【初代コペン(MT)】半クラ最凶難易度の本格派オープンスポーツはホンダのタイプR並みに刺激的にブン回る #172台目【アルティメイトエディション 試乗インプレッション】

軽自動車とは思えぬ凝った造りで未だに強く愛される初代コペン。

今回はそのMTモデルを試乗していく。

冒頭のまとめ

カワイイ見かけや150万円スタートだった新車価格からは想像も付かないほど凝った本格派のスポーツカー。

エンジンはホンダのVTEC並みに刺激的に回るし、コストの掛かった電動格納ルーフが付いているし、ハンドリングもスポーティーだ。

外観・デザイン

見ての通りの可愛い丸っこいデザイン。

軽自動車サイズながら本格派のオープンカーである。

イカついホイールだが、アルティメイトエディションの標準装備。

結構良いブレーキを装着しているのも嬉しいところである。

ちなみにボンネットは紙のように軽い。GRヤリス並み。

ボンネットとルーフとトランクはこの価格ながらアルミ製である。さすが。

内装

軽自動車に電動格納ルーフまで放り込んだのだから当然だが、コペンの車内は狭い。

無駄が無いとも言えるので個人的には好印象だが、使い勝手や居住性はトレードオフとなる。

視認性に優れるメーター。

8500回転という直4の中でも屈指の高回転が非常に特徴的。

なお140km/hのスピードリミッターは窮屈で仕方ない。

走行安定性が高速域でも非常に高いわりに全体的に加速性能がショボいので、私だったらパワーアップついでにリミッターも解除しちゃうかも。

ブレーキパッドの強化と劣化気味のショックのリフレッシュが先ではあるが。

私の個体は5速MTを装備。ちょっとだけシフトストロークがガバガバ気味であり、ちゃんと入れたいギアに入ったか不安になることが多かった。

バックギアは右下だが、操作が甘いとうっかり4速に入ることもある。

サイドブレーキの近くにシートヒーターやパワーウィンドウ、屋根の開け閉めスイッチなどが集約されている。ゴチャ付いておらず分かりやすい。

センターコンソールやグローブボックスは一応ロック可能であるため、手荷物だけで雨が降っていなれば、多少なら屋根を開けたまま車を離れることもできるようになっている。※非推奨

カップホルダー問題

このコペンにはまともなカップホルダーが付いていない。

車内の最も後方である、センターコンソールの奥の奥に一個だけ四角いゾーンがあるだけ。

見た感じセンターコンソールボックス内にもそれっぽい四角形スペースがあるが、どちらとも走行中にまともに使える感じではない。

調べれば色々な社外品や後付け品が見つかるので、付けておくと良いだろう。

ついでに言うとスマホホルダーを付けるような場所もない。

ボンネットの開け方

ボンネットを開けるにはグローブボックスの中の丸いものを引っ張る。

初見では見つけられる気がしないが、屋根を開けたまま車を離れてもグローブボックスのロックさえしておけばボンネットを開けられて部品を盗まれるということが無い。

屋根の開け方

屋根の開け方は簡単。左右のロックを解除して、中央のスイッチを長押しするだけ。

メルセデスのSLKばりに大掛かりに開いていく屋根。

時間が掛かるがせっかくなので楽しもう。途中で止めることもできるぞ。

荷室と屋根について

ちなみに屋根を開けた状態ではトランクはほぼ使い物にならない。

畳まれた屋根が邪魔をしているためリュクサックの1つも入らないくらいの空間しかない。

屋根の収納場所の底には空間があるが、それ自体もほとんど使い物にならないサイズであり、屋根を途中までは閉じないとアクセスできず、開け閉めの度にシェードを操作する必要がある。

このシェードのはめ込みが不適切だと格納場所が無いと判断されて屋根が開かない。

↑の画像では変なところにバッグを入れているが、閉じてきた屋根に押しつぶされる格好になりそうなので絶対にやめよう。

布・服しか入っていないし見かけほどの体積はないので私は問題なかったが、読者諸兄は十二分に注意して欲しい。

静粛性

幌屋根ではなくハードトップというだけあって、140km/h近辺で走っていてもロードノイズがうるさいと感じることは無い。

静かだなというほどではないが、軽のオープンスポーツとしては上出来だろう。

80km/hでも5速3000回転だが、爆音マフラー装着車でもエンジン音がうるさいと感じることは無かった。

むしろエンジンがトルクを出し始めるのがその回転数からなので、シフトダウンをサボって5速のまま踏んでもある程度の加速ができるというメリットがある。

シートを倒して身体を休めることができないのが鬼門だが、意外と長距離ドライブも行けそうな余裕である。

クルコンくらいは後付けしてもいいかも。

それは基本的クルコン機能付きスロットルコントローラーの装着ということになるが、微妙にもっさりした加速フィールもついでに改善できるだろう。

コペンに対して有効なカスタムであるといえる。

どちらかというと屋根がゴツゴツ鳴るのが気になるため、劣化した個体でこのへんの快適性を求めるなら追加コストを払うことになる。

時間が無かったのでカーオーディオについては検証していないが、屋根を開けた状態でも良い音を楽しみたいならスピーカー交換を視野に入れよう。

実走行インプレッション

取り回し

思っている以上のコンパクトサイズで小回りが効き、屋根を閉じても後方への視界だって広い。

実用上困ることはないと言える。

コペンは半クラッチが鬼畜過ぎて、それと比べたら取り回しなんて語るほどのものではない。

オープンカー要素

コペンはオープンカーである。

このことには触れておかねばならない。

しかもNDロードスターのようなシンプル&軽量&単純明快な幌屋根ではなく、フェラーリカリフォルニアのような電動ハードトップだ。

かなりの重量とコストが掛かったものである。

屋根の左右のロックを引いて解除して、センターのスイッチを長押しすると、まずトランク部が大きく後ろ側に開いて屋根の収納場所を用意する。

そしてクジャクのような派手さでウイーンと屋根が盛大に開き、バタンと閉じる。

軽自動車でここまで大げさなことをする必要があったのだろうか、NDロードスターのような幌屋根でシンプル&軽量&ローコストで良かったのではないか。

と私は思ってしまう。

しかし「軽とは思えぬこだわりで作られている感」がひしひしと感じられもする。

また布地ではなくハードトップなので、閉じた際の騒音や夏の暑さ対策、防犯などメリットもある。

ただ屋根を閉じた際はギシギシミシミシとうるさい。

どこかのネジが緩んでいたり、接触部にスポンジテープでも貼れば改善する可能性はあるが、新車時にはそういうことは起きなかったようなのでどこかしらの経年劣化である。

直すならば追加でお金が掛かる。

ただし開け閉めにかかる時間は結構長い。かなり目立ちもする。

幌屋根ほど手軽に開け閉めは出来ないため、天候や周囲の状況は必要に応じて考えよう。

実際に開けると素晴らしい解放感。

というか剥き出しと呼んでいいくらいであり、気持ちの良い風がヒュンヒュンと吹き荒れる。

冬に乗るには頭が寒すぎるくらいだ。

サイドウィンドウを上げているくらいでちょうどいい。

ちなみにパワーウィンドウスイッチが反応しなくなることがあるが、長押しすればよい。

風の巻き込みを抑えて上品に解放感を味わうタイプのオープンカーもあるだろうが、そういう系と比べてのコペンは暴風だ。

オープンカーとして外の景色を楽しみ尽くそう!

パワートレイン

マニュアルトランスミッション(クラッチ編)

このコペンのMTの最大の鬼畜ポイント、それがこのクラッチだ。

一般的な150~200馬力級のアイドリング回転数は800rpmだが、その感覚で言うならこのコペンは80rpmだ。

660ccのターボらしいが、感覚的には66ccの自然吸気である。

原付バイクのエンジンで1トンの車体を動かそうとしているようなイメージ。

そんな無理ゲーを左足の半クラッチで完遂せねばならない。

あまりにもエンジンが車体を発進させる力が弱く、発進なんかそもそもできるものではないという勢いでストンと回転数が落ちる。

そしてエンストする。

その様はまさに虫の息である。

私は右足でブレーキを踏みながら左足を上げて半クラッチを作りつつ発進するクセが出来ていたが、それをやろうとして秒速でエンストした。

これっぽっちも車体が進むことなく回転数が落ちる。

むちゃくちゃ丁寧にやればうまくいく可能性はあるが、ちょっとでも段差や勾配があったり、操作をミスるとストンである。

非常に弱いクラッチが繋がり出す兆候を掴めるようになれば、それも可能かもしれないが。

やってもいいが多少の後退は許容することになるかもしれない。

このコペンの発進においては平地であろうがサイドブレーキで車体を抑え、意識してアクセルを煽り、発進にも時間と距離を掛けなくてはならない。

車体が動き出したからとクラッチを上げると、そのままエンジンがストンと止まる。

半クラッチの領域も狭いため、ジワーッと足を上げながら調整するようなものではない。

回転数が落ちないように意識しつつ、可能な限り長い時間に渡って半クラッチを行い続けよう。

幸いにもバックギアでは比較的動かしやすく、サイドブレーキ発進にも特殊なことは無い。

サイドブレーキをちょっとミスって車体が下がりそうになっても、サイドブレーキを少し引き直すだけで自然なブレーキが掛かる。

ミスった後のリカバリーをやりやすい点は有難い。

また上手いバランスで決めればサイドブレーキを押しのけて車が前に進みだすこともある。

サイドブレーキをちょうどよい力加減で引いてやれば坂道発進の難易度は大きく下がるだろう。

あまりにもインパクトが強かったので長々と記述したが、要するに「意識してアクセルを入れろ」というだけである。

MTに乗り慣れた人でも初回はエンストするかもしれないが、すぐに「そうかそうか、君はそういうエンジンなのか」と適応させられるだろう。

発進時はそのように鬼畜なクラッチだが、走行中は気持ちがいい。

クラッチペダルの前後方向への移動距離こそ長めだが、クラッチ自体は短いストロークでバスっと繋がるためシッカリ感がある。

この無駄な動きの無さこそスポーツカーだよなぁと思わされるし、運転のシャキシャキ感が楽しみである。

マニュアルトランスミッション(シフト編)

さて、このコペンは5速+右下バックギアのH型シフトだが、バックギアに入れる際は毎度意識してやる必要がある。

バックギアに入れたと思ったら実は4速だったということがよくあるのだ。

また走行中もシフトノブが長いというのだろうか、それゆえのガバさのようなものを感じることがある。

エンジン関連

私の借りた個体は社外性のエアクリーナーに交換されていた。いわゆる「毒キノコ」である。

これによる効果なのか、痛快なプシュン!という音が鳴り響いており昔のスポーツカー感が抜群だ!

車屋さん的にはコペンの整備性は悪いらしい。狭いところにターボがブチ込んであるので仕方ないだろう。

発進においては66cc並みに非力なエンジンだが、動き出して踏んでいくと一気に元気の良いスポーツ車となる。

丸っこい見た目と小さいサイズ、手ごろで可愛いイメージからフツーのMTが選べるだけのクルマを想像していたが、実際は昔ながらのターボのスポーツカーだ。

エンジンはバイクのように勇ましい音を立てながらグイグイと車体を加速させ、過給機がヒュンンヒュンシュンシュンと懐かしい男らしいサウンドが鳴り響かせる。

マフラー交換が行われていたようで、暖気が終わるまでは結構うるさい。

3000回転も回っていればいいエンジン音が鳴り響く。

ホンダのシビックタイプRを想起させるほどの刺激である。

レッドゾーンは8500回転。控えめな加速性能と相まってどこまでも踏み続けられそうだ。

最近のガソリン車は規制が厳しいため、それと比べたら刺激や官能性では勝っていると言えそうなレベルだ。

エンジンのトルク特性的にも美味しいのは3000回転から。

信号待ちからの発進でも、2速で3000回転以上に入れられれば一気に速度の乗りが良くなって流れにも乗りやすくなるぞ。

そこから上は良いエンジンが楽しめるが、残念ながら64馬力程度では絶対的な加速性能はたかがしれている。

ついでに言うと140km/hのスピードリミッターも高速道路で気持ちよく踏んでいたら簡単にヒットしてしまう。

ターボ車なのでコンピュータ書き換えを行いたいが、それと同時に足回りや冷却系なんかも含めたフルリフレッシュを行おうとすると50万円クラスの費用が必要になる可能性がある。

そこまでして新車から20年経った老体にムチを打つのかどうか、再考したほうが良さそうだ。

高速安定性

軽自動車とは思えぬ直進安定性の高さ。軽トラと比べると涙が出るほど素晴らしい。

しかし強い加速中は左右に振られる感じはある。

あまり調子に乗って無理をしないようにしたほうがいい。

特に後ろにポルシェなどの高性能車や格上スポーツカーを置いた状態で踏み続けるような判断はやめておいた方が良いとは思う。

ダンパーが劣化しているので段差のたびにドカドカと衝撃を喰らうが、そのことはあまり安定性を下げていない印象。

しかし軽自動車であることを忘れるような走行フィールの良さが嬉しい。

ブレーキ

ブレーキは踏んでも踏んでもあんまり止まって行かない感じだった。

初代コペンのブレーキフィールについて調べたところ、カチっとした良い手ごたえがあるらしい。

800kg台の車重にちょっとしたコンパクトカー並みのブレーキを入れているのだから、ブレーキの性能は高いとみる方が自然だろう。

どこかが劣化していることは明確。

加速力が控えめで車重も軽いためブレーキ負荷は小さいほうかもしれないが、10万km越えのコペンを買う際には考える必要のあるメンテナンスコストだ。

安全にも関わるためコペンを購入したら一番最初に手を付けたいポイントでもある。

乗り心地

自分の借りた個体は10万kmを越えていた。

そしてビルシュタインのショック。

ハッキリ言うと劣化して抜けている。これだからビルシュタインは好きじゃないんだよな…

全体的に底打ち気味というか、ストロークのわりに衝撃吸収が弱い。

新車時の性能が出ておらず、新品ビルシュタインショックでも適当な廉価ダンパーでも車高調でも入れないと官能評価なんて話にならないが、一応この状態でも記録は取っておく。

抜けてしまったショックだが、ある程度のストロークとガッチリ感の両立はある。

眠気防止舗装を越えた際は、ダンパーの上下だけでコトコトと処理をしてくれていた。

その程度の軽い衝撃であれば、ストロークと安定性が両立した乗り味を楽しむことができたが基本的な乗り味はひどいものなので交換推奨。

固定減衰のスポーツ車らしく、何も無いようなところでヒョコヒョコと瞬間的に上下に引っ張られるような動きを感じることはあるが、この手の車の中ではかなり小さい方であり人によっては気づくことすらなく売却していそうだ。

段差を越えて強い衝撃が入ると、ドシンと直にフレームに叩きつけが来る。

ハンドリング

スポーツカーとしての期待に応えてくれるカッチリ感のあるハンドリングが楽しい。

FFらしく安定性優先でガッチリとしている。

少しハンドルを切るだけで無駄なロールはせずにグイグイと曲がって行く。

そこからさらに切り足していくと、コンパクトボディを活かしたクイックな旋回性を発揮する。

全体的に安定志向な挙動で万人向けの安心安全だが、シャープに切れ込んでいくような鋭さも持っている。

加速力こそたかがしれているし、旋回中に踏んだらアンダーステア傾向の動きが強くなるし、旋回負荷を上げても安定性優先の動きにはなる。

しかし路面が荒れ狂った勾配の激しい峠道でも、安心安全、安定性の中でスポーツカーらしい走りを楽しめるのだ。

車幅が細いため狭い道路幅を左右に自由自在に使うこともでき、幅の広いドライビングが楽しめる。

ただし無理はしたくないなという印象はあった。

旋回中に段差を越えると揺さぶられたり暴れてしまうし、グラつきが起こる。

また路面のうねりや高低差が左右別々に生じた場合も姿勢を乱される感じはあった。

マルバツ評価

〇:可愛い見た目からは想像が付かないほどのコストが掛かった本格派のオープンスポーツカーである!エンジンが良い!

×:鬼畜過ぎる半クラッチと軽オープンゆえの使い勝手の悪さ、古さゆえの所有コスト

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