BYDが象徴的に搭載してきた“回転するセンターディスプレイ”。
クルッと縦長に変形できるあのギミックは、SNSでも目立ちやすく、
「中国EVの未来感」を示すアイコンのように扱われてきました。
しかし2025年、ついに Atto2(アットツー)から回転機構が廃止 されます。
本記事では、
- なぜ廃止されたのか
- メーカーの建前と本音
- Atto2に“回転する個体”と“しない個体”が混在する理由
- 回転スクリーンの実際の価値
を、分かりやすく、実際にBYDを乗り比べてきた体験と合わせて解説します。
🟦 1. 回転スクリーンとは何だったのか?
BYDが採用していた“回転スクリーン”とは、
センターの大型タッチディスプレイが 縦(ポートレート)⇔横(ランドスケープ) に電動で回転する機構のこと。
見た目は未来的で、ショールームでのインパクトも強く、
SNSでは「画面が回るのがすごい!」と話題になりました。
しかし実際の使い勝手はというと…
- 縦UIがほぼ存在しない
- 対応アプリが少ない
- 地図が縦でも見やすくない
- 動くために壊れやすい
- モーター・ジョイント・配線など機構が複雑でコストが高い
という課題がありました。

🟧 2. BYDが“回転を辞める”と発表。最初の対象はAtto2
海外メディア Carscoops をはじめとする複数の報道によれば、
2025年型 Atto2 から回転機構を廃止する と発表されています。
とはいえ、一つ注意点があります。
✔ Atto2には「回る個体」と「回らない個体」がある
- 中国本国仕様の“元(Yuan)Up”は回転式
- 初期ロットの展示車・メディア車両も回転式
- 2025年以降の欧州仕様から“回転しない固定式”に変更
つまり現在は ちょうど移行期間 で、
YouTubeなどで回っているAtto2の画面は「旧仕様」であり、
Carscoopsの記事は「最新ロットの仕様変更」に基づいています。
🟥 3. メーカーが主張してきた“回転スクリーンの魅力”とは?
BYD自身は以前、回転スクリーンを次のように語っていました。
■ メーカーの建前
- 縦画面で地図が見やすい
- 横画面で映像やアプリが見やすい
- タブレットのような自由なUX
- 他社にないオリジナリティ
このあたりは確かに“未来的”でわかりやすいメリットです。
しかし…
🟥 4. 実際に借りて乗ったユーザーからすると「使いどころがない」
Dolphin、Atto3、Sealなど、何台もBYDを借りて乗りましたが、
結論として 縦にするメリットがほぼゼロ です。
理由は明快。
■ 縦にしたところで使えるアプリがない
CarPlayの縦表示に対応していない。
純正アプリも横画面前提。
地図も縦で見やすくない。
■ そもそも“スマホナビ全盛の今”は横画面が正解
世界の新車ユーザーは、純正ナビではなく
CarPlay / Android Auto
を使いたがります。
縦にしてもアプリ側が対応していないため、
“回るだけの飾り”になっていました。
■ 壊れやすく、コストもかかる
可動パーツはすべて故障リスクの源。
サーボモーター、回転ジョイント、角度センサー…
これらを搭載したまま世界中に販売するのはリスクが大きい。
🟧 5. 廃止の本当の理由は“コストダウン”と“実用性不足”
メーカーの公式コメントは
「多くのユーザーが使っていなかったため」。
しかし実際の理由はもっと現実的です。
■ コストが高い
機構が複雑で、固定式よりはるかに高額。
■ 故障リスクが大きい
国ごとの温度差・湿度差・振動環境で壊れやすい。
■ グローバル展開では“横固定”のほうが圧倒的に有利
CarPlay/Android Autoとの互換性を考えると、
横固定が世界標準。
■ “ギミック”による差別化の賞味期限が切れた
登場当初はユニークだったが、
EV市場が成熟し、ユーザーが求めるものは
「ソフト」「使いやすさ」「価格」「充電性能」へ変わっている。
🟦 6. では Atto2 はどんな車なのか?
Atto2 は一言でいうと…
“街乗りにちょうどいいサイズの電気コンパクトSUV”
Atto3 の弟分で、
ヤリスクロスに近いサイズ感のBセグメントEVです。
- 全長 約4.3m
- 価格は海外で約300〜350万円前後
- 都市向けの扱いやすいEV
- インテリアはBYDらしく派手だが実用的
回転スクリーンを廃止することで、
むしろ価格・信頼性・UXの面で“まともなEV化”した印象があります。
🟩 7. まとめ:回転スクリーン廃止は、むしろ正しい判断
今回の決断は、BYDが
“見た目重視”から“実用性重視”への転換
をした象徴的な出来事です。
- 回らなくても困らない
- むしろ固定のほうが使いやすい
- コスト削減 → 価格競争力アップ
- グローバル市場での競争力にもプラス
- 故障リスク低下
そして何より、
ユーザーがほぼ使わなかった機能に価値はない
という事実がはっきりしました。
Atto2 の“回転なしスクリーン”はその第一歩です。
📝 あなたはどう思いましたか?
- 回転スクリーン、使ったことありますか?
- あって嬉しい? それとも不要?
- EV に必要な装備って何でしょう?
ぜひコメントで教えてください。
頂いた意見をもとに、今後またBYD系のレビューも深掘りしていきます。