ハイエース・キャラバンよりもコンパクトで、より乗用車的な乗り心地やハンドリング特性を手に入れているのが嬉しいNV200バネット。
その運転フィールとのバランスの良さから車中泊ベースにもしたくなる。
気になる走りを確かめていく。
外観


私が借りたのはタイムズカーシェアの個体である。解約のための乗り収め。

内装
定番の商用車。

個人的に最も不満なのがドアノブ。
なぜか前後方向への長さが異様に短く、指が2本程度しか入らない。

非常に開け閉めが窮屈。
小柄な私でもこんなに狭いなら、大柄な人はもっと苦労するだろう。
幼稚園の子供用遊具から部品でも取って来たのか???
ヤードポンド法と間違えたのか、モデリングの最中に縮尺の変更でもミスったのか???
またセンターにカップホルダーが無いのも不満だし、インフォディスプレイの切り替えボタンがメーター内部にあり、ハンドルと干渉する相当押しづらい位置にあるのも気になる。
またトランクやドアがペラペラなのか、半ドアが起きやすい。
少々乱暴に閉めないといけない。
静粛性とオーディオ
キャラバンと比べるとだいぶ改善されており、低価格帯乗用車のレベルになっている。
人によってはこれでもうるさいと思うだろうが、120km/h制限相当のペースで走っていても充分に耐えられるくらい。
実走行インプレッション
※大人が1人だけの空荷状態での試乗である。満載時は走行フィールが変わる可能性が高いので注意されたし。
取り回し
4400×1695×1855mmというサイズ感に5.2mという最小旋回半径で基本的には乗りやすいが、ネットで言われていた通り左右のフロントが見えづらいのが玉に瑕。
せっかくの良好なサイズ感を台無しにしてしまうほど左右のフロントの視認性が悪い。
本当に狭いところでは最徐行か、窓を開けて顔を出すような運用が求められるかもしれない。
逆にバック駐車はほとんど苦労しない。
乗りやすいサイズと低価格帯乗用車相当の快適性と運転フィール、そして視点の高さがもたらす視界の広さ。
クルーズコントロールでも付けば、キャンピングカーベースとして安く便利に使えそうだ。
乗り心地
期待していなかったが、意外と乗り心地は良好だ。
ストロークと抑え込みのバランスが良い。
段差を乗り越えた際はコトッと足回りが程よく動いてストロークしながら、あんまりフラつかずに抑え込んでくれる。
しかし少々飛び上がりが大きい印象はある。
特にリアサスがボトルネックになっている。
特に大きめの衝撃を受けた後は、空荷状態では乗り心地に気になるところが出る。
飛び上がって上まで行って、その後に着地して下まで行って、上下方向への動きが大きすぎる。
そんなに遭遇する動きではないし、荷物を積んで重くなればこの動きは小さくなるだろうし、そもそも人によっては認識できないレベルのものなので、問題点として挙げるほどでもないが。
なお路面が常に小刻みにうねっているような、平坦なところが無い路面においては、揺れが収まる前に次の揺れが入ってくることで、常に上下に動き続けるような動きが出ることがある。
こういう路面は5~6時間の試乗で1回しか遭遇しなかったが、心当たりがあれば警戒したい。
しかし「長時間・長距離もラクにこなせるか」は別問題。
微振動の蓄積によるものなのか、数時間の運転でも疲れが溜まる。
特にザラザラした路面だと、振動や衝撃、騒音が一気に大きなものとなって入って来る。
おそらくこの手の入力の蓄積でドッと疲れたのだろう。
アームレストが無いのもちょっと気になる。
キャラバンに2時間ほど試乗した後に5時間ほどバネットに乗ったせいなのか、帰宅してから24時間ほど疲れが取れずロクに仕事が出来なかった。
私にとって合計8時間無い程度のドライブなんて近所のお散歩程度なのに。
車中泊旅行のベースにしたくなるようなクルマだが、この快適性では個人的には気が向かない。
同じサイズ感ならフリードのハイブリッドを選ぶかも。
パワートレイン
1.6リッター自然吸気は113馬力しかないが、1.2トン台の車重のおかげか加速感は軽い。
燃費性能もかなり高め。
アクセルを踏み込んでも明らかに速度の乗りが良い。
低負荷域ではエコに走ってくれるが、ベタ踏みすると相当に元気の良いエンジン音を響かせて充分に加速して行く。
荷物を満載した際にどうなるかは未知数だが、ちょっとモノを積んだくらいでは問題ない加速性能である。
アイドリングストップはニュートラルに入っていてもオンになるが、停止したタイミングでうっかり暴発して瞬時に再始動となり、そのままずーっとエンジンが掛かりっぱなしになることがある。
すぐ手が届くところのボタン1つでオンオフできるのがありがたい。
エンジンの経済性が元々優秀なのでずっとオフでいいかも。
このアイドリングストップシステムのせいなのか、ずっとシステム電圧が低かったのも気になるところ。
なおブレーキの効きはかなり強い。
フル積載を想定している中での車重の軽さ。
かなり強い減速Gを出すことができる良いブレーキだ。
しかし気になるのがエンジンブレーキ。
Dレンジでシフトノブのボタンを押すと使えるスポーツモードと、Dレンジの下のLレンジがある。
Lレンジに入れると回転数を跳ね上げてくれるが、長い下り坂でブレーキを加熱させずに下るには少々エンジンブレーキの効きが物足りない。
特に40km/h以下では一気に回転数が下がってきてしまい、大した減速力が出なくなる。
荷物を満載した状態で富士山や箱根などを下る際は神経を少しすり減らしそうである。
ハンドリング
人間の操舵に対して舵角が遅れるようなことはない、至って乗用車的なハンドリングで乗りやすい。
スピードを出した状態でカーブに入っても、操舵に対する旋回が遅れたり、ぐらついたり、ふらついたりすることがないのだ。
旋回中に段差を越えてもハンドルが暴れたりしない。
これなら運転も楽しめるし乗用車の分類に入れていい。
コーナリングにもあまりストレスがなく、運転は楽しめる方だろう。
実際にこのバネットでちょっとした山道ドライブに行ったが、ワインディングを走ってもストレスは無かった。
というか普通に乗れた。
高速安定性
キャラバンと比べて高速域での安定性も高いのが魅力。
フロントピラーが寝ているのが効いているようで、横風に揺られる感触はない。
高速道路走行が多くても安心だ。
スピード出した状態でレーンチェンジしても、キャラバンみたいにグラッと来たりはしない。
まとめ
車中泊ベースの低価格コンパクト商用バンとして、意外にも乗用車的な運転特性が好印象だった。
期待を上回る走りを見せてくれたわけだが、それと「仕事やレジャーなどの長時間運転に耐えられるか」は別問題。
この乗り物8~12時間とか運転するのは、1日だけでもしんどい。
価格帯に対する完成度や経済性などの総合点は素晴らしい。よくできた商品だと思う。
でも連日の長時間運転が必要なら、私はバネットは選ばないかなぁ…