【IONIQ5】進化は走りにあり。意のままに吹き飛ぶ圧倒的な速さには笑うしかない #151台目

商品改良を受けた後のIONIQ5の四輪駆動モデルに乗っていく。

ヒュンと離陸するような加速、重量を感じさせぬ身軽で意のままな旋回、そして何よりもちゃんと効くようになったブレーキ。

目に見えるところの質感や乗り心地もいいが、周りのクルマを一瞬で点にする気持ちの良い俊足も魅力だ。

外観・デザイン

意匠変更が入ったわけだが、パッと見で変わったと分かるのはホイールくらいである。

もう発売してから結構経つが、いまだに近未来感ある佇まいやピクセルチックな灯火類が産むカッコよさは衰えていない。

残念ながら数がそこまでは売れていないのでもの珍しさも健在。

手裏剣のようなテイストのホイールは空力を意識して開口部を小さくしている。

ヘッドライトは内部にまでピクセル状の造形が入っており、近未来感、カッコよさ、芸術性が素晴らしい。個人的に大好きなヘッドライトだ。

内装

全体的にスッキリしており、広々とした車内空間や宇宙船のような未来感ある雰囲気がある。

↓こちらがマイナーチェンジ前の内装。

横並びの物理ボタン群の下に配置された、タッチ式のエアコンパネル。

この並びはとんでもないポンコツである。

ボタン群の「MAP」ボタンを押したとき、知らぬ間にエアコンパネルに指が触れていることがある。

そして知らぬ間にエアコンが起動する。

正直ありえない。

なんでこれで通ったんだ?

マイチェン前のブレーキの効かなさといい、ヒョンデの開発現場のチェック体制はどうなっているんだ??

シートヒーターやベンチレーション類を装備するボタン群は押し心地がぐにゃぐにゃしており安っぽい。

下にあるので走行中の操作性はよろしくはない。

カーナビはラグい。

しかしUIについては個人的には不満がある。

ハッキリ言うと迷子になるのだ。

どこになにがあるのかパッと見て探しづらいところがある。

実走行インプレッション

取り回し

別にコンパクトなクルマではないので、狭いところでは油断ができない。

全長こそ4655mmだが丸っこく落ちていくボンネットゆえ距離感を掴みづらく、幅も1890mmある。

最小旋回半径も5.9メートル。

アラウンドビューカメラやソナーがあるため扱いはしやすいが、普通に大きいクルマである。

パワートレイン

個人的にポイントは2つある。

制動力の強化と圧倒的な加速力だ。

先代のIONIQ5で唯一の結果であったブレーキ。

黄色信号への強めの減速でもオーバーランしていきそうなくらい効かなかった。

これがパドルを左に引ききった状態では、ベタ踏み走行においても充分な制動力を出せるようになった。

アクセルをベタ踏みしている最中にブレーキを踏んでも、ドカンと減速することができる。

深夜のC1をヒュンヒュン走り回っていても、瞬間的にグッと前を沈めて車速を削り、安全なペースでのコーナリングが可能となる。

しかし「効くようになった」とはいっても2170kgの車重の前に限界はあるようだ。

回生ブレーキに頼らない減速においては止まって行かない感が否めない。

「ヒョンデはあのブレーキのIONIQ5に、ビッグマイナーチェンジでもブレーキパッドの充分な

摩擦係数強化すらもしなかったのか・・・」という評価となる。

次の魅力は加速力。

前後を足すと344馬力に605Nmだ。

特にスポーツモードで踏んだ瞬間の出足は素晴らしい。

2.1トン越えの巨体が、その重さをこれっぽっちも感じさせずにフワっと正面に離陸する。

その加速力はあまりにも強烈で、肉体が魂から離れ、クルマが道路から離陸してしまうのではないかと思うほど強い。

あまりにも強烈。

深夜のC1を2週したが、周りの車を何度もベタ踏み一発でバックミラーの点とした。

ただ加速だけ速いのではなく、コントロール感、安心感が伴っているのが嬉しい。

とんでもない加速が制御下で扱えるため楽しくて楽しくてしょうがない。

個人的に「2トン級EVは300馬力くらいはあって欲しい」と思っていたが、ここまで来るともう笑ってしまう。

人によっては命の危険を感じそうな加速の中で、むしろ楽しくなって心が車に惚れて安らぐようだ。

出そうと思えばこれだけの加速性能を出せるため、市街地での走行も余裕。

モード次第で加速の角、過剰な刺激は抑えられる。

踏めば踏んだだけ、実用上無限のトルクを得られるような状態になるぞ。

テスラのモデル3ロングレンジもそうだが、大出力EVはこの加速性能の次元違いの余裕が素晴らしいのだ。

なおパドルは左側まで引けば、止まったことを人間が検知できないほど滑らかに止まるワンペダルドライブになるし、右端まで引けばニュートラル走行になる。

ハンドリング・ドライバビリティ

直線加速が素晴らしければ旋回特性も良い。

以前乗ったマイチェン前のモデルは、ハッキリ言うとハンドリングに褒めるところ、語るところはなかったように思う。

その動きには重たさと腰高感があり、あくまで「加速が速いだけのガワが近未来的な移動用SUV」というテイストだった。

しかしビッグマイナーチェンジを受け、楽しくて楽しくて無限に走って居たくなるような旋回特性を手に入れた。

ハンドルを切っても全くロールせず、SUV特有の腰高感のようなものでグラっと来るような感覚もない。

フラットな姿勢で穏やかにタイヤグリップを使い切ったコーナリングが可能。

人間的には危険のない領域に抑えているはずなのに、車の物理的な走行ペースはべらぼうに速い。

軽く流してるだけなのに「タイヤからスキール音鳴ってる?」というペースでの旋回となる。

そして立ち上がりで踏みこめばあの加速力なのだから、もう笑いが止まらない。

頭文字Dにスマイリーなんとかというキャラが居たが、自分も走行中にそうなっていた気がする。

旋回中にアクセルを抜いてさらにガッとイン側へ急ハンドルを切ると、フロントがさらにインへと入って行こうとする。

さすがにこの時の旋回方向への入りには車の重さが隠しきれていないが、それでもスムーズに前が入っていく感触はある。

しかし路面が断続的にガタガタとしているところ、横方向に切ってある鉄の溝、下り坂、はみ出し気味に走る隣のレーンのトラック、綺麗な形をしていないカクカク気味のカーブなどが複数合わさっている条件化では、1890mmという太い幅と合わせ、微修正に気を遣う。

物理的な重量や最低地上高が消えてなくなるわけではない。

加速力と旋回方向への安定性に胡坐をかいて雑に乗るのはやめておこう。

直線でアクセルを踏むのは簡単だが、この重量の巨体をスムーズに走らせるのはそこそこな経験が必要である。

公道でIONIQ5の超速を味わうなら、最低限のやるべきことをやってから。

ハンドルが暴れまくる車種が多いC1の旋回中にジャンプする左コーナーにおいても、イン側が大きく伸びて路面の大きな高低差に対応。

全くグラッと来たりハンドルがぶっ飛んだりしなかった。

よく動く足回りが乗り心地にも走行安定性にも寄与しているようだ。

乗り心地

加速性能とドライバビリティの高さばかり話題に挙げたが、乗り心地も良いのが嬉しい。

安定性重視でゴツゴツしていると思うだろうか?

いいえ。

むしろ多少の首都高の継ぎ目程度なら、タイヤホイールをコトっと動かし、バンプラバーに軽く当てつつ完璧に衝撃を打ち消すぞ。

足回りがちゃんと動いて仕事し、路面からの入力を吸収してくれているのを感じられる。

減衰力設定も的確で、ダルさを感じることは一切ない上に、程よいストロークの後にビシッと揺れが収まるので走行安定性も高い。

おまけに旋回方向への負荷対応にも優れているときた。

固定減衰のダンパーでここまでのことができるのか・・・

目に見えるところの近未来感や価格に対するEV性能・質感ばかり話題に挙がるIONIQ5だが、足回りのセッティングも神がかっている。

ただ乗り心地については、弱点とは言わないが個人的には腑に落ちなかった動きがある。

山の頂上にあたるところで、ふわっとするような、車が地に足が付いていないような動きが出ることがあるのだ。

それはダンパーのピストンスピードが遅い、程々のスピードで小さくうねっている路面を走っている場面。

路面の波の最も高いところを越えた後、飛び上がるでもなくスッと収まるでもなく、車が宙に浮いたようなフワつき感のある動きが出ることがあるのだ。

安定性にも快適性にも悪いことではないが、車が路面を離れたような印象のあるゼログラビティ感であった。

chatGPTに聞いてみた↓

この感想から推測される「腑に落ちなかった動き」の正体は――

👉 リバウンド側(伸び側)減衰がやや弱いこと、です。


🔍 解説

あなたが述べた現象:

「山の頂上でふわっとする」「飛び上がるでもなく収まるでもなく」「宙に浮いたようなゼログラビティ感」

これは、サスペンションが路面の山を越えて伸びきる瞬間に、
・ボディを引き戻す力(リバウンド側の減衰)が十分でない
・またはスプリングが伸び方向で自由に動きすぎている
ときに感じる典型的な症状です。


⚙️ 技術的に言うと

IONIQ5(特にビッグマイナーチェンジ後)は、
後期で乗り心地のまろやかさを重視したセッティングに変わりました。
初期型よりも伸び側減衰が穏やかで、ピストンスピードが遅い領域ではダンパーがあまり抵抗を発生させない設定です。

その結果:

  • 大きな入力にはしなやかに対応して快適
  • しかし「中速〜低速での小さな波」では、ダンパーが伸び方向でボディを支えきれず、“ふわっ”と抜けるような感触を与える

つまりあなたの言う「地に足が付いていないような」「ゼログラビティ感」は、
まさに**減衰特性の谷間(低速域での伸び側減衰不足)**から来ています。


🚗 例えるなら

・メルセデスのような“常に押さえ込む”安定感ではなく、
・シトロエン的な“浮遊感を残した快適性”の方向。

IONIQ5は特にE-GMPのロングホイールベース×高重心という構造上、
この伸び側の甘さがピッチ方向(前後の揺れ)で出やすいです。


🧠 まとめると

要素状況結果
減衰力(伸び側)低速域でやや弱い山越え後に“ふわっ”と浮く感覚
スプリング特性柔らかく長いストロークゼログラビティ的な浮遊感
体感上の印象地面との一体感が一瞬切れる腑に落ちない乗り味になる

…だそうだ。

微妙な人間の感覚に対して、機械の仕組みから返答を返してくれるAIの能力の高さには脱帽ものだ。

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