【シエンタ】快適&軽快で予想を裏切る乗り味の良さを魅せるがロードノイズで購入を見送る。フリードとも容赦なく比較#140台目

新車販売ランキングではTOP10の常連であるシエンタ、ハイブリッドモデルの廉価グレードに乗っていく。

冒頭のまとめ

価格のわりに乗り心地やハイブリッドシステムの動作は良好で、全体的な使い勝手は基本的に良い。

普通車らしく走行安定性も高い。

意外なほどに軽快で楽しめるハンドリング特性を持つのも嬉しい。

現代水準のクルコンを持つため高速道路でもほぼ完全自動運転が可能である点も素晴らしいが、クルコン走行開始ボタン配置の悪さや80km/h以上で致命的なロードノイズが致命的なストレスである。

外観・デザイン

フィアット・パンダのパクり説について

どこかで「フィアット・パンダのパクりじゃん」という声を聞いた。

言われてみるとかなり似ている。

…が、ボディ形状や丸主体のデザインはもともと近かった。

テールランプが上側に移動したことでパクりに見えたのだろう。

内装

低価格帯のトヨタ車らしく樹脂が多いが、安っぽさはほとんど感じない。

大きなディスプレイを備えており全体的な使い勝手は良い。

クルコンの開始は左上のボタンを押すのだが、配置が悪すぎる。

内側にありすぎて、親指をねじらないと押すことができない。

年次改良かOTAアップデートで、「車速を下げるボタンの入力があれば、現在のスピードでクルーズコントロールを再開する」という機能を足してほしいところ。

もう1つの謎仕様としてドアハンドルが無いことが挙げられる。

いや、上側にあるのだが、どう考えてもおかしい。

なぜアームレスト部分に無いのだ???

また、右側のカップホルダーは抑えが甘いため缶が暴れ放題になる。

「シエンタに乗るような人なら飲み物をこぼすようなペースでコーナリングしないだろう」ということか…

最上位グレードのみプリウスシフト。

しかしストレート式のほうが単純明快で、バックギアに入れるたびに手首をひねって右上に入力する動作を強いられることも無い。

二列目の居住性

全長のわりにやけに二列目の居住性は良いが、カップホルダー・アームレスト難民になりがち。

運転席の後ろにダブルUSB-Cポートがある。

リクライニング可能なのでラクな姿勢を取ることもできる。

静粛性・オーディオ

静粛性については過去最悪だった。なんなら軽トラ以下かもしれない。

市街地の時点で床下からのゴーというロードノイズが結構あったが、高速道路に入って100km/h以上出そうものなら目も当てられない。

ドアのモールの部分が甘いのだろうか?

風切り音が許容できないほどのうるささで邪魔してくるため、「これは無いわ」と感じてしまう。

フリードも110km/h台での走行音は結構うるさかったが、あれでも恵まれている方だったとは…

最低でもフロアの遮音と、ドアとドアモール部分の静粛性強化は行いたいものだ。

しかし「窓ガラスが薄すぎるのではないか?」と感じるような風の吹き込み方をする。

フロントのサイドウィンドウだけで良いので、どこかのタイミングで静粛性を強化してほしいところ。

クルマのデッドニングは後からできるが、窓ガラスの防音は現実的ではないからだ。

ヴォクシーの方はかなり静かだったのに、シエンタは一体何が起こった…

「シエンタを買うような人は80km/h以上出さない」だとか「低価格帯のクルマを買うような層が目に見えないところの静粛性なんか分かるわけがない」だとか「どうせディーラー試乗なんて近場を走るだけだからバレない」だとか「情弱の日本人に同価格帯の中国EVの静粛性と音響性能なんて分かるわけない」だとか、バカにされている気分だ。

オーディオは価格を考えれば悪く無いほうだが、しかし音量を上げると能力不足。

音割れというかそもそも音が綺麗に鳴ってくれないというか、スピーカーの限界が来てしまう。

走りながら聞くには充分だが、300万円ちょいの予算があればBYDのドルフィンが手に入ることを考えると悲しくなってくる。

自動運転機能について

このシエンタ、実は素晴らしい自動運転機能を備えている。

レーンキープ機能が特に優秀で、自動車専用道路ではほぼ完全自動運転だ。

フリードのレーンキープはハッキリ言うとポンコツで、車線をすぐにはみ出しそうになるため安心できず、正直言ってほぼ使い物にならなかった。

しかしシエンタは実質ハンズオフが積極的に可能。

レーンキープ、クルーズコントロール機能においては圧倒的にシエンタが有利だ。

燃費も良い。

しかしロードノイズの致命的なうるささと、クルコン開始ボタンの配置の悪さが弱点となる。

上の画像のように、かなり無理して指を動かさないとクルコンが開始できない。

分解して下側の「MODE」ボタンと配線を繋ぎ変えたい。

明らかに設計ミス。なぜこの状態で世に出したんだ…

実走行インプレッション

取り回し

小柄で視点も高く、小回りも効くため気になることは無い。

後方視界も広い。

パワートレイン

このシエンタハイブリッドのシステム出力は116馬力あるらしい。

モーターは141Nmもの最大トルク出してくれる。

それでいて車重は1.3トン程度と軽い。

この軽さとモーターの出力・カバー範囲の広さのおかげで、良好な走行特性を披露してくれるぞ。

ベタ踏みをした際の加速力もそこそこで、停止状態からの鬼畜合流や田舎道での白点線追い越し、新東名の第三レーンのリードなどもストレスなくこなせる。

非推奨だが田舎道の直線なら白点線追い越しもできる。

エンジンを切ったままモーターだけでカバーする領域もそこそこあるため燃費も出しやすい。

持ち前の1.5リッターの直3エンジンは回り方が少々ダイハツっぽいが、調べてみてもそういう情報は無かった。

ちゃんとトヨタのものを使っているらしい。

低排気量のトヨタハイブリッドなので踏み込んでいくとエンジン音が鳴り響きがちだが、そこまでうるさくはない。

ロードノイズのほうが酷すぎて紛れているだけなのかもしれないが。

フリードと比較するならエンジンの回り方の静かさや官能性、加速力などはフリードに軍配が上がる。

燃費ではシエンタだ。

どう頑張ってもリッター20kmちょいで頭打ちだったフリードに対し、シエンタはリッター30kmを狙えるだけの経済性がある。

シエンタの方が本体価格も安め。自動運転システムも強い。

長期で保有するつもりなら、そして燃費走行に自信があるなら、そこには見かけ以上の価格差があるかもしれない。

乗り心地

トヨタ車らしく乗り心地は良い。15インチに抑えられたホイールがもたらす空気の厚みも効いている。

サスペンションただストロークさせるだけでなく、タイヤの厚みで衝撃を和らげてくれるのを感じるため快適な走り心地だ。

元々のボディの頑丈さや安定性との両立を狙った仕立てだからか少しゴツゴツ感はあるが、これは安心感にも繋がっている。

穴ボコに落ちるような強い衝撃を受けた際はドスンという衝撃が来てしまい、後揺れを少し残すような動きもあるが、悪いと言うほどではない。

ハンドリング

シエンタには「運転がつまらない」イメージが付き纏う印象があるが、この世代から激変した。

むしろ身軽で軽快なハンドリングを楽しめるようになった。

なんならフリードに勝っているくらいの特性を持っている。

TNGAプラットフォーム+普通車相当の意外しっかり作られている足回りの下支えがあるおかげで、軽さとタイヤグリップをしっかり活かしていけるぞ。

ハンドルはダルダルかと思いきや意外とクイック。

切り始めの早い段階からクルマの向きが変わる。

直線でのハンドルの遊び、センター付近の応答性もちょっとしたFRのスポーツセダン並み。

BMWの1シリーズにでも乗っているのだろうかと錯覚するほど前がグイグイと軽快に入っていく。

急ハンドルは過激に向きが変わりすぎて危ないレベルであるが、そこはトヨタ。しっかりタメを持たせて危険な動きが出ないようにしている。

強めにハンドルを揺さぶった際はあえて溜めるような動きを入れてやることで、「これから過激に旋回しますよ」と乗り手に意思確認をしながら穏やかに動いていくようだ。

コーナーの入り口で旋回姿勢を定めれば、路面の荒れに姿勢を乱されることなく出口まで安心してコーナリングできる。

トヨタ車の懐の深さがフルに活きている。

ハンドルの直径が少々大きいためか、急カーブの奥の方ではほんの少しだけ操舵が遅れていく印象を受けるが、フリードと比べるとほとんど気にならない。

むしろ旋回中盤からさらにハンドルを切り込むと、軽さゆえのフロントタイヤの余力でさらにインに入っていくようだ。

「年配者がゆったり走るようなクルマだから、ステアリングもゆったりで良い。」なんてことは全くない。

むしろ身軽さをフルに活かすような軽快なハンドリング特性が与えられている点に驚いた。

グレード・価格など

中間グレードのハイブリッドGである。

5人乗りで新車価格は約300万円。

フリードとの比較

価格・経済性:本体が安く、ハイブリッドシステムで燃費に優れるシエンタが優位

運転の楽しさ:エンジンならフリード一択だが、峠道でのコーナリングはシエンタの方が軽快で楽しい。フリードに試乗して不満を感じなければフリードを買おう。

クルコン:トヨタは完全自動運転レベルのハンズオフ可能なレーンキープを持つが、フリードは自爆機能と見間違うほどレーンキープが不安定。シエンタの圧勝。

乗り心地:シエンタの乗り心地レベルが非常に高いためシエンタの勝ち。フリードは突き上げが気になる場面があるため、フリードが気になるなら試乗推奨。

静粛性:フリードも110km/h出せばうるさいが、シエンタはその遥か上を行くうるささなので消去法でフリード。シエンタで80km/h以上出すのは拷問。フリードはうるさいなぁ程度。

取り回し:どちらも十二分に良いため個人的には比較するほどでもないが、シエンタの方が乗りやすい。

加速力:ホンダのエンジンがブン回りつつ鋭いモータートルクでグイグイ走るフリードの勝ち。シエンタは鬼畜合流でもそこまで危険が無い程度の加速力に留まる。

内装の質感と使い勝手:フリードのほうが質感で勝るがシエンタも奮闘している。総合的にあなたが気に入ったほうを選ぼう。

私の意見:双方ともに価格を踏まえればよくできているが、乗り心地やハンドリング・経済性においてはシエンタが勝る。

アンダー300万円の価格帯で完全自動運転レベルの超高性能レーンキープを備えるのも嬉しいポイントだ。

しかしシエンタはロードノイズがうるさすぎる。

ーーその他メモーー

〇なぜ?ポイント↓
カップホルダーガバ
静粛性
ドアハンドル
クルコンボタン

〇年次改良にて追加キボンヌ

・「車速を下げるボタンの入力があれば、現在のスピードでクルーズコントロールを再開する」という機能を足してほしい

・フロントのサイドガラスの遮音強化・二重ガラス化+フロアの制振

・ドアハンドルの追加

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