【アウトランダーPHV】最初期のPHV#143台目

またPHVという言葉も知られていなかった時代に登場したアウトランダーのプラグインハイブリッド。

取り回しの良いサイズと普通に買える価格で運用できる、オンロードもオフロードも走れる万能なSUVに見えるが、その価格と年代ゆえの弱点もあり…?

私が雪国への取材旅行用のアシとして最も気になっている一台でもある。本気で試乗していく。

冒頭のまとめ

取り回しの良さは良いが、あまりにも安っぽい。

PHVシステムを積んで300万円台中盤で収まるという超廉価グレードだから仕方ないが…

エンジン音は聞こえてこない程度に静かだが、電池が尽きると燃費走行に努めてもリッター15km程度しか走れない。プリウスの半分の燃費性能。

乗り心地やハンドリングはかなり良いが、段差で飛び上がりがちだったり、旋回中盤でコーナリングの遅れが産まれたりする。

燃費性能や走行性能、装備のどれもが「安かろう悪かろう」感。

改良でどこまで良くなっていくのか自分で乗って確かめたい。

外観

「優しい」と言えば聞こえはいいが、何の魅力もないような地味なデザインとなっている。

この年代特有のLEDクリアテールと淡い青色が、逆に古臭い印象を強めてしまっている。

内装

新車価格が330万円程度でPHVシステムを搭載しているのでしょうがないが、ハッキリ言うと車内は安っぽい。

ステアリングは革じゃないし、ボタンの1つたりとも付いていない。

静粛性とオーディオ

オーディオは結構良いが静粛性はなんとも。

人間の感覚的にはそこまでうるさいと感じないが、走行音がうるさすぎてスマホの音声認識機能が使えない

特にフロアの遮音がガバガバ。安かろう悪かろうの典型である。

エンジン音については静かで、停車・低負荷中ならいまエンジンが始動しているのかどうか分からない。

例えばちょっとボイスメモ機能で車の感想をメモしたが、「忘れる。チート、ペット買ってシートのに変わって」と書かれていた。

何と書いてあったのだろうか。

車中泊適正

二列目の座面を引っ張り出すことで完全にフラットな荷室を作ることができる。

快適に足を延ばして寝られる長さがある。

しかし、二列目足元の空間は収納に使えなくなる。

ちなみに荷室のプラスチックの質感はひどい。

実走行インプレッション

取り回し

私が乗った個体はバックカメラでさえも非搭載だったが、さすがに危ないので勘弁してほしい。

車体サイズ自体はちょうどいいミドルサイズであり、小回り性能もそこそこで視界も確保しやすいため運転はラク。

パワートレイン

基本的にはEVとして走ってくれるし、エンジンも存在に気付かないレベルで静かに動くので非常に快適。

強く踏み込むとエンジンがハッキリと唸り、170馬力級のそこそこ元気の良い加速を魅せてくれる。

SAVEモードのまま道の駅やサービスエリアに入り、空調をオンにして休憩しようとするといつまで経ってもエンジンが切れてくれないのが気になる。

また燃費が悪い。

電池が切れた後にsaveモードで走行したところ、燃費最優先の走りでもリッター15kmしか出なかった。

ガソリンを用いた長距離走行における実用上の燃費はリッター11~13km程度である可能性が高い。

ちなみに急速充電はあまりにも割高であり、時間も無駄にするので非推奨。

やるにしても「0%で充電を開始し、トイレ休憩の4分だけ繋いでおいて戻ってきたらすぐ切る」くらいの運用でないとお話にならないだろう。

深夜料金で充電できるからこそローコストなのだ。

ハンドリング

外から見ていると大したこと無さそうに見えるが、その中身はランエボのような強靭な旋回能力を持つ。

SUVとしてのグラつきや高重心感はほぼ出ない。

ハンドルを切れ込むとそのままグイッとインに向かっていく。

S-AWCに頼らずとも相当に限界値の高いコーナリングが可能だ。

ちょっとしたFRスポーツのような曲がり方をしていく。

旋回時間が長い急カーブでは、ステアリングレシオのゆったりさのせいで遅れていく。

シャシー性能を活かしきれていない印象を受ける。

タイヤ負荷もかなり高め。

急ハンドル時もロールせずフラットな姿勢のまま曲がっていこうとしてくれるが、この特性のせいで楽しみきれない一面がある。

ただ運転がつまらないわけではないぞ。

乗り心地

ボディーはガチっとしているが、アシはよく動いてストロークしてくれる。

この2つの調和によって、安心感がありつつも路面の衝撃をいなす快適な乗り味が実現される。

オーバースピードで段差に突っ込むと跳ねがちだが、良好なハンドリング特性と合わせて走り心地は良い。

郊外の道路を超快速で巡行していくのがよく似合う。

急速充電してみた

このアウトランダーには一応急速充電ポートが付いているため、chademoでの急速充電が可能だ。

メーター内の表記上は0%でも、バッテリーには25%ほど残っているらしい。

50kw級の急速充電器に繋いでみる。

8分ほど充電するともう50%まで入る。

13分ほど充電した。

10km走ったらもう電池切れ。

ちなみに充電中はクルマのシステムをオンにできないという致命的な欠陥がある。

うっかりオンにすると充電が強制停止する。

エアコンを付けながら車内で仮眠することは不可能。

ちょっとカーナビを設定することも不可能。

グレード・価格など

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