Sクラスを小型化したような上品な見た目で新車価格は500万円台中盤程度から手に入るという手軽さで、BMWの3シリーズと並んで売れまくった先代のCクラス。
中古が200万円前後で手に入れられるため、割と誰でも買おうと思えば買えるのがポイント。
ずっと気になっていたので借りて乗ってみることにした。
私が今回乗ったのは後期モデルである。
ナビ画面が大きくなったり、ステアリングのボタンが近代的になったり、7速ATから9速ATになったり、マイルドハイブリッドシステムが追加されたりしている。
肝心の運転フィールはどうなのか、乗り心地いかほどか、しっかり確かめてく。
外観・デザイン
非常に上品にまとまっている。

曲面を全体的に取り入れたバイオリンのような造形。

実物はタマゴのようにトゥルンとした形状である。
AMGラインに与えられるホイールとブレーキもカッコいい。

キャリパーとホイールの間のクリアランスもピッチピチである。

内装
ドアを開くとベンツロゴとスカッフプレートのコンビネーション。
最高の車内空間が広がる。

センターコンソールと液晶モニタでコスパよく高級感を出している。

260km/hまで切ってあるメーターが象徴的。ディーゼルなのでレッドゾーンは5000回転台。

センターコンソールの木目パネルはフィルムではなく、表面の凸凹を触れて感じられるもの。

クルマというか高級家具のようだ。
木の質感を出すために、あえて表面のクリア塗装を控えめに塗る場合があるとか。

ビックマイナーチェンジでナビ画面の大型化とステアリングボタンの変更が行われた。

ただのボタンではなく、指でスワイプすることで様々な操作が可能となっている。
…と言いたいのだが、使い勝手は普通によろしくない。
画面がタッチできないのが不満であり、そして何より選曲機能がステアリングにもセンターコンソールボタンにも付いていないという欠陥仕様付き。
よく音楽を流す私にとって、購入の選択肢から外すレベルの仕様だ。最低でもスマホホルダー必須。
前期型には普通に付いているようだ…

見た目の先進性が増したのは良いが、この操作系と9速AT化程度なら後期型を無理に選ばなくても良かったんじゃないかとすら思ってしまった。
センターコンソールの一面を覆うパネルはただのシートではなく、木の表面の凸凹まで感じ取れるような、木を切り取ってきたような質感だ。
二列目の居住性と乗降性
リアドアがほぼ90度開くため、4686mm程度の全長のわりには二列目の乗降性がやけに良い。

二列目の空間や質感も必要充分。SUVを選ぶ必要はないんじゃないか…?

静粛性とオーディオ
ドアを閉めた瞬間に外の喧騒から解放されるような静かさはある。風切り音も抑えられているが、左斜め後ろあたりで風の乱流が発生しているような感触はある。
オーディオについては音量自体はしっかり出るため悪くはない。
しかし音量を上げるとモヤが目立つようになる。
本当に良い鮮明で大音量なオーディオシステムを知っている身には気になることもあるが、実用上の問題はない
諸元・価格・グレードなど
後期モデルのC220dのアヴァンギャルドのAMGラインだ。
新車価格は584万円であったが、いま中古で拾うなら180~240万円程度でピックアップできる。たいへんお買い得である。

Cクラス(W205)のエンジンラインナップやボディタイプ一覧
🧩 ボディタイプ別 型式と特徴
| 型式 | ボディタイプ | 特徴 |
|---|---|---|
| W205 | セダン | 標準的な4ドアボディ。街乗りから高速まで万能。 |
| S205 | ステーションワゴン | ラゲッジ容量と後席空間に優れる実用モデル。 |
| C205 | クーペ | 2ドアでルーフラインが低く、スポーティな外観。 |
| A205 | カブリオレ | 電動ソフトトップ式のオープンモデル。 |
⚙️ エンジンラインナップ一覧(日本仕様中心)
| エンジン種別 | グレード例 | 排気量 / 特徴 | 出力(PS) |
|---|---|---|---|
| ガソリン | C180 / C200 / C300 | 1.6L〜2.0L 直4ターボ | 129~245PS |
| マイルドHV(EQ Boost) | C200(後期) | 1.5L 直4ターボ+ISG | 184PS+モーター14PS |
| ディーゼル | C220d / C200d | 2.0L 直4ディーゼルターボ | 150~194PS |
| プラグインHV | C350e | 2.0Lガソリン+モーター | 約279PS(システム合計) |
| AMGパフォーマンス | C43 | 3.0L V6ツインターボ | 367~390PS |
| AMGハイパフォーマンス | C63 / C63 S | 4.0L V8ツインターボ | 476~510PS |
💰 新車価格帯(日本仕様・税込)
| グレード | 新車価格 | 備考 |
|---|---|---|
| C180 ローレウスエディション | 約4,980,000円 | 装備充実の限定お得グレード |
| C200 AMGライン(EQ Boost) | 約5,814,000円 | 後期型マイルドHV搭載 |
| C220d AMGライン | 約6,360,000円 | 2.0Lディーゼル+高トルク |
| C350e(PHEV) | 約7,200,000円 | 自宅充電対応・電動走行可 |
| AMG C43 | 約9,000,000円 | スポーツ性能と快適性の両立 |
| AMG C63 S | 約12,000,000円 | 本格スポーツモデル(V8) |
グレード別の特徴と選び方
2014年から2021年まで販売されたW205世代のCクラスは、ボディタイプ・エンジン・装備のバリエーションが非常に豊富です。以下に主要グレードを解説付きでまとめました。
| グレード | エンジン・装備 | 特徴・おすすめポイント |
|---|---|---|
| C180 ローレウスエディション | 1.6L直列4気筒ターボ レーダーセーフティ・ナビ付き | 装備充実の“お得モデル”。はじめてのベンツにおすすめ。 |
| C180 アバンギャルド AMGライン | 1.6L直列4気筒ターボ AMGスポーツ装備一式 | スポーティな見た目が魅力。街乗り中心ならこれで十分。 |
| C200 アバンギャルド AMGライン | 1.5L直4+マイルドハイブリッド(ISG) 9速AT | 高回転の伸びとモーターアシストで滑らか。C180より走りに余裕あり。 |
| C220d アバンギャルド AMGライン | 2.0L直列4気筒ディーゼルターボ OM654型エンジン | トルクの太さと燃費の良さが魅力。長距離・高速移動が多い人に最適。 |
| C350e スポーツ (プラグインハイブリッド) | 2.0L直4+モーター EV走行可能・充電対応 | 自宅充電で通勤にも最適。静かでトルクも力強いが、バッテリー劣化や価格がネック。 |
| AMG C43 4MATIC | 3.0L V6ツインターボ 4WDシステム搭載 | 加速・サウンド・快適性のバランスが絶妙な“大人のAMG”。 |
| AMG C63 S | 4.0L V8ツインターボ FR駆動・専用シャシー | サーキットも視野に入る本物のモンスター。維持費も本気。 |
🎯 まとめ:選ぶポイント
- コスパ&見た目重視なら:C180 AMGライン
- 走行性能&快適性バランス型:C200 or C220d
- 長距離&低燃費:C220d
- 静かに走りたい+環境配慮:C350e
- 走りの愉しさと刺激を:C43 or C63 S
W205世代のCクラスは、中古市場でも豊富な在庫があり、価格もこなれてきています。自分の使い方に合わせた最適なグレード選びが重要です。
今回乗ったC220dの諸元
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | LDA-205004C |
| エンジン型式 | OM651(2.1L 直列4気筒ディーゼルターボ) |
| 排気量 | 2,143cc |
| 最高出力 | 170PS(125kW)/ 3,000–4,200rpm |
| 最大トルク | 400Nm / 1,400–2,800rpm |
| トランスミッション | 7速AT(7G-TRONIC PLUS) |
| 駆動方式 | 後輪駆動(FR) |
| 全長×全幅×全高 | 4,686mm × 1,810mm × 1,442mm |
| ホイールベース | 2,840mm |
| 車両重量 | 1,550kg |
| 燃費(JC08モード) | 23.9km/L |
| 燃料タンク容量 | 66L(軽油) |
| トランク容量 | 480L |
| タイヤサイズ | 225/50 R17(前後共通) |
| 新車価格(税込) | 約6,360,000円(AMGライン装着車) |
W205型 Cクラス:前期型と後期型の違いまとめ
2014年に登場したW205型Cクラスは、2018年に大幅なマイナーチェンジを受けて“後期型”へと進化しました。見た目だけでなく、エンジンや装備、安全性能にいたるまで、改良点が多数あります。
| 項目 | 前期型(〜2018年) | 後期型(2018年〜) | 解説 |
|---|---|---|---|
| フロントバンパー | 丸みのある造形 | 直線基調でシャープ | 見た目の印象が精悍に |
| ヘッドライト | ハロゲン or LED | 全車LED標準、一部でマルチビームLED | 照射性能と高級感が大幅UP |
| テールランプ | 旧パターン | 新グラフィック採用 | 後ろ姿の印象が現代的に |
| メーター | アナログ+小型液晶 | 5.5インチ or 12.3インチフル液晶 | デジタル化され視認性・先進感が向上 |
| ナビ画面 | 7〜8.4インチ | 10.25インチ高精細ワイド | CarPlayや地図表示が見やすく |
| ステアリング | 通常タイプ | タッチコントロール付き新型 | 操作性が現代的に進化 |
| ガソリンエンジン | M274型(1.6L/2.0L) | M264型(1.5L+EQ Boost) | 滑らかで静か、加速もスムーズに |
| ディーゼルエンジン | OM651(2.1L) | OM654(2.0L) | 振動・騒音・排ガスが大幅改善 |
| ミッション | 7速AT(7G) | 9速AT(9G) | 燃費と快適性が向上 |
| 安全装備 | オプション扱いが多い | 多くが標準化、精度も向上 | 自動ブレーキやACCの実用性UP |
🔧 特に大きく変わった3つのポイント
- 1. エンジン変更(C200はEQ Boost化、C220dは静音ディーゼルに)
- 2. ナビとメーターが完全デジタル化
- 3. 9速ATで変速ショック軽減&燃費改善
🎯 中古購入時の参考に:どちらを選ぶべき?
- 価格を抑えて乗りたい人 → 前期型(特にC180系)
- 静粛性・装備・見た目にこだわりたい人 → 後期型(C200 / C220d)
- メーターがアナログだと古く感じる人 → 後期型一択
W205型Cクラスは、マイナーチェンジで中身が別物レベルに進化しています。外装だけで判断せず、年式や装備の確認はしっかり行いましょう。
実走行インプレッション
取り回し
車体が小さくて見切り性も良いためすれ違いが非常に楽。
小回りも効く。車庫入れも苦労しない。欲を言えばアラウンドビューカメラが欲しかった。
乗り心地
まずこのクルマの足回りは160km/hから上の速度域を想定してセットされている。
それゆえ日本で普通に走っていては全体的にゴツゴツ硬いのだ。
コンフォートモードではボディーを船のように動かして揺れに追従させていく特性となっているが、それゆえ上下にバッタンバッタンと跳ねてしまって揺れの収まりが悪いと感じる場面が多い。
足回りはスポーツモードが最もオススメだ。

スポーツプラスは減衰マックス締め。
段差や路面のうねりでダンパーが縮められても、一回の入力だけでバスっと上下動を打ち消す。
上下にフワフワせず、路面に吸い付くように走ってくれるため超高速走行時も非常に頼もしい。
乗り心地はゴツゴツするが、不快に感じるものでもない。
インディビジュアルモードにアシだけスポーツモード、その他はコンフォートを割り当てて動かすのがオススメだ。
パワートレイン
ディーゼルゆえトラックのようなガラガラとしたエンジン音が出る。
アイドリング中や低速域では気になることがあるが、燃料コストやトルクの出方などの多くのメリットを享受できるためディーゼルを選ぶのは大いにアリ。
約400Nmの最大トルクが出続ける、ジェットエンジンで押し出され続けるような持続する加速感はディーゼルエンジンならではのもの。
加速自体は約200馬力という数値通りの並みな感じだが、EVのように気持ちよく速度が伸び続ける。
アウトバーンで200km/h級のスピードを出す際も不足は無さそうだ。
中回転以上では元気の良い音がしっかりと鳴る。
ディーゼルではあるが走る楽しみがしっかり持たされている。
しかしコンフォートモードでのキックダウンの遅れが気になった。
モワッと押し出される400Nmの最大トルクで都心部でのレーンチェンジが楽勝!
かと思いきや、踏み込んでから望む加速が出るまでにかなりのラグがあり、踏力に対する加速力の出方のムラも少々激しい。。
少し踏み込んだ程度では巡航ギアのトルクでダラダラと粘る程度で遅く、しびれを切らしてドカンと踏むと突然急加速をしだすので危ない。
後期型にマイナーチェンジされてもコレなのかよ…
スポーツモードに入れれば解決だが、たまーに行うレーンチェンジ一回程度のために常時スポーツモードで走るのかと言われると…
ちなみに9速となったトランスミッションの変速は少し荒い。
アクセルもブレーキも踏まずに赤信号へダラダラ向かっていく場面や、渋滞中のダラダラとした低速走行中に変速を挟むとギクシャクする。
ブレーキタッチは素晴らしく、ドカンと来ることはないが少し踏力を増すだけでグイっとかなり強い制動力を発揮する。
快適性と制動力が両立されている。
ハンドリング
BMW 以上の本格派。
前回初期にフロントのアウト側が一瞬捻れるような感覚があるが、そうやって溜めた後に一気にグワット曲がっていく。
イン側へと吹っ飛んでいくかのような脅威の旋回性能で、その限界値は公道では到達できないほどに高い。
純正構成のままサーキットに持ち込んでも存分に楽しみつくせそうだ。
その割にはスピンしていくような怖い感じはない。
タイヤグリップも強力であり、急カーブを強いGで曲がっている最中にさらにガンガンにアクセルを踏んでいけるほど懐が深い。
旋回をフロントタイヤが担い、加速をリアタイヤが担うFRだからこそ実現できる曲がり方である。
この旋回フィールの良さは、実はただの交差点の左折でも発揮される。
遠心力にタイヤグリップで強引に争うのではなくて、乗り物が自発的に曲がっていくように入力を与えていくと、車が気持ちがいいほどスムーズにスルスルと左折していくのだ。
予想もしていなかったドライバビリティの高さである。
ボディ剛性と足回りのガッチリ感、重量バランスを生かした重厚感に溢れる旋回フィールは最高である。
高速域
160km/h出してようやく本領が発揮され始めるような足回りだ。
常識的に出せる範囲の最大値付近のスピードが出ていても、このCクラスにとってはまだまだ力半分なのだ。
一切グシャらない強靭なボディと、一回縮んだだけで後揺れをスパッと打ち消してくれる足回りによって脅威の安定性が産み出されている。
普通の速度域では固かった味も、スピードを上げていくと空気の厚みでバフっと衝撃を吸収してくれるようになる。乗り心地とのバランスが良い。
バネサスのダンパーのしなやかなストロークとは、また別の方向性の乗り味である。
一つの注意点として、BMWほどではないがハンドルを乱暴に切ると結構大きく車体が動く。
高速・高負荷走行中の急ハンドルはお勧めしない。
まとめ
ずっと乗ってみたかった先代のCクラス、本当にいい経験になった。

日本で乗るにはスピードレンジが高すぎるが、強靭なボディーをフルに活かすシャシーにより圧倒的案走行性能を手に入れている。
この性能と質感が200万円程度で手に入るなら非常にお買い得だ。
故障に関するリスクはある。C220dはエアサスを積んでいる点も気にはなる。
しかし情報は出揃っている。
燃費性能はトヨタ系ハイブリッドの半分程度だが、ディーゼルは燃料代が安い。
余談であるが、私は連泊しながらクルマを乗り比べるという過酷旅を何回も行っている。
前日の深夜に名古屋エリアから東京にやってきて、そのまま数時間潰してCクラスに乗って、6時間程度走っただけで夜に活動ができないほど疲れてしまった。
「ドイツ車は疲れない」と言う人がいるのなら、そうでもねぇぞと言いたい。
道が全体的に混んでいたせいで、ゴツゴツしている足回りからの衝撃を体に喰らいまくったんだろう。
本当は千葉県を日が暮れるまで走り回って夜の20時にクルマを返すつもりが、15時台に切り上げて帰路についてしまった。
