今となっては見かけることもないNC31sのスイフトスポーツ、MTで乗っていく。
外観・デザイン
非常にシンプルなデザインだが、黄色いボディカラーのせいでバカみたいに目立つ。

スフィンクスのように張り出したフロントフェイスはカッコイイが、正直乗っていて恥ずかしい。



内装

内装はかなり簡素である。現代のクルマに慣れていると、装備の少なさに驚く。クルーズコントロールはなく、オートライトもない。右側の足元には、最近のクルマであればレーンキープや安全支援系のスイッチが並ぶようなエリアがあるが、ZC31Sではただの樹脂パネルである。

インパネ全体も樹脂感が強く、質感で見せるような内装ではない。オーディオもBluetooth対応ではなく、ラジオがある程度。センターの表示も時計、外気温、瞬間燃費計くらいで、情報量はかなり少ない。
ただし、この何もなさは悪いことばかりではない。機能が少ない分、操作に迷いがない。乗り込んだ瞬間から何をどうすればいいかが分かり、誰でもすぐに走り出せる。余計な機能を覚える必要がなく、ただエンジンを掛け、クラッチをつなぎ、ステアリングを切って走るだけである。
ZC31Sの内装は、快適性や高級感を求めるものではない。ローコストと軽量化を優先し、走りに関係ない部分は徹底的に割り切った内装である。現代基準では明らかに簡素だが、この割り切りがクルマ全体のキャラクターを作っている。

取り回し
取り回しは良好である。ボディサイズが小さく、視界も分かりやすいため、狭い道や駐車場でも扱いやすい。余計な電子制御や巨大なボディに気を遣う必要がなく、コンパクトカーらしく気軽に乗れる。
ステアリング調整はチルトのみで、前後方向のテレスコピック調整はない。この点は現代のクルマと比べると不便である。体格によっては、理想的なドライビングポジションを取りにくい可能性がある。
発進時の扱いやすさについては、少しクセがある。エンジンは超低速域の力が薄く、油断するとストンとエンストしそうになる。クラッチはスポーティー寄りの味付けで、つながり始めの微速発進自体は分かりやすい。しかし、そこからクラッチを離していくと、突然バゴンとつながるような感覚が出やすい。
アクセルレスポンスも独特である。踏み始めの30%くらいは反応が薄く、そこからさらに踏み込むと突然ブワンと回転が上がるような出方をする。優しくつなぐとエンストしやすく、素早くつなぐと乱暴になりやすい。現代の扱いやすいMT車と比べれば、発進操作は少し見劣りする。
ただし、このバチッとつながる感覚にはスポーティーな雰囲気がある。楽に乗れるだけのクルマではなく、運転する側にある程度の操作を求めてくるタイプである。そこを面倒と見るか、機械を操っている感覚と見るかで、このクルマの印象は大きく変わる。
パワートレイン
ZC31Sスイフトスポーツの魅力の中心はエンジンである。発進直後の低回転では力が薄いが、2000回転も回れば十分な力で車体を押し出してくれる。車体が軽いため、絶対的な出力以上にスイスイと速度が乗る。後ろから軽く押し出されるような感覚があり、街乗りでも意外と活発である。
何より素晴らしいのは、高回転まで回したときの軽やかさだ。エンジンがバイクのように身軽に吹け上がっていく。重い車体をトルクで引っ張るというより、軽い車体を軽やかなエンジンで引っ張っていく感覚である。
現行のZC33Sスイフトスポーツはターボエンジンによる太いトルクで速く走るクルマだが、ZC31Sはまったく別物である。速さだけならターボのZC33Sの方が有利だろう。しかし、エンジンを回して楽しむという意味では、ZC31Sには今でも明確な価値がある。
2000回転から実用的な力があり、その上で高回転域まで軽やかに回っていく。上までヒュンヒュン回る感覚があり、エンジンそのものにきちんとコストが掛かっている印象を受ける。車体が軽いからこそ、このような高回転型ユニットを活かせているとも言える。
トランスミッションは5速MTである。シフトフィールはそこそこ明確だが、今回の個体は18万km走行ということもあり、多少ガバつきは感じられた。ただし距離を考えれば悪くない。
問題は高速巡航時の回転数である。80km/hで2700〜3000回転程度、100km/hで3500回転前後、120km/hでは4000回転近くまで上がる。うるさくて耐えられないほどではないが、現代のクルマと比べれば明らかに巡航回転数は高い。
スピードメーターが220km/hスケールであることを考えると、6速MTが欲しくなる。長距離ドライブに出るなら、やはり6速があった方が助かる。エンジンを回して楽しむクルマとしては5速でも成立しているが、高速道路での余裕という意味では惜しい部分である。
乗り心地
意外だったのは、乗り心地がかなりしっかりしていることだ。低価格コンパクトカーのスポーツグレードという先入観から、もっと安っぽくドタバタするかと思っていたが、実際にはドイツ車的な締まりを感じる。
フワフワせず、スパッと抑え込むような足回りである。ストローク自体はきちんと使うが、その後の抑え込みが強いため、動きはシャキシャキしている。車体が軽い割には安定性が高く、ダンパーにしっかりお金が掛かっている印象を受ける。
高速巡航では、段差を越えたときにドカッという衝撃が入ることはある。今回の個体は18万km走っているため、ダンパーやブッシュ類の劣化も当然あるはずだ。それでも、普通にぼーっと走っていれば大きく気になるほどではなかった。距離を考えれば、足回りはまだかなり頑張っている方だと思う。
遮音も、予想よりは悪くない。コストを考えるとかなり騒がしいかと思ったが、120km/h程度で走っていても極端にうるさいわけではない。ガラス周りからの音や、フロアからの微振動はある。ハンドルにも細かい振動は伝わってくる。
ただし、長時間運転ではこの微振動の蓄積が効いてくる可能性がある。クルーズコントロールもないため、高速道路を長時間走ると疲労は溜まりやすいだろう。短時間では楽しいが、長距離快適性を重視するクルマではない。
ボディは年式、車重、価格を考えれば芯のある感覚がある。一方で、ペラペラ感も完全には否定できない。軽い車体は相対的に剛性面で有利に働くが、絶対的な高剛性ボディというより、軽さで成立させている印象である。
ハンドリング
ハンドリングはZC31Sの大きな魅力である。ハンドルを切ると、一瞬置いてからグワンと曲がっていく。アウト側の足回りをしっかり縮め、4輪で遠心力に対抗する姿勢を作り、その姿勢が決まるとイン側へ弾き飛ばすように曲がっていく。
現行型スイフトスポーツにも通じる、自発的にグイグイ曲がっていく感覚がある。コーナリングではある程度ロールしながら曲がるが、そのロールが収束した後の踏ん張りが良い。姿勢が決まるまでは一体感を伴って旋回し、そこから先は軽さを活かしてかなり速いペースを許容する。
タイヤは特別に高性能なグリップタイヤではなさそうだったが、それでもかなり無理なペースを受け止める。旋回中にアクセルを踏み抜いてもぐらつかず、段差を越えても多少ドタドタする程度で暴れ回らない。軽い車体としっかりした足回りが組み合わさることで、出力以上の速さを感じさせる。
旋回中に踏んでも、エンジン出力の数値から想像する以上に前へ進む。これはもちろん車体が軽いからである。軽さによって、加速、減速、旋回のすべてが底上げされている。絶対的な限界値が現代の高性能車のように異次元というわけではないはずだが、動きの軽さによって何段階か上の世界で走れてしまう感覚がある。
ZC31Sの走りは、軽さだけで全体性能をガツンと押し上げるスタイルである。今のクルマは安全装備や快適装備が増え、重量も増えている。その中でZC31Sに乗ると、軽いということ自体がどれほど大きな武器なのかを再認識させられる。
ただし、今回の個体は状態が良くなかった。低速でハンドルを回すと左フロントからゴトゴト音が出ており、速度を上げると異音も増えていた。スイフトスポーツに詳しいわけではないが、足回りやマウント、ブッシュ類の劣化による症状だろう。きちんとお金を掛けて部品交換すれば、本来の動きはかなり復活するはずである。
それでも、強い負荷を掛けて走ったときの動きはシャキッと収まる。ペースを上げ、路面入力が強くなるほど、むしろ安定性が増していくような印象がある。瞬間的に速い入力を受けた後、強い減衰力を立ち上げて一気に抑え込むような足回りである。この特性が、ZC31Sの爽快な走りを支えている。
総評
ZC31Sスイフトスポーツは、内装や快適装備に期待するクルマではない。内装はスッカラカンで、装備も少なく、現代的な安全支援もない。高速巡航では回転数が高く、クルコンもないため長距離は楽ではない。状態の悪い個体では、足回りの異音や劣化にも注意が必要である。
しかし、その代わりに、エンジンと足回りには明確な魅力がある。軽い車体に高回転まで気持ちよく回るエンジンを積み、ダンパーでシャキッと押さえ込む。エンジンとダンパーにお金を掛け、それ以外は安く軽く抑える。このツボを押さえたコスト管理によって、ZC31Sは安く、軽く、楽しいスポーツコンパクトとして成立している。
現行のZC33Sのようなターボトルクの速さとは違う。ZC31Sは、回して走る楽しさと、軽さで曲がる爽快感を味わうクルマである。多少の古さや危うさはあるが、それも含めて機械を操っている感覚が濃い。
今から見ると、ZC31Sスイフトスポーツはかなり新鮮である。装備を削り、軽さを守り、エンジンと足回りで勝負する。こういうクルマは、もう簡単には出てこない。状態の良い個体をきちんと整備して乗れば、今でも十分に現役で楽しめる一台である。

マルバツ評価
〇:安さと軽さ+エンジンとアシだけカネを掛けるというツボを抑えたコスト管理による軽快感
×:MTの発進はやりづらく、ローコストすぎて内装の装備質感も不満
自分の試乗レポート
時短のため記事本文はAIに書かせている。
運転中に音声で書き留めたメモ↓
スイスポ
内装はスッカラカンで何もない。
クルコンどころかオートライトさえもない。
一面が樹脂で埋め尽くされている。
右側の足元には最近ではよく見るレーンキープ系のボタンを集めたエリアさえもない。
ただの樹脂パネル。
それだけに迷いようがなく誰でもスッと乗りこなせる。
Bluetooth非対応のラジオがあるだけ。
センターメーターには時計と外気温計と瞬間燃費計があるのみ。
ローコストと軽量だけ考えている。
18万kmなので劣化が激しい。
足回りは抜け気味で異音があり、エンジン始動も渋い。
エンジンは発進の超低速域で全く力が無く、油断するとストンとエンストしそうである。
クラッチはスポーティー寄りな味付けとなっており、繋がり始めの微速発進は簡単だが、そのまま離していくと突然バゴンと繋がりがちになる。
アクセルレスポンスは踏み始めの30%くらい無反応だが、そこからさらに踏むと突然ブワンと回転数が跳ね上がるような形。
優しくつなぐとエンストしやすいし、素早くつなぐと乱暴になりがち。
扱いやすさい車種と比べたら見劣りするが、バチっつと繋がるスポーティーな雰囲気はある。
ー
ギアシフトはそこそこな明確さがあるが、多少ガバくはなっている。
距離を踏まえれば悪くないが。
発進の際は力が無いが、2000回転も回れば充分な力で押し出される。
エンジンのトルク特性と車体の軽さが合わさりスイスイと速度が乗る。
後ろから押し出される感じがある。
トランスミッションは5速MT。
80km/hでも3000回転程度であり、うるさくはないがエンジン回転数が高め。
スピードメーターを220km/hスケールにするなら6速MTにして欲しかったところ。
長距離ドライブに行くならぜったい6速があったほうが助かるのに…
ステアリング調整は角度のみ。前後は調整不可。
アイドリング音は聞き取ることもできないほど小さい。
ー
エンジンフィールが最高で、バイクみたいに身軽に高回転まで回っていく。
エンジンにちゃんとお金がかかっている。
バイクみたいなエンジンを積んでる。
車体が軽いからそういう高回転型ユニットを載せられるのか?
開発コスト的にも、同社の大型バイクからエンジンのベースを取ってきてんじゃないかって思うほど。
トルク型ターボでガンガン行くzc33sとは別物。
ターボの方が速いが、ブン回して楽しみたいならこっちもまだ現役。
2000回転も回れば充分な力があるが、それはそれとして、上が軽やかにヒュンヒュンブン回っていく。
80キロで2700回転
100キロで3500回転
120km/hでは4000回転ほど。
流石に巡行回転数が高い。
旋回中に踏んでもエンジン出力からは想像もつかないパワーが出る。
これもちろん軽いから。
軽いおかげで、旋回の限界値が動きとしては一般的なコンパクトカーと比べても特大の特別差はないはずなのに、何段階かさらに上の世界で走れる。
意外と乗り心地はドイツ車的。
スパスパで押さえ込むためフワフワしない。
ストローク自体はちゃんとしてくれるんだけど、抑え込みがしっかりあるからシャキシャキとしたような動きとなる。
車の軽さの割には安定性は高い。
良いダンパーが入っている。
コストがコストだから遮音はゴミクソかと思いきや、120キロ位で走っててもそんなにうるさくない。
ガラスがも うるさくないしフロアから軽い微振動が出たりもするが、そんなにダメじゃない。
しかしハンドルからも微振動が来る。
長時間の運転においては、この振動蓄積のダメージを食らうかもしれない。
クルコンもない。
ボディは年代や車重、価格の割には芯のガッチリ感を感じられるが、ペラペラ感も否めない。
車重が軽いと相対的なボディ剛性は上がることにはなる。
しかし
コーナリングではある程度は傾いて曲がっていく。
車がグイグイと自発的に曲がっていく動きは現行型とも近い。
軽さゆえに限界値が高いのだろう。
タイヤがそんなにグリップするタイプではない平凡なモノだろうに、結構な無理なペースを許容できてしまう。
ロールが収束するまでは一体感を伴って旋回するんだけど、そこから先は軽さのおかげでかなりのコーナリング。
軽さだけで全ての性能をガツンと押し上げるようなスタイルは、今からすると新鮮。
多少の危うさを感じるが爽快。
旋回中にアクセルを踏み抜いてもぐらつかない。
段差超えても多少ドタドタ動きはするんだけど、暴れ回ったりしない。
とんでもない勢いでヒュンヒュン抜けて行ってしまうのがむちゃくちゃに楽しい。
機械の状態は悪く、ハンドルを低速で回すと左フロントがゴトゴトと言い出す。
また走行速度を上げていくに比例して異音も発生していた。
スイスポに詳しくないが、おそらく持病の類なのでちゃんとお金を掛けて部品交換をすれば復活させられるだろう。
旋回中に強い負荷をかけるとシャキッと動きが収まる。
ー
ハンドルを切ると一呼吸置いてからグワンって曲がっていく。
足回りのアウト側をシャキっと縮めて、4輪で遠心力に対する反発の戦闘姿勢みたいなものを作る。
その旋回姿勢を作ったら踏ん張って、イン側へと弾き飛ばすように曲がっていく。
ー
高速巡航してるとやっぱりちょっと、ドカッって言う衝撃はある程度入ってくるな。
まぁ180,000km走っていることを踏まえるとダンパーはしっかり生きている方だと思うし、ぼーっと走っていれば特に気にならない程度の動きに収まるから、個人的には合格点だけど。
瞬間的なピストスピードが速い入力を受けた後に、一瞬で強い減衰力を立ち上げて抑え込むらしい。
より速いペースで走れば走るほど、路面がドカドカすればするほど、ペースが上がるほど、逆に安定性を増していくような動きとなるのはこのため。
エンジンとダンパーにだけカネを掛けて、他は安く軽く抑える感じ。
このツボを的確に抑えたコスト管理によって、高回転域まで気持ちよく回り、足回りもシャキシャキする上に、安い。
そんな奇跡的なユニットが完成する。