あなたはは現行型のスバル車の良さを知っているだろうか?
しっとりとストロークすることで抜群の乗り心地を出しつつも、適切に揺れを抑え込んで不安定にさせない優秀な足回り。
水平対向の低重心を活かしたニュートラルでスムーズなハンドリング。
グローバルプラットフォーム化で一気に良くなった最近のスバル車であるが、その最初期となっているのがインプレッサXV.
荒削り,安かろう悪かろうではあるのだが、200万円台前半スタートだと考えると非常に優秀な総合性能であった。

普段なら「擦る」と避けている悪路も、XVならむしろ歓迎である。
冒頭のまとめ
上がった車高のぶんしっかりとストロークする足回りによる快適性と後揺れを残さない安定性の高さという二律背反の両立。
水平対向エンジン以外で説明が付かないほどスムーズでニュートラルな旋回フィール、
スバルお得意の四輪駆動システムや最低地上高がもたらす悪路走破性。
「0次安全」と呼ばれるクセのない乗り味。
そんな現代のスバルの乗り味は「スバル・グローバル・プラットフォーム」によって作り出された。
ハッキリ言うと荒削りなのだが、今のスバルの良さを安く味わえるクルマだ。
外観・内装

今となっては古臭い印象が否めないが、ヘッドライトの曇りを除去してワックスやコーティングで輝かせればまだまだ現役の愛車になってくれる。

アウトドアの元気な雰囲気や、ポップな印象を与えるホイール類など、ファッションアイテム・キャンプギア的なデザイン要素を含んでいる。
ホイールもスポークを5本生やすようなものではなく、外周を手裏剣のようにシルバーで囲って他をブラックアウトするという珍しいデザインアプローチ。

上位グレードはリアスポイラーを持つ。
空力的にはプラスの効果をもたらしてくれそうだが、後ろ姿のやんちゃ感が少々増してしまう一面も感じた。
もっと分かりやすく言うと、私は「スポイラーがちょっと派手かなぁ…」と感じた。
リフトアップ、ルーフレールや下回りの装飾などが総合的に合わさり、インプレッサとは丸っきり別者に見えている。

新車価格200万円台前半スタートという安いクルマであるため、内装は全体的にプラスチック基調である。
私が借りた個体には追従機能付きのクルコンが付いていた。非常にありがたい。

センターコンソールの足元部分はただひたすらに質素&チープ。

シフトノブの他にはSモードの切り替えスイッチとサイドブレーキしかない。

エアコン操作系は三連の丸。単純明快で迷いようがない使い勝手。素晴らしい。

あとは天井にアシスト装備のオフボタンがある程度。価格帯が安いのでしょうがないが、さすがに車内は寂しい。

予算に余裕があるならば次の世代のXVを買った方が良い。
あちらのほうが内外装も走行性能も、すべてがワンランク上だ。
ちなみにインフォディスプレイには油温を表示させることができる。
暖機運転終了の目安やオーバーヒート具合の判定に使える。

ちなみに燃費は平均してリッター10kmほど。
郊外を穏やかに流してもリッター15km程度であった。
静粛性とオーディオ
インプレッサXVはグレードによってスピーカーの搭載数などの構成が異なるため、こだわりがあるなら中古で狙う際は留意しよう。
最上位グレードはオーディオも少し強化されるらしい。
意外と音量も鮮明さも悪くない。
高音も美しく響いて音量や低音の叩きつけも十分だが、音量を上げると気になるところが出てくる。
安価の車としては必要十分だが音にこだわるなら交換。
静粛性もイメージほど悪くない。
あくまで70km/h程度だが、フロアや各所への遮音材配置は最低限適切に行われており、普通のペースでの走行なら特にストレスは感じない。
実走行インプレッション
取り回し
小さなサイズと高い視点、箱型ボディに優秀な小回り性能で非常に乗りやすい。
アラウンドビューカメラとソナーはないが、バックカメラだけで充分事足りる。

古い・安いクルマであるわりに走行性能やボディーの頑丈さ、雪道性能などの安全性も高いため、免許を取って最初に乗る車としてもオススメできる。
お金があるならレイバックのほうが良いが。
乗り心地
代と比べると荒削りだが、快適性と安定性を両立した価格の割に出来の良い良い足回り。
軽度な入力なら遠くの方でコトっと動くだけで打ち消してしまう。
タイヤホイールが動き、ダンパーがしっかりと縮んで衝撃を吸収する。
ボディーが見かけの割にかなり頑丈で、乗り心地も頼もしさを伝えてくるものとなっている。

そこそこ硬めに感じるが、突き上げの角は完全に取れている。
しかし減衰がダルめなのか、うねった路面を走っていると揺れが消える前に新しい揺れが入ってくる。
これによって常に上下にバインバインと揺れ動き続けるような動きが出ることがある。
欧州車のように下から上に一回バスっと来ただけで揺れを打ち消すようなものではなく、2周期くらい上下を繰り返してから揺れを抑え込む減衰特性となっているのが原因だと思われる。
パワートレイン
自然吸気の2リッターは150馬力ということで、遅くも無いし速いと呼べるほどでもない程度のバランスの良いところに収まっている。
CVTは5速ATのように動いてくれるし、自然吸気らしいナチュラルな回り方でのんびりと回転数が上がって行くため退屈も感じづらい。
パドルシフトで疑似的に5速ATとして動かすことも可能。
咄嗟に引けばエンジンブレーキにも使える。
雪道走行時も役に立ってくれるだろう。

「スポーツカー系のクルマではない」というのは承知だが、交通の流れに乗ったり山道の登りで加速したりする場面で明らかに遅れるためストレスと疲労に繋がる。
燃費が悪いわりに大して速くもないのだ…
センターコンソールには[S]と書かれたボタンがあるが、これを押してもそこまで速くはならない。
燃費の悪さについて
私が乗ったのは気温30℃オーバーの日中であったが、それを踏まえても燃費性能は悪い。
プリウスなら余裕でリッター30kmを越えるような状況でも、このXVではリッター15km程度。
田舎の海岸をドライブしていてもリッター10km程度しか出ない。
混みがちな都市部ならもっと悪化しかねない。
いくら本体が割安でも、これなら長期的に燃料代のランニングコストで新しいクルマとの差が縮みそうだ。
ハイブリッドモデルになれば燃費の向上も見込めるが、モーター出力や方式的にはトヨタ系のハイブリッドほどは期待できない。
ハンドリング・ドライバビリティ
まずこのクルマのハンドリングを楽しみたいなら、頭上のボタンを長押ししてステアアシストを切っておこう。
勝手にハンドルを切られてリニアさが損なわれる。
基本的にスムーズかつリニアだが、ピッチングの動きは少々大きく感じることがある。
現代のスバルと比べると、上がった車高分のグラつきが僅かにあるような…
そこまで致命的に気になるものではないが。

しかし一旦急ハンドルを切ると飛んでもない勢いでインへと吹っ飛んでいく。
その場で90度曲がれるレベル。
スタビライザーでロールを抑えた程度では出ない旋回性。
水平対向エンジン以外で説明が付かないもの。
フォレスターとXVでしか味わえない限界性能には驚かされるばかりだ。
旋回姿勢も前下がりで穏やかな形となっているため変な危険は全くなく、ロールも適切に抑えられる。
しかし滑らかに気持ちよく走らせるためには荷重コントロールが重要だ。
特に後ろ下がりな姿勢では旋回のスムーズさが落ちる。
最近のスバルは割と適当に乗ってもスムーズに曲がって行ってくれるが、このXVはある程度は荷重コントロールが求められる。
一つ次の世代と比べると全体的に荒さが目立つ。