【NDロードスターRF】やればできるじゃん!不安定も遅さも消滅した一級のピュアオープンスポーツへ【試乗インプレッション】#110台目

NDロードスターの排気量を2リッターにアップさせ、電動のハードトップを追加したRF。

たった500ccだが別物と言えるほど中身は変わっていた。

冒頭のまとめ

解放感と軽さを活かす過激な旋回がメインテーマだった幌屋根とは打って変わり、大排気量エンジンを受け止める上品さがRFの魅力だ。

2リッターに拡大されたエンジンの恩恵は大きく、たった184馬力でも怖くて踏めないくらいの加速でスピードが乗っていく。

その先でも安定性に問題はなく、ハンドル操作に対する動きも穏やかで終始乗りやすい。

アシはちょっと硬めだが、大排気量エンジンによ勢いの良い加速感と上品なハンドリングで、時に風を感じながら優雅に、時に命の危険を感じながらスリリングに、あらゆる道をあらゆる領域で駆け抜けることが可能だ。

挙動の不安定感と加速力が大きく改善し、より乗り物としての総合点を高めた一台であると言えるだろう。

外観・デザイン

NDロードスターをハードトップ化させた都合で独自のスタイリングとなっている。

個人的には車高が少し高いのが気になる。

純正アシは安定性のためにただ締めただけもの。

安定性と快適性の両立が見込める、車内から電動で減衰力調整が可能なタイプの車高調を入れるのもアリ。

内装

シックで上質な車内。

下部はプラスチックかと思いきや樹脂である。ぱっと見はレザーにしか見えない。

屋根の開け閉めはシフト左奥のスイッチを長押しするだけ。手動でラッチを開け閉めするような操作は必要ナシ。

ナビの操作系には時代を感じる。

窮屈な車内の弊害=長旅の休憩どうするの問題

ちなみに一つ不満があり、車内がたいへん窮屈である。

コンパクト=軽さがウリのクルマなのだから意味のない話ではあるが、ちょっと仮眠を取るのにも苦労するレベルで狭いのだ。

こうなるとせっかくの名車なのに長距離ドライブに気軽に出かけられないという不満が生じる。

ただサービスエリアや道の駅にクルマを停めても快適な姿勢では休めない。

24時間いつでも出入りできる休憩施設なんて、漫画喫茶とラブホテルくらいしかないぞ。

静粛性

幌屋根と比べるといいが、あくまであっちと比べて良いというレベル。

RFを高い静粛性に期待して買うのはオススメしない。

肝心なのはフロアから騒音が入っていきている感触があることだ。

オーディオについてはテストしなかったが、首の後ろにスピーカーが埋め込まれているようだ。

そこから音が鳴ってくるので音楽、ナビ音声が非常に聞きやすい。

仮に音質が不満ならスピーカー交換と適切な調整で補えばいいだろう。

スペック・価格・グレードなど

🚗 グレード別の特徴と価格(2025年4月時点)

グレードトランスミッション主な特徴価格(税込)
S6MT / 6ATベーシックモデル。シンプルな装備で軽快な走りを楽しめる。約379.6万~382.4万円
VS6MT / 6ATナッパレザーシート、BOSEサウンドシステムなど上質な装備を追加。約415.5万~418.2万円
RS6MTのみビルシュタイン製ダンパー、BBS製アルミホイール、RECAROシートを装備したスポーツ志向モデル。約430.9万円

※特別仕様車「VS Terracotta Selection」「VS White Selection」も展開されています。

🎨 特徴と魅力

  • デザイン:ファストバックスタイルの美しいシルエットと、電動ハードトップによる快適性を両立。
  • 走行性能:2.0Lエンジンと軽量ボディによる優れたハンドリングと加速性能。
  • 快適装備:上位グレードでは高品質な内装材や先進のオーディオシステムを採用。
  • 安全性能:先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を全車標準装備。

💡 どのグレードがオススメ?

NDロードスターRFは、オープンカーの開放感とクーペの上質さを兼ね備えたモデルです。

スポーティな走りを求める方には「RS」、快適性や高級感を重視する方には「VS」がおすすめです。

ベーシックな装備で軽快なドライブを楽しみたい方には「S」グレードが適しています。

ご自身のライフスタイルや好みに合わせて最適なグレードを選択してください。

グーネットカタログのグレード一覧ページ

NDロードスターRF 諸元表(2019年9月版)

🚗 基本情報

項目内容
車名・型式マツダ・5BA-NDERC
ボディタイプ2ドア・オープン
駆動方式2WD(FR)
エンジン型式PE-VPR型(SKYACTIV-G 2.0)
総排気量1,997cc
使用燃料無鉛プレミアムガソリン(45L)
トランスミッション6速MT(SKYACTIV-MT) / 6速AT(6EC-AT)

📏 寸法・重量

項目数値
全長×全幅×全高3,915mm × 1,735mm × 1,245mm
ホイールベース2,310mm
トレッド(前/後)1,495mm / 1,505mm
最低地上高145mm
車両重量1,100kg(MT) / 1,130kg(AT)
乗車定員2名

🔧 エンジン性能

項目数値
最高出力116kW(156PS)/6,000rpm
最大トルク200Nm(20.4kgf·m)/4,600rpm
圧縮比13.0
燃料供給装置筒内直接噴射(DI)

⛽ 燃費性能(WLTCモード)

トランスミッション総合燃費市街地郊外高速道路
6速MT15.8km/L11.8km/L16.0km/L18.3km/L
6速AT15.2km/L10.9km/L15.6km/L18.0km/L

🛠️ サスペンション・ブレーキ

項目内容
サスペンション(前/後)ダブルウィッシュボーン式 / マルチリンク式
ブレーキ(前/後)ベンチレーテッドディスク / ディスク
ステアリングラック&ピニオン式
最小回転半径4.7m

※詳細は 公式PDF(マツダ公式サイト) をご参照ください。

RF

せいしゅくせ

実走行インプレション

コールドスタートがうるさい

いきなり不満なのだがコールドスタートがうるさ過ぎる

サッと始動して秒速で走り去ろうにも、始動時の一発が最もうるさくて迷惑なので解決のしようがない。

個人的にオープンカーを最も楽しめるのは、夏の朝4時半~5時半の一時間だと思っている。

涼しい風を感じながら明るくなっていく世界を味わうのは人生の中でもトップクラスに素晴らしい時間であるが、これでは自宅を出られない。

マツダのエンジン車は全般的にこの傾向がある。

取り回し

私が借りたのはバックカメラ非搭載車だったが、異様なコンパクトさと小回りで車庫入れは楽勝。

後ろにも近いので勘で切り返しても基本的に当たることは無い。人間が寝そべれるくらい後ろが余る。

普段4.7メートル級のクルマに乗っている私には小さすぎて逆に戸惑うくらいであった。

幌屋根

開けてみても上しかオープンにならないため感覚的には開放感が弱い気はするが、走り出して少し窓を開けると一気に風が吹き込んでくる。

サイドウィンドウを一番上まで上げた状態でも必要充分な風の吹き込みだ。

なんなら幌屋根以上に風を感じられる。

世界と一つになる開放感を味わう幌屋根に対して、上品に風を感じながら流すのがRFである。

パワートレイン

エンジン音ばかり大きかった1.5リッターの幌屋根と比べてトルクが明らかに大きく、上り坂でも失速せずにスイスイと低回転から登っていくようになった。

たかだか2リッターの自然吸気だが、感覚的には大排気量・大トルクだ。

踏み込むと元気の良い音とともに相当に鋭い加速をしていく。

数値的には156馬力であるが、体感的には280馬力級にも迫るほどの恐怖。

急加速中に段差を越えるとリアタイヤがズルっと滑りそうだ。

特に雨の日は迂闊に全開にできないだろう。

道路状況にもよるが、完全なクリアではない場所では怖すぎてレッドゾーンまで踏み切れないほどである。

ブレーキについては少し踏み足すと一気にクイっと速度を削ってくれるため、軽量車体と2リッターのパワーでオーバースピード気味になっても、適切な範囲に抑えられている限り減速に問題はない。

乗り心地

少しだけダンパーのストロークやバンプラバーでの角取りはあるのだが、基本的には路面に段差や波打があればすべて身体で感じる。

常にビシバシ揺れているような状態だ。

上がったスピードレンジに合わせて減衰も締めてある。

突き上げも硬ければ抑え込みも硬い

他社の電子制御サスペンション持ちのスポーツセダンの、スポーツプラスモード相当の硬さだ。

スピードを上げるとハンドルにもシートにも直接、振動がビシバシ入ってくるが、乗り物の

直進性自体は高い。

快適なセダンやドイツ車のような、ストロークしながら揺れを抑え込んでいくような快適性は無い。

バッタンバッタン飛び跳ねる剛性不足な軽い車体を、減衰を締めて強引に抑え込んでるだけだと言われれば言い返せないかもしれない。

しかし許容できないと感じるほど乗り心地が悪いわけではないし、サイズや軽さ、加速力のわりにはしっかり安定して速く走れるため不満はない。

軽い上にオープンボディなので剛性的には不利だが、快適性を犠牲にして安定を取りに行くスタンスのおかげで頼りなさを感じることはない。

たまにボディーがぐしゃっと崩れるような感覚を味わうことはあるが、持続的に打ち付けてくる段差の衝撃に紛れて一切気にならないレベルだ。

ハンドリング

少し切っただけでグワっと動いた幌屋根とは異なり、ゆったりとした間が持たされている。

ハンドルを切っていくと早い段階でロールが収まり、切り始めの穏やかな姿勢のまま動き続ける。

過激で危険なオーバーステア傾向の動きはなく、本格派FRという感じでもなく、ただゆったりと流れていく。

エンジンの重さでフロントを押しつけ、前を安定させて動かしながら後ろも抑えている。

前で曲がっていくFRらしい旋回フィールは残しつつも、あくまで動きは落ち着いている。

路面の荒れた峠道をハイペースで走り、ガッタガッタな段差の衝撃を飛び越えながら、まだ横Gが消えぬ間に踏んでいっても安定性に問題がない。

最低限のポイントさえ押さえておけば、このエンジンを容赦なくブン回して峠道をカッ飛ばすこともできるぞ。

まとめ

私は実はNCロードスターのオーナーであるが、元気の良い音を出して吹っ飛んでいくあの加速フィールと、身軽だが危険ではない安定したコーナリングにNCを思い出した。

幌屋根ほどのオープンさはないタルガトップのような車内だが解放感は充分で、全体的にその乗り味には上品という言葉が似合う。

信号待ちに引っ掛かりながら穏やかに流しても、命の危険を感じるような領域で峠道をカッ飛ばしても、どちらも楽しめる。

個人的にNDロードスターに対して不満に思っていた要素に対して「やればできるじゃないか」と思った。

少しでもこのクルマが気になっているなら間違いなく買いだ。

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