【エブリイワゴン】ターボ付きの軽バンは危険な加速#133台目

スズキ社の軽バンであるエブリイ(110万円台スタート)を乗用車仕様に仕立て、ターボ標準装備で約180円で売りに出したのがエブリイワゴン。

スペーシアカスタムやデリカミニとほぼ同価格であるが、100万円級の貨物車をベースとするクルマでどこまで戦えるだろうか…

冒頭のまとめ

軽バン x ターボの組み合わせはこれが人生が初であったが、さすがの加速力だ。

少し踏むだけでスイーっと速度が乗る。非常に気持ちいい。

しかしここに罠がある。乗り物の総合バランスにおいて、加速力だけが突出するのだ。

軽トラとシャシーを共用しているところや、走行安定性以外の部分に重点を置いて設計されている点が牙を向いてくる。

外観

内装

軽バンということで一面がプラスチック。

クリーム色の樹脂やメタリック調に塗装されたパネルにはどこか懐かしさを覚える。

シフトノブには「S」ボタンが付く。

外気温を知るためには「OUT TEMP」ボタンを押す必要がある。

その右の穴はおそらく温度計。

メーター右側にはエアコンの吹き出し口だったであろう 謎の空間がある。

メーターはタコメーターのほか、インフォディスプレイも一応ついてくるためそこそこ豪華。

しかしゴチャゴチャしている印象を受ける。

真っ暗な公園に入った瞬間に雨が急に強くなって自動ブレーキ警告灯がいっぱい光った。気味が悪い。

静粛性とオーディオ

スピーカーはもうただ聞ければいいって感じ

すぐに音がぼやけちゃって、快適に音楽聞くのは難しい。

「音楽を流したい」って言う最低限の気持ち自体は満たすことができる。

オーディオ完全非搭載と比べたら良いのではなかろうか。

実走行インプレッション

取り回し・運転姿勢

タントやスペーシアなどの軽ハイトワゴンとは異なる、軽トラとシャシーを共用したクルマだからなのだろうか。

着座位置がやけに高く、前方に寄っているという点が特徴である。

この姿勢のせいだろうか、「吹っ飛ばされそう」「なんか落ち着かない」「対向車が正面から突っ込んできたら自分の足が無くなるのではないか」という不安感をしばし味わった。

そのうち慣れるけど。

もう1つ気になるのが小回り・取り回し性能だ。

ハンドルがそこそこ重くて要求回転量が多いため、狭い場所での切り返しやUターンの際はハンドルを回るのが大変。

というか面倒くさい。

日常的に乗るエリアで複数回の切り返しを要求されるならウンザリするだろう。

また下り坂をバックで登る場面において、動き出しが少々乱暴な一面がある。

具体的にはアクセルを踏み足していった後、特定のタイミングでガツンと車が前に出がち。

気を付けて乗っていれば問題は無いが、個人的にはリスクがあると思う。

またサイドウィンドウの角度の問題か、映り込みもそこそこひどい。

メルセデスのGクラスなどの一部のクルマで発生する現象であり、運転のストレスが少し増す。

運転席に座り左側へとカメラを向ける。左ドアのガラスに思い切り車内が映り込んでいる。

パワートレイン

ターボモデル+空荷であることからかなりの加速力を魅せる。

市街地で40km/h→65km/hまで乗せるような場面では、少し踏んだだけでちょっとした大排気量車のような伸び方をしてくれる。

CVTとの組み合わせが感動的な加速力をもたらす。

これなら荷物が満載でも元気よく走ってくれることだろう。

しかし後述する安定性の懸念を考えると、車の総合性能において加速力だけ突出しているような印象もある。

乗り手が抑えを誤るととんでもない危険を生じさせそうだ。

乗り心地

一応ワゴンではあるが、貨物車として荷物を載せる想定で足回りを作っている点が乗り心地において他の軽乗用車と比べると不利になっている。

ダンパーはある程度効いてくれているが、衝撃に対する容量は大きくない。

ちょっとでも強い入力があるとバンプラバーに行ってしまう。

段差でバンバン跳ねちゃうし、後揺れが残る感じも強い。

眠気覚まし舗装を通過する際、タイヤに入った衝撃が足周りでは吸収し切れていない。

シートを通じて体に直接ガタガタガタガタガタと振動が伝わってくる。

ドリルを持って掘削する仕事をやっている気分だ。

ハンドリング・安定性

このクルマには最も致命的な弱点がある。

ハンドルの遅れと暴れだ。

ハンドル操作に対する旋回の遅れ。

ステアリングのギア比がスローになっているのだが、これが特定の状況下で致命的なリスクとなる。

奥に行くにつれて急になる系のカーブでは、途中でハンドル回すのが追い付かなくなっていく。

そして車がオーバースピードではみ出しそうになるのだ。

これはもうタイヤへの荷重配分以前の問題であり、個人的にはこのクルマで走り続けるのはやりたくない。

つまりカーブに入る際はしっかりと形状を見極めたうえで、入り口から抑えて抑えて、穏やかに入っていかないと危ない。

また段差を超えた際にハンドルが暴れることがある。

特に強い加速中をしている最中が危ない。

路面がガタガタなエリアに入ったり、段差を越えたりした際に、一気にハンドルがバッタンと暴れてしまうのだ。

ハンドルがウィリーしてるみたいな状態となり、どこに飛んでいくかわからないような状態になってしまう。

突き上げを吸収することより荷物を満載にした際の安定性を優先しているためなのだろうか。

価格・グレードについて

PZターボ 標準ルーフの2WDである。新車価格は183万円。

私が乗ったのは「エブリイワゴン」であり、貨物・商用仕様「エブリイ」とは仕立てが異なる。

ワゴンのほうは人を乗せることを意識しており、足回りや車内装備がちょっとしたミニバンのようになっている。

しかしスペーシアカスタムとほぼ同価格帯だと考えるとあまりにもコストパフォーマンスが悪い。

もはや買う理由がないレベル。

以下はエブリイの方のグレード早見表。

このエブリイは新車価格113万円スタートのクルマなのである。

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