイブリッドは欲しいところだが。
高速安定性
個人的には120km/hを越えて走行するのはオススメしない。
元気の良いエンジンと必要充分に安定性を持たされたシャシーは120km/h制限時代にも対応できるものではあるが、少々横風に流されやすい。
新東名の第三レーンを元気よく走ることも充分可能ではあるが、特に隣のレーンにクルマが居る際やトンネルの出口などでは風に注意しよう。
また足回りの減衰特性も街乗りを優先したものとなっており、走行ペースを上げていくと抑え込みのダルさが目立ち気味になる。
バインバイン跳ねるような動きも出て来る。
またピストンスピードが遅い領域での減衰力がダルいのか、路面が軽くうねっているような山間部の高速道路で常識の範囲でスピードを上げてみると、上下動の収まりが少々悪い。
常にフワフワする感じとなる。
明らかなる街乗り優先セット。
エンジンフィールこそ痛快でそこそこ気持ちよく走れるが、あんまり飛ばす系のクルマではないことは頭に入れておこう。
ハンドリング
安定性を重視したゆったり系。
私が嫌いなステアリングレシオがスロー寄りにセットされているタイプ。
交差点の左折程度でも少々ハンドルの要求回転量が多い。
ハンドルが軽くてスイスイ回せるため駐車場内での転回には不満がなく、コーナリングでもぎりぎり遅れが出ないものではあるが、スパーダとてスポーツではない。
旋回の動きとしては安定に全振りしていると言える。
安定・安全のために急激な姿勢変化を抑えるものだが、抑えすぎてクルマが曲がって行きづらい。
クルマ全体の挙動としては旋回を拒否させて、タイヤを過労死させながら強引に曲げようとするような動きさえ感じられる。
そこそこのペースでコーナリングしただけでタイヤからスキール音がゴーと鳴りだすレベル。
背が高く高重心感もある動きではあるが、傾きと危険性のある動きは抑え込んでくれるため、危なくはならない。
運転する楽しみが消えてなくなるほど酷い安定性全振りでもないし、1つのバランスは取れていると思う。